信州の教育と自治研究所創立20周年
昨夜泊めていただいた宿は、「明るければ、すてきな京都風のお庭が見られます。」という純日本風のつくりだけれど、残念ながら真っ暗で何も見えない。しかも、私は、今日の午後、長野で開かれる「信州の教育と自治研究所創立20周年記念レセプション」に出席のため、6時の新幹線に乗らなければならず、そのために朝5時半にタクシーを頼んでいただいた。「ご自分で玄関のカギを開けて出て行ってくださいね。」と宿の係の方からは言われていたのだけれど、これが結構大変だった。夜寝る前に、部屋の電話を見たら、ビジネスホテルにあるようなモーニングコールの機能はない。目覚し時計はないし、もう、自分で起きるしかないのだ。覚悟を決めて寝たものの、いささかの不安。でも、ワインと生ビールがきいたみたいで、疲れが出て、みるみる眠りの世界へ。 寝ぼけまなこで腕時計を見ると、まだ午前3時。まだ大丈夫とうとうと。次に目がさめてみると、な、なんと5時半!タクシーに行かれてしまったらどうしよう、新幹線に遅れたらどうしよう、もう、お化粧なんかしてる場合じゃないよ、と、すざまじい速さで洋服に着替え、バッと廊下にとび出したものの、真っ暗な、迷路のような廊下は、方向音痴の私には何が何だかわからなくなり、玄関に出る場所がわからない。行ったり来たりで時間はたつし・・・。「万事休す」でお手洗いの明るい電灯の下で、改めて時計を見直してみる。あれ、もしかして・・・。そうだ、と携帯電話で時報を聞いてみると、「午前4時35分10秒です。」。よかった1時間早かった。部屋に戻り、荷物を置いて、改めて玄関を探す。わからない。またまた、行ったり来たりして、廊下づたいのふすまをひとつひとつ、そっと開けてみる。部屋へ行くのも、玄関へ行くのも、みんなふすまだからわからなかったのだが、ようやく玄関を探り当て、やっと安心。 まだ真っ暗闇の早朝、玄関のカギをあけ、木造の門の横のくぐり戸をあけてタクシーに乗り、無事京都駅へ。駅で買った新聞を半分も読まずに居眠りしながら長野駅到着。 信州の教育と自治研究所は、今から20年前、高校の教師を退職して果敢に長野市長選挙に挑戦し、残念ながら敗れた山岸かきわ先生が、やはり長野市の福祉部長をやめて市長選挙に挑戦し、当選まであと一歩と迫った経験を持つ今は亡き高野彬さんや青木孝寿さんらと創立した民間の研究所だ。その名がしめすように、教育と自治にかかわる問題で、住民の草の根の運動を理論的に支えながらがんばってきた。定期的に発行される機関紙「まほろば」には、草の根の研究者や専門家とともに、住民の論文も掲載されている。 私は、山岸先生が挑戦した市長選挙と同時に行なわれた市会議員補欠選挙に、初めて立候補して、ともに戦った「戦友」でもある。あれから20年。そう思うと感慨深いものがある。 飯田高校殺人事件や須坂市の前島優作君の自殺事件を始めとする子供たちの悲しい事件、水源保護条例の制定を求める運動や浅川ダムに反対する運動、長野県や長野市を始めとする自治体の財政分析、「有利な起債」の誤り、多くの問題を解明しながら、そして、さまざまな住民の運動にかかわりながらがんばってきた研究所の果たしている役割は大きい。 創立20周年記念レセプションは、山岸先生の情熱あふれる「20年の歩み」の記念講演。高校の現場で、日々生徒たちと向かい合って全力投球の鳥谷越先生のピアノによる華麗なるショパンの調べ。そして祝賀会だった。昨日のアルパ、今日のピアノと文化の香り豊かなイベントに参加できて幸せな気分。 祝賀会では、たくさんの方々のお祝いのメッセージが語られ、私もごあいさつをさせていただいた。その中で、自殺した前島優作君のお父さんが、体調を崩して出席できなかった飯田高校殺人事件の被害者、小野寺さんに代わってごあいさつされたお話を聞いて、私は驚いた。小野寺さんが最初に依頼した弁護士が、高い謝礼ばかり要求するが信頼できず、解決の見通しも立たず、途方にくれて前島さんに「信頼できる弁護士を紹介してほしい。」と頼まれたとのこと。前島さんは、優作君のことで信頼関係にあった研究所の山岸先生に依頼し、山岸先生の紹介で中央法律事務所の弁護士さんが事件を担当し、裁判は勝利できたのである。もちろん、県政の責任者が田中知事へと変わり、田中知事はその判決に従った。小野寺さんを失望に陥れた最初の弁護士が、なんと先日の知事不信任の後の知事選で、田中知事の対立候補であった長谷川敬子さんの夫だったとは。彼は、小野寺さんから、「ベンツが買えるくらいの弁護料を取りながら、何もしてくれなかった。」のだというから驚きと怒りが湧いてくる。 祝賀会終了後、一緒に参加していた、わが後援会長の望月先生と、選挙でお世話になる方々のところへごあいさつまわり。お昼休みに、財政再建の提言などを検討する打ち合わせ会議があったり、何かとあわただしかった今日一日が終わる。