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カテゴリ:酒井 正 石仏画の世界
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![]() 11P目は片柳四つ目の庚申塔 天保12(1841)万年寺の墓地の入り口に立つ。今回見てきた片柳の四つの庚申塔はどれも大型で彫りも素晴らしく甲乙つけがたいが、その中でもこの庚申塔は充実度が高く、酒井さんも『郷土の石佛』の中で「青面金剛尊を頂く庚申塔の白眉」と紹介している。宝珠のかわりに自然石を載せた唐破風笠に日月雲を彫り、その下の角柱型の石塔の正面を深く彫りくぼめて、その中に凝った青面金剛像を浮き彫り。 ![]() 剣とショケラを手にした六臂の青面金剛。三眼で逆立つ髪の中央にドクロが見える。腹部には龍と虎の頭。両足で二匹の邪鬼を踏む。 ![]() 台は二段。上の台の正面にそろいの羽織を着た三猿が彫られていた。三猿はいずれも片手使い。左の言わ猿は座りながら左手で口を隠し右手は中央のほうを指さす。中央の聞か猿は立ち姿、左手で耳を覆い右手に桃果を持つ。右の見猿は寝転がって目をふさぎ左手にやはり桃果のようなものを持っていた。それにしても驚くほど自由で大胆、実に楽しい三猿である。石塔に刻まれた銘の中に石工名はないが、酒井さんは岩槻林道町の石工、田中武兵衛かその系統の作品だろうとしている。 ![]() 曹洞宗の古刹 万年寺(見沼区片柳1-155)山門から境内に入ると参道左側に大きな墓地が広がっている。本堂手前に無縁仏を積み上げた三界万霊塔があり、その裏、水屋の脇に庚申塔が立っていた。 ![]() 大きく立派な唐破風笠を持つ角柱型庚申塔。三猿の彫られた台の正面は花立てのために酒井さんのスケッチのようにきれいに写真におさめることは難しい。 ![]() 近づいて見るほどに生き生きとしたその姿に感動を覚える。髪の毛の中央、髑髏の顔もはっきりと、腹部の龍のひげの先まで本当に細かいところまでしっかりと表現されている。 ![]() 龍のすぐ下に大きな虎の頭。その横で合掌するショケラは膝から下を欠く。足元には狛犬のような顔をした二匹の邪鬼が彫られていた。自由な構図の三猿と二匹の邪鬼というのがこのあたりの庚申塔の特色ということになるだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2019.02.21 08:52:40
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