2611871 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

一夢庵別館

一夢庵別館

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

K.Mark

K.Mark

Rakuten Card

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

背番号のないエース0829@ あだち充 「タッチ名言集 ~ 西村勇 ~ 」に、上記…
背番号のないエース0829@ カトリック 「聖バレンタインデー」に上記の内容につ…
はうリング@ 困ったものです。 はじめまして。 いつも、興味深く拝見さ…
pintu7923@ こんにちは。  掲載が停止したときには、今回の事態の…

Freepage List

Headline News

2010.11.14
XML
カテゴリ:昔話・物語
マは漫画のマ 第93回 「動物のお医者さん」 佐々木 倫子(ささき のりこ)

 いささかマニアックな話になるのですが、日本の大学の農学部というのは、1876年に開校した札幌農学校(現在の北海道大学)、1877年に開校した三田育種場、1878年に開校した駒場農学校(現在の東京大学)が源流とされ、戦前、日本で農学部を有した大学は、東京帝国大学、北海道帝国大学、京都帝国大学、九州帝国大学、東京農業大学の5校だけだったりします ・・・ まあ、戦前の帝国大学を戦後の大学と一緒にしていいかどうかは微妙ですが。

 したがって、戦後、旧制専門学校などから昇格をして農学部を創設した大学の方が多いのですが、それでも獣医師の養成となると、犬猫などのペットが主ではなく、馬や牛、羊などの(大型)家畜の治療や繁殖を前提としていたそうです。

 獣医学部として農学部とは別の学部として独立している大学(これを書いている時点だと、北海道大学、酪農学園大学、麻布大学、日本獣医生命科学大学、北里大学の5大学)や、戦後でも創設が古い国立大学の農学部の獣医学科の場合は獣医師免許取得課程がある事が多く、その場合は、医学部、歯学部、薬学部などと同じように(4年制から)6年制になっています(ただし、獣医師の管轄は農林水産省)が、いずれにしても国家試験に合格しないと獣医師にはなれません。

 それはともかく、私が大学生だった頃の北海道では(その耕地面積から考えれば)ほとんど稲作が行われていないに等しい時代でもあり、相対的に酪農や畑作が盛んな分、獣医師のニーズが高い地域だったのですが、その後、寒冷地栽培に適した”きらら”など稲の新品種が普及し、地球温暖化の影響もあってか北海道の稲作は味も品質も収穫量も向上していくのですが、それは”動物のお医者さん”が連載されていた時代よりも少し後の事になります(笑)。

 また、”動物のお医者さん(昭和62(1987)年~平成5(1993)年)”の頃は、まだバイオテクノロジーも黎明期ですが、それこそルパン三世の最初の劇場版”ルパンVS複製人間(1978)”が世間一般では”絵空事”と思われ、遺伝子工学関連の状況を多少なりとも知っている人達の間では”近いところまでは十数年程度でいってしまうのではないか?”と囁かれていた時代だったりします。

 ちなみに、農学部は1990年代に入った頃から学科の改変が進んだ学校が多く、その原因の一つに遺伝子工学の急速な進歩とバイオテクノロジーに象徴される ・・・ 漫画でいえば”もやしもん”がわかりやすいですが ・・・ 菌類や発酵、遺伝子研究といった分野と、コンピュータ関連の急速というか劇的な進化と情報通信ネットワーク利用の普及というのがあります。

 その後の経緯としては、インターネット関連の説明は不要でしょうが、クローン羊のドリーが誕生したのが1996/07の事(死亡は2003年2月。死後、剥製にされて英スコットランド国立博物館で2003/04/09に公開された。)ですから、1980年代中旬からの20年間程のIT技術の進歩と遺伝子工学の進歩などで、少なくとも世界の農業は根底から変質してきていて(以下略)。

