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私はバリュー投資を始めて約2年半になります。
私の実際の投資スタンスですが、この2年半の間において市場動向の変化に応じて「割安度に関する基準」や「資本政策に対する考え方(銘柄分散の度合いやレバレッジの賭け方など)」については試行錯誤しながらいろいろ変えてきましたが、殆ど変えなかった基準があります。それが「財務の健全性に関する基準」です。 バリュー投資はごく稀なスペシャル・シチュエーションを除くと、「健全に事業を営んでいる企業を本源的価値よりも割安な価格で買う」というのが基本です。それでは、バリュー銘柄をスクリーニングで抽出する際に、「財務の健全性か割安度のどちらを優先させたほうが効率的であるか?」を考えたいと思います。 殆どの人は、「割安度に関する基準」を優先してスクリーニングを実施することが多いと思います。すなわち、「PERが低い銘柄」とか「PBRが低い銘柄」などで先にスクリーニングを行って、その後で財務を見るというものです。このような「株価をベースとしたスクリーニング」を優先してやるのは実は非常に効率が悪いのではないかと最近強く思うようになりました。 もちろん、最終的には「その銘柄は割安であるかどうか?」は非常に重要で、これが投資リターンに大きな影響を与えるのは間違いありません。したがって、実際の投資判断の際にはそれを考慮するのはもちろんです。 ここでは、「株価をベースとしたスクリーニング」を優先して行うのは実は効率が悪いという理由を述べたいと思います。 最初の問題点は、株価は財務データに比べて変動が大きいです。したがって、市場動向によって抽出される銘柄がかなり変わる可能性があります。たとえば、「PER10倍以下」という基準などがそうですが、「1ヶ月前にはPER10倍を基準として割安(割高)だったが、今はそうでない」というのは極めてよくある話です。 したがって、「株価をベースとしたスクリーニング」というのは「賞味期限が短い」ものであると言えます。そうした市場動向によって大きく変わるスクリーニング基準で銘柄抽出した後に財務分析を行うというのは、同じ財務分析の作業を何度もやることになりかねないという意味で、「無駄な作業」が多く発生する可能性があります。 もう一つの問題点ですが、企業のファンダメンタルを把握しないまま、株価を中心に銘柄探しをしているという点です。 例えば、「PER10倍以下」という条件でスクリーニングを実施して良さそうな銘柄がなかったとします。そうなると、多くの人が次に行うのは、恐らく「PER12倍以下」という形で基準を緩めることだと思います。「実はそれが良くない」と私は思っています。 バリュー投資において最初に突き止めるべき点は「健全に事業を営んでいる企業かどうか」という点と「その企業の本源的価値はどの程度か」という点であり、「今の株価はいくらか」というのは最後だと思います。 株価をベースとしたスクリーニングは「最初に突き止めるべき重要な点を把握することなく、ただ単に株価を基準に銘柄抽出をしているだけ」と言えます。こうなると、「割安な銘柄を探しているはずが、いつの間にか株価に振り回されていた」ということになりかねません。 「それではどうすれば良いか?」ということになるかと思いますが、「財務の健全性」を優先してスクリーニングを実施することをおススメします。「財務データをベースとしたスクリーニング結果」は「株価をベースとしたスクリーニング結果」に比べて安定的ですから、「投資するに値しない銘柄を最初から除外することができる」という点で効率が良いと思います。 そして、「財務が健全な企業のリスト」なるものを作成し、「最初はこのリストに載っている銘柄から調査する」という手続きを踏むことができます。 次に、作成したリストに載っている銘柄について本源的価値を自分なりにはじき出します。あとは、「YAHOOファイナンス」などに銘柄を登録しておいて、株価が本源的価値よりも大きく下回っている銘柄について、実際に買うかどうかを検討すれば良いのです。 そして、この方法のメリットは、「今の株価ではちょっと割高で手が出せない銘柄でもウオッチしておくことが可能だ」ということです。自分がターゲットとする株価まで落ちてきたときに買いを検討することができるのです。 私が使用している「財務の健全性に関するスクリーニング条件」については、次の日記で示したいと思いますが、財務の健全性に関しては、CD-ROM版の四季報でかなりのことが分かると思っています。 実際に、私もバリュー投資を始めてから「財務の健全性」に関してはそれほど基準を変えていませんので、そういう意味では「賞味期限が長いスクリーニング基準」だと言えますので、それなりに参考になるのではないかと思います。 今日の言葉: 「勉強にしても仕事にしても、やり方を間違えると、手間だけがかかりその割には成果が出ないということはままある。重要なのはどのくらい作業をしたかではなく、どのくらい効率的に結果を出すかである。」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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