一般のかたに説明に苦渋する疾患の代表。患者さんが、どこまで目についての知識があるかによっておおきな誤解を生みやすいのでわかりやすい説明が肝要。
大学病院で、ぶどう膜炎の専門外来を担当していたころは、サルコイドーシスに伴うぶどう膜炎や原田病、ヘルペスなどのウイルスが原因であることが多かったが、調べてもよくわからない、つまり分類上、原因不明のぶどう膜炎とされ、経過観察されていた症例もかなりあった。この、原因不明というのが扱いに困るのである。大学病院の先生が原因不明と診断すれば患者さんも納得する。しかし、開業医が原因不明といっても、十分な検査をしてないからと捉えられかねないし、きちんと検査していないと誤解されがち。ましてや、採血や全身検査などをさんざん行ったあげく、原因不明ですと言われて納得していただくのは難しい。
したがって、自身のクリニックでは、保険の範囲内に収まるようにぶどう膜炎の採血をあらかじめセットで組んでおくことにして、患者さんには、必要以上の医療費の負担をかけないように配慮することとし、原因が究明できなかったとしても、治療は対症療法が中心で、原因の除去は困難だということを時間をかけて理解していただくこととする。
もちろん、小児の場合や、治療に抵抗する難治性のぶどう膜炎の場合は、大学病院等の専門家に紹介することをためらわないようにしたい。でも、いちど治療を開始されたぶどう膜炎の場合は、炎症がさまざまな薬によって修飾されてしまい、原因の特定をますます困難にするので、こじれないうち早めに専門家へということも念頭に置くこととしたい。
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最終更新日
2016.06.14 21:10:50
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