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2008年03月21日
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 ■日本株への影響

 日本への影響は、アメリカの株価の下落を通じた日本株への下押し圧力と共に、為替レートによるものが大きい。現状では、上場企業の収益全体の中で輸出企業の収益が占める割合が大きく、円高は、投資家にとって心理的にも、かなり大きなマイナス要因だ。

 サブプライム問題による悪影響がアメリカの株価よりも日本の株価に大きく出ていることを訝る論調が時に見られるが、両国の景気の連動と、国際分散投資を通じた連動の他に、日本株固有の要因として、円高の悪影響と、日本では中央銀行による利下げや減税など、ショックを緩和するための対策が取られる見込みの非常に薄いこと(つい最近まで次の利上げの時期が話題だったし、増税が公然と語られている)が挙げられる。今のところ、日本株の方が下げていることに不思議はない。


 ■公的資金は投入されるか

 サブプライム問題を解決する決定打として、アメリカ政府による公的資金投入が有効だという議論がある。

 日本で行われたように、金融機関の自己資本になるような形でアメリカ政府の資金が投入されれば、自己資本の制約による貸し渋りは止まるし、対策に本腰が入ったという心理的な効果からも、事態は急速に改善するかも知れない。アメリカの当局者は、日本のケースをかなり深く研究している様子なので、こうした対策が取られる可能性も排除できない。

 しかし、ことサブプライム問題について考えると、現在サブプライム問題で苦しんでいる金融機関は、これまでにサブプライム・ローンとその関連ビジネスでさんざん儲けて、問題を拡大してきた張本人でもある。

 仮に公的資金を入れるとしても、末端の住宅ローンの借り手をサポートするようなものは、社会的には、比較的容易に受け入れられるだろう。ただし、技術的には、どのようなケースに対して、幾ら、どのような形でサポートするかは難しいし、仮に何らかの資金投入が行われても、金融機関の自己資本回復に結びつくまでには、時間がかかりそうだ。

 一方、金融機関の自己資本に直接公的資金を注入するような、「ウォールストリートの連中」を助ける公的資金投入には、相当の抵抗があるのではなかろうか。彼らの金満ぶりは、かつて日本で指摘された「銀行員の高給」のさらに一桁上のレベルだ。公的資金を注入する一方で、かつてのS&L(貯蓄金融機関)破綻の際のように不正に関わった者をどんどん刑事摘発すればいいという議論はあるが、サブプライム・ローン及び証券化のビジネスにはあまりに多くの人々が関わっており、彼らは利益(によるボーナスなど)をすでに食べてしまっている。彼らを公平に裁くことは、アメリカといえども簡単ではない。

 株式市場が満足するような形での公的資金投入は、将来あるとしても、もう少し先のことになるのではなかろうか。

 日本の例の類推などから、アメリカ政府による公的資金投入(たとえば金融機関が保有する証券化商品を一定条件で買い取るなど、金融機関の資本に直接効く対策)が必ずあるはずだと決めつけることはできないが、今後、公的資金投入が相場の転換点になる可能性はあるので、注目しておきたい。


 ■日本株の株価水準

 投資行動を決めるに当たっては、マクロ経済のあれこれを考えるよりも、大掴みに株価水準を考える方が有効な場合が多い。

 3月19日の時点で、日経平均は12260円44銭で、今期予想利益ベースのPERは13.72倍だ。このPERは、益利回りに直すと約7.29%に相当し、当日の長期金利が1.265%だから、これは利益成長がゼロとしても、長期金利に対するリスクプレミアムが6%になる。

 ここで、株価を将来利益の割引現在価値として、(1)利益成長率を一定として、これが、(2)名目GDP成長率と等しい、と考えて、名目GDP成長率数通りと、リスクプレミアム「5%(割高のケース)」「6%(標準のケース)」「7%(割安のケース)」の各種の組み合わせについて、日経平均を計算してみた。(以下の表参照)

(表)日経平均の理論値の試算
名目成長率高(Rp=5%)中(Rp=6%)低(Rp=7%)
3.00%27,37020,95216,973
2.00%20,95216,97314,264
1.50%18,75415,50113,209
1.00%16,97314,26412,300
0.50%15,50113,20911,508
0%14,26412,30010,812
-1%12,30010,8129,645


(EPSは日本経済新聞3/20による。長期国債利回りは3/19終値から)

EPS(今期予想)893.62
長期債利回り1.265%

※3/19の日経平均は12,260.44円

 あくまでも上記の仮定の下でだが、1万2千円台前半の日経平均は、日本の成長率を0%程度と見ているか、1%くらいはあると見ていてもリスクに対して相当に警戒的(リスクプレミアムが大きい)な状態であるか、いずれかだと解釈できる。

 今のところ、シンクタンク各社の今年の成長率見通しは下方修正気味ながらも1%台後半のものが多い。もちろん、今後のアメリカの経済動向の影響を強く受けるが、現状の株価は、経済状況に対して、やや悲観に傾き過ぎているかも知れない。

 大きな経済の流れを考えると、サブプライム問題は、景気循環の中の典型的な一局面だ。好景気の末期に不動産への過剰投資が起こって、これが不良債権化することは珍しくない。通常、金融が緩和された状況下で、不良債権の整理が進み、経済は徐々に回復するはずだ。今回は、世界に影響の大きなアメリカが震源地であることや、「証券化バブル」が事態を増幅していることなどの特徴があるが、これらが一般論からの逸脱の決定的要因になるとは思えない。そう考えると、株式のポジションを持っている人にとって、現在は「我慢のしどころ」だろうし、キャッシュを持っている人にとっては、これからが「買いのチャンス」だ、と考えることができるのではなかろうか。幾つもある仮説の一つにすぎないが、たとえばこのような仮説を立てながら、筆者は、サブプライム問題の現状を見ている。





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最終更新日  2008年03月24日 15時31分54秒
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