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非常に適当な本と映画のページ

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2023.10.26
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カテゴリ:洋画



 テレビシリーズを原作として制作されたイコライザー・シリーズ第3弾。
 主人公のマッコールはデンゼル・ワシントンが引き続き演じる。
 原題は「The Equalizer 3」。日本では「THE FINAL」となっていて、最終作である事を強調している。
 制作者側も3部作としているので、最終作と称しても間違いは無いのだろうが、興行収入によっては第4弾の制作も有り得るので、日本で勝手に「THE FINAL」としてしまうのはどうかねと思わないでもない。




粗筋

 アメリカ情報局の特殊工作員であったロバート・マッコール(デンゼル・ワシントン)は、イタリアのシチリア島を牛耳るマフィアが所有するワイナリーを襲撃する。
 目的の品を取り返したマッコールはその場を去ろうしたが、マフィアのボスの子供に油断し、銃弾を背中に受けてしまう。 重傷を負ったマッコールはイタリア南方のある田舎町で力尽き、車の中で意識を失っていたのを地元の国家憲兵に属するジオ(エウジェニオ・マストランドレア)に発見される。
 ジオは、マッコールを町で長年医者を務めてきたエンゾ(レモ・ジローネ)の元に運ぶ。
 エンゾとジオは、マッコールが被弾していた事を知るが、エンゾは「転んで負傷した」という事にし、ジオもそれを受け入れる。
 マッコールはエンゾの計らいで、町で療養する。
  一方、CIA局員のエマ・コリンズ(ダコタ・ファニング)は、マッコールからワイナリーで偶然発見した代物について通報を受ける。現場に赴くと、ワイナリーでは死体と共にテロリストに流れていると思われる薬物や資金を発見。捜査を開始する。マッコールの身元や居所も直ぐ掴み、接触。何故自分に通報したのか、と彼に問うが、マッコールは適当にはぐらかす。
 マッコールは、町の人々との交流を通し、町での生活に安らぎを感じる様になっていたが、この町も平和でない事に次第に気付いていく。
 マルコ(アンドレア・ドデロ)一味が率いるチンピラが、場所代と称して町内の店をカツアゲしていたのだ。支払いに応じない者に対し、マルコは暴力を振るって金をもぎ取っていた。
 マルコはナポリを拠点とするマフィアのボス・ビンセント(アンドレア・スカルドゥツィオ)の実弟とあって、町民は誰一人反抗出来なかった。
 マルコは、ビンセントに対し、カツアゲでは物足りないのでもっとでかい事に参加させてくれ、と願い出る。
 ビンセントは、カツアゲはただの始まりで、町ごと地上げしてリゾートとして開発するつもりだ、という計画を打ち明ける。その為にもカツアゲをしっかりやれ、と命じる。
 マルコは、カツアゲを激化。支払いに応じていなかった店を放火する等の行動に出る。
 監視カメラ映像から、ジオは放火犯らしき人物らが利用していた車両のナンバープレートについて、当局に問い合わせする。しかし、その捜査活動はマルコ側に筒抜けだった。
 マルコ一味はジオの住まいを強襲し、ジオの家族の前で暴力を振るい、次はお前の妻と子供を痛め付けるぞと脅迫する。国家憲兵のジオも、ここまでされると手も足も出なかった。
 マルコの行動を監視していたマッコールは、後日ジオに対し難題を押し付けようとしたマルコを撃退。
 正体不明のアメリカ人に恥をかかされたマルコは、直ちに戻ってマッコールをぶっ殺してやると宣言。
 が、マッコールはその行動を読んでいて、マルコ一味を容赦無く殺害する。
 弟を殺されたビンセントは、息が掛かっている警察署長に対し、弟を殺した奴の正体を掴んで来いと命じる。
 警察署長は、今は派手な行動を控えた方がいい、と忠告する。CIAの女がやって来て、ビンセントが絡んでいる薬物や資金の取引について嗅ぎ回っている、と。
 ビンセントは、その忠告を一蹴。警察署長にも暴力を振るう有様だった。
 エマは、ビンセントらによって車ごと爆殺されるところを、マッコールの電話による警告で間一髪で逃れたが、重傷を負ってしまう。
 ビンセントは、町に自ら乗り込み、弟を殺した奴を差し出さないと町民を全て殺すと脅迫。
 町民が集まる中、マッコールが姿を現し、お前の弟を殺したのは俺だと名乗り出る。
 ビンセントはその場でマッコールを殺そうとするが、町民がスマホでその場面を撮影し始める等して抵抗した為、お前を殺しに必ず戻って来る、と告げて町を一旦離れる事に。
 住まいに戻ったビンセントは、翌日にも町に戻って町ごと潰してマッコールも殺すと誓い、その夜は眠りに就く。
 が、それはマッコールの思うつぼだった。マルコの背後にいた黒幕の正体を掴み、その居所も掴めたので、マッコールはその夜の内に強襲。
 ビンセントの手下を抹殺してビンセントを孤立させた後、気を失わせる。
 目を覚ましたビンセントは、マッコールに告げられる。お前が扱っていた薬物を大量に投与してやったので、過剰摂取で間も無く死ぬ、と。
 解放されたビンセントは、街中を彷徨った後、薬物による症状で死ぬ。
 それを見届けたマッコールは、その場を去る。
 CIAとイタリア当局による合同捜査により、マフィアが中東のテロリスト集団と組んで薬物取引して資金を得ていた事実が明らかになり、多数が摘発された、というニュース報道が、テレビで流される。
 その報道を病室で見守るエマの元に、マッコールが見舞いに来る。
 エマは、マッコールが何故イタリアにまでやって来てマフィアを始末し捲ったのか、その理由を問う。
 マッコールは答える。知人がサイバー強盗で老後の資金を盗まれてしまったので、それを取り返そうと辿って行ったらワイナリーに行き着いたので、そこに乗り込んで金を回収しただけだ、と。ワイナリーを隠れ蓑にしていたマフィアが薬物取引や中東のテロリスト集団と絡んでいたのは乗り込むまで全く知らなかったし、その薬物取引にビンセントが絡んでいて、ビンセントが自分が療養していた町を地上げしようとしていたのは全くの偶然だった、と。
 エマは、知人の為にそこまでやるのか、と疑うが、マッコールはワイナリーから回収した金を病室に残して去る。
 エマは、マッコールに教えられた老夫婦の元を訪れる。その老夫婦は老後の為の資金を全て失い、家を手放さなければならないところだった。エマは、マッコールが回収した金を返すが、老夫婦はどこの誰が回収に動いてくれたのか、全く分からなかった。マッコールと老夫婦の接点は、ほんの一瞬の出来事だったのだ。
 CIA本部に戻ったエマは、イタリアでの薬物取引の摘発の功績が認められ、昇進する。同時に、マッコールからのメッセージを受け取る。お前の亡き母も喜んでくれるだろう、という内容だった。エマは、マッコールが自分の母親でCIA局員だったスーザン・プラマーの知人である事を知った。



