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非常に適当な本と映画のページ

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2015.03.04
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カテゴリ:洋画

 ロバート・A・ハインラインによるSF短編小説「輪廻の蛇(原題は「All You Zombies」で、邦題は直訳になっていない)」をベースに、映画化。
 出演はイーサン・ホーク、セーラ・スヌーク。
 製作は、オーストラリアで行われた。
 原題は「PREDESTINATION」。


粗筋

 1970年代。
 ニューヨーク市民は、「フィズルボンバー」という謎の爆弾魔によるテロ攻撃に怯えていた。
 そんな中、バーを訪れた青年ジョン(セーラ・スヌーク)は、バーテンダー(イーサン・ホーク)に対し、自身の半生について語る。
 ジョンは、ジェーンという女性として生まれた。孤児院に何者かによって捨てられ、そこで育つ。成績は優秀だった為、女性宇宙飛行士の候補となるが、ふとした事で権利を失ってしまい、雑用で生活費を稼ぐ毎日を送る羽目に。
 流れ者の男と恋に陥るが、その男はある日忽然と姿を消し、二度と会えなかった。が、その僅かな接触で子供を宿してしまい、出産。この子を育てるのが自分の新たな目標と思っていた矢先に、赤ん坊は何者かによってさらわれてしまう。
 同時に、彼女が実は両性具有者であった事を医師から伝えられる。赤ん坊を産む際、大量出血の為子宮や卵巣等が全て切除され、今後は男性として生きなければならない事を告げられる。
 男性となり、ジョンと名前を変え、今度は男性として雑用で日々の生活費を稼ぐ毎日を送る羽目になった……。
 ここまでジョンが話したところで、バーテンダーは彼に言う。もし、お前の人生を滅茶苦茶にした流れ者の男と再び会えたら、そして何をしようと罪にも問われない状況が整っていたら、どうするか、と。
 ジョンは答える。勿論躊躇無く殺すが、実際そんな事は有り得ない、と。
 バーテンダーは、その男と会わせてやろう、と言い出す。
 ジョンは、訳の分からないままバーテンダーに連れ出される。
 バーテンダーは、実は時空を行き来出来る特殊捜査官だった。フィズルボンバーを阻止する為、過去に潜入していたのだ。
 バーテンダーは、ジョンを過去に連れて行く。
 ジョンは、ジェーンだった自分が、流れ者の男と出会った瞬間に立ち会う。その流れ者の男とは……。
 自分自身だった。
 ジェーンは、男性となった将来の自分自身と恋に陥り、結ばれ、子供を宿したのだった。
 衝撃の真実を知って、困惑するジョン。バーテンダーに対し、何故こんな目に遭わせたのだ、と問う。
 バーテンダーは言う。自分は、まだフィズルボンバーを捕まえていないにも拘らず捜査官を引退しなければならず、後継者を必要としていた。その後継者として、以前から目を付けていたジョンを指名したい、と。
 ジョンは、これは自分の運命なのだと悟り、バーテンダーの跡継ぎとなり、捜査官としてフィズルボンバーを追う。
 一方、バーテンダーは、過去に赴き、病院からジェーンが産んだ赤ん坊をさらい、孤児院に届ける。この赤ん坊こそ、将来ジェーンとなる。
 要するに、ジョン/ジェーンは、父親・母親・子供が全て一人だったのだ。
 バーテンダーは、自身の使命は全て終わったと判断し、最後のタイムスリップを行う。
 そこで、静かに余生を送る予定だったが、停止する筈のタイムマシンが停止しない。おかしいと思って調べると、フィズルボンバーの居所を示すメッセージがあった。バーテンダーは、それに従って、フィズルボンバーと対面する。
 フィズルボンバーは、年老いた自分自身だった。
 フィズルボンバーがこれまでなかなか捕まらなかったのは、タイムマシンを使って時空を自由に行き来出来たからだったのだ。
 この事実は、捜査当局も全てお見通しだった。フィズルボンバーと捜査当局は、結局は同じ穴のムジナだった。
 バーテンダーは、フィズルボンバーとなった自分自身を射殺する。
 そして、バーテンダーは、捜査官となった後の自分の過去を振り返る。
 実は、バーテンダーは、捜査の過程で顔面に大怪我を負い、整形手術を受ける羽目になったジョンだった。バーテンダーは、過去の自分を、自分の後継者としてリクルートしていたのだ。
 自分は父親であり、母親であり、その間で生まれた子であり、捜査官であり、犯人だった。
 バーテンダーは、全てが自分を中心に動いていた事を悟る。
 そして、バーテンダーは、フィズルボンバーとして、新捜査官として着任した昔の自分自身が追ってくるのを、迎え撃つ事を決意する……。


