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2009.12.12
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カテゴリ:経済学
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第667話 「公共事業異説」

 世の中が不況になってくると、”大型公共投資を行って有効需要を創出し、景気を回復させよう”とかなんとかいった話が出てくる事があるのは御存知の通り。

 もちろん、怪しい話で真面目な話をするわけがないことはこの段階でお断りしておきます ・・・ ま、そのあたりの事は常連さんなら何となくわかるという人の方が多いとは思いますが(笑)。

 ところで、国の単位で経済が落ち込むのが不況とすれば、経済的な繋がりのある複数の国で同時期に大規模な不況が恐慌であり、世界規模の恐慌が大恐慌ということになるわけですが、人類が初めて経験した恐慌は1857年に欧米の経済圏を中心として発生したものとされていて、それ以降は、8~12年の周期で起こっているとされています。

 従って、過去の実績を見る限り、経済全体のパイが大きくなればなるほど、恐慌は規模が大きくなり深刻さと持続期間も増大していくことになっているのですが、そんな中でも、私たちが恐慌といって連想するのは米国の株式暴落に始まった恐慌〈大恐慌:1929~1933〉ではないかと思われます。

 なぜ世界恐慌が発生したのか?については諸説あるのですが、基本的に”アメリカ人の欲の皮が突っ張っていたから”ということになり、実際の経済の何倍モノ価値を想定して(株式)投資が行われ、その実態経済と妄想経済との差額が崩壊要因だったのは確かです。

 このあたり、トランプの代わりに株券を使ってババ抜きで賭博をしていて、その賭けでやりとりしている掛け金は第3者から借りてもよいというルールだと考えるとわかりやすいのですが、”では、ここいらで精算しよう”となったときに、大負けしていて手持ちの現金が不足する人が出ると、その金額によっては彼に信用貸しをした人も連鎖的に破産するわけです。

 逆に言えば、一つのテーブル(世界規模で連動している株式市場)でゲームをしている以上、破産する人が出ても全体の価値は変わらず、かならず勝ち残る人が出るということで、大恐慌が発生したことで、テーブル上の札を二束三文で買いたたいて世界的な大財閥が誕生したとも言えます ・・・ 意外と真面目な話でしょ(笑)。

 基本は、実際の価値よりも値が下がって二束三文になったところで買いたたいて、経済が回復すればそれだけで何倍にもなるのですが、さらに株式市場が再度加熱して高値になればそこで売り抜けると最初に買いたたいた金額の何十倍、何百倍もの金を手にすることができるという極めてシンプルな話です。

 ところで、世界恐慌は第1次世界大戦で疲弊していた欧羅巴経済を直撃することになり、中でも第1次世界大戦の戦後賠償に天文学的な金額を要求されていた独逸は、弱体化していたこともあって国の経済がいち早く破綻し超インフレに見舞われ、市民生活が破綻し、その経済的な崩壊はヒトラーが世に出ることを後押しする事になります。

 ヒトラーに関しては、独裁者というイメージしかない人が多いのですが、経済政策などに関しては劇的な成果を上げていて、世界恐慌下で唯一独力で経済を回復させていまして、ヒトラーをあれこれ非難している国も、戦後の経済政策にヒトラーが採用した手法を取り入れている事が珍しく無かったりします。

 と書くと、”あれ?世界恐慌を乗り切ったのは、亜米利加のニューディール政策じゃないんですか?”と聞かれる事があるのですが、実質的に恐慌が終了しかけていた1933年以後に行われた亜米利加のニューディール政策が失敗だった証拠は、1937年以後に景気後退が始まった事に端的に表れてい、経済ゲームをしていたテーブルを大規模な戦争をしてチャラにするしかないところまで追い込まれていたと言えます。

 それはともかく、ヒトラーが採用した経済政策の一つが大規模な公共事業への投資で、ドイツの高速自動車道路網であるアウトバーンの建設が一つの象徴ですが、1932年にケルン~ボン間に初のアウトバーンが開通しているのですが、ヒトラー政権下の1933年に”高速自動車国道(ライヒス・アウトバーン)1万4000km の建設計画”が開始されて1942年までに延長3859キロが建設されています。

 まあ、戦車を含む軍用車両で移動するときに便利だったり、滑走路としても使える設計といったきな臭い部分もあるのですが、その道路建設で新たに生じた市場は失業者に職を与える事になり、劇的に失業率が改善していくのですが、完成したアウトバーンによって人や物の流れが活性化したことは、社会インフラの整備が国の経済を活性化させる事を実証したとも言えます。

