なりゆき散策日記

李香蘭私の半生 
先日　一人で　劇団四季の李香蘭をみてきました。　娘を誘えば　ドラマで上戸彩ちゃんの放映されたのをみたし　戦争物はイヤと拒絶する。でも、事実だから　しっかり認識しないといけないことだと思うのだけど。当時の記憶がうすれて　関係者が　他界されたらますます遠い過去となってしまいます。

　日本人として生まれた　山口淑子ちゃん。親が　中国語を教えていた縁で　親しい中国人夫婦から中国名を貰う。その名前が李香蘭。決して養子などの正式なものではない。当時は　親しい家族同士こんな関係があったようだ。物語は　もう少し年上の男装の麗人として有名な川島芳子さんの時代説明を歌にあわせて　すすめていく。この事件があったとき　香蘭は　何歳というような。歌もうまくて　中国語も堪能だったことから　少しずつ軍部に利用される芸能の道にすすんでいってしまう。

　やはり内容は　わかっているものの戦争は　イヤですね。そもそも日本は戦局が悪いのに国民に発表もせず　満州でもまず軍人から撤退したというから　残留孤児などの問題も発生したのではないですか。私は　政府をこんな歴史のいきさつから信じていません。いくら６３年も前のことでも。李香蘭は　軍部に利用されて　波乱の人生を送る。裁判にかけられ　漢肝罪が摘要されるかどうかというときに　日本人の戸籍が提出されて　難をまぬがれる。

　夫の父は　もと陸軍の軍人で他界していますが　夫の母も親が軍人だったので　どうも「日本人はエライ、素晴らしい国民だ、アジアで優れている系統」などと今でもいうので　ここだけは　７０年以上前のむかしの昭和の戦前にもどってしまいます。いまだに日本の敗北や日本の孤立を認めたくないようです。現状の認識ができない、受け入れられない年代のようです。夫の父は　そのあと自衛隊の教官にすすんだようです。士官学校から　軍事教育まっしぐら。他に仕事を軍人はこなせない、典型的な例？これもある意味うけいれられない悲劇なのかもしれません。

　私なんて「人を殺して　勲章を貰うなんて戦争中だけ。普通の生活で殺人をすれば　死刑になるかというのに」という冷たい意見なので　夫の親族とは　この分野では　意見は対立していますね。

　戦時中の苦労も　お国のためと平気だったように想像できます。軍人は　きっと一般人よりも優遇されていたのでしょうね。

　私の実家の方には　出征した人も身近になく　満州にわたった人も聞いたことがありません。東京にいるとまずいと父は親子で　祖母の実家がある千葉に疎開したのが　戦局の悪化していた昭和十年代後半。あのまま東京の下町にいたら　まちがいなく東京大空襲で絶命したでしょう。本籍は　本所となっていました。現在の墨田区のあたりでしょうか？戦前の浅草の思い出話もよく祖母はしてくれました。そうそう祖母は　中国人に対して　日本人が親や兄弟を殺してうらんでもいいのに　取り残された残留孤児を　わけへだてなく育てたことは　真似できないと何度もいっていました。大地の子など興味のある方は　お読みください。

　国内で移動できればそれでよかったですが、他国に開拓で　いきませんかと進めたあとって　結構　不幸な話をききませんか？ブラジルにわたった　ハルとナツのはなしや、北朝鮮や満州にいった方の話。赤い月。いくら国土が狭くても国内にのこった方がいいということなのか　単なる政府の人口減らしの対策なのか　思いつきにしか見えない政策で　一貫性と継続性が感じられません。これも私が政府を信用しない理由。今は　年金問題で　やはり政府はと信用の失墜に拍車をかけていますよ。きちんとしている公務員の方もいるけど　政府は　議員でも税金泥棒のような方もいるしね～働かないなら　歳費をお返しすればと思うけど。

　これからの時代を生きる年代には　つらい事実だけど　軍事国家としてのどんな悲劇があり　代償をはらったのか　日本人として　伝えていかなければいけない話だと思います。同じ過ちを繰り返さないために。

　傀儡国家として　溥儀を満州国の代表にして　そのいとこの川島芳子、溥儀の弟の博傑。この三人の運命を思うと　川島芳子は　銃殺刑になったのが　なんとも時代に翻弄されたように思えて残念です。日本人の養女となり日本で教育をうけ川島姓をなのっていたのに。きちんと帰化していなかった、漢肝として処罰されたけど　日本人として認められていれば　どのようなその後の人生を歩んだのか　興味もあります。

　今回の客席は　通常の劇団四季の観劇層よりも年齢の高い方が　多かった。当時を思い出して涙している方も。偶然でしたが　上演回数800回ということで　特別カーテンコールがありました。そういえば年輩の劇団四季の名札をしたスーツ姿の方が　ロビーに休憩のときもいて　いつもと雰囲気が違うと思っていました。どなたかが観劇にお見えになっているのかもと思っていました。今回の初日も　山口淑子さんが　観劇されたそうです。
　どんぐり（息子のこと）あたりだと｢殺せ、殺せ！裏切り者を！｣で　始まるミュージカルは　まだ理解もできないし　歴史を勉強してからの方が　すんなりと理解できるかもしれません。今回　劇団四季創立55周年として　昭和三部作として上演されますが　また節目の年に上演してほしいと希望します。

　昭和時代の三部作として　李香蘭、異国の丘、南十字星と三作品があります。異国の丘は　初演のときに　石丸さんの公演をみたので　今度は　まだ見ていない南十字星を見たいです。李香蘭は　まだチケットに余裕があるようですので　昭和を感じたい方は　一度足を運んでみるのは　いかがでしょうか？