政府閉鎖
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第188話 「政府閉鎖」 政府閉鎖というのは、分かりやすく書けば、予算が成立しなかったりして資金繰りの目処が付かない場合などに国家公務員やアルバイト職員などへの給与の支払いが停止したり、光熱水道費やガソリン代などが払えなくなるため庁舎を閉鎖し公用車などを使用禁止にする状況を(概ね)意味しています。 戦後の日本では全面閉鎖というのは発生したことがないのですが、亜米利加では過去に一度あり、オバマ大統領の代になってからでも綱渡り状態になってしまったことが何度かあるのですが、まあ、亜米利加は(ある意味で政府とは無関係の)FRBが財布を握っていますから日本とは同列に語れないところがあります。 そのあたり、”政府は通貨を合法的に発行することができるんだから、金が足りないのならせっせと不足分の紙幣を印刷するだけで当座は凌げるんじゃないの?”というもっともな疑問を日本人の多くは持つでしょうが、亜米利加の場合、通貨をどれくらい供給するかといった決定を行っているのは日本で言うところの財務省(以前だと大蔵省)ではなくFRBなわけです。 もちろん、以前は、日本で言えば財務省に相当する政府機関が総てを行っていたのですが、なぜか亜米利加議会は通貨を供給管理する権利を政府組織からFRB(連邦準備制度理事会 (Board of Governors of the Federal Reserve System または Federal Reserve Board, FRB))に移譲というか手放してしまい、FRBが首を縦に振らなければ何もできなくなっているわけです。 まあ、その辺りの経緯に関してあまり詳しく書くと(中略)な部分とネタが多すぎるので、亜米利加経済を実質的に支配している大手財閥などが結託してFRBを立ち上げ、貧乏人の民意よりも自分たちに有利な経済運営を安定的に行えるように細工した結果がFRBの誕生に繋がったとだけ書いておきましょう(笑)。 表面的には、1913年の連邦準備法に基づく米国独特の中央銀行制度がFRS(連邦準備制度:Federal Reserve System、FRS)ということになっていて、連邦準備制度理事会がFRBということになるのですが、日本ではしばしば混同されていますし、学校のテストでそれ以外の答えを書いてもばってんになります ・・・ が、混同している人は珍しくありません(笑)。 亜米利加国内を12の連邦準備区に分けて各区に1行ずつ連邦準備銀行(Federal Reserve Banks, FRB)を設置するまでは良しとしても、その頂点にある連邦準備制度理事会(FRB)が財務省からは独立しているというあたりで私的には”?”という邪推ネタの定番ネタ元になっているわけです。 冷静に考えれば、第1次世界大戦前夜に相当する1913年に成立した連邦準備法がほぼ100年経過して21世になり、法律が成立した当時とは比べモノにならない経済規模となり社会情勢となっているのに、連邦準備法そのものが時代遅れというか時代合致していない代物になってしまったから別のシステムを導入とならないのが不思議な気がするのは私だけ? ちなみに、連邦準備銀行は連邦準備制度を構成する中央銀行といいながらも全国に12行だけ設置されているというのも実は奇妙な話で、亜米利加が独立当時の13州といった時代ならともかく、実質的に60州を越えている現在でも、少なくとも一つの州で小さな国くらいの経済規模があるだけに各州に1行はあるべきだと思いますが、1913年以降、なぜか増設されることがありません。 というか、なぜ12行か?という部分に関しては、”12でなければならない”からですが、経済規模に応じて設置するのではなく象徴数としての12が前提となっているため100年もの間(中略)しているのですが、連邦準備銀行は加盟銀行(連邦準備制度に加盟する市中銀行)の出資によって成立しているのが建前ですから、一応、経済のプロが財政をコントロールしていると解釈することもできます。 が、FRBの主要業務は、加盟銀行法定支払準備金の保有、連邦準備券の発行、手形割引、貸出し、公開市場操作、国庫代理店などなどで、銀行屋の代表組織が公定歩合や支払準備率の変更等の権限を持っていて、各連邦準備銀行はその監督下で業務を遂行している組織形態になっています。 ここで重要なのは、FRBが連邦準備券を発行していて、公定歩合や支払準備率の変更等の権限を持っているということで、他の国ではちょっとありえない体制になっているのは確かな話になります。 連邦準備券といわれてもピンとこないかもしれませんが、ドル紙幣のことで、早い話、ドル紙幣の信用は亜米利加政府ではなくFRBによって裏書きされているに過ぎず、中央銀行と呼称しながらも、その実態は民間の主要財閥の談合によって機能している組織に過ぎず、”より有利な投資先が現れれば”彼等がどういった(後略)。 