感想

 イコライザー・シリーズ第3弾。
 第1弾、第2弾と同様、マッコールの容赦無い殺戮が描かれている。
 よって、日本ではR-15に指定されている。
 圧倒的な強さで、無敵のマッコール。本気を出すと、イタリア国家機関を牛耳るマフィアですら、一方的に倒されてしまう。

 そこまで隙が無い筈のマッコールなのに、冒頭のワイナリーの襲撃後、マフィアのボスが連れ添って来た少年に背を向けてしまい、撃たれ、重傷を負って今回の舞台となる町に辿り着き、新たな戦闘に巻き込まれていく。
 子供でも油断出来ないというか、子供だからこそ油断出来ない筈なのに、何故背を向けたのか、よく分からない。
 マッコールの事だから、ワイナリーで薬物を発見し、只事じゃないと察して、ある町が関係していると推測し、その町に潜伏し易い状況を作る為あえて銃弾を受けた、というのは考え過ぎか。

 マッコールは死体の山を築き、その殺戮の現場に警察が乗り込んで捜査を開始するが、警察の手がマッコールに及ぶ気配を見せないのは、第1弾と第2弾と同様。
 用意周到に殺すので証拠を残さない、という設定なのかも知れないが、その割にはビンセントに薬物を投与して殺した時は、意識が朦朧として街中を彷徨うビンセントの後を付け、彼が息を引き取るのを大勢の目撃者の前で確認した上でその場を立ち去っている。これはどう切り抜けたのか。「知らない人が自分の側で突然倒れただけ」と言い訳したのか。

 この手のご都合主義を一切排除して作品を制作しろ、となったら何も制作出来なくなってしまうんだろうけど。

 敵も味方も全てマッコールの思惑通りに動き、死ぬべき者は全て死に、助かるべき者は一応死なずに助かり、とりあえずハッピーエンド。
 R-15指定されているとあって、暴力の描写はかなり強烈だが、頭を空っぽにして楽しめるハリウッド的なエンターテインメント作品に仕上がっている。

 マッコールは普段は温和な性格で、一般市民の間に難無く溶け込めるが、実際は殺しのプロ。
 いざ殺すとなると相手が抵抗する間も無く、問答無用で、無表情で、効率的に殺す。
 が、それは雑魚相手の場合に限り、本当の悪に対してはじわじわと効率悪くなぶり殺しにする残虐性も持ち合わせている。
 演出の仕方によっては非常に陳腐になってしまうが、この二面性を説得力ある形で演じられるのは流石デンゼル・ワシントン、といったところ。

 本作を観ると、イタリアはマフィアが牛耳る危険な国家、という印象を受けてしまうが、実際はどうなのかね、と思う。
 確かに、マフィアのルーツとなる地かも知れないし、マフィアが現在も暗躍しているのかも知れないが、作中の様に表立って悪事を働けるのか。
 流石に今は摘発されていると思うが。
 
 本作で、イコライザー・シリーズは完結との事だが、シリーズ作はどれも評価が高く、興行的にも成功しているので、要望があれば続編が制作されそう。
 デンゼル・ワシントンも、一応その意欲はあるとの事だし。
 一方、もし続編が制作されるとなったら、本作の続きではなく、前日譚になる可能性もあるという。デンゼル・ワシントンより若い俳優を起用し、マッコールの工作員時代を描くものを構想しているとか。
 それだと全く違うものになってしまうので、それはどうかねと思う。

 本シリーズは、アメリカではそれなりの扱いを受けているが、日本では全く取り上げられていない。
 デンゼル・ワシントンも来日してプロモーションする等はしていない。
 本作に於いては、公開を偶然知り、急遽劇場に足を運んだ。
 邦画も洋画も結構しょうもないものは執拗に推してくるのに、何故本シリーズがここまで冷遇されているのか分からない。


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Last updated  2023.12.04 22:15:01
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