カテゴリ:絵画関連
かなり以前に、フェルメール作品の天才贋作師ファン・メ―ヘレンのことは書いたことがある。
今度も同じ贋作師のことですがメ―ヘレンではありません。 一年ほど前に放送されたドキュメンタリー番組『贋作師ベルトラッチ~超一級のニセモノ』というのが再放送されていた。 天才贋作師・ウォルフガング・ベルトラッチという私が初めて知るところの人にまつわるドキュメンタリーである。 この人には有罪判決が下って、数日後には服役するという時点での取材のようだった。 この実録では、彼は圧倒的な絵画技術によって、素人の美術品コレクターは当然のこと、プロの美術鑑定士から一流のオークショニストまで、美術業界のプロたちをことごとく出し抜きそして鮮やかに欺いた、ある意味痛快な実話物語なのである。 この番組が言うには、被害総額45億円以上で2000点に及ぶ有名画家の贋作を販売した世紀の贋作画家本人が創作の裏側を公開する内容になっている。 贋作を創る対象となる画家は、マックス・エルンストやフェルナン・レジェなど20世紀のアーティストが中心。 美術史、絵画の理論、技術のすべてに造詣が深く、かれの贋作のねらい目は、既にある作品の模写をする贋作ではなく、その対象となる画家が描いたであろう作品を作るのです。つまり未発見の作品が新たに見つかったというシチュエーションでオリジナル作品を発表するのです。 したがってその新たなオリジナル作品では、対象画家の活躍した時代の画材を使わなくてはならない。そんな画材(カンバスや絵の具や溶き油など)を探すところから、その画材を使ってアトリエで仕上げるまでを再現するのです。 因みに現在でも、美術館に展示されている巨匠たちの作品とされるもので、彼ベルトラッチの手になるものが何点もあるという。 完成作品に対象画家の名前をサインした時点で、その作品は贋作となるのです。その作品に “ベルトラッチ” とサインすれば、それは贋作ではないということです。 番組はそんな状況の中で、美術作品の価値とはいったい何なのか、を問いかけているのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2017.09.13 03:50:04
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