 いずれにしても、高校生の時に帰宅の近道としてH大学獣医学部の敷地を通り抜けようとして、獣医学部病院学講座の教授でH大付属家畜病院の病院長を兼務し、阿弗利加が大好きな漆原信(うるしはら まこと) から、有耶無耶の内に子犬(後のチョビ)を押し付けられたのをきっかけに、動物の治療費が浮くし家から近いといった程度の動機でH大学獣医学部病院学講座へ進んだのが、”動物のお医者さん”の主人公である西根公輝(にしね まさき)“ハムテル”のプロフィールですが、H大学獣医学部の(当時の)難易度を考えると、”家から近いから”というだけで合格できるお気楽な学部では無かったことは明記しておきます(笑)。

 逆に、”動物のお医者さん”の大ヒットは、H大のモデルとされている北海道大学獣医学部の志願者数を激増させてしまい、結果的にハムテルの頃より確実に難易度が上昇してしまったのは御愛敬というものでございましょう。

 一応、原作の漆原信のモデルは、北大名誉教授である橋本信夫先生というのが定説ですが、まあ、何事にも深く触れない方が良いことというのは(以下略)。

 なお、社会現象化したということでは、”動物のお医者さん”のヒロイン(?)で犬の”チョビ”がシベリアンハスキーという極北の地でソリを引いているような寒冷に強いタフな大型犬だったことで、シベリアンハスキーの大ブームが起こったのですが、いざ飼ってみて成長してくると、その無駄な体力と大量の糞という現実に圧倒された人は珍しく無いようです。

 ちなみに、他の登場人物としては、ハムテルの高校時代からの友人で主体性のない金魚の糞こと、二階堂昭夫(にかいどう あきお)が良く出てくるのですが、小さければなんでもチョビと呼ぶ癖があることから、間接的に犬のチョビの名付け親となった事で知られ、最終的にハムテルと一緒に開業するあたりで物語の終わりまで登場しています。

 一応、キャンパスものですから恋愛話もあってよさそうなものですが、まあ獣医学部や獣医学科は勉強が忙しく実習も多いとしたものですが、お相手役になれそうでなれなかったのが獣医学部公衆衛生講座の院生でハムテル達の先輩になる菱沼聖子(ひしぬま せいこ)で、在学中に有用な遺伝子を2度発見したり遺伝子組換えに使う大腸菌を培養していましたし、最終的に製薬会社に就職しましたから、その後の事を考えると一番の王道を邁進した可能性が高いことになるのかなと。

 なお、菱沼は体温計に表示されないほどの低体温に象徴される特異体質生物としても知られ、物語が進むほど人間離れした特性とそのエピソードが追加されていくのですが、そうなればなるほど色っぽい話とは別の色物ヒロインになっていっただけに、”その後”が心配されるキャラの一人でございましょう。

 本作は、2003年に実写TVドラマになったのですが、北海道関連のエピソードやハムテル家のエピソードなどの大半が改変されたことなどに原作ファンの大半からブーイングが出たことで知られ、”素直にアニメにしておけばよかったものを”という気がしないでもないのですが、原作の妙なリアリティは、読者からの手紙の類を採用した結果だったようで、自分で無理にエピソードを捻り出さなくても実話をアレンジすることでなんとかする手口で初めてヒットした漫画になるのかもしれません。

 というか、いわゆる聖地巡礼の始まりとなった少女漫画のような気がしているのですが、旭山動物園がまだ全国的にはマイナーだった時代に、A山動物と言われてピン来た人がどのくらいいたかは定かではありません。

 定かではないといえば、そこにどのような経緯があったのかは定かでは無いのですが、動物のお医者さんの連載が終わったあたりで白泉社から小学館へ移って連載した、”おたんこナース(1995~1998:原案・取材小林光恵)”もヒットするのですが、その後の創作活動は盛んとは言い難いペースということもあって、”やはり物語を作るのが苦手なのか?”と勘ぐるに足りペースで今日に至っているのは御存知の通り(大笑)。
 
(2010/11/14):マは漫画のマ 第93回 「動物のお医者さん」:書き下ろし。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2010.11.14 06:09:58
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.