「The Great Stone Face って本当にあったんだ」という話
こんばんは、星見当番です。今夜は珍しく、定例の新月満月予報以外のお話。現在の当番、個人プロジェクトとしてDr. Marc Edmund Jones の The Sabian Symbols in Astrology の対訳ノートを作っています。サビアンシンボルの解説本です。2014年に360個のシンボル解説の部分だけ全訳したのですが(テントでも記録していますね、この記事で)、今回は目指せ最初の1ページから最後の1ページまで完訳です。最初の何十ページかは占星術の基礎解説なので、正直なところ、読むのがまだるっこしいです…でもどこにどんな未知が隠れているかもしれないから、知っているつもりのことが書いてあっても一字一句飛ばさず読むと自分に約束したので。途中で新刊本に浮気しながら、あくびこらえて読んでおります。疲れている時はすごくよく効く睡眠導入剤です、ジョーンズ本の前半。不眠の気がある占星術クラスタの夜のお供にお薦めです。さて本題。本日、当番の眠気を吹っ飛ばしたジョーンズ本の一節をご紹介いたします。第五章 Planets and Character Traits より、ジョーンズと共にサビアンシンボルの透視実験を行ったクレアヴォヤント、エルシー・ウィーラー(Elsie Wheeler)の月のシンボルについて(青文字部分が引用、日本語は当番訳)。Miss Wheeler's moon is in Pisces 30, and the symbol is the Great Stone Face or the natural formation on Profile Mountain in New Hampshire dramatized in the well-known story by Nathaniel Hawthorne.「ミス・ウィーラーの月は魚座30度にあり、シンボルはザ・グレート・ストーン・フェイス、またはナサニエル・ホーソーンの有名な物語に描かれたニューハンプシャー州プロファイル・マウンテンにある自然の構造物である」 えっ。The Great Stone Faceというサビアンシンボルがホーソーンの同名短篇小説そのまんまだというのは知っていたけれど、あの小説に出てくる人面岩って実在したの?ニューハンプシャー州の山?プロファイル・マウンテン(直訳すると横顔山)?慌てて「the great stone face new hampshire」や「profile mountain new hampshire」で検索したところ。実在でした。Profile Mountainというのは旧名で、現在はCannon Mountainと呼ばれているそう。そしてThe Great Stone Faceとか、The Old Man of the Mountainとか呼ばれる岩の集まりは、確かにそこにある実在の自然構造物です…というか、でした。というのは、風化によって2003年5月3日に崩落してしまったそうなのです。ソースがWikipediaで申し訳ないのですが、The Old Man of the Mountain の記事から冒頭を引用しておきます。The Old Man of the Mountain, also known as the Great Stone Face or the Profile, was a series of five granite cliff ledges on Cannon Mountain in the White Mountains of New Hampshire, United States, that appeared to be the jagged profile of a face when viewed from the north. The rock formation was 1,200 feet (370 m) above Profile Lake, and measured 40 feet (12 m) tall and 25 feet (7.6 m) wide. The site is located in the town of Franconia.The first recorded mention of the Old Man was in 1805. It collapsed on May 3, 2003.「山の老人、大きな石の顔または横顔として知られているものはアメリカ合衆国ニューハンプシャー州ホワイト山地のキャノン山にあった五つの花崗岩の岩棚の集まりで、北の方から眺めるとギザギザした横顔に見えるものである。その岩の集まりはプロファイル湖の上1,200フィート(370メートル)にあり、寸法は高さ40フィート(12メートル)で幅25フィート(7.6メートル)であった。場所はフランコニアの町にある。その老人の、記録にある最初の言及は1805年である。2003年5月3日に崩落した。(引用終わり。下線は当番)ありし日のThe Great Stone Faceの写真や絵を見ると、なるほど立派な横顔でした。ナサニエル・ホーソーンの同名小説にあるように、純真な少年が人生の師として仰いでも不思議はないような、老師と呼ぶに似つかわしい渋いイケメンな岩です(でした)。小説に描写されたとおりに額が秀でていて、鼻が高く唇は厚く、りっぱな顎をしていて髭らしきものも見えます。ニューハンプシャー州では記念切手や記念コインの絵柄としても使われるほど有名な岩らしいです。ナサニエル・ホーソーンのThe Great Stone Faceが発表されたのは1850年、ジョーンズとフィーラーがサビアンシンボル透視実験を行ったのは1925年。1920年代にはもう凍結と浸食によってかなりヒビが進行していて、地元当局が鎖で縛りつけて崩落を防いでいた、と上記Wikipediaにありました。2003年5月3日にとうとう崩落してしまったときには、それを惜しむ地元の人々が落っこちた岩に花をお供えしたのだとか。いや、びっくりした。アメリカ合衆国ニューハンプシャー州に住んでいるひとには当たり前の事実かもしれないけれど、情報源がサビアンシンボルの本とホーソーンの小説しかない当番には、「巨大な石の顔」は100パーセントフィクション、小説の中にだけある「いかにもありそうだけど、どこにも実在はしない岩」でした。それが実在するとは。当番にとっては「すごいぞ、ラピュタは本当にあったんだ」というくらいの驚きです。サビアンシンボル聖地巡礼ツアーをするとしたら立ち寄ってみたい場所リストに入れておこう。ついでにテントを読んでくださっているかもしれない魚座数え30度「巨大な石の顔」に天体を持つひとに、情報お裾分け。グレート・ストーン・フェイス情報こぼれ種その1検索中に見つけたのですがThe Great Stone Face Book Awardというものがあるそうです。毎年Great Stone Face委員会があらかじめ選出した25冊の近刊書籍から、ニューハンプシャー州の小学4年生から6年生のこどもたちが投票で選んだ1冊の著者に賞を贈るという企画。企画の目的は読書の楽しみを促進すること・現代の著述への認知を高めること・こどもたちに好きな著者をたたえる機会を与えること。楽しそうだし、賞の名前からして「本がこどもたちにとっての朝晩に振り仰ぐ人生の師になる」という感じがして素敵。グレート・ストーン・フェイス情報こぼれ種その2ナサニエル・ホーソーンの短篇 The Great Stone Face を日本語訳で読みたいひとへ。J.L.ボルヘス編纂、国書刊行会発行の「新編バベルの図書館 1 アメリカ編」に「人面の大岩」という邦題で収録されています。当番は図書館で借りました。