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カテゴリ:富士見市の石仏
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今日は上沢薬師堂の百観音を見てみましょう。 上沢薬師堂 富士見市上沢2-4 ![]() 薬師堂の参道右側、奥に百観音が見える。雨除けのためにいつ行っても薄暗い。 ![]() 百観音は三段に並んでいた。前の段は坂東三十三ヶ所、中央に秩父三十四ヶ所、後の段に西國三十三ヶ所、合わせて百観音になる。聖観音、十一面観音、千手観音、馬頭観音、如意輪観音、准胝観音、不空羂索観音と六観音がすべてそろい、立像あり、坐像ありとバラエティに富んでいる。 ![]() 百枚写真を並べても仕方がないのでまとめて見ていただく。前の段の坂東三十三観音。右から一番 鎌倉の杉本寺、二番 逗子の岩殿寺、三番 鎌倉の田代寺、四番 鎌倉の長谷寺と続く。像は三番が千手観音、他は十一面観音。像の様子はほぼ同じような印象を受ける。幕末から明治初年にかけて、そんなに長くない期間に集中的に奉納されたもののようだ。 ![]() 五番 小田原の勝福寺 十一面観音、六番 厚木の長谷寺 十一面観音、七番 平塚の光明寺 聖観音、八番 座間の星谷寺 聖観音 九番 都幾川の慈光寺 千手観音。 ![]() 十番 東松山 岩殿の正法寺 千手観音、十一番 吉見の安楽寺 聖観音、十二番 岩槻の慈恩寺 千手観音、十三番 浅草の浅草寺 聖観音、十四番 横浜の弘明寺 十一面観音。 ![]() 十五番 高崎の長谷寺 十一面観音、十六番 伊香保の水澤寺 千手観音、十七番 栃木市出流の満願寺 千手観音、十八番 日光の中禅寺 十一面千手観音、十九番 宇都宮の大谷寺 千手観音。 ![]() 二十番 益子の西明寺 十一面観音、二十一番 大子町の日輪寺 十一面観音、二十二番 常陸太田の佐竹寺 十一面観音、二十三番 笠間の正福寺 十一面千手観音、二十四番 茨城桜川市の楽法寺 延命観音。 ![]() 二十五番 筑波山の大御堂 千手観音、二十六番 土浦の清瀧寺 聖観音、二十七番 銚子の円福寺 十一面観音、二十八番 成田の龍正院 十一面観音、二十九番 千葉市の千葉寺 十一面観音。 ![]() 三十番 木更津の高蔵寺 聖観音、三十一番 千葉 長南町の笠森寺 十一面観音、三十二番 千葉県いすみ市の清水寺 千手観音、最後が三十三番 館山の那古寺 千手観音。こうやってまとめてみると坂東には十一面観音と千手観音が多い。 ![]() 中央の段は秩父三十四観音。一番 四萬部寺 聖観音、二番 真福寺 聖観音、三番 常泉寺 聖観音、四番 金昌寺 十一面観音。四番は残念ながら破損していた。 ![]() 五番 語歌堂 准胝観音、六番 卜雲寺 聖観音、七番 法長寺 十一面観音、八番 西善寺 十一面観音、九番 明智寺 如意輪観音。 ![]() 十番 大慈寺 左手に子を抱く聖観音、十一番 常楽寺 十一面観音、十二番 野坂寺 聖観音、十三番 慈眼寺 本尊を調べると聖観音なのだがここでは十一面観音。十四番 今宮坊 聖観音。 ![]() 十五番 少林寺 十一面観音 十六番 西光寺 千手観音、十七番 定林寺 十一面観音 十八番 神門寺 聖観音、十九番 龍石寺 千手観音。 ![]() 二十番 岩之上堂 聖観音、二十一番 観音寺 聖観音、二十二番 童子堂 聖観音、二十三番 音楽寺 聖観音、 二十四番 法泉寺 聖観音。 ![]() 二十五番 久昌寺 聖観音、二十六番 円融寺 聖観音、二十七番 大渕寺 聖観音、二十八番 橋立堂 馬頭観音、二十九番 長泉院 聖観音。 ![]() 三十番 法雲寺 如意輪観音、三十一番 観音院 聖観音、三十二番 法性寺 聖観音、笠をかぶっているのは珍しい。三十三番 菊水寺 聖観音、三十四番 千手観音。秩父では聖観音が多い。 ![]() 後ろの段は西国三十三観音。バックの光が強く逆光になり、クリアな写真は撮れなかった。一番 那智の青岸渡寺 如意輪観音、二番 紀三井寺 金剛宝寺 十一面観音、三番 紀の川市 粉河寺 千手観音、頭が欠けている。四番 大坂和泉市 施福寺 千手観音。 ![]() 五番 大坂藤井寺 葛井寺 千手観音、六番 奈良高取 南法華寺 千手観音、七番 奈良明日香 岡寺 如意輪観音、八番 奈良初瀬 長谷寺 十一面観音、九番 奈良市 南円堂 不空羂索観音。 ![]() 十番 宇治 三室戸寺 千手観音、十一番 上醍醐 准胝堂 准胝観音、十二番 大津 正法寺 千手観音、十三番 大津 石山寺 如意輪観音、断裂跡があり顔がはっきりしない。十四番 大津 三井寺 如意輪観音。 ![]() 十五番 京都東山 今熊野観音寺 十一面観音、十六番 京都東山 清水寺 千手観音、十七番 京都東山 六波羅蜜寺 十一面観音、十八番 京都堂之前町 六角堂 頂法寺 如意輪観音、十九番 京都竹屋町 革堂 行願寺 千手観音。 ![]() 二十番 京都大原野 善峯寺 千手観音、二十一番 亀岡 穴太寺 聖観音、二十二番 茨木市 総持寺 千手観音、二十三番 箕面 勝尾寺 千手観音、二十四番 宝塚 中山寺 十一面観音。 ![]() 二十五番 兵庫加東 清水寺 千手観音、二十六番 兵庫加西 一乗寺 本尊は聖観音だがここでは千手観音のようだ。二十七番 姫路 圓教寺 如意輪観音、二十八番 宮津市 成相寺 聖観音。 ![]() 二十九番 舞鶴 松尾寺 馬頭観音、三十番 長浜 宝厳寺 千手観音、三十一番は近江八幡 長命寺のはずだがここには観音像は見当たらない。三十二番 安土 観音正寺 千手観音、三十三番 揖斐川 華厳寺 十一面観音。西国三十三観音は聖観音、千手観音、十一面観音などがバランスよく並び、また坂東・秩父ではほとんど見られなかった如意輪観音像が六体もあるのが特色と言えるだろう。 ![]() 馬頭観音は二基。改めて見てみよう。こちらは秩父の二十八番。三面六臂の坐像。頭上に馬頭を戴き、馬口印を結ぶ。残りの手には剣、蓮華のつぼみ、羂索、独鈷杵。 ![]() こちらは西国の二十九番。秩父二十八番と同じ構成。顔なども非常に良く似ている。同じ石工さんの仕事だろう。 ![]() 百観音の脇に石塔が立っていた。自然石の正面「奉納 秩父・西國・坂東 百番供養塔」背面に明治2年(1869)の紀年銘。下のほうに納主とあり、大曾根氏二名の名前が刻まれている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.06.28 15:35:27
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