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帰ってきた怪しい話　第0005話　「あなたの生活用水にどうぞ」

帰ってきた怪しい話　第0005話　「あなたの生活用水にどうぞ」＊政府が海洋放出を決めた東京電力福島第1原発の汚染処理水に関して、大阪府の吉村洋文知事が2021年4月13日、「政府からの要請があれば大阪湾での放出も真摯（しんし）に検討したい」と述べた。　最初に指摘しておきたいのが、「福島原子力発電所の施設が面しているのは”太平洋”であり”外洋”」であるのに対して「大阪湾が属しているのは”瀬戸内海”という名称で知られる”内海”」という無視できない違いがあるコト。　わかりやすく例えると「太平洋」が「大規模な露天風呂」とか「源泉かけ流し式の温泉風呂」とすれば、瀬戸内海は「水を張った洗面器」ということで、一枚ものの世界地図で、太平洋と瀬戸内海の大きさを比較してみれば、太平洋と瀬戸内海の表面積の違いだけであっても”確かにこれほど大きさの違う海を同列に考えるには無理があると言う人の方が多いと、私は思います　・・・　吉村知事は”海”と名前に付いているから同じと考えているようですが。　念のために書いておくと、瀬戸内海は西の端は豊後水道、東の端は紀伊水道と呼ばれる海域というか海流域で蓋をされている一種の底の浅いプールのような形状をしているだけに、「瀬戸内海の海水が入れ替わるのに四半世紀（かそれ）以上の時間が必要」とする説があります。　これに対して、福島沖の太平洋の場合、日本海溝やマリアナ海溝といった深いところだと一万メートル級の窪みというか南北に長く続く溝が海底に生じていたりしますから、海を表面積でなく海水の体積で比較すると　・・・　やっぱ、吉村知事ってコロナ対策が忙しすぎたからか頭が（以下略）。　というか、汚染処理水の問題でなぜかトリチュウム（だけ）が問題であるかのような印象操作がおこなわれている気がしないでもないのですが、半減期から考えても”ストロンチュウムやセシュウムの（推定）海洋投棄総量は”現段階でどのくらい”で、”最終的な投棄総量はどのくらいになる見込み”なのか？を抜きに”薄めて海洋投棄する”と言われてもねえ？　私の頭では、太平洋に限定しても海水の総量で考えると、”汚染処理水を、３倍に薄めても、３０倍に薄めたとしても、それって誤差と言うか気休め程度の差じゃね？”という気がしているのですが考えすぎの気のせいなのでしょうか？　確かに、逆に３倍濃縮されている”めんつゆ”の類だと原液は濃くて飲めたものではなくても、水で３倍に薄めれば美味しくいただけますから、汚染処理水にしても３倍とかに薄めれば放射性物質の毒性などに劇的かつ顕著な変化が生じる可能性があるのかもしれません　・・・　宇宙船「地球号」といった例え話があるように”閉鎖系の自律循環型自然環境下”が前提である以上、水で薄めても総量は変わらない気が、私は、しますが。　まあ、それ以前に”瀬戸内海は別に大阪府だけの領海ではない”ということも前提としてある以上、「瀬戸内海に原発関連の汚染処理水を量や年などのリミットさえ明示しない（＝最悪の場合、天井知らずの投棄量になりかねない）ままで、大阪府知事が何を好き勝手なことを公言しているのか？　それとも、大阪府知事は、大阪府民の（最低でも）過半数以上の同意を既に得ていて、和歌山、徳島、兵庫、香川、岡山、広島、愛媛、山口、大分といった瀬戸内海に面している県の県知事に根回しを終えて同意も得た上での発言なのか？　それこそ、道頓堀に流し込んで淀川水系から大阪湾へ汚染処理水を、海水が外洋より入れ替わりにくい内海へと注ぎ込みことに大阪府民が全員賛同しても、私は瀬戸内海賊の末裔の一人として明快に反対します　・・・　瀬戸内海への放射性物質の定期的な放出は愛媛県の伊方原発関連だけで十分じゃね？そんなに大阪府知事が汚染処理水を瀬戸内海へ放出したいのなら、まず大阪城あたりに原子力発電所を建設して運用すればいいんじゃね？　ま、それはそれとして、東京オリンピックに〇兆円単位の税金をじゃぶじゃぶと不明瞭に注ぎ込むよりも、その金を放射性物質を濾過する技術や素材開発などに注ぎ込まないのか？？も謎で、既にあるものでなんとかではなく、新しく開発してなんどかと考えもしなくなった日本という国は、昔は技術立国だった国でいいのか？　