私家版 さいたまの石仏

2019/02/27(水)20:50

石仏画集 庚申塔編 東浦和 清泰寺

酒井 正 石仏画の世界(162)

ホームページ「私家版さいたまの石仏」はこちら 14P目、東浦和の清泰寺から。天明3年に50基、万延元年に300基、二度にわたって奉納された350庚申のうち、天明3年の50基の親庚申である。駒型の石塔の正面 日月雲 青面金剛立像 鈴・ショケラ持ち六臂。酒井さんの絵は細部まで見事にとらえられていて立派なものだが、実際は50基の子庚申とほぼ同じサイズでしかも木の陰に立っていて見逃してしまいそうだ。下の台の正面に「結衆」「現當安」などの文字が見えるが下部は土に埋もれて見えない。 青面金剛の足元、邪鬼は腕を張って正面向きに顔を突き出す「岩槻型」に多いタイプだが、その髪型が面白い。昔、小学校の音楽室で見たハイドン、ヘンデルなどの肖像画とよく似て、先がカールした「かつら」のようだ。三猿は両脇が内を向く形だが、それぞれ片足だけを伸ばして座っていて、このタイプの三猿は初めて見た。 足立坂東三十三か所霊場6番 天台宗寺院の清泰寺(さいたま市緑区東浦和5-18-9)六地蔵と元禄9年の丸彫りの大きな石地蔵がまつられた小堂が立つ入り口から奥に進み、境内に入ってすぐ左側、十三仏塔が立っていて、その周りに数基の石塔が並んでいた。右の新しいスロープはコンクリートだが、その手前の建材のように使われているのは角柱型の庚申塔の文字塔だった。 350基の文字庚申塔は境内のあちこちのブロック塀の前にも並べられている。 十三仏塔のすぐ奥、左は造立年不明の甲子供養塔。右は万延元年の自然石の庚申塔。正面に「三百庚申塔」あとから奉納された300基の庚申塔の親庚申である。後ろのブロック塀の前に同じようなサイズの庚申文字塔が並んでいるのが見える。 その小型の庚申文字塔の列の中に紛れるように青面金剛像の庚申塔 天明3(1783)が立っていた。目の前に庭木が迫り空間的な余裕はない。 光背の一部が欠け風化もみられる。小型ではあるがなかなかの力作。輪光背を負った三眼の青面金剛は右手に鈴、左手にショケラを持つ。鈴ショケラ持ちは「川口型」庚申塔に多く、川口にほど近い緑区の一部ではこのタイプの青面金剛をよく見かける。邪鬼は「岩槻型」に多いタイプ。このかつらのような髪型も結構見かけるような気がする。その下に彫られた三猿も動きがあって面白い。

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