歴史を振り返ってみると、1907年に倫敦で米国(籍)銀行の手形割引拒否に端を発して恐慌が起き、その余波で合衆国内の決済システムも混乱を起こしたことから、そういった事態への対応策を講じるという名目で、1910/11/22に、ジョージア州沿岸のジキル島(J・P・.モルガンが所有していた私有地といえば私有地)で会議が開かれ、その席でFRBの設立が決まったと言えます。 したがって、FRB構想は彼等にとって有利なシステムに従来の亜米利加財務省が主体となっていた経済システムをすり替える構想であり、実際、J.P.モルガンやポール・ウォーバーグ、ジョン・ロックフェラーといった知る人ぞ知る大財閥の大立て者達がずらりと並び、彼等の後ろ盾というよりも、彼等の子飼いであったウッドロウ・ウィルソン大統領が、1913年に、オーウェン・グラス法に署名することで亜米利加経済をFRBに売り渡してしまいます。 まさに大統領の陰謀ですが、ウッドロウ・ウィルソン大統領は、毎年、多くの上院議員が休暇で不在になる時期に犯行を強行しているのですが、クリスマス休暇中も大統領派が買収した議員だけは残らせ、反対ないし買収に応じなかった中立派といった95名の下院議員と32名の上院議員が不在で採決に参加できない状況下で、国の将来を左右する制度変更の採決を決行したわけです ・・・ まさに売国。 彼等がどう言い繕ったところで、間隙を突く形で、12月23日という異例の時期に十分に審議することも無く、反対派が圧倒的に数を減らしている状況下で、大財閥の意向に応じた大統領が亜米利加合衆国国民を大財閥集団に売り渡したわけですが、ワシントンD.C.に駐在する連邦準備制度理事会と12地区に分割された連邦準備銀行により構成される連邦準備制度が一度でも合法的に成立してしまうと、それを覆して従来の制度に戻すことは ・・・ 荒っぽい妨害工作もあったようですが ・・・ 不可能だったことは歴史が示しています。 そういった無茶をやっても、それで亜米利加の経済が発展し、市民が豊かになるのなら問題無いという人もおいででしょうが、FRBの成立と引き替えに合衆国国民が最初に受け取った大きなプレゼントは、紐育株式市場が震源地となった世界恐慌ですから ・・・。 その辺り、世界恐慌にまで発展した1920年代のアメリカの金融バブルとその崩壊に際して、連邦準備制度が明白な不作為(というよりも意図的な助長)によって事態を深刻化させ(被害を拡大させ)たと指摘する経済学者は珍しくありませんし、そもそも、十分に自分たちは準備を整えた上で大恐慌の引き金を引いたのも彼等だったという指摘は幾つかの状況証拠が示しています。 例えば、大恐慌が始まる直前までは史上空前の株高状態でしたから、大恐慌が始まる前に不要な株を売り払って資金にし、大恐慌が始まって株が投げ売り状態になり底値になったときに事前に用意していた資金も使ってめぼしい株を買い漁った連中がいたわけで、分かりやすく書けば、1株が平均1万円の時に投資目的の100株は総て売って100万円の資金を確保し、大恐慌で投げ売りになったときに市場が落ち着けば値が上がりそうな株を中心に1株1円とか10円で買ったということです。 結局、企業買収とかなんとかで乗っ取り屋とかハゲタカ呼ばわりされ表舞台で糾弾されている連中よりも、養蜂家のように蜂を適当に肥え太らせて蜜を集めさせておいてから巣箱をひっくり返して利益を手にしている連中の方がスケールが大きいということですが、彼等にとっては国家の制度や法律は蜂の巣箱や、自分で書き換えることができる蜂の飼い方説明書と大差が無く、最悪、亜米利加合衆国という巣箱の具合が悪くなれば他の巣箱へ移って同じようなことを繰り返せばいいと割り切っているところがあります。 念のために(怪しい話としては珍しく)おことわりしておきますが、別に悪の秘密結社とか陰謀論とかいった話をしているのではなく、巨額の資金が世界規模で動くということは、そういった資金の大部分を運用している集団にとって有利な環境が構築されやすく、国という単位の経済活動は次第によりワイドな彼等のルールに呑み込まれていくか、敵対するには小規模な存在になってしまうという単純な経済学上の話に過ぎません。 ちなみに、FRBが飾りで表の顔に過ぎないと私が考えている状況証拠は、これを書いている時点で、理事会メンバーが定員7名の内、5人しか選出されていないことで、亜米利加経済というよりも世界経済を事実上コントロールしていて、亜米利加の内政にも影響を与える組織の理事の席が2つも空席のままでかまわないというか問題になっていない事が、既に本当の意志決定はFRBの外で行われていることを暗示していないだろうか? で、肝心の日本で政府閉鎖という事態は発生しうるのか?といえば、時間の問題のような気もしますが、いささか込み入った話になりますので、ま、操法の時の茶飲み話で解説するとして、一般公開はここまで(笑)。 初出:一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第188話:(2011/08/13)