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2008.09.16
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カテゴリ:電気街
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第279話 「電子マネー」

 硬貨や紙幣といった現金の代わりにICカードや携帯電話などを使ってオンラインで決済するのが”電子マネー”の基本的な仕組みですが、スイカやパスモといった鉄道会社系のカードが駅構内や駅周辺のショッピング全般へ対応を広げたり、コンビニや大手スーパーが独自のカードを発行したことで急成長し、9種類の電子マネーの発行枚数だけで2008年には1億枚を突破しています。

 もっとも、少額の買い物への対応が主流とはいっても、電子マネーそのものが日本の法律ではグレーゾーンではないのか?事実上の無記名証券になっているものもあれば、定額の有価証券と大差がないもあるわけで、それって、私企業が独自に通貨を発行しているのとどれほど違うのか?という疑問が出てくるわけです。

 そうした素朴な疑問を払拭するためか、電子マネーには代金の前払いと後払いの二つの方式があるものの、事前に前払いしてある現金の範囲内で金額を移動させる方式だけを電子マネーと呼ぶこともあるようで、具体的には、ソニー系のEdy(エディ)、セブン&アイ・ホールディングスのnanaco(ナナコ)、イオンのWAON(ワオン)、JR東日本のSuica(スイカ)、JR西日本のICOCA(イコカ)、首都圏の私鉄などが運営するPASMO(パスモ)の6種類がこの前払い方式のカードになります。

 ただし、前払い方式とはいうものの、残金が一定の金額を維持するように補填する、いわゆる”チャージ”機能を利用する場合、初回の入金以降の支払いは即金で支払っているのと大差が無いような気が(私は)しますし、リアルタイムのオンライン処理が行われていれば、それは一度に引き出せる上限がある銀行のATMカードとどれほど実質的な違いがあるのかが謎ではないかと(笑)。

 それはさておき、日銀のまとめによるとですが、この6種類の2007年度の決済金額は総額5636億円に達していて、月別で比較すると、2007/04には(わずか)193億円だったものが、2008/03には582億円に急増していて、日本では意外な形でキャッシュレス社会が到来しつつあるのかもしれません。

 ちなみに、2008/03末のカード発行枚数は6種類だけで8061万枚になっているのですが、iD(NTTドコモ)に代表される後払い方式の3種類を加えると、前述したように発行枚数が1億枚を突破した計算になるわけで、概ね、一人が1枚は何らかの電子マネー(前払い式のカードなり携帯電話を経由したリアルタイム支払い機能なり)を所有している時代になったわけです。

 日本の場合、電子マネーは顧客の囲い込みを狙って2001年にドコモがエディをスタートさせたのが皮切りだっただけに(偏見)、未だに利用者の利便性よりも発行業者の思惑の方が優先されやすく、クレジットカードのように「異なるカードがどこでも使える時代」が到来するかどうかがそもそも怪しい話だったりします(笑)。

 逆に言えば、特定のエリア内に限定できれば、支払いが1秒程度で完了する事や、クレジットカードを利用する場合には必須の署名などの手間がかからない分、利便性が高いメリットがあるわけで、業界で事実上の電子マネー元年と言われることになった2007年にイオンやセブン&アイが相次いで参入したのも、一度、この手のカードでライバル企業に囲い込まれた客筋を取り戻すことが難しいという判断があったためではないかと思われます。

 もっとも、大半の電子マネーがICチップを内臓していることから、以前は想定されていなかった使い方も出てきていて、大学によっては、学生証をICカード化して電子マネー機能も搭載し、学内での飲食や買い物に対応しているだけでなく、講義の出欠なども同じ1枚のカードで記録し管理するところも出てきていますから、大学間だけでなく、小中高などの教育機関とも規格が統一できれば、1枚のカードで身体測定や成績などの記録が管理できることになり、かなり利便性が高いのではないかと。

 あるいは、学校のサーバなど公共の端末にアクセスする為の個人認証キーとしての機能を付けておくことで、どこぞの個人台帳よりよほど安全で利便性の高いシステムが構築できるのではあるまいか?

 ただし、現状では電子マネーを取り巻くインフラが貧弱な上、複数のカードで共通して使える共通端末が少なく、一度に利用されている平均決済額も696円という低額ですから、まだまだこれからの分野ではあります。

 急速に普及しているとはいっても、電子マネー全体の決済規模はクレジットカードの2%程度ですから、クレジットカードなどのように決済額の2~3%を手数料として加盟店から徴収する手法では普及に限界があるかもしれません ・・・ このあたり、何を付加価値として加えていくかで今後の日本の社会が変わっていく可能性さえあるということですが。

 ちなみに、電子マネーの収益性の悪さということでは、これを書いている時点では最大手のエディでさえ、運営会社「ビットワレット」の2008/03月期決算の最終赤字は68億円で、この赤字額は前年同期から3割程拡大しており、電子マネーが普及すればするほど赤字が拡大するという、まだまだ初期投資負担が重くのしかかっている状況ではないかと考えられます。

 逆に言えば、従来の顧客を囲い込むための電子マネーという考え方を変えない限り、複数の電子マネーが使える共通端末が普及しないわけで、そうなると、結果的に利用店舗が限定される上に店側の投資負担が軽減されない負のスパイラルに陥ることになりかねません。

 その意味で、スイカとパスモが(SFカードの犠牲というものはありましたが)相互乗り入れを実現させたあたり、ライバルの電子マネーを完全に排除するよりは、ユーザーの利便性を高める事で普及させた方が結果的に全体の利益が向上すると判断した人達が小売業と違って運送業界には多かったと言うことかも知れません。

 ちなみに、現在の囲い込みを前提とした小売業系の電子マネーを巡る状況を見ていると、1970~1980年代頃のパソコン市場を連想してしまうのですが、当時、各メーカー毎に独自のOSを搭載した独自規格のパソコンを市場に出すことでソフトや周辺機器の互換性を意図的に無くしてしまい、各メーカー毎にユーザーを囲い込もうとした戦略は、一時的にNECのPC-98による市場寡占状態という形になったものの、汎用性の高いWindowsが登場したことで、根底からNECの囲い込み戦略が崩壊していった事は御存知の通り。

 今となっては、マッキントッシュとマイクロソフトの間でさえ、一定の互換性を持つようになっているわけで、仮にマッキントッシュが独自性に固執していたら生き残れたかどうか微妙~な気がしないでもありません。

 そういった前例から何を学ぶのか?前例から学習することなく、新規参入者によって市場をごっそりともっていかれてからあわてて後追いをすることになるのか?

 ま、2007年あたりから急成長している電子マネーは、近い将来に、更に大化けする可能性があるだけに見ていて面白いなと(笑)。

初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第279話(2008/09/10)





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Last updated  2008.09.16 00:08:32
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