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堀古英司の「米国株式の魅力」


新自由の女神



2018.09.08
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米国株は歴史的にパフォーマンスの悪い時期を迎えています。20019月には同時多発テロ、20089月にはリーマンブラザース破たんという歴史的なイベントもありましたし、そうでなくても2011年秋にはアメリカ国債デフォルトの懸念が高まったり、2015年秋には中国株安を発端とした世界的な株安がありました。もちろんこのような、メディア的に分かりやすい下落要因もあるのですが、この時期はアメリカの税制が理由で、市場で実際に売りが出やすい時期というのが、第一の理由です。

というのは、アメリカでは12月末が個人所得の決算期末となっていますが、それまでに配当の支払い等を完了させるため、投資信託の決算期末が10月末に集中しています。投資信託会社は個人の税金負担を軽減するために、ポートフォリオ内で損益通算のための取引(含み益と含み損の出ている銘柄を同時に売却)を、それまでに積極化させるのが大きな要因とされています。今年はS&P500指数はこれまでで約7.5%の上昇となっていますが、上昇が一部のセクター・銘柄に集中しているということもあり、このような損益通算による売りが出やすい状況と言えます。

第二の理由として、この時期は2年に1回選挙前ということになりますが、今年は中間選挙があるのでそれに該当します。今回の中間選挙では、下院で民主党が過半数を奪回する可能性が高いと見られています。そしてこれは正に今起こっている事ですが、これを巻き返そうと、共和党も様々な過激な策を打ち出しつつあります。これに対して民主党も、トランプ大統領に対してなりふり構わず攻撃の手を強めています。このように、政治的な不透明感が高まりやすい時期であり、これは株式投資にとってはマイナス要因となります。

第三に、今月後半に予定されている利上げです。アメリカ経済が好調であることは間違いないのですが、だからと言って特にインフレ率が上昇しているわけではありません。むしろ新興国市場の問題もあってドルは上昇しており、これによって私が見ている5年物期待インフレ率は春以降低下傾向にあり、足元ではFRBの目標である2%を下回ってきています。市場では利上げはほぼ確実視されているようですが、利上げを数カ月遅らせたからといって何のデメリットも無いような状況で行われるわけですから、株式市場は「余計な利上げ」と捉える可能性が高いと見ています。

第四に、これはヘッジファンドの成功報酬に関わる税制なのですが、今年から成功報酬に対する課税の繰り延べが認められなったため、納税のためにヘッジファンドが利益の出ている銘柄を現金化のために売却せざるを得なくなるというものです。今年は3月末と6月末に向けて米国株式相場は大きく下落していますが、この税制が少なからず影響していたものと考えられます。とすると、恐らく9月末に向けても同じような動きが出る可能性があると見ておくべきだと思います。

第五に、これらの悪材料を吸収するようなサポート材料が、特に9月は見当たらない事が挙げられます。現在、アメリカの株式相場を支えている大きな要因は企業業績ですが、次回本格的に決算発表が始まるのは10月半ばです。どのような悪材料が出ていようとも、株価評価の本質である業績が良ければそれによって株価は上昇するものですが、そのきっかけがこの先数週間は見当たらないという状況なのです。

このように見てくると、今年もこの時期、調整局面が訪れる可能性が高いと考えざるを得ません。しかし私は同時に、この調整局面が米国株投資にとって絶好のチャンスとなる可能性が高いとも考えています。

というのは上記に挙げた米国株の調整材料は全て、10月に入れば順次無くなっていくものだからです。投資信託による損益通算操作は決算期末のギリギリまでやっているとは思えませんし、選挙直前になれば殆どの材料は相場に織り込まれるでしょう。利上げは必要とは思いませんが、本当にそうであれば長期金利が低下することによって株式相場のサポート材料となるでしょう。ヘッジファンドによる納税のための現金化は9月末がピークと推測されますし、10月になれば恐らく、前年比で今年最高の増益率となる決算発表が始まります。そして何と言っても、来年はトランプ大統領が任期3年目に入ります。歴代の大統領は再選を目指し、任期3年目に経済や株式相場を持ち上げてくる傾向が顕著です。

前号で米国株式のリスクはむしろ「過剰な上昇」だと記しましたが、こう考えてみるとそれが始まるのはそれほど先の話では無いのではないか、そうだとするとこの時期の調整局面はむしろ絶好の投資機会と捉えるべき、と考えています。

201895日記)







最終更新日  2018.09.08 00:38:56

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