東北震災当時、連鎖して福島原子力発電所事故が発生し、あのまま炉心温度の上昇が止まらず臨界から爆発（＝放射性物質の急速な広域拡散）まで状況が進んでいたら”首都圏を含む東日本の太平洋側に数世紀という単位で人が住めなくなる”という推定話は冗談でも絵空事でもなく、本当に”あの時”は首の皮一枚を残して助かっていただけだったという自覚を日本人はしっかりと持つべきですし、義務教育で教え込み、大学入試でも必ず出題する程度のことを国策として実施すべきだと、私は、思い続けています。　実際、”あの時”、某・政治家は”ただちに自分の家族は海外へ逃がした”にも関わらず、公式のアナウンスの場では”ただちには危険というわけではない”といった主旨の発言を延々と繰り返していたというのは比較的知られている話ですが、後年、なぜ首都圏を含む関東圏に”避難勧告”を行わなかったのか？と聞かれて、”パニックを恐れた”という主旨の反論をしているのを耳にして”自分たちの家族は即座に海外にまでl避難させたのにというか、自分たち上級国民がスムーズに避難するために、下々の者達には（当然、行うべき）避難勧告も観測データなどの情報提供も意図的に行わず放置したってこと？　忘れもしませんが、当時の福島原発からの放射性物質の拡散状況の（ほぼ）リアルタイムの観測データの類は、インターネット経由で外国の（例えば独逸の）政府関係機関などが公表していたもので、福島原発事故が発生するより前には”何重にも安全策を整備し、観測体制も完備している”と豪語していた日本国内の関係機関の多くはなぜか機能不全を起こしてデータ不明云々とやらかしていたというのは比較的知られた話だったかなと（なんか”当時”を思い出すと腹が立ってきた）。　ま、処理した汚染処理水は海に放棄しても科学的に問題がない（だから放棄するのであって、金銭的な負担が限界に来ているからではないらしい）と、大阪府知事や某国会議員たちは豪語しているようですが、それほど言うなら”国会議事堂や議員会館などで使う水を１００％汚染処理水とする”くらいのこをまずはやってみせて実証してみせるのが分かりやすい”安心安全”の証明ではないかと。　もちろん、大阪府の関連施設で飲食用を含めて使う水を全て汚染処理水に切り替えた上で大阪湾へ処理水を放棄する予定だからこそ、吉村大阪府知事は瀬戸内海への福島原子力所関連の汚染処理水放棄を繰り返して主張し続けているのでしょ？たぶん。　大丈夫で問題がないというのなら、他人に飲ませるより前に、自分の家族や親族に一定期間連続して摂取させて実証してみせることにもまた何の問題も無いってことでしょ？　・・・　それとも、後になって”ただちには問題はないという意味で云々・・・。”と言い出すところまで何時ものようにセットになっているとか？　気になっていることの一つに、”風評被害”という言葉があり、”それって、風評被害ではなくて十二分に科学的な根拠のある疑念じゃね？”と思われる発言を、原発事故関連に限らず、風評被害だと反論することで封殺する（＝そこで思考停止）状況を目にすることが増えてきている気がするのですが、少なくとも疑念の声に対して”それは根拠のない風評であり風評被害が生じる”と主張するのなら、根拠がないと判断した（私がそう思ったからそうだ、きっとそうに違いないといった情緒的な根拠ではなく）客観的かつ科学的根拠を明示することは必要じゃなかろうか？　いろいろな分野で法的に（納税者に対して）公開することに問題がないような一次資料が合法的な理由が明示されないまま公開されなかったり、公開されてもほとんど黒塗りされていたりしていた事例が多すぎな上に、下級国民には強要される”説明責任”や”自己責任”とされる分野などで”ただし上級国民は除く”但し書きの類がテーブルや机の隅の方に小さく書いてある気がしないでもない。　まあ、吉村知事の場合、記者会見のたびにコップに一杯くらいの量でも実際に飲んで見せることを数カ月程度続けて実証しつづけているだけでも「説得力が出て来る増してくる」気が、私は、してるんですが？　では、また～。

2021.04.13

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オはオタクのオ　第0061回　幽霊屋敷と結界