 ただし、ここで重要なのは、当時は”アウトバーンを建設する”という行為はそれまで無かった新しい市場を開発するのと同義語で、従来に無い(=既得権益を持つ人が少ない)市場だったからこそ他の産業へ就職できずにいた失業者を吸収でき、職を得たかっての失業者達が今度は消費者として既存の産業の生産物を消費する事ができるようになったわけで、既存の建設業者への利益誘導ではなかったあたりがミソになります。

 うがった見方をすれば、新しい産業を公共事業によって育成することに成功した国で不況から脱出できることがあっても、既存の産業に金を落とすタイプの公共事業を行って不況を克服できた国は稀という現実から考える限り、既存の産業界における”中抜き”というか中間搾取と資本家達の(本能レベルの)溜め込みがどれくらい酷いものか分かるのではないかと。

 それはさておき、公共事業を実施して失業者を吸収して経済を活性化させるというヒトラーが有効性を実証してみせた経済手法に関しては、”公共事業による景気回復というのは、穴を掘って、それを埋め戻す作業をさせて金を払っても同じだ!”と後出しジャンケン丸出しな上に妙な理屈で批評する人が多かったりします ・・・ まあ、そう批評する人達の経済政策にろくなものはありませんが。

 面白いのは、ナチスの拷問の一つに、午前中に穴を掘らせ、午後になるとその穴を埋め戻させるという無意味な重労働を延々と何日も繰り返させるという方法が実在したことで、人格を崩壊させるのにとても有効だったという説があるようです ・・・ 今となっては追試を行って事の真偽を検証することは出来ませんが。

 そうした観点からすれば、アウトバーン建設の一つの特徴として、”豊かになっていく実感”というか”国が回復していく実感”とでもいった”やりがい”を労働者に持たせることにも成功していた事が他の国の経済政策との根本的な差であり、将来に夢を持たせる事に成功したのが大きかったのかもしれないという気が(私はですが)します。

 実際、1億総中流と言われた日本に(経済)格差社会を到来させた、亜米利加に尻尾を振りまくったブッシュのポチの行った経済政策の最大の問題点は、社会全体から(特に若い世代に)将来に対する夢を持たせない社会制度に改変してしまったことで、それがぐるりと回って貧乏人が増加したことで国内市場が縮小し購買力が低下して現在に至っていると言えます。

 なるほど、努力した人に富が偏在して何が悪い!というのはもっともらしい理屈なのですが、しかしながら、1ヶ月に10万円稼いでいた人が1億円稼ぐようになったからといって、1日の食費が1000倍になるか?と考えれば、いかに経済力の平均値というか一般人の購買力が消費全体に直結しているかわかりそうなものではないかと。

 また、公共事業による経済回復の欠陥として指摘する人もいるのですが、長期化、マンネリ化することで関係者や関係団体に既得権益がはびこるようになり、特定の団体や個人への利益誘導や汚職の温床となり、投資効率が低下していく現象はバブル崩壊後の日本のあちこちで批判されるようになったのは御存知の通り ・・・ にもかかわらず、あいからわらず大規模公共投資を主張する人が絶えないあたりがこの国の限界かもしれません。

 確かに、小泉政権はろくでもない経済政策で国を衰退させたのですが、それを批判して政権を奪取した民主党に明確な経済戦略や外交戦略が無いどころか、既存の稼ぎ頭の産業を衰退させる政策を着々と実施するという国売りより酷い国滅行為を、たった数枚のマニュフェストを根拠に選挙公約だ文句があるか!と強行している現実があり、この数ヶ月の混乱だけでも今後の数年を絶望的にしたと言えます。

 ”国が滅びるなんてことがあるわけがない”と思っている人がいるかもしれませんが、世界帝国と呼ばれた国が滅んだ事例は珍しくなく、七つの海を支配した西班牙も英吉利も衰退し、ソ連は崩壊して露西亜として再編され、今や亜米利加も世界経済の主役の座から転げ落ちてドルが大暴落している現実を直視すべきではないかと ・・・ というか、既に日本の幾つかの経済指標は”貧しい国”に転落している事を如実に示しています(溜息)。

初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第667話:(2009/12/07)





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Last updated  2009.12.12 00:15:51
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