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堀古英司の「米国株式の魅力」


新自由の女神



2017.05.22
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5年前のこのコラムで、「良いビジネスを安く買う:アップルとグーグル」と題し、どちらの株式に投資すべきかについて記しました。市場には様々なニュースが飛び込んできて、株式というのは短期的にはそのようなニュースに振り回される傾向がありますが、5年も経てば相対的にはそのようなニュースの影響は小さくなり、逆に本来ビジネスの持つ価値がより正確に株式に反映されるものです。我々が運用するファンドでも常に、その時のニュースに惑わされることなく、そのビジネスの3年から5年先の姿を見越して投資する方針を取っています。

「安く買う」というのはバリュー投資の基本ですが、バリューだけを見ていると質の悪いビジネス、いわゆるバリュー・トラップに引っ掛かるリスクがあります。一方で良いビジネスばかり追いかけていると高値を掴む可能性が高くなります。それでは「良いビジネスを安く買う」という方針を追求している我々はどうしているかというと、良いビジネスが短期的な理由で安くなっている機会を狙うのです。そのような観点から我々が5年前に目を付けたのがアップルとグーグルでした。

アップルやグーグルのような良いビジネスが安く提供されているような状況は、滅多にあるものではありません。しかし5年前は両社共に、「一株利益50円で年率20%で成長している株が610円で、しかもそのうち100円以上は現金」という状況だったのです。当時はグロース(成長)を追い求める投資家が、両社の巨大化と共に見切り売りを進める一方で、バリュー投資家がまだ積極的には買い出動していない(通常バリュー投資家は急いで飛び付くような買い方はしません)、いわばグロースからバリューへのバトンタッチの段階であったことによって「良いビジネスを安く買う」機会が提供されていたのです。

あれから5年間、アップルの株価が配当の再投資込みで82%の上昇にとどまったのに対してグーグル(2015年に社名をアルファベットに変更)は189%の上昇となり、当時予想をお示しした通り、グーグルへの投資がアップルを大きく上回る結果となりました。どうしてこのような差が出たかというと、これも5年前にお示ししていた理由の通りであり、グーグルの方が「金のなる木」に近い良いビジネスであったから、またグーグルはビジネスによって生まれたキャッシュフローを配当で還元するのではなく、再投資することによってさらに高いリターンに結び付けていったからです。

この5年間、ギリシャ危機、地政学的リスク、量的金融緩和終了、利上げ開始、エネルギー価格急落、エボラ熱、中国株急落、ブレクジット、大統領選挙等々、あの手この手で皆さんに株式に投資させまいとするニュースをメディアは率先して取り上げてきました。もちろん短期的にそのようなニュースが株式市場に影響するのは確かです。しかしよく考えてみて下さい。この中のどれ一つとして、グーグルの中長期的なビジネスの本質的な価値に影響を与えるものはあったでしょうか?最近のメディア間の競争激化を見るにつけ、今後ますます皆さんに株式に投資させまいとするニュースが優先して取り上げられると思います。そのような中でも、その会社のビジネスにさえ自信が持てれば、ほとんどのニュースは無視して良いはずです。これまでの5年間がそうであったように、今後の5年間も同じく、いやますます投資家としてはこのようなスタンスが重要になっていくと思います。

さてそれではグーグルはこの先5年間も、これまでの5年間と同じように、様々なニュースが出ても、それらに惑わされない良い投資であり続けるのでしょうか。恐らくそうでしょう。しかし同時に恐らくグーグルをしのぐ、もっと良い投資になると考えられる会社があります。それは昨年7月の楽天証券17周年記念セミナーでもご紹介したアマゾン(AMZN)です。

本稿執筆時点で、グーグルもアマゾンも株価は970ドル近辺です。時価総額を見てみると、グーグルが6,630億ドルに対して、アマゾンは4,640億ドルです。しかし両社が主戦場とする市場規模を見てみると、グーグルは広告市場であり、恐らく世界で数千億ドルの規模だと思います。一方でアマゾンが主戦場にするのはアメリカの小売市場であり、これだけでも10兆ドル単位と桁違いの巨大な市場です。これに加えて、小売りと並んで収益の主力になると見られるアマゾン・ウェブサービスは近年、インターネットの世界において顕著な成長を遂げてきています。そのような会社の時価総額がグーグルを下回っている状態というのは、時間の経過と共に修正されていくでしょう。

先日ビジネススクール時代の教授と食事をする機会があり、最近卒業生はウォール街には就職しなくなっている、と話していました。「やはりグーグルが人気トップ企業なのですか」と聞いたところ答えはNOで、トップはアマゾンとのことでした。アマゾンが狙う市場の規模、それに対する人材を含む将来に向けた積極的な投資、そしてアマゾンのこれまでの再投資実績を考えると、5年後のグーグルvsアマゾンの対決はアマゾンに軍配が上がると見るのが自然だと思います。結果はまた5年後、このコラムで。

(2017年5月22日)






最終更新日  2017.05.25 00:42:25

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