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感想

 タイムパラドックス物としては、物凄く斬新なストーリー展開ではなく、オチも何となく読めてしまうが……。
 それを承知で、ここまで大胆に扱った物は、これまでなかった気がする。
 作中では、蛇が自身の尾を食いながら自分自身を消化していく、卵が先か鶏が先か、といったくだりがあったが、まさにその通り。
 
 ……ジョン/ジェーンは、自分自身と恋に陥り、自分自身を生み、赤ん坊だった自分自身を誘拐された後、子を失った母親として子供の父親である自分自身を恨み、未来からやって来た自分自身により恨んでいた男が後に男性となった自分自身だったと知り、更に自分自身によってリクルートされて爆弾魔を負う捜査官になるが、実はその爆弾魔も自分で、それを知った後に老いた自分自身を殺すが、既に精神を病んでいた自分が爆弾魔となり、その爆弾魔を負う新任捜査官としての過去の自分と対峙する事になる……。

 ……何が何だか分からない。
 にも拘わらず、きちんと完結しているのは、見事としか言いようがない。

 無論、細かく観ると、おかしいというか、理解し難い部分も。
 ジョン/ジェーンは、自分は優秀にも拘わらずろくな人生を送れていない、と考えているようだが……。
 折角のチャンスを掴む度にどうでもいいというか、常人なら避けられていたであろう失態でチャンスを不意にしていく様子は、とても優秀に映らない。異性からちょっと声をかけられただけで、これまで人との関わりを避けていた事をすっかり忘れて、素性の分からない謎の男にのめり込む場面は、その典型的な例。
 学校での成績は優秀だったのかも知れないが、取り得という取り得ははそれだけ。その一つの取り得で「自分は他より優れているんだ」という思考に陥り、他人にもそういう態度で接したら、煙たがれるのは当然。ろくな人生を送れていないのは、ある意味自業自得と言える。
 ジョン/ジェーンが、結局はそこらにいる普通の人間にしか見えなかった(両性具有者、という点を除く)。
 また、本作では両性具有者が、妊娠し、妊娠させられる、という風に描かれているが、実際にはそこまで「完璧」なのはおらず、機能的には男、女、もしくは不妊になってしまうらしい(卵巣と睾丸は、誕生前に、ホルモンの影響でいずれかになるので、双方が揃う、という事態は有り得ないとか)。
 1970年代の女性が、ボクシングさながらに殴り合いをする、というシーンも、違和感があった。キャットファイトくらいにしておけば、リアリティがあっただろうに。

 本作は、人は、いかなる状況においても、結局は運命からは逃れられない、という事を強調している感じ。
 ジョン/ジェーンは、輪廻の輪を断ち切れる場面に何度も遭遇するが、最終的にはこれまで通りに行動し、輪廻を輪を断ち切る事無く、時空の狭間で生きている。
 空しいといえば空しい。
 仮にタイムマシンが実現したら、こんな人生を歩む者が続出するのだろうか。

 舞台は、1960年代から1970年代のアメリカとなっているが、ファッション等は未来予想の雑誌に載っていたものをそのまま実現した様なのが見られ、実際の1960年代から1970年代というより、仮想現実であるかの様。もしかしたら、作品そのものがどこか別の時代、もしくは別の世界で起こっているのかも、と思わせる。

 出演者は、ほぼ全員がマイナーで、説明されない限り「誰?」といったのばかり(俳優らからすれば失礼な話だが)。
 それ故に、ストーリーや演出や演技に集中出来るようになっているのも、本作の良さと言える。

 本作は、両性具有者、という微妙なテーマを扱っているからか、R15に指定されている。
 観る限りでは、そこまで神経質にならなくても、と思ってしまう。
 R15に指定されて当然にも拘わらず指定されていない映画は、他にいくらでもある。

 本作は、ハリウッドではなく、オーストラリアで製作。
 ハリウッドの関係者が全く携わっていない、という訳ではないだろうが……。
 それでも、予算はかなり抑えられたと思われる。
 にも拘わらず、全体の完成度は、同程度の予算で製作される邦画よりずっとマシ。
 莫大な予算をかけなくても、良作は製作可能だという事を示している。
 何故日本の映画界は、こういう作品から学び取ろうとしないのか、不思議に思う。


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Last updated  2015.03.04 18:56:13
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