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2011.05.27
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カテゴリ:魚介類
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第116話 「ガゴメ昆布」

 昆布(こんぶ)は北海道のイメージが強いのですが、不等毛植物門褐藻類コンブ科コンブ属の海藻ということになるものの、正確には”コンブ”は総称にすぎず、学術的には、マコンブやリシリコンブ、オニコンブ(羅臼昆布)、あるいはガゴメ、意外なところではアラメやカジメといった固有の名前を持っているのですが、広義に近縁な海藻も昆布と総称しても、それで数千年くらい特にトラブルも起きていないようです(笑)。

 とは言っても、マコンブなどが属するコンブ属をはじめ、ガゴメなどが属するトロロコンブ属くらいが昆布といったときに一般人が思い浮かべる品種でしょうし、広義に解釈すれば、ワカメが属するアイヌワカメ科も昆布の近縁といえば近縁になります。

 日本近海だと、マコンブ、リシリコンブ、ミツイシコンブなどが食用種としてよく知られているのですが、いずれも寒流の影響の強い北海道や東北地方の海岸に分布していて、だいたい低潮線以下の岩上にはえていることが多いようです。

 と書くと、”低潮線って?”と自分で調べずに質問してくる横着者が珍しく無いのですが、海と陸の境目といいましょうか、干潮の時に海面と陸地とが接している線(低潮海岸線)のことで、逆に満潮の時に海面と陸地が接する線は高潮線ということになります。

 干潮によって形成されることから干出線(かんしゅつせん)といういささかマニアックな呼び方もあるのですが、大潮や小潮に代表されるように干潮や満潮の水位というのは毎日微妙に変化していますから、厳密なことを言い始めるとかなりややこしいことになります。

 実際、小潮の平均低潮面に基づくか、大潮の平均低潮面に基づくかで海図などにも影響が出そうなものですが、安全第一ということで、海図においては、世界的に年間を通じての最低低潮面をもって”水深の基準面”としていて、領海条約並びに国連海洋法条約における低潮線もまた、最低低潮面が陸地と交わる線ということになっています。

 念のために書いておくと、海図における海岸線は最高高潮面と陸地の交わる線が採用されていて、陸地の面積が一番小さくなる海水面の高さで描かれていることになります。

 もっとも、実際には満潮、干潮になる時間は場所によって異なりますから、実際には海図のような状況になることがありえない海に面した国も珍しく無いのですが、近年では大陸棚の領有権などと絡んで用いられることがあるので、常識っちゃ常識ですが、ほとんどの人には一生縁が無い用語かもしれません。

 それはともかく、昆布の長さは1メートルを越える種が多く、中にはナガコンブのように約30メートルに達するものもあるのですが、北海道では真昆布や羅臼昆布を頂点に日高昆布(三石昆布)や利尻昆布などが高級ブランド品として知られていますが、いずれも夏の土用が近くなると昆布が成熟することから、7月20日前後の解禁日になると漁船を出し、ガラスメガネで海の底を覗きながら、カギ棹(先がL字に曲がった長い棒ですな)やネジリ棹(少し深い場所の昆布を採取する先がTの字状の長い棒)で昆布の根元を絡めて巻き取って採るのが一般的です。

 魚を獲るわけでは無いのですが、船で一斉に海に出ることから昆布漁と呼ばれることが多いのですが、別の採取方法としては、日高沿岸など太平洋岸では時化(しけ:海が荒れること)で海岸に寄ったコンブを拾う”拾いこんぶ漁”が周年行われていて、マッケ(小型の碇ですな)を岸から海というか昆布の中へ投げ込んで引っかけて獲ることが多いのですが、なかなかの重労働ということもあって後継者不足が深刻なようです。

 ちなみに、天然の利尻昆布は、さらに細分化され、利尻産、礼文産、稚内産の順で上質とされているのですが、利尻島の天然昆布(リシリコンブ)が一般市場に出回ることはまずなく(ほぼ、古くからつき合いのある京都の料亭などにまとめ買いされている)、一般で入手可能な天然利尻昆布と言えば稚内産あたりがやっと入手可能というのが現状かもしれません。

 真昆布は主に津軽海峡から噴火湾沿岸で獲れる道南産のコンブの総称で、地域によって銘柄や格付けが細かく分かれていて、旧・南茅部町周辺(現・函館市)の「白口浜」という真昆布が最高級品とされているのですが、まあ、ランキングの詳細を説明できるとも思えませんので、だいたい大阪人が昔から好んだ昆布という程度で以下略としておきます。

