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カテゴリ:洋画
イオン・プロダクションによる007シリーズ第17弾。 6年振りの007で、ピアース・ブロスナンが007として初登場した作品でもある。 本作により、一時低迷していたとされる007シリーズは復活を果たした。 原題は「GOLDENEYE」。 粗筋 ソ連崩壊前。 007ジェームズ・ボンドは同僚の006アレック・トレヴェルヤン(ショーン・ビーン)と共に、ソ連の化学兵器工場を破壊する為に侵入する。しかし、責任者のウルモフ大佐(ゴットフリード・ジョン)により、006は拘束されてしまう。ボンドはやむなく彼を見捨て、秘密工場を爆破し、逃走した。 それから9年後。 ボンドはでロシアの犯罪組織「ヤヌス」を追っていた。モナコで、「ヤヌス」のメンバーであるゼニア・オナトップ(ファムケ・ヤンセン)をマークしていたが、彼女とウルモフは、対電磁波装甲を施したNATOの最新鋭戦闘ヘリコプター・タイガーをフリゲート艦上から奪取して、どこかへ消える。 ゼニアとウルモフは、そのヘリコプターを利用して、ロシアの監視基地を奇襲。ゴールデンアイと呼ばれるプログラム・ディスクを奪った。冷戦時代にソ連は電子機器の性能を電磁波で不能にできる軍事衛星を開発していたが、その引き金となるのがゴールデンアイだったのである。 事を重く見た英国諜報部M(ジュディ・デンチ)は、ボンドに事件の真相を探るよう命じる。 ロシアに飛んだボンドはCIAのジャック(ジョー・ドン・ベイカー)の助けを借り、地元の大物武器商人ズコフスキー(ロビー・コルトレーン)と会い、「ヤヌス」と接触。 「ヤヌス」の首領は、死んだ筈のアレックだった。コサックの血を引く彼は、第二次世界大戦直後にコサック民族を裏切った英国への復讐を企てていたのだ。 ボンドは、破壊された監視基地の生存者である女性プログラマーのナターリャ(イザベラ・スコルプコ)を救い、ウルモフを倒すが、アレックを取り逃がしてしまう。 ボンドはナターリャと共に、カリブ海へ逃れたアレックを追う。 アレックは、冷戦時代にキューバに配置された巨大なパラボラ・アンテナを使って、ゴールデンアイを作動させようとしていた。 ボンドとはナターリャは、アンテナの破壊を試みる……。 感想 ピアース・ブロスナンによる007の第1弾。 ブロスナンは、007シリーズを大復活させた功労者とされているが……。 降板して、ダニエル・クレイグによる新作が公開された後は、評価が若干落ちている。 シリーズそのものを復活させたのは事実だが、作品そのものは大したことない、と。 ロジャー・ムーアもそんな感じ。 007は、公開当時はどれもそれなりに評価されても、劇場公開が終わり、家庭用ビデオとして売り出されると、既に家庭用ビデオになっている他の作品と比べられてしまうので、評価が落ちるようである。どんな作品も、劇場で観るのと、家庭で観るのとでは、やはり迫力に差が出るから、仕方ない。 個人的には、ピアース・ブロスナンはスマートで、洗練されており、アクションとユーモアを程よくブレンドさせていて、まさに現代風で良かったと思うのだが。 現在(2008年の時点で)で007を演じているダニエル・クレイグは、正直堅物過ぎて、余裕が感じられず、観ていて楽しい気分にならない。 ロジャー・ムーア並みだと困るが(個人的には好きだが)、やはりユーモアもないと。 本作の最大の特徴は、これまでは単なる端役扱いだった007以外の00要員が、大活躍すること。 敵として、だが。 敵が007と対等の能力を持っているとあって、これまでと違って格好よく、やけに動き回る。アクションにも積極的に参加する。 ただ、敵としては少々小粒で、野望も大きいのか小さいのか、よく分からない。 また、なぜウルモフに射殺された筈だったのに生きていたのも分からない。 いつの間にかウルモフと対等な立場にあり、犯罪組織を立ち上げていて、基地を一つ構えるほど巨額の資金を得る立場にどういう経緯で至ったのか、その部分も分からない。 しかも、そこまで組織を広げていたのに、ボンドがアレックと再会するまで「ヤヌス」の首領の身元が判明していなかった、というのもおかしい。 正直、そこまでの資金力(そして組織運営力)があるなら、犯罪組織から手を洗って、合法的に金儲けすれば良かったのに、と思ってしまう。「自分の民族を裏切った英国に復讐したかった」という側面もあったのかも知れないが……。 本作は、冷戦時代が終わってから初の007作品。 そんなことから、「冷戦の終了」や「世界情勢の変化」をとにかく意識させる作品になっている。 新しくMに就任した女性情報局長官は、007を「冷戦時代の遺物」と貶したり、マネーペニーが007をセクハラで訴えますよと言ったりするなど、これまで007を観ていた者からすると、違和感を抱かざるを得ない。 そんなこともあったからか、本作に続く作品では従来通りの設定に戻されていた。 「冷戦の終了」という部分をあまりにも強調している為、公開当時は適切だったのだろうが、現在観るとこれまでの007シリーズ以上に時代を感じさせてしまうのは問題といえば問題。 「冷戦時代が終わった」というのはさらっと取り上げた方が良かった。 本作では、過去の作品のオマージュからか、ゴールドフィンガーで登場したのと同じアストンマーティンDB5が登場。ゴールドフィンガー以上のアクションを見せる。 クラシックカーをそんなに乱暴に扱って大丈夫なのか、と思っていたが……。 監督による音声解説では、撮影終了後にオーナーからかなりの修理費を請求されたらしい。 映画製作者、て物をあまり大切にしないようである。大切にしていたら撮影できないのか。 もう一つのボンドカーとして、BMWが登場する。こちらは殆ど活躍せず、搭載されている秘密兵器も披露されずじまい。BMWの宣伝になりさがってしまっている。BMWは次の作品でも登場するが、007シリーズにそぐわない、商業主義が見え見え、ということで評判が悪かったらしく、それ以降はアストンマーティンの新車にバトンタッチしている。 本作で際立っているのは、マゾ女ゼニア・オナトップを演じるファムケ・ヤンセン。 信じられないほどのマゾとして描かれていた。 敵役の女性としては、最強の部類に入る。 ただ、倒され方は呆気なく、少々物足りない。 ファムケ・ヤンセンは、後にX-MENのジーン・グレイ(善玉)として大ブレークする。 X-MENを観た後に本作を観ると、びっくりするかも。 裏切り者のプログラマーとしてアラン・カミングが出演しているが、彼はX-MEN2でナイトクローラーを熱演することになる。 ブロスナンの最後の登場作となるダイ・アナザー・デイではハル・ベリーがボンドガールとして登場するが、彼女もX-MENシリーズに登場する。 007とX-MENは全く別のジャンルの映画だが、出演者は共有している。 X-MENの次回作(あれば、の話だが)にはブロスナンが出演するかも。 本作は、当時は007シリーズを大復活させた大傑作だったが、現在は数多くある007シリーズ作の1作に成り下がっている。 好きか嫌いかは、見る本人次第、ということで。 CGやデジタル処理を多用するようになったのも本作から。 本作以降、007もデジタル的な映画へと移行していく。 その集大成が、ダイ・アナザー・デイだろう。 ちなみに、本来の「ゴールデンアイ」とは、原作者イアン・フレミングが007を執筆していた別荘の名前。 別荘に一々名前を付けるのはイギリス人っぽい。 関連商品: お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.27 19:55:34
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