危機的な長野県の財政
開会中の定例県議会の代表質問で、危機的な長野県の財政状況について議論がされている。今では、多くの長野県民が知っているように、長野県の財政は、大変な借金を抱えている。県の予算全体に対する借金の割合が、全国47都道府県の中で悪いほうから2番目、ワースト2である。年間約1兆円の予算に対して、借金は1兆6500億円、その借金の利子だけで500億円、1日あたり1億5000万円づつ利子を払っていることになり、借金払いに使っているお金(公債費)は、なんと年間予算(一般財源)の4分の1を占めている。なぜ、こんなに借金ができてしまったのか。その理由は、90年代に、「借金は借金でも、あとから国が地方交付税で約半分を返してくれるのだから、有利な借金だ。」と、いわゆる「有利な起債」を使って、公共事業の大盤振る舞いをした結果だ。いくら「有利」といわれても、残りの約半分は、県の財政で負担しなければならないこと、地方交付税の総額が、借金に比例して増えなかったこと、予算に対する借金の割合が限度をこえていること・・・などが、長野県の財政を今の危機的な状況にしたといえる。私たち日本共産党県議団は、こんな財政運営には、ずっと反対してきたが、与党会派の皆さんは、賛成し、推進してきた。その意味で、今の長野県の深刻な借金財政の責任は、県議会の旧与党会派の皆さんにもあるといえる。ところが驚いたことに、旧与党会派の皆さんは、「長野県の財政が危機的になったのは、田中知事が今年の予算で公共事業予算を削ったため、建設業が大変になり、県税収入がその分減ったからだ。」と言い出した。県税収入は、確かに最悪の落ち込みだが、一番落ち込んでいるのは、電機、精密、機械の3業種で、建設業の落ち込みは3.5%に過ぎない。答弁の中で、知事や総務部長などが、繰り返しその事実を述べても、自分たちの勝手な理論を押し付けようとするばかり。もともと、公共事業の大盤振る舞いによる、全国ワースト2の借金財政は、田中知事になる前からのことであり、県税の最悪の落ち込みの前からだ。その最悪の借金作りにかかわった人たちが、自分たちの責任を棚に上げて、借金のおおもとの公共事業を見直そうとしている知事に、責任を押し付けているのは、まったくさかさまな話である。そればかりか何の反省もない彼らは、「公共事業を減らすな。」と声高に叫んで、借金をもっと増やしなさい、といっているのだから、どこまでも、救いようがない。