オはオタクのオ　第0061回　幽霊屋敷と結界　世の中には幽霊屋敷と呼ばれるいささか物騒な不動産が複数実在しているのですが、おおまかに２つのタイプに分けて考えることができます。　一つはそこで幽霊などの怪異に遭遇する頻度が高い物件で、単に姿を目撃したり異音の類を耳にする頻度が高いくらいの”気のせい”とか”疲れている”でも納得できないでもない怪奇現象から、ポルターガイスト現象のような　・・・　時に命に係わるような　・・・　物理的な現象をともなう”気のせい”では納得できない”憑かれている”怪奇現象を恒常的に惹起しているいささか凶悪な物件。　もう一つは、そこを訪れたり居住することで体調が崩れたり運気が下がったりするエネルギードレイン系の物件で必ずしも幽霊などを目撃することはないけれど高い頻度で不幸を招く確率が高く、風水学や仙術の観点で解説出来たり改善できたりすることがあるものの、そこに居住する前と後とで人格などが著しく変化した人が以前の状態に戻ることは皆無に近く、本人が自分の変化に気が付いていて自覚していることも皆無に近い事例が多数派だったりするあたりも一つの特徴かもしれません。　ある意味で、幽霊屋敷といいながらその大半の事例は土地そのものに原因があることが多いためか、家を撤去して新しく家を建てても、しばらくすると以前と同じように幽霊屋敷と化すことが珍しくなく、結果的に不動産的には優良物件に区分される場合でも人が居付かず、商店などの場合は移り変りが激しかったりするようです。　興味深い逸話に、整体の大家として知られる故・野口春哉が家賃の安さにひかれて不動産屋も認める幽霊屋敷を借りる話があるのですが、その際、家の改築というか改造をしてもよいという条件を取り付けたそうです。　紹介した不動産屋からすれば、今度はどのくらい持つか？いつ退去することになるか？と考えていたようですが、入居した野口先生は、あちらの壁を壊して、ここをこうしてと指示して、屋敷の”気”の流れをさっさと変えてしまったそうです。　結果的に、少なくとも野口先生が居住している間に幽霊屋敷として知られていた怪異現象が生じることは無かったそうで、不動産屋さんや霊能系の人など肩透かしをくらった感のある人達も少なからず出たようですが、まあ、川の中の石の位置を変えることで川の流れを制御するようなものと考えれば野口先生の整体のノウハウと共通するところが多かったのかもしれませんし、整体で一定の水準に到達できれば同様のことができて当たり前なのかもしれません。　というか、霊能系の人の中には家賃が安い極悪な来歴を誇っているような幽霊屋敷や幽霊部屋を意図的に借りて状態を変えて居住することを半ば趣味にしている人や、その手の物件の改善やリフレッシュを仕事として”お値段次第”で請け負っている人もいるそうですが、そのお値段から考えると別の場所の別の物件を選んだ方が時間も金もかからないことは言うまでもありますまい。　興味深いのは、ある意味で日本だけで熱心に行われている”地鎮祭”という一種の宗教行事があることで、新しい建物を建立するに際して主要な関係者と人事屋の神主が現地に集まって注連縄を張り巡らせて”結界”を形成する宗教儀式という解釈でいいようです。　そうすることで、注連縄の内側の空間を浄化したり外側からの新しい影響を防ぐとことが主目的になるようですが、主要な関係者も同席することが多いのは、参加した関係者も結界の内側の存在として認識されることで少なくとも結界の内側で保護される対象になるためのようです。　例えば、会社の特定の部署というか部屋で怪奇現象が生じ、そこで仕事をしている社員などに次第に不幸事が集中的に襲い掛かるようになり、やがで社員の家族にまで不幸の連鎖が及び始めるようになると、個人でも会社としても”お祓いを受けてみないか？”という声が上がることがあるのですが、そうした事例の中に怪奇現象が生じている会社の特定の部屋や社屋全体に結界を形成して除霊する話が含まれることがあります。　ある意味で、害虫駆除で煙型の燻蒸剤（例えばバルサンとか）を使って一斉駆除するような手法ということですが、当然、駆除する際に結界の外に逃げ延びてしばらくして帰ってこようとする存在や新しく入り込もうとする存在も想定されていて、その手の対策も講じることをセットで行う必用があるのですが、知らないのか未熟なのか、それはそれで別料金としているのか、祓いを頼んでも一向に怪異現象が治まらなかったり短い間隔でぶり返す事例も珍しくなかったりします。　簡易でありながら意外と効果的な除霊方法として、「怪しい話」の頃から何度か”ファブリーズ除霊”の話をしたことがあるのですが、同様の効果を狙ったというか期待した”伊勢（神宮）系の水”の類がネットで販売されて一つのジャンルになるとは初出の頃は考えてもいませんでした（笑）。　簡易結界ということでは、塩や酒を自分を中心点にして円状に撒いて一種の魔法円を形成する手法が古くから洋の東西を問わず普及しているのですが、この手法が簡易とされているのは風や雨などで結界を形成する物質がいずれ流れ去ることが多いからかもしれません。　