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カテゴリ:怪異談・奇談
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第841話 「旧善波トンネル」
首都圏3大化けトンに定番は無く、1位が”小坪トンネル”というのは異論が少なく、2位を”山神トンネル”としても、それほどブーイングを浴びないで済むかな?と私的には思っていますが、3位以降のランキング難というあたりは、他のジャンルの3大○と共通している難点かもしれません。 山神トンネルには代名詞的な怪談が無いにもかかわらず、なぜに首都圏3大化けトンの上位にランキングされるかといえば、トンネルの向こう側の廃墟と化したキャンプ場が”出る”怪奇スポットという事と無縁では無いのかもしれません。 ちなみに、山神トンネルの先にある廃止されたキャンプ場といえば、不動尻青少年キャンプ場くらいですが、このキャンプ場が廃止された関係か、山神トンネルの先の道は途中から車両通行止めになって現在では一般人がキャンプ場へ車で乗り付けることはできなくなっているようです ・・・ 行った事が無いので断言はできませんが。 いずれにしても、山神トンネル本体に関わる怪異談や奇譚の類といえば、丹沢の”0磁場”関連の話くらいのものですが、何故かトンネルの向こうにある廃墟と化しているキャンプ場という、映画”13日の金曜日”を連想するような場所を舞台にした怪異談話が一つのジャンルになるくらいあり、例えば ・・・ 自分の故郷には有名なお化けトンネルがあるのですが、自分の場合は、お化けトンネルで怪奇現象に遭遇したことは無いのですが、そのトンネルから少し先にあった廃止されたキャンプ場では一度だけ怪奇現象に遭遇したことがあります。 といっても、自分が怪奇現象に遭遇した中学1年の夏の頃には、既にキャンプ場が閉鎖されたのが何時だったのか自分たちが知らないくらい昔の話になっていたのですが、地元の学生達にとっては自転車に乗れば家から小一時間もかからずに辿り着けることから、時には日帰りで、偶に1泊して夏のキャンプごっこを満喫する遊び場になっていました。 キャンプ場が廃止された理由は良くは知らないのですが、キャンプ場からキャンプをしにきていた人が急に近くの道路に飛び出してきて交通事故が多発して事故死した人が出たからだとも、キャンプに来て、そのまま近くの雑木林で首を吊って何人か連続して自殺したからだという噂はあったのですが、何が本当の話なのかは良く分かりません。 もっとも、菓子パンに数本のドリンクと、後はブルーシートと毛布に蚊取り線香くらいをを自転車に積んだだけで廃止されたキャンプ場で一泊するような遊びを子供達がしていても、ほとんどの大人たちが止めもせず、気にもしなかったあたりからすれば、過去に事故があってもせいぜい交通事故くらいだったのかもしれません。 その時は、年齢には多少のばらつきはあったものの気心の知れた幼馴染み8人程で1泊キャンプごっこをしに行っていたのですが、自分を含めて”4人が新(中学)1年生になった記念という名目で肝試しでもしようか?という話になりかけたのですが、小さい頃からの遊び場ということもあって、”何を今更”ということにもなりました。 とはいうものの、主に菓子パンとドリンクの晩ご飯が終わったら暇を持てあますのも道理なわけで、”じゃあ、何人かで組んで、ばらばらに10分ほど好きな方へ歩いて、10分後に一斉にその場でロケット花火や打ち上げ花火を打ち上げて、どこまで行けたか競争してみようか?”という良く分からない遊びをすることになりました。 自分は、同級生のA男とB男との3人で一組になり、少し山の方へ山道を入っていったのですが、少し山の方へ入っただけで、人工の灯りは懐中電灯が一つだけになってしまい、それを持っていたのは先頭を歩くA男で、花火とマッチを持ったB男が真ん中、腕時計をしていた自分は事実上手ぶらで最後尾を歩くことになりました。 そんなわけで、自分の後ろから誰か来るということはまずありえなかったのですが、しばらく歩いていると、自分のすぐ横の藪の中を誰かが歩いているような気配がするようになり、藪の中を何かが移動しているような音が聞こえたような気がして、恥ずかしながら自分はパニックに陥って、一人でキャンプ場の方へ走って逃げ出してしまいました。 正確には、キャンプ場の方へ走って逃げ出したつもりだったのですが、暗闇の中を星明かりだけを頼りに走ったためか、どうも途中で横道に入ったようで、少し下り坂になっている場所で足をなにかに取られれて大転倒をして正気に返った時には、キャンプ場の前を横切るように通っていた道路のすぐ傍で、丁度、目の前を中型の貨物トラックが横切っていきました。 もちろん、場所的に考えて自分達が入っていた山道から、キャンプ場の前を走っている自動車道路までそうそう簡単に辿り着ける位置関係ではありませんでしたが、自分が道路脇でへたりこんでいる間に10分の時間が経過したのか、ロケット花火や打ち上げ花火の音が聞こえてきたのを覚えています。 