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カテゴリ:社会問題
今日(18日)は日曜日であったため、経済分野でも社会分野でも、重要と思われる記事はあまり出ていませんでした。強いて挙げれば、次の3つではないかと思われます。 1 ネバティ国庫・財務大臣は、KKM(為替保護付き預金)の過去1年間を評価した 2 バフチェリMHP党首は、「サラチハーネ(注:イスタンブル市役所の所在地)劇場を準備した者たちは、国家を、政府を、そしてトルコ司法を攻撃する、狡猾なご都合主義者である」と発言 3 ソイル内務大臣は、「憲法は非常に明確な形で、司法には介入できないことを強調している」と発言 1の記事では、KKMについて、(1)外貨需要を抑制することにより、金融市場の安定に大きく貢献した、(2)((1)を通じて、)インフレ率は今後大きく下げることになる、と説明しています。今この瞬間に限れば、(1)及び(2)の説明は必ずしも間違っているとは思いませんが、そのためのコストの大きさとその被害については一切言及していません。その結果、為替相場は人工的に安定させましたが、そのために予算で大きな穴が開いているため、KKMを止めた途端に、全ての矛盾が噴き出す可能性は否定できません。2と3については、14日の“イマムオール大イスタンブル市長に対して2年7ヶ月15日の禁固刑を科すとする1審判決(=公民権停止につながる)”と、それを受けての野党の反応、そして、その野党からの反撃についての、与党側の反応と言えます。判決が出された当時、AKP関係者の一部からは、「エルドーアン大統領の希望ではなく、反対に大統領を陥れようとする謀略だ」という反応すらありましたが、隠蔽?された機上記者懇談のエルドーアン大統領の発言としては、「司法は独立している。(大イスタンブル市長時代、)自分も判決に従ったので、イマムオール市長も判決に従うべきである。」という趣旨であったとのことです。既に紹介した公の発言よりもさらに突っ込んだ内容とは言えますが、「憲法上、裁判所・裁判官は独立しており、全ての人は判決に従わなければならない」という常識論です。上で紹介したソイル内務大臣の発言も、全く同じことを言っていると言えます。バフチェリMHP党首の発言は、別の形ではありますが、結局は同じことと言えます。エルドーアン大統領が既に発言していますが、「裁判所の判決は、政府とは無関係。それを、まだ係争中にもかかわらず、政府攻撃の材料にしている」という主張です。反政府系テレビニュースや野党は、エルドーアン大統領がこれまで気に入らない判決を無視してきたことや、批判してきたことを指摘して、「自己矛盾」、「発言の不一致」を指摘していますが、エルドーアン大統領が完全なマキャベリスト、別の言い方をすれば、「重要なのは今であって、過去は過去(これまで何をしたか、何を言ったかは、全て過去の話であり、今からは今言っていることだけに意味がある)」ということになると思います。 励みにしていますので、クリックをよろしくお願いします。
ここまでが、ある意味で、“昨日の復習”と言うことになります。ここからは、昨日お約束した“野党6党の共通大統領候補が誰になるか”について紹介します。結論を先に紹介しますと、「現時点では未定、あるいは決められない」ということになります。イマムオール市長に関して“被選挙権が無くなる可能性”が出てきました。昨日紹介しましたように“最強のライバルであるイマムオール市長を全力で排除する方針”であることは明白であり、その点を考慮せざるを得なくなったことは明白です。一方で、その意図が何かは分かりませんが、昨日紹介しましたように、“イマムオール市長が候補でなくなれば、エルドーアン大統領の当選は確実か”と言えば、そうではないことが高等選挙委員会(YSK)委員長へのインタビューから明らかになりました。しかし、昨日も紹介しましたが、これは大統領候補が“エルドーアン大統領とイマムオール市長の二人だけであった場合”という特殊な状況での話であり、もしもエルドーアン大統領が気が付いていなかったのであれば、今からでも準備は十分に間に合いますので、第3の候補をAKPの組織的推薦で立候補させることは可能です。正確な数は忘れましたが、50万人か100万人の署名(推薦)があれば、無所属でも立候補可能なはずですので、ダミーの候補を、例えばすでに立候補を表明している、過去数年間はエルドーアン大統領とベッタリ?の、ペリンチェキ・トルコ共産党党首の立候補が確定できれば、イマムオール市長を判決で排除した後は、“エルドーアン大統領 対 ペリンチェキ共産党党首”という形で選挙が続くことになり、“大統領選挙は信任投票という形に変わって、50%+1票を取れないエルドーアン大統領は当選できない”という状況はなくなります。昨日の繰り返しになりましたが、このような状況下で、野党6党は共通大統領候補を決める必要があるということです。いつも紹介している解説者は、「“イマムオール市長を候補とする。(市長の有罪が確定した場合を考えて、)クルチダルオール党首が予備の候補となる(不要になれば、その時点で辞退する)”と発表すれば、野党への政治は圧倒的になる」と指摘していました。一方で、「イマムオール市長に関する判決のタイミングによっては、候補者が2人の場合は、当選者が決まらなくなることもあり得るので、推薦することは困難」という見方もあります。もう一つの要素は、「判決やYSK決定によって“候補資格/選挙結果を略奪された”ということになれば、2019年の大イスタンブル市長選挙の時と同様に、国民は絶対に許さない」という考えです。これが事実かどうかは不明ですが、かなり広く受け入れられている認識のように思えます。いつも紹介している解説者の説に戻れば、「イマムオール市長がだめなら、(弔い合戦で?)クルチダルオール党首で当選確実」とのことですが、候補者がいなくなる危険性は下がりますが、「3人の候補で競う」という構図も残る可能性があります。特に、HDPは候補者を出す方向で検討中であり、候補者を取り下げる可能性があるのはクルチダルオール党首が候補の時だけとの噂となっています。そして何よりも、エルドーアン大統領は「裁判は口実、内紛が原因」と明言していますので、“正と副野二人の候補者を出すこと”は、エルドーアン大統領の主張に信ぴょう性を与えること (=話し合いで候補者を一人に絞ることすらできない) になると思われますので、これで良いのかどうか、管理者には何とも言えません。結局、いろいろな場合があり得るので、「合理的な結論」を導き出すことは至難の業となり、結局は、「“政治家の勘”か“私利私欲・利己主義”の結果として、何等かの結果が出される」といことことになり、“その選択の是非は、選挙結果が示すことになる”というのが、今日の結論ということになります。ちなみに現時点での管理者の予想は、「クルチダルオール党首の可能性の方が高い」です。 トルコ・リラ等の外貨建ても含めた債券投資に関する情報を発信しています。外債投資に興味のある方は、一度覗いてみてはいかがでしょうか。 社債投資まとめ
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常々愛読させていただいております。
日本では到底知りえない有益な情報を提供してくださり、誠に感謝の念に堪えません。 本年になって以降、更新されていないこと大変気にかけております。 心から復帰を願っております。 (2023.01.16 21:14:18)
昨年はトルコ情勢の詳しくニュートラルな記事を度々楽しみに読ませていただいていました。
ご多忙のことと推察いたしますが、再開してくださるのを楽しみにお待ちしております。 (2023.01.19 10:42:31) |