ちなみに、カトリック系の悪魔祓いの儀式などで多用されている”聖水”というのは、ある濃度の塩水のことですが、一定の祈りを捧げることで物理的に変質しているという説もありますし、いわゆる”気”の力で酒の味をその場で変えることはできますから、モノとしては単なる塩水でもクラスターレベルで変質している可能性は高いのかもしれません。　実際、聖水とか神水とされていて、ルルドの泉のように奇跡的に医者が見放した難病や怪我の後遺症などが治癒してしまう、科学的に分析しても単なる水でありながら結果が出ている水の存在は比較的知られた話ですし、これを書いている時点でも藁にも縋る思いで奇跡の水の類を頼りにしている人は少なからず実在しています。　話を戻すと、地鎮祭においても、水と塩は不可欠の品ですし、幽霊屋敷の類に結界を形成する際にとある日本酒を使って浄化を促進したり壁を形成することも比較的知られた技法ですが、その前段として可能な限り”掃除”をすることが必要で、軽微な怪異の類だとそれだけで流れを変えることができることが多かったりします。　トイレの掃除をすると金運が上がるとか、部屋を整理整頓しておくと失せモノの類が激減するとかいった話は、最近では風水の開運と関連付けて語られることが多くなってきているのですが、少なくとも整体業界ではドクター・コパが世に出る以前から知られていて修行時から実践されている常識の類ですし、軍隊においても整理整頓が生死を分ける主因になることや健康を維持する効能などから徹底されていることは指摘するまでもありますまい。　まあ、掃除をマメに行っていて整理整頓にも抜かりが無い人が必ず富裕になるとは限らないのが人の世ですが、いわゆる社会的に成功している人で掃除や整理整頓にずぼらな人は稀ですし、本人がその辺りにずぼらでも不思議と周囲にマメな人がいる家が多いのも現実かなと。　ブロウクン・ウインドウ理論とでも言いましょうか？壊れた窓を放置していると犯罪を誘発することが多く、壊れた窓の多い地域では地域そのものの犯罪発生率が高くなるとでもいった指摘がされているのですが、考えてみれば金があればさっさと壊れた窓を補修する人が多数派でしょうから、壊れた窓が放置されているというのは経済的に困窮している一つのサインとみるべきではないかと。　貧すれば鈍するではありませんが、壊れた窓ガラスがそのまま放置されている家が多い地域というのは、その地域全体の経済力が低下している地域ということでもあり、富裕層の多く暮らす地域と貧困層の多く暮らす地域を比較した場合、後者で犯罪発生率が前者より高くなってもそれは不思議でも何でもないのではあるまいか？　ある意味で富裕層の住む地域と貧困層の住む地域が分かれてしまう現象は太古の昔から知られた現象で、住みやすい場所というか住んでいて健康や冨に恵まれやすい場所を富裕層が独占して”お屋敷町”を形成することは珍しくないのと同様に貧困層が災害などで命を落としかねない場所などにスラムを形成することが珍しくないのは比較的知られた話ではないかと。　そして、興味深いことは、成功してスラムから出ていく人と、失敗してお屋敷町から出ていく人の割合というのはほぼ同じということで、それはそれで算命術などの占術なども前提としている自然現象ですが、底辺から這い上がることが大変なように頂上から転げ落ちることもまた大変で珍しい現象であると言えるのかもしれません。　そう考えると、富裕層が富裕層であり続けるために、時に家訓として富裕層でありあり続けるためのコツの類を子孫に残し、運気を上げる土地や家屋の類に住んで残そうとしてきたのも、経験に基づく生活の知恵の類かもしれません。　では、運気の低い場所で生まれ育った人が成り上がるためには？という視点で考えると、そうした場所にいる時間を少なくすることが一つの対策になることに思い至るわけですが、そう考えると、歴史のある進学校などの図書館や自習室の類がまた別の意味を持つようになるかなと。　貧乏人と過ごす時間より富裕層と過ごす時間を長く深くした方が、自身が貧困層の場合は特に、運気の改善に直結する可能性が高いということですが、問題は、富裕層の中にエナジーバンパイア系というか他人の運気や生気の類を生まれながらに吸い取って自分のものにしてしまう体質の人が一定数いるということで、その意味で富裕層に属する人であっても付き合うことで体調が崩れたり金運が低下する場合は距離を置くのが正解ということになります。　いずれにしても、現状を大きく変えたい場合などに、付き合う人をがらっと入れ替えたり、転居して人付き合いを含む流れを大きく変えるというのは効果的な方法ということで、そういった目的で転居する場合などに転居先として幽霊屋敷や運気を下げる地域を掴まないために、運のよい人や土地の波動を把握しておくことが有効な対策だったりもします。　