ちなみに、道路脇にへたり込んでいる自分を最初に発見したのは、自動車道路をさらに先の方まで進んで花火を打ち上げてからキャンプ場の方へ戻って来ていた集団で、彼らに合流してキャンプ場に戻ったら、自分と一緒の組だったA男とB男が残りの組の連中と一緒に急に行方不明になった自分を探す相談をしているところでした。 自分の話や、自分を発見した組の証言などから、昼間でも5分やそこいらで移動できる距離ではない事だけは皆が納得したのですが、とりあえず、明るくなってから調べてみることにして、その夜はそのまま寝ることになったのですが、それ以上の奇妙な事は起こりませんでした ・・・ 起こっていても、あっという間に寝てしまった自分には分かりませんでした。 翌朝、家へ帰る前に、とりあえず、自分が昨晩発見された道路脇まで行ってみようということになったのですが、明るくなって現場を見てみると、そこに山の方から出るには、3メートル近い崖から飛び降りる必要があり、何かに足を取られたような気がしたのは崖から落ちたのを勘違いしたのかも?という事になりました。 ただ、明るくなって分かった事は他にもあって、その近くに小さな石のお地蔵様が祭ってあったり、ドライフラワーのようになった花が刺さっている薄汚れたガラス瓶が幾つか置いてあったことで、キャンプ場でキャンプをしていた人が交通事故に遭って亡くなったという噂に何らかの元になる話があったのではないか?ということにもなりました。 ・・・ とかいった話になるわけです。 話を実在する化けトン関連に戻すと、今回のお題でもある旧善波トンネルは3大化けトンに入っていることもあったのですが、現地を訪れて首を傾げる人が次第に多くなり、近年はランキングから外れる事が珍しく無くなってきているようです。 場所は、神奈川県伊勢原市善波を通る国道246線ですが、この旧善波トンネルには”「じゅんいち」という名前の少年の幽霊が出る”ということになっていて、その慰霊を兼ねて。「もう死なないで準一」と書かれた看板がトンネルの近くに設置されている(いた)そうです。 此の辺り、怪異談というより都市伝説の範疇のような気もするのですが、”準一という名前の高校生が旧善波トンネルをバイクで通っていて事故死し、それ以後、トンネルを通過するドライバーの中に少年の姿を目撃する人が後を絶たなくなった”という話が多いようです。 そして、その少年の幽霊が出るという噂を聞きつけた、準一君の両親が”もう死なないで準一”と書いた看板を設置した ・・・ と話が続くこともあるのですが、我が子を交通事故で亡くした親が書いたとすると、既にお子さん(準一君)は亡くなられているわけですから、看板の内容に疑問が残ることは指摘するまでもないでしょう。 事の真偽がいずこにあるかはともかく、既に、その看板は無くなっているそうで、今となっては、旧善波道路の別称として準一君道路という別命が怪奇スポットを取り上げる書籍やHP、ブログなどに登場する程度の話になっています。 ちなみに、順一君の話が都市伝説の類としたのは、看板が設けられた理由が複数語られている為で、”実は ・・・”とか”真相は ・・・”といった新しい話が未だに増殖しているようで、それこそ創作怪異談の見本市のようになっているのは御存知の通り。 もっとも、そんな異説の中で、比較的早い段階から囁かれていたのが、旧善波トンネルの周辺で交通死亡事故が多発したことがあり、その被害者の名前に不思議なくらい”じゅんいち”という名前が多く、何かの因縁があるのかもしれないということで、”ジュンイチ”という名前の人に注意を喚起してもらうために設置した ・・・ だから看板の内容が今ひとつ良く分からないのだという説。 ただし、実際に旧善波トンネルを訪れた人が化けトンのランクから外す理由が”とても幽霊の類が出るとは思えない周辺環境”だからだそうで、確かに、異様な数のラブホが密集して街を形成する地域ですから、幽霊がどうこうといわれてもねえ? また、旧善波トンネルということは、新善波トンネルも既に完成しているということですが、旧善波トンネルは老朽化ががかなり進んでいるのか、煉瓦造りのような壁には漏水がかなり全体で出ているようで、幽霊がどうこうというよりも、物理的に大丈夫か?と心配されるトンネルになりつつある気がしないでもありません。 もちろん、すぐに崩落するとか言っているのではないのですが、ただ、新善波トンネルが開通したこともあって、その用途となると、ホテル街からホテル街への連絡通路くらいなのではないか?という気もしますから、首都圏屈指の怪奇スポットと言われても、”う~ん”というのが現地の状況を見ての感想になってきているのかもしれません。 初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第841話:(2010/06/28) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010.07.03 00:15:41
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