スパイダーマン
米国を代表するコミック出版社マーベル社の看板シリーズ「スパイダーマン」の実写版。監督は「ダークマン」のサム・ライミ。 第二弾もある。粗筋 冴えない高校生のピーター・パーカーは、見学に行った研究所で遺伝子操作された蜘蛛に噛まれてしまう。その時から彼は蜘蛛の能力を発揮できるようになる。 父親代わりだった叔父が自動車泥棒に殺されてからは、ピーターは自分の能力を正義のために使おうと誓うのだが、それが自分にも他人にも犠牲を強いることを気付く……。感想 本作品は最近のハリウッド超大作(「ハリー・ポッター」、「ロード・オブ・ザ・リング」などを含む)の典型的な例になっているといえる。演出も特撮も素晴らしいのだが、何か物足りない、といった感じ。部分的には「おお、凄い! さすが!」と拍手したくなる場面があるのだが、見終わった後に総合的に捉えると「まあ、それなりに面白かったね」くらいの感想しか思い浮かばないのだ。 米国では初週末だけで1億ドルの興行収入を稼いでしまった作品だから、つまらない筈はない。なぜ自分がここまで楽しめなかったのか、自分でも理解に苦しむ。 特撮は最近のハリウッド作品から比較すると突出したものではなく、平均的。しかし、邦画よりも10倍は手が込んでいる。 ピーター役を演じたトビー・マグワイヤは、原作のコミックを一時読んでいた身としては適役としかいうしかない。スーパーヒーローの素顔は実は頼りない若者、という役を違和感無く演じていた。さすが高校を卒業したばかりの者にしてはませ過ぎていた感がなくもなかったが(メリージェーンを演じていた女優は全然高校生に見えなかった)。 欠点として思い浮かべられるのは、悪者の筈のグリーン・ゴブリンがまるで目立たなかったこと。同じように実写化されたコミックヒーロー「バットマン」の第一作では、悪者のジョーカーが主人公のバットマンを完全に食っていたほどだが、本作品のグリーン・ゴブリンにはそれがなく、力不足。ウィレム・デフォーというアクの強い俳優が演じていたのに、彼の魅力がまるで発揮されていなかったのは非常に残念。これは俳優自身の問題ではなく、ストーリーの問題か。 ストーリーの問題とは、主人公のピーターが高校を卒業したばかりの若者、という設定からか、後半はピーターと幼馴染みメリージェーンとの恋愛が中心になっていること。最初から最後までぎくしゃくしているだけの恋愛ドラマは退屈、いや、腹立たしいだけ。そんなこともあって、ピーターは憧れのメリージェーンから告白されたが、スパイダーマンとして生きることを決意した彼はその告白に応えられない……、というラストも、遅過ぎる感じがした。 本作品は「スパイダーマン誕生編」、つまり次回作のプロローグと位置づけるべき。次回作は悪者との対決を中心に描いてほしいものである。 本作品は家族向け映画なので、性描写はない筈だが、監督のライミはそれを不満に思ったらしく、その手のシーンを暗に盛り込んだような気がする。メリージェーンがずぶぬれになり、立った乳首を見せている場面(服は着ているが)や、ピーターがクレーンに向かって手首から蜘蛛の糸を発射しているシーンがどうも見ても手首から射精しているようにしか見えない……など。 くどいようだが、続編もある。人気blogランキングへ関連商品:スパイダーマン