つまり、第一印象や直感の類を大切にするということですが、美味しい料理を作るためには美味しい料理を食べなれるところから始めるのが近道であるように、怪奇現象の類から身を守るために、そういった現象や空間を早く察知するためにも幸運体質の人や富裕層の住む地域から感じる独特な波長などには可能な限り慣れ親しんでおく方がいいと、私は、考えているということです。　まあ、あえて問題点を挙げるとすれば、人間的に良い人と悪い人というのは、貧困層にも富裕層にもいるという、しごく当たり前のことが問題になるというか、問題と感じてしまう人がいるかもしれないことですが、社会を変えるより自分を変える方が対応が容易なことは言うまでもありますまい。　では、また～。

2019.10.20

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オはオタクのオ　第0058回　狐の嫁入り

オはオタクのオ　第0058回　狐の嫁入り　狐の嫁入り、を別の言葉だと”てんき（天気）雨”と呼んだりすることがあるのですが、まあ、晴れているのに雨が降る現象とでもいったことになります。　実際に野外で”狐の嫁入り”に遭遇すると、確かに”何かに化かされているかのような気がしてくる”ものですが、考えてみると私の場合は、これまでの人生で遭遇してきた頻度は10年に１度より少ないかもしれません。　狐の嫁入りという言葉を知っているという人や、部屋の中から見たことがあるといった人は案外と多いのかもしれませんが、野外で狐の嫁入りに遭遇して、空は晴天なのに小雨が降ってくる中を歩いたことがあるという人は意外と少数派になるようです。　個人的には、晴天なのに小雨というか子糠雨のような雨が降ってくる現象もさることながら、狐の嫁入りがいつ終わったのか？降っていたはずの雨がいつ上がったのか？がはっきりせず、気が付いたら小雨がやんでいたという尻尾の辺りでも狐に化かされていた気がしないでもありません。　怪異談、奇譚の分野では、キツネは何かというと行列を組んでそぞろ歩く生きものに該当するようで、人を化かすことで定評のある、狸、狢、鼬、猫などなどが行列を組んで練り歩く話は皆無と言っていい状況で、敢えて言えば、十六羅漢の仏像などに集団で化けていた話などがあるのですが、人を化かす技術が狐より下とされることが多い狸の場合は化けながら行列を組んで整然と練り歩くという２つ以上のことを同時にこなして人を化かす行為は敷居が高いのかもしれません。　狐の行列話だと、王子のキツネ、の話が鉄板ですが、夜間に用列を組んで練り歩くときには”キツネ火（び）”を灯している話しが多く、遠目でそれを見るとキツネが提灯を持って行列している話になるのですが、歌川広重（1797～1858）が”江戸名所百景（一立斎広重　一世一代江戸百景）”の冬の部で描いた”王子装束榎（ゑ）の木　大晦日の狐火”という浮世絵などでは、ちゃんとキツネたちが榎の周囲に集まっているところが描かれています　・・・・・・　が、初代・歌川広重と言えば”東海道五十三次絵”が有名すぎますが、錦絵で江戸の名所も描いていて、その中にも”王子稲荷の杜”や”王子稲荷の祠”などなどが含まれているのですが、もちろんというかある意味で”表”のバージョンに描かれているのは人で、それなりの衣服を着て提灯を持って二本足で立って歩いている狐ではありません（笑）。＊歌川広重の名は五代目まで襲名されていて、ある意味で遺作となった”江戸名所百景”の内の数点には二代目・広重の筆が補筆されているというのも定説。　毎年、大晦日の夜に、王子稲荷神社の東方にある榎の古木のあたりに関八州のキツネたちが集まって白装束に着替え（故に、装束榎の木）た後、狐火を灯して列をなして王子稲荷神社に詣でたとされているのですが、その狐火の数、色、大きさなどなどで翌年の吉凶や作柄などを占ったとも言われています。　なお、正確には関八州稲荷の頭領（総社）と呼称するようになるのは江戸時代の寛政の改革以降のことで、それ以前というかそもそもは東国三十三国の稲荷総司と称していて社伝の「康平年中（1058～1064）、源頼義（988～1075、河内源氏の2代目棟梁）、奥州追討（造反した安倍軍の鎮圧から前九年の役にかけて）のみぎり、深く当社を信仰し、関東稲荷総司とあがむ」とあるあたりからはかなと。　この東国三十三国が具体的にどことどこなのか？ということでしばしば揉めることがあるのですが、北陸道、東山道、東海道に属していた国は（短期間で他国に再編吸収されてカウントされなくなった諏訪、石成、石背の3か国を除いた）計30か国ですから、差分の3か国ってどこ？