カテゴリ:新録かきおろし
東海洋士(とうかい・ひろし)1954~2002
兵庫県姫路市出身。 本名、東海浩。 1篇の作家論と、 1篇のSF短篇小説と、 1本の映画シナリオ(共作)と、 いくつかの放送台本と、 1冊の書下ろし長篇小説だけを遺して世を去った、 幻の作家。 * 【書誌】(随時調査中) 1976.07「別冊新評 筒井康隆の世界」 上智大学在学中に、本誌で筒井論を執筆。 これが商業誌デビュー作。 1979.03「奇想天外」 新井素子を生んだ、1978年の第1回【奇想天外新人賞】で、 最終候補作に残った『遠雷』が、 この号で『雷鳴の中に……』と改題されて掲載。 小説での商業誌デビュー。未見。 1981.06「シナリオ」 大学卒業後、東海洋士は映画製作を夢見て松竹に入社。 そこで、田中康夫のベストセラー『なんとなく、クリスタル』を原作とした 映画『なんとなく、クリスタル』(1981年5月公開)の製作に 松竹の社員として関わることになる。 この号の「シナリオ」誌には、 脚本家・田中晶子、 同映画の監督である松原信吾、 そして東海洋士の3者共作による 『なんとなく、クリスタル』のシナリオが掲載されている。 また、田中、松原、東海の3名が参加した 座談会『「なんとなく、クリスタル」の迷宮』も併載。 (その後、松竹を退社してから 主に関西方面で放送作家として活動していた時期の 東海洋士の仕事については、ほとんど不明。) 2001.03 東海洋士:著『刻Y卵』講談社ノベルス 書下ろし長篇小説。 巻末には、高校時代からの友人であるという 竹本健治の詳細な解説がある。 (なお、『刻Y卵』(こくあらん)の『Y』の字は、 本当は、こういう形の漢字なのですが、 ネット上では正しく表記できないため、 似た形のアルファベット「Y」で代用しております) * 【参考資料】(随時調査中) 1978.02「奇想天外」 第1回【奇想天外新人賞】発表の号。 選考委員の星新一、小松左京、筒井康隆による選考座談会が掲載。 最終候補作のひとつだった 東海洋士『遠雷』についても触れられている。未見。 1981.05 式貴士:著『ヘッド・ワイフ』CBSソニー出版 1985.11 式貴士:著『ヘッド・ワイフ』角川文庫 式貴士の著書では、 常に巻末の「長いあとがき」が名物であったが、 第5短篇集である本書『ヘッド・ワイフ』の「あとがき」では、 その前の第3短篇集『連想トンネル』 (1980.05 CBSソニー出版)に挟まれていた 読者カードのアンケート結果が集計されていて、 『連想トンネル』中での「好きな作品」「嫌いな作品」の ランキングが発表されており、 読者からの短い感想文コメントも、 大量に引用されているのであった。 その中に、一読者として東海洋士が式貴士に寄せた、 アンケートのコメントも1本、載っている。 (ちなみに、その『ヘッド・ワイフ』の「長いあとがき」に、 アンケート回答者として名前が出てくる読者のうち、 「後にプロの小説家になった人物」というのが、 東海洋士の他に、もう2人いる。 高井信と、関口誠人である。 …石川誠壱は?) なお、角川文庫版『連想トンネル』(1982.11)では、 CBSソニー出版の元本にあった「長いあとがき」は 収録されていないが、 『ヘッド・ワイフ』の角川文庫版では、 「長いあとがき」の全文が収録されているので、 東海洋士のコメントも、無事に読めるのであった。 (なんと、「文庫化されている東海洋士の文章」というのは、 実に、コレだけなのであります。) 1986.09 中島梓:著『マンガ青春記』集英社 1989.12 中島梓:著『マンガ青春記』集英社文庫 東海洋士のデビュー誌であった「別冊新評 筒井康隆の世界」には、 もう1篇、【ヤングからの目】という括りで、 アマチュアのライターによる筒井論が掲載されていた。 それが早稲田大学を卒業したばかりで、ブラブラしていた時期の 中島梓(名義は栗本薫)によるもの。 (すでに肩書は「評論家」となっているが、この原稿が商業誌デビュー作である) 自伝『マンガ青春記』で、そのあたりの経緯に触れられていて、 東海洋士の経歴についても「新人賞を貰った後、松竹に入った」と紹介されている。 0000.00 竹本健治の諸作(未整理) 2004.06 東海晴美:編『東海洋士追悼集 やさしい吸血鬼』東海洋士追悼集を作る会(未見) * かとうかずこの元ダンナについてのニュースを観ていると、 どうしても映画の『なんとなく、クリスタル』を思い出してしまうし、 脚本が載った「シナリオ」誌も掘り出してきてしまうし、 それを見ると、どうしても幻の作家・東海洋士を ちゃんと評価しておかなくちゃなあ、と思い出してしまうのであった。 この座談会に載ってる写真で初めて、 オレは東海洋士の顔を見たんだし。 ちなみに、この「シナリオ」1981年6月号には、 第31回新人映画シナリオコンクール入選作として、 高星由美子『野球狂の詩を歌う娘』というものも掲載されている。 ああ、これがNHK【少年ドラマシリーズ】末期の作品 『おれたち夏希と甲子園』の原型になった脚本か! (『だから青春 泣き虫甲子園』は、あだち充の漫画が原作だけど。) 【少年ドラマシリーズ】の原作本を集める、という長い長い、 ややこしい話とも、どうしてもつながってきてしまうなあ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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