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照千一隅(保守の精神)

照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2024.01.23
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テーマ:大東亜戦争(216)
カテゴリ:思想・哲学

《帝国主義時代に、文明国が弱小国の内政に干渉するのは珍しくなく、日本の場合は明治維新の経験を朝鮮に教えてやるという正義感もありました。

 しかし『塞塞録』は冷静です。「日本の朝野の議論は、日本は義侠国として隣邦の改革を授けるべきだと言う。自分は初めから、朝鮮のような国が満足な改革ができるかどうか疑っていた。しかし、日本の世論が一致してこれを支持したことは好都合と認め、これを事態を一挙に急展開させる手段にしようとした」》(岡崎久彦『百年の遺産』(海竜社)、pp. 81f

 少し長くなるが、『蹇蹇録(けんけんろく)』を確認しておこう。

抑々(そもそも)我國の獨力を以て朝鮮内政の改革を擔任すべしとの議の世間に表白せらるゝや我國の朝野の議論實に翕然(きゅうぜん)一致し其言う所を聽くに槪(おおむ)ね朝鮮は我鄰邦なり我國は多少の艱難(かんなん)に際會するも鄰邦の友誼に對し之を扶助するは義侠國たる帝國として之を避くべからずと云わざるなく其後兩國已に交戰に及びし時に及んでは我國は强を抑え弱を扶け仁義の師を起こすものなりと云い殆ど成敗の數を度外視し此一種の外交問題を以て宛(あたか)も政治的必要よりも寧(むし)ろ道義的必要より出でたるものゝ如き見解を下したり(陸奥宗光『蹇蹇録』(岩波文庫)第5章 朝鮮の改革と清韓宗との問題に関する概説:朝鮮内政改革問題に対し我国朝野の議論、p. 45

(そもそも我国が独力で朝鮮の内政改革を担当すべきだとの意見が世間に表れると、我国の世論は1つとなり、その話を聞けば、概(おおむ)ね「朝鮮は隣国である。我国は、多少困難があっても朝鮮との友好を助ける義侠国の国家としてこれを避けるべきではない」と言う。その後、両国がすでに交戦に至った時は、「我国は、強きを抑え弱きを扶(たす)ける仁義の戦(いくさ)を起すものだ」と言って、ほとんど成功と失敗の計算を度外視し、この一種の外交問題をあたかも政治的必要よりも、むしろ道義的必要から来るかのような判断を下したのである)

 <道義>というものが形作られるためには、長い時間の積み重ねが必要である。このことは、国内だけにとどまらず、他国と共通の道義的観念が形作られるためには、長い政治的、経済的、文化的交流が欠かせない。その意味で、日本と朝鮮で共通しない<道義>などという一方的な価値観を朝鮮問題に持ちこんだのは、明らかな誤りだったと思われる。義侠心から朝鮮を助けたなど言ったところで、相手はその真意が分からないのだから、日本の独り相撲というより他はない。






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Last updated  2024.01.23 20:00:10
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