今回は悪い大人。
　　って、悪い大人はいったい誰なのさ？
　　とお思いの方、それはわたしです。

　　でもはっきり言いますが、これは濡れ衣です。

　　事の発端は、一番下の姪っ子の家に、用事があって出かけたとき
　　のことです。まあ、妻の妹の家ですが。
　　これは春休みを利用して、子供たちをどこかに連れて行くか、と
　　いうことになり、その下打ち合わせのために行ったのです。

　　さて一番下の姪っ子、５歳ですが、よくわたしの所にまとわり付
　　いてきます。わたしもよく転がしたり、持ち上げたりとかして
　　構っているのですが、その日は、姪っ子の遊び友達の隣の女の子
　　もいました。

　　顔だけは、何回も見て知っているのですが、やはり知らないよそ
　　の家の子なので、構ったりとかはしていませんでした。
　　やはり知らないおじさんですから。

　　でもここ最近、わたしに話しかけてくるようになっていたのです。
　　姪っ子とは話すもんですから、自然とその会話に入ってくる、
　　という形でしょうか。

　　でその打ち合わせをしているとき、姪っ子がわたしの肩に乗った
　　りとかして、じゃれついてきます。
　　そしたらその隣の子も、真似してわたしの上に乗っかってきます。

　　かなり大胆で、乗っかると言うよりは、駆け上ってくる感じです
　　ね。かなりの勢いなのですが、姪っ子と同い年でも、体が小さい
　　ので何ということは無かったのです。

　　その子が、今度はわたしの後ろに回って、わたしの両手をつかん
　　だかと思うと、そのままわたしの手を支点にして、後ろ周りをし
　　たのです。

　　これがなかなか楽しかったらしく、姪っ子と一緒になって、変わ
　　りばんこに、わたしの手を使って後ろ周りをしてきます。
　　ちょっと大変です。どちらかと言うと後ろにのけぞる形なので、
　　ややもやすると、バランスを崩しそうになります。

　　姪っ子の場合は、わたしの両手をつかんで、ちょっと勢いをつけ
　　る感じで間があるので、それに合わせてわたしも腕を上方向に力
　　を入れます。

　　ところがその隣の女の子、わたしの手をつかんだかと思うと、
　　ほとんど間を空けずに後転するのです。これは、ちょっと大変。
　　飛び上がった瞬間に合わせて、力を入れます。

　　ところが何回目でしょうか、ちょっと体重が後ろにずれていて、
　　バランスが悪いときに、その子がわたしの手をつかんで、後ろ周
　　りをしたのです。

　　わたしは後ろに倒れないように、踏みとどまるのが精一杯で、腕
　　に力が入れられなかったのです。
　　わたしの腕の長さと、その子の腕の長さで回転するのですが、
　　わたしが腕に力を入れていなかったせいか、回った拍子に、その
　　子の頭が、床のカーペットにゴンと当ったのです。

　　たいして大きな音がした訳ではなかったので、大丈夫と聞いたら、
　　見る見るうちに、大声で泣き出してしまいました。
　　まあ、義理の妹に言わせると、いつもちょっとした事で泣くそう
　　なので、心配は無いとのこと。

　　でもその後が大変です。
　　義理の妹のだんなが、まあ義理の弟になるのかな？
　　手を離して、なんて悪いやつなんだと言うのです。
　　まあ、たぶん半分冗談で言っているのでしょうが、これを聞いた
　　姪っ子が、わたしの所に来て、わたしの顔を睨みつけます。

　　ほっぺたを膨らまして、腕組みをして、くちびるを尖らして。
　　こうして、わたしは悪役となってしまいまいた。

　　しかし、その女の子、そのとき初めてじゃれ付いてきたのですが、
　　もうしつこいくらいに、どこに行っても、座っていても、立って
　　いてもまとわり付いてきました。

　　う～ん、こうして考えると、踏んだり蹴ったりです。
　　しかも、義理の弟はいまだに言ってきます。

　　義理の弟は、酒が好きで、よく飲んじゃあ、大口あけて、よだれ
　　をたらしながら、いびきをかいて寝ています。
　　今度そのときに、ラー油をたらしてやろうかと思います。



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