となり、蝦夷ヶ島（北海道）の渡党（わたりとう、弘前）、唐子（からこ、西蝦夷・北海道西部）、日本（ひのもと、東蝦夷・北海道東部）の3か国を従来の東国30か国に加えてカウントして３３カ国という説と、もっと単純に律令制度の下で全国は66国（から始まった）とされているからその（東の）半分ということで単純に弐で割ったという説などがあります　・・・　ま、航空写真もグーグルアースの類も無い時代の話ですから（笑）。　それはそれとして、狐の嫁入りに遭遇した際に、本当に狐の婚礼行列に遭遇したり目撃したという話が意外と伝わっていて、嫁入り道具を担いだ狐、花嫁衣裳を着ている狐、仲人らしき服装と振舞いをしている狐などなど役割分担も人の婚礼行列に準じていたとする話が多かったりします。　今のところ、そうした狐の嫁入りにたまたま遭遇しても、驚いてしまった何もできないでいる内に通り過ぎて行って、ふと我に返って花嫁行列が向かった先を振り返って見てみたら誰もいなかったとか、はっと気が付くと行列が消えて日が陰っていたとかいった結末を迎えた話にしか行き当たってないのですが、アルバイト先でやらかすバカッターがここまで増殖する世の中ともなると、早晩、狐の嫁入り行列に奇声を上げて乱入する阿呆や、携帯端末で動画を撮影してネットにアップしようとする暇人の話が出て来るんじゃないかな～と予想しています（笑）。　そういえば、この手の話をしていて、”キツネって天候を操ることができるんですか？”と小さい連中に聞かれたことがあったのですが、ざっくりと言えば”幾つか前提条件はありますが、キツネに限らず局地的に小規模な雨を降らすことは可能です”。　小規模なものだと、地面の湿気を上にあげてゆくと狐の嫁入りによく似た雨になって落ちて来ることがあり、いわゆる”気”をコントロールできる人が音頭を取って誘導し、物体（物質）に干渉できる強さの”気”を有している人が数名いれば、余程地面がからからに乾いた状態でもなければ、だいたいそれなりに成功すると書いていいかなと　・・・　もちろん、雨が降りそうな気配がしているときほど成功率は上がりますが。　逆に、一定の範囲で一定の時間、雨を止めることは、誰にでもできるとは言い難く、持って生まれたナニカがものを言うようで、その手の能力を有している人の場合、台風とかナントカ前線の大雨の最中でも、台風の目に入ったわけでもないのに不思議なくらい、特定の場所が一定の時間だけ雨が上がったり傘が不要なくらいの小降りになったりすることが、珍しくないというか当たり前のように生じていて、物心がついた頃からそうだから本人はさほど特別なことと思っていないことさえあります。　そこまでいかなくても、雨空を見上げていると、雨の流れというか雨の塊のようなものが見えるというか感じられることは珍しくありませんから、まとまった量が降りてきそうなときは建物の中に退避していて、それが通り過ぎて、次の雨の塊の通過まで時間があるようならこそこそとその隙間時間で移動するというせこいやり方でも履いている靴がぐちょぐちょになることを回避する程度のことはできます。　天候を改変するというよりも、天候の変化や推移を読むという方が正確かもしれませんが、他人の体の気の流れを観たり感じたりできるようになると、天や地の流れを観たり感じたりする程度のことは、ちょっとした応用ではないかと、私は、愚考しているのですが、もちろん、下駄で天候の変化を占うことを否定するわけでも止めているわけでもありません　・・・　人によっては下手な天気予報より的中率が高いかもしれませんし（いえ、本当に）。　そういえば、俗に”猫が顔を洗うと雨”といった説も比較的知られていますが、あの現象も猫によって的中率に差があることが知られていて、複数の猫を長年飼っている人達に言わせると、特定の子が顔を洗ってると9割以上の確率で晴れていても雨になるとしたものだそうです。　さらによく見ていると、目に付くところまで顔を洗っているところを見せに来て御注進してくれるサービス精神に富んだ猫と、自分さえ雨に濡れなければOKという我が道を行く猫とに、意外と綺麗に分かれている気が、私は、しているのですが、だからと言って全ての猫が正確に雨を予知しているのか？という一番肝要なところを聞かれれば、いやいや、かなり感の鈍い、お前の野生の本能はどこへ行ってしまったんだ？エジプトまで里帰りしているのか？と聞きたくなるような猫もまた複数実在します。　