この給料袋、23年後に父が他界した時、変色して金庫から出てきました。 そのまま、ずっと取っておいてくれたのでした。無期懲役囚・美達大和
そうして初めての給料日がやってきたのです。拙著の『夢の国』にあるように、8万円弱でした。常務から現金の入った給料袋をもらった時、やはり嬉しいものでした。「オヤジさんに少しくらいこづかいやれよ」みたく言われたので、もちろんですと答え、翌朝、早起きをして父に報告したのです。1ヵ月、1日も休まず働いて8万円弱ときき、父は鼻でふんと笑ってました。私が給料袋ごと全部やると渡したところ、遠慮してましたが、無理に受け取ってもらったのです。この給料袋、23年後に父が他界した時、変色して金庫から出てきました。そのまま、ずっと取っておいてくれたのでした。こんなものか、という父に「今にドーンとやるからな」と言いましたが、その約束は、その後なんとか果たせたようです。