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2005年03月24日
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今回は劇団四季の企業価値についてです。最初に定量的な分析としてバリュエーションを行い、次に定性的な分析としてビジネスフランチャイズの強さについて議論します。

1.バリュエーション
バリュエーションは定率成長モデルによる「収益バリュー」とします。(この場合、「資産バリュー」は殆ど意味がないので。)

(1)定率成長モデルを使用
V=E(1)÷(R-G)
ただし、E(1):予想フリーキャッシュフロー、R:要求リターン、G:利益成長率

(2)Gの推定
G=10%

*算出根拠
四季株式会社の1999年から2003年までの平均売上高成長率の年率換算値は7.4%。これに、ビジネスフランチャイズの強さを考慮、利益成長率はこれよりも若干高いと仮定。

(3)E(1)の推定
E(1)=当期純利益+減価償却費
=2,667,690千円+196,794千円=2,864,484千円

*算出根拠
・当期純利益:2,667,690千円(要約貸借対照表の「利益剰余金」から)
・減価償却累計額:3,963,938千円(要約貸借対照表の「注記」から)
・2004年度の推定減価償却費:223,809千円
(四季株式会社の事業の法人化は1967年。法人化以降の減価償却累計額3,963,938千円に対して、1967年~2004年における平均インフレ率を5%と仮定した場合の均等償却額)

(4)要求投資リターンを変化させたときの収益バリューの推定値
・R=15%の場合:
V=2891499÷(0.15-0.08)=57,829,972千円
・R=20%の場合:
V=2891499÷(0.2-0.08)=28,914,986千円

コメント:
以上の定量分析からは、四季株式会社の妥当価値は289億円~578億円と算出されました。ただし、要求投資リターンを15%~20%と相当高めに設定したので、ビジネスフランチャイズの強さがもたらすキャッシュフローの安定性を勘案するとそれ以上で買ってもお買い得かもしれません。

なお、貸借対照表上にある株主資本簿価が120億円ですので、差額の169億円~478億円は「劇団四季のブランド力」となります。


2.ビジネスフランチャイズの強さ
劇団四季と同じ土俵で劇団ビジネスはなかなかできないと思います。参入障壁についてはいくつか考えられるかと思いますが、私が気付いたのは以下の4点です。

(1)リピーターを惹きつける力
実際に行ってみて分かったのですが、ミュージカルには行ってみないと体験できない「臨場感」があります。それがリピーターを惹き付けているのだと思います。もちろん、有能なスタッフを多数取り込んだ劇団四季の演出力の素晴らしさもリピーターを惹きつける力だと思います。

(2)安売りしない戦略
映画と決定的に違うのは、「安売りをしていないこと」だと思います。公演の内容をビデオやDVDとして販売していないのは正解だと思います。「ビデオで見たから別に行かなくてもいいや」という消費者も少なからず現われる可能性があるからです。

「ビデオやDVDを販売することで潜在的リピーターが少なくなる可能性」を排除することで強固なビジネスフランチャイズを維持している部分はあるかと思います。また、S席のチケットが11500円することから、決して安くはありません。「安売りはしない」ということが逆に価値を高めているのではないかとも思います。

(3)有能なキャストを確保する力
通常、演劇だけでメシが食えるというのは非常に稀な話で、たいていの人は生活のためにアルバイトをしています。私が学生時代にしていたアルバイト先にも、そうした「演劇族」がいました。その演劇をやっている知人は「劇団四季ならメシが食える。というか、専業だと劇団四季でしかメシが食えない。」といっていました。

専業としてやっていけるだけの給料を支払えるというのは非常に魅力的です。また、プロからの歌やダンスのレッスンを受けられるという体制が整っています。これだけの条件がそろっている劇団は他になく、オーディションで最高レベルの有能なキャストを常に確保できるという強みがあります。

(4)他のジャンルとの棲み分け
独自の演出力ゆえに、他のジャンルと棲み分けが出来ているというのも強みです。例えば、もう一つの有名な劇団である「宝塚」などとは明らかにファン層が違いますし、競合してパイの取り合いになるということは起こりえません。「宝塚が進出してきたので劇団四季の収益が落ちた」とはならないでしょう。さらに、「宝塚も劇団四季も見る」という消費者は当然います。そういう意味では「競合他社のいない企業」といえます。


やはり、ここぞというときに「チケットの値段を上げることが出来る」のが絶対的な強みだと思います。11500円は決して安くないですが、15000円でも多分満席になると思います。映画館のように安くしないと満席にならないようなビジネスとは、ビジネスフランチャイズの強さが決定的に違うと思います。公演回数やリピーターの数が頭打ちになれば、戦略的に値上げすることで増収増益を維持できます。

そういうわけで、劇団四季の企業価値は、定量分析をベースと289億円~578億円(要求リターン15%~20%の場合)であり、ビジネスフランチャイズの強さからくるキャッシュフローの安定性を考慮すると1000億円程度はあってもおかしくないのではと判断できます。

結論としては、「300億円で買収できればラッキー、500億円でも十分に割安、1000億円でも買っても良いかも」といったところでしょうか?

ちなみに、買収価格とPBRは以下のとおりです。

300億円:PBR2.5倍
500億円:PBR4.17倍
1000億円:PBR8.33倍

いつもは「資産バリュー株」ばかり漁っていて「PBR0.5倍くらいじゃないとね!」と言っている私ですが、これくらいの「独占力」があればPBR5倍でも全然良いですね。まあ、そんなに都合のいい企業がそうそうあるとは思えないのですが。

今日の言葉:
「素晴らしき企業には高すぎないプレミアムを!ゴミ企業は処分特価で!」

P.S.
ゴミ企業を処分特価で買うのも結構いいリターンになるので、単純なリターンの議論だけだとどちらを選ぶかは微妙です。

でも、「劇団四季」だったら永久保有を目指したいですね。バフェットの「コカ・コーラ」みたいに。(まあ、そこまで強いとは思わないですが。)





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最終更新日  2005年03月24日 20時38分48秒
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