天候が崩れる前に、ある種の異常行動をとるのが目に付くことが多いのは、私の場合は、昆虫と鳥で、猫のランキングは低く、犬はランキング外というかあまり当てにしていない（したことがない）のですが、モズの早贄（にえ）やハチの巣の位置などに”いつもと違うシグナル”が出ていて、それらの中に数か月後の積雪量や降雨量（増水量）を不思議なくらい予知しているかのような兆しが含まれていることも実際にあります　・・・　気が付くか見過ごしてしまうかは”知識”と”運”かもしれませんが。　そういえば、小雨の降りしきる日に、キツネや猫が化けたと思われる口裂け女系の怪異に遭遇してしまい、命からがら逃げだしたものの、それから三日三晩も高熱が続いたとかいった話も定番ですが、この手の話は、高熱が引いた後、（時間はかかるものの）体調が回復して仕事にも復帰できたというパターンと、熱は引いたものの、体調が戻らず仕事もできずぶらぶらしているなあと思っている内に姿を見なく鉈パターンや、熱が引かず（或いは熱は引いたものの）衰弱して死んでしまったというパターンなどに結末が分かれています。　ちなみに、いわゆる”キツネ憑き”現象のように”憑かれた”場合、憑き物を落とすことに成功して元の状態になんとか戻れたとしても、明らかに寿命が縮んでしまうことが多いようで、騒動から数年程度で死んだというような結末まで伝わっていることが珍しくなかったりするのですが、実際には、人は結構頻繁に”何か”に憑かれて人格が変わってしまうことがあり、それに気が付いていないのは本人だけということも珍しくなかったりします。　その手の”憑かれている”人の特徴は、少し前の事の話をしていると話（と記憶）が噛み合わなくなっていったり、話をしているときの目つきがどこか少し離れたところを見ているかのように焦点が微妙にあっていなかったり、口元というか口の端にいくほど犬などの獣の口に似た形状になっていたり獣の口のようなものが薄く重なって見えることさえあるのですが、更に、一種独特な体臭が次第に強くするようになってくると”かかわっちゃなんねえだ”といういささか深刻な状況かなと。　まあ、物理的な距離を置いて関わらないことを徹底するくらいしか一般人には対抗手段が無いのが現実ですし、親族でさえ逃げ出しているのに赤の他人が下手に情けをかけて関わるとどうなることが多いかというと　・・・　ホント、一目散に逃げて一切の連絡を絶って、物心両面の関係を絶ちなさいとしか言いようがないですな。　それでも、”いえ、私はそんな薄情で非人道的なことはできません。困っているときこそ手を差し伸べるのが云々”という情の深い人もおいでとは思いますが、憑き物の連鎖って七人ミサキに似ているところがあると私は思っていますので、最後のアドバイスとして、”最初からかかわらないか、できるだけ早い段階で逃げて縁を切らないと貴方だけでは済まなくなりますよ”と。　もちろん、世の中に怪異なことは何も無い、臆病者のたわごとか、モノを知らない人の妄想の類だ、私が幽霊も怪異も見たことが無いのがその証拠だ！という人もおいででしょうから、その手の人に一切の対応を任せて逃げるというのも有効な対応になります。　令和の世では、従来の化かすキツネやタヌキの類の数は減っていても、それ以上に生霊や死霊の類は増えている気がしないでもない今日この頃。

2019.09.12

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オはオタクのオ　第0041回　プラスチックごみ騒動の裏側

オはオタクのオ　第0041回　プラスチックごみ騒動の裏側　プラスチックごみが環境に悪影響をあたえているので、スーパーマーケットやコンビニなどで買い物をしたときに無償で提供されている”レジ袋を有償にしたり廃止する”ことでプラスチックごみを削減ないし根絶しよう！　・・・　とかいった声が、なぜか、唐突に大きくなって日本でも規制強化の方向で話が進んでいることは御存知の通り。　が、”それってどうなの？なんの意味があるの？時間と金の無駄じゃね？”というのが、現時点の私の立ち位置で、そもそも論として、”レジ袋やペットボトルは可燃ごみとして必ず焼却処分する”ことを徹底するだけでも、少なくくとも、プラ（スチック）ごみの中のレジ袋が自然界に流出する現象もまた激減するんじゃないの？ということ。　つまり、大枠だと、可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみ、と３つに分別してのゴミ出しを強要する制度が恒常化し、自治体や地域によってはさらに細かく分別して”リサイクルすることでゴミを資源に変えて云々”と主張する方々の強い要望で公的な規制やら自主規制やらが増加してきたけど、それって合理的な考え方であり選択なの？ということ。　例えば、昭和も末の頃の日本で”ガラス瓶か金属缶、（それこそプラスチック素材でコーティングした）紙パック”といった容器で流通していた飲料販売に、ペットボトルが参入して、５００ミリリットル、2リットルといった容量のペットボトルが定番化したことで急激に消費が拡大したことは御存知かと思いますが、それによってメリットもデメリットも生じたけれど、規制を主張する人たちはメリットを口にせずデメリットだけを言い募る傾向が（ペットボトル問題に限らず）顕著で、一種の新興宗教の布教活動と言動が酷似していることが珍しくないなあと。　ペットボトルも、普及が始まった当初は、”可燃ごみなのか不燃ごみなのか？”という分別が明確に　・・・　少なくとも販売している飲料メーカーからは　・・・　指示されることがなく、それこそ”ゴミはゴミ箱へ！”程度の注意書きがラベルに印刷してあればまだましな方という時代から話が始まったりします。　というか、その前段である”清涼飲料水などの容器がガラス瓶だった時代”も、ガラス瓶の表面に塗料などで名称や（トレード）マークなどを印刷（というか塗布）したり紙のラベルを貼る程度の時代と、ガラス瓶にビニール系統やウレタン系統のプラスチックカバーなどをかぶせる仕様が普及した時代に大別することができまして、リサイクルの簡便さからすれば前者の方が圧倒的に手間がかからなかったのですが、同じ費用だと使える色の数が多く複雑な模様やイラストも再現しやすいといった特性で消費者の目を引き付けやすいデザインの多様性などが後者の（販売時の）強みになっていたと言えます。　それほど難しい話ではなく、無色透明のガラス瓶に白色や黒色の塗料で名前を書いた程度の商品と、赤や黄色といった目立つ原色系の色を使ったカバーで瓶の表面の６０～７０％を覆ったカラフルな商品とを比較した場合、中身が同じか同じようなものだとしたらどちらを手に取る人が多くなるか？ということで、極論すれば、お酒を入れたガラス製の一升瓶にカラフルな或いはデザインなどに凝った紙製のラベルを貼って小売りするようになった頃から、品質や味などに大差が無い場合は特に、そういった工夫が売り上げの差別化に直結していたということ。＊各家庭から徳利や瓶などを持参して、酒や調味料などを大樽や桶から小売りしてもらって持ち帰っていた時代もある。　しかしながら、清涼飲料水などがリサイクルを前提としたガラス瓶容器で売られていた時代は、”ガラス瓶”が貴重品の時代でもあり、ざっくりと書くと、”瓶代の方が中身の原価よりも高い”時代まで話が遡る必要もあり、昭和も1970年以前に生まれた世代あたりまではガラス瓶で売られていた飲料の場合、販売店などに飲み終わって空になったガラス瓶を（無傷で）持ち込むと１０円程度の”瓶の保証金”がもらえたというか返却される制度があったことを覚えていたり経験したことのある人がおいでではないかと。　ちなみに、回収されたガラス瓶はそれぞれの製造メーカーに返却され、製造メーカーが傷の有無をチェックしたり瓶を洗浄した後、再充填を行って再び市場へ戻っていくといったサイクルで循環することが多く、再利用する製造メーカーが不明な場合とか、再利用が難しいレベルで破損していたり汚れていた場合なども”ガラスの原料として溶かして”再生というか再利用する場合のコストが１からガラス瓶を作るコストより低くなる（というか低かった）メリットがあった時代だからこそ、そういったガラス瓶の循環システムが支持されていたと書いていいのかもなと。　これが、新しくガラスの原料となる鉱物資源を採取するところからガラス瓶ができるまでに必要なコストどころか、ガラス瓶をごみとして処理するコストまで含めて考えてもなお、再利用するよりも新しい容器を１から造って使い捨てで利用する方が安いのなら、回収して再利用せずにゴミとして埋めるなり他の資材として再利用する選択の方が合理性があることになる　・・・　と、私なんぞは考えるということです。　ガラス瓶の場合、使い終わった後の容器をみていて”これは何か別のことに使える（かもしれないから、もったいない）”と考えてしまう人が意外と多く、その場合の再利用を含めたトータルコストはたぶんあまり考えていないと思いますが、ガラス容器がそれなりに高価だった時代が長かったことで”もったいない”と脊髄反射のレベルで思ってしまう人が多数派を形成していたというか（まだ）いるかなと。　ただ、ほぼ日本全国の津々浦々とまでは言いませんが、100円ショップがちょっとした規模の街に進出するようになって久しくなると、ガラス製品もまた”あれ、こんなものