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2012.01.25
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カテゴリ:神秘学
一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第324話 「大天使学」

 天使は、”(神の)使者”で霊的な存在と解釈されることが多いのですが、中東の三大宗教であるユダヤ教、基督教、イスラム教の全てで同じような存在が信じられている希有な事例と書いて良いようですが、英語の”angel”に関しては、”使徒”を意味するギリシア語の”angelos”に由来するようです。

 当初は、特に明確な区分などはされておらず、その形状に関しても諸説あるのですが、中世スコラ神学の頃から、ディオニュシウス・アレオパギタ,トマス・アクイナスらが(何を根拠にしたのかは知りませんが)精緻な天使論を展開するようになり、形状による分類や天使の組織体系に関して”いかがなものか?”な説を真顔で主張しています。

 そもそも、天上界がピラミッド形の組織になっているのかどうか?が謎で、天使の序列や所属する階級を誰がどうやって決めたのか?も謎ですが、天使の組織図が形成されると対になる悪魔の組織図も形成されるようになり、善の象徴としての天使、悪の象徴としての悪魔が、それぞれ軍団を形成して殺し合いを続ける異様な宗教観が確立していきます。

 興味深いのは、その過程で初期に天使とされていた裸体の人形で翼を持っていて空を飛ぶ生き物が人魚へと変貌し、いつの間にか白い巨大な翼をはやして人間のような着衣や甲冑を身に纏った天使が天使の主流になっていったことで、まさに軒先を貸して母屋を盗られた感があります。

 天使が服や鎧甲冑を身に纏っていることがあるとして、ではいったい誰がそれらを作ったのか?仮に請け負っている人がいたり、特定の組織が内々に奉納しているとするならば、時代と場所が異なれば天使達のコスチュームも違ってくるのではないのか?素朴な疑問である。

 天使の中で、その外観上の違いから特定されていたのが6枚の羽根を持つ赤い天使のセラフィムと4枚の羽根を持つ青い天使のケルビムぐらいで、識別しやすいこともあってか、だいたいこの2人から天使を識別する話が始まることが多いのですが、時代が下がると目撃されなくなっていったためかセラフィムとケルビムを混同している区分や、羽根の多い大天使という明かな矛盾を抱えた絵画などが珍しくなくなっていきます。

 一応、一般的な区分としては、上級3隊に熾(し)天使(セラフィム)、智天使(ケルビム)、座天使が属し、中級3隊に、主天使、力9天使、能天使が、下級3隊に権天使、大天使(ミカエル、ガブリエル、ラファエルなど)が属していることになっていて、天使業界全体ではピラミッド形の9階層の階層秩序を形成し、下っ端ほど直に人間に種々の働きかけをすると考えられているようです。

 逆に言えば、大天使というのは現場担当の下っ端で、下級の第2隊に所属していることになっているのですが、本来の羽根の数は1対(2枚)で、ヨハネの黙示録など”最後の審判”でお馴染みの7人の天使というのは大天使のことと解釈されているのですが、それでいて、基督(教)の守護者であるかのように扱われることも珍しく無く、例えば、ピエタや基督の磔などの宗教絵画を描くときに基督を大天使達が取り囲むように描くことが12~13世紀頃から定着していきます。

 問題は、天使の歴史が基督の誕生以前に遡ることと、基督が磔にされた後でも、ビザンチン~ロマネスク~ゴシックと、時代ごとというか文化ごとに異なる姿や解釈で描かれていることではないかと思うのですが、考えてみれば、基督本人は偶像の崇拝を明確に否定しているわけですから、天使を描くだけでなく、描いた天使に祈りを捧げるってどうなのよ?という気がしないでもありません。

 私が長らく疑問に思っているのは、基督教があたかも自分たちの独占物であるかのように宗教絵画などに多用している”天使”は、古代に実在したのではないか?という事で、例えば、ギリシャ神話などに登場するセイレーンセイレンや、古代エジプトがらみのスフィンクスなど、上半身は女性で1対2翼を有し下半身は鳥(ないしライオンなどの獣)の異形の生命体が希に棲息していて、空を人が飛んでいるように見えたのが天使の始まりだったのではないか?ということです。

 というのも、セイレーンはギリシア神話において、上半身が女で下半身が鳥の姿をした海の怪物(というか水鳥)の一種でスキュラとカリュブディスの近くの(アンテモイッサ)島に住むとされているのですが、複数形でセイレネスという呼称があることから単独で棲息しているのではなく一定規模の群れないし雌雄のつがい、或いは子連れで棲息していたと考えられるのですが、美しい歌声で近くを通りかかった船乗りを魅了し、セイレーンに殺された船人たちの死体が島に山をなしていたとされています。

 ギリシャ神話などでは、オルフェウスやオデュッセウスは事前に授けられた秘策でその歌声に抵抗し通すのですが、大同小異の話というか、独逸のライン川のローレライの伝説にみられるように、後の、人魚や水の精の絡む話の原型となっているのですが、次第に魔物としての特性が強調されるようになっていったようで、英語の”サイレン”の語源になっているといわれても、”空襲時など非常警報などで鳴り響くサイレンの音の何処に魅了されるのか?”私には謎です。

 エジプトのスフィンクスは、三大ピラミッドの近くで狛犬のように座り込んでいる人の顔に獅子の体のスフィンクスが有名ですが、ピラミッドがそもそも何のために建設されたのか定説が無いくらいですから、それよりも古いと考えられるスフィヌクスが何の目的で造られたのか?に関して、万人が納得する明快な解答は無く、”気が付いたときにはそこにあった”というのが現実のようです(笑)。

 ちなみに、胴体が獅子で頭部が羊の羊頭(クリオ)スフィンクスはカルナック神殿の参道に該当する部分に整然と並んでいたのですが、カルナック神殿の主祭神である神々の王であるアメン・ラーの聖獣ですから辻褄は合っているようですし、他にも鷹の頭に獅子の体といった事例もありますから、本来は異なる獣や鳥の頭が獅子の体に着いているパターンが主流で、どちらかといえばグリフォンに近かったのではないか?とも考えられます。

 なお、ピラミッドの側の大スフィンクスに関して、顔のモデルとされるカフラー王が造ったのではなく、カフラー王は顔の部分を自分に似せて作り替えただけという疑惑が囁かれていて、その根拠として、他のファラオというか、カフラー王にしたところで他に自分の顔に似せたスフィンクスを量産していない現実があり、ピラミッドでさえ異なる王様が異なる時代に建設したとされているのに、スフィンクスはなぜそれぞれのファラオが自分の顔に似せて似たようなサイズで建造しなかったのか?

 素直に考えれば、カフラー王の頃には既に大スフィンクスは建造されて数千年が経過していて、その由来を知る人どころか記録さえ無くなっていたものの、取り壊すのも手間が掛かりますから、あたかも自分が建造したかのように頭部だけ改造して擬装したのではないか?と考えることにさほど無理は無いのではなかろうか?

 歴史家のヘロドトスは、著書の”歴史”の中で人頭で獅子の体のタイプのスフィンクスを、アンドロスフィンクスとしているのですが、前述したように、ヘロドトスも獣や鳥の頭に獅子の体のスフィンクスの亜種というか同属と考えていたことになるのですが、ここで肝心なことは、エジプトにおける人頭で獅子の体のスフィンクスは男性というか雄しかいないということで、数も限られていることです。

 ギリシャのスフィンクスになると、女性の頭に胸に2つの乳房を持つ獅子の体の怪物がスフィンクスと呼ばれていて、その背中に1対の羽根が生えているあたりでほとんど別種になっていますし、プリニウスの”博物誌”においても、スフィンクスはエチオピアに棲息する怪物の一種として”胸に二つの乳房を持った赤毛の獣”と解説されていますから、エジプトの雄のスフィンクスの方が少数派なわけです。

 というか、いささか本末転倒な話になるのですが、スフィンクスという名称が、そもそもギリシャ語で”絞め殺す者”を意味する言葉で、エジプトで”人の頭に獅子の体”という点では共通している雄のスフィンクスに遭遇したギリシャ人無いし、ギリシャ語を母国語とする人が、スフィンクスの名称をピラミッドの側で鎮座していた座像にも適用し、それが一般化した頃には、そもそもエジプト語で何と呼ばれていたのか?まで謎になってしまったようで、少なくとも大スフィンクスにはエジプト界隈の言語で別の呼び名があったのは確かな話になります。

 となると、女性の顔で、雌ライオンとは違って腹部ではなく胸の部分に2つの乳房があり、それでいて胴体は獅子の形状に近く(ただし、尻尾は蛇に似ているという説もある)、2枚の羽根を持ち、人の言葉を話してかなり高い知能を有するのは、テーバイ伝説において、通行人に謎々を仕掛けて、謎が解けなければ食べてしまう有名な話でも明かでしょうし、その謎をオイディプスが解いてしまうと崖から身を投げて死ぬという結末からも、オウムのように訳の分からないまま同じ言葉を繰り返して話しているのでは無く高い知能があると考えられていたことになります。

 ただ、崖から身を投げて死んだということは、空は飛べなかったことになるのですが、まあ、ドラマ性を求めれば謎を解かれて飛び去るより、崖から身を投げて死んだ方が劇的ではありますな(笑)。

 ここまでくると、ギリシャにおいて、スフィンクスとセイレーンが極めて類似した形状や能力を有することに嫌でも気が付いてしまうのですが、興味深いのは、それまで上半身が女性で羽根を有し下半身は鳥の姿とされていたセーレンが、12~13世紀頃から突如として、下半身が魚の人魚の形状とされるようになってしまい、時期的に天使たちの形状分類や天使業界の仕組みなどが熱心に行われるようになったのと符合しているわけです(疑惑)。

 元来、天使には男女の性別は無く両性具有であるとする説もありますし、女性のような外見の天使の絵も少なからず存在しているのですが、12~13世紀を境に、男性の顔と外見に統一され、いわゆるキューピッドにしても(私の知る範囲では)もっぱら男の子の形状で描かれるようになっていくのは御存知の通りですし、人魚化していったセイレーンは急速に妖怪化が進み、知能の低い化け物のような扱いになっていくのですが、その辺りの話はまた別の機会に。

 更に困ったことを最後に書いておくと、天使の形状に関して、ソモソモの使徒(ange)は人と同じような形状をしているとは限らず、人と同じような形状をしている使徒もいるというのが正しい解釈になるのですが、その辺りの話もまた別の機会に ・・・ 覚えていればですが(笑)。

初出:一夢庵 怪しい話 第4シリーズ 第324話: (2012/01/19)





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Last updated  2012.01.25 00:25:07
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