 その意味では、関東で好まれた昆布がオニコンブ(羅臼昆布)で、関東や富山県が一大消費地になっていますが、少し出汁が濁るものの、濃いこくのある出汁が取れるのが特徴で、早く煮える日高昆布、上品な出汁が出る利尻昆布といった具合に、品種が違うことが多いだけに、地域ごとに同じ”コンブ”と呼ばれていても、特性が異なり使い分けられています。

 なお、沖縄でよく食べられている昆布は、釧路地方で多く獲れるナガコンブが多いそうで、全長が15メートルくらいになり生産量が最も多いのですが、旨味が今ひとつということで一般向けの廉価品とされる事が多く、廉価な分、大量に消費されてほとんど野菜と同じ感覚で料理に使われ地得るのは御存知の通り。

 で、今回のお題にしたガゴメ(Kjellmaniella crassifolia:籠目昆布)で、 葉(葉状部)の表面に籠の編み目のようなでこぼこ模様があることが名前の由来とされているのですが、北海道函館市の津軽海峡沿岸から亀田半島沿岸(旧南茅部町)を経て室蘭市周辺(噴火湾を除く)が主産地で、他に青森県三厩から岩屋にかけてと、岩手県宮古市重茂あたりに自生していることが知られています。

 海外でも、樺太南西部、沿海州、朝鮮半島東北部などに生育が確認されているのですが、そもそも昆布をありがたがって食べる民族が極めて限られている上に、ガゴメ昆布が出汁をとる用途には向かなかったことから日本でも昔は雑海藻とされ、マコンブと生息域が重複するような場合、一緒に採取しても捨てられることが多かったのですが、水深10~25メートルくらいに多く分布しているようです。

 ガゴメの寿命は3~5年程とされ、長さは2メートルくらいになるのですが、真昆布や利尻昆布といった“だし昆布”と比べてネバリが強いことから出汁昆布としては商品価値が低かったのですが、「フコイダン」という粘性多糖類が多量に含まれていることが分かった途端、価格が急騰したことで知られています。

 乱獲されたこともあって、生産量は最盛期の10分の1程度まで落ち込んだのですが、フコイダン絡みでニーズが増大していることから、今後は養殖で大量栽培される可能性も高いのではないかと思われます。

 ちなみに、フコイダン(fucoidan)は、硫酸多糖の一種で、コンブ、(メカブも含む)ワカメ、 モズクなどの褐藻類の粘質物に多く含まれるのですが、なぜか類似の物質がナマコなどの動物からも見つかっているのですが、ウプサラ大学所属のスウェーデン人科学者 H・Z・キリンが発見したのは1913年のことですから、存在は100年くらい前に知られていたことになります。

 ターニングポイントになったのは、1996年の日本癌学会で制癌作用が報告されたことで、2005年にF-フコイダンが悪性リンパ腫の細胞にアポトーシスを起こさせることが発見され、なぜ国費を大量に投入して天然の抗ガン剤として早期に実用化しないのか?という声が上がったのですが、いろいろなオトナの事情があるようで、健康食品業界などの方が早く動いているようです。

 逆に言えば、医薬品扱いされなかったことで健康サプリメントとして普及した結果、効能として”肝機能の改善”、”血圧の上昇を抑える”、”アレルギーの軽減”、”コレステロールの低下”、”癌の経過が良い”といった利用者の”経験談”が多数寄せられることとなったのですが、政府の検証や認証の速度は ・・・ 少なくともバイアグラの輸入を許可した処理速度よりは遅いようです。

 なお、これを書いている時点で、常連さん達にコンブやワカメなどの海藻を毎日少量でも食べることを推奨しているのですが、味噌汁の浮き実でも、昆布茶でも、コンブの佃煮でも食べないよりはマシです(笑)。

 私的には、便が顕著に変化することからガゴメキャラメルがお気に入りだったのですが、姿を見かけなくなって久しく、その後、これといった代替のガゴメ商品に遭遇していないのですが、日常的に購入して摂取できる安価な食品でなければ存在していても意味がないというか、仮に不老不死の丸薬やポーションが実在しても一つが10億円だったりすれば、あってもなくても同じモノに区分されることは言うまでもありません。

 その意味では、最先端の癌治療の中に健康保険の対象外というものが含まれているというか珍しく無い現状というのも首を傾げるところで、結局、最先端の医療は金持ちしか受けられなくなっているのではないか?という疑問がここのところ大きくなっているのですが、利権と思惑が複雑に絡む業界にあれこれ言うだけ野暮なので、今回はここまで(大笑)。

初出:一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第116話:(20111/05/21)





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Last updated  2011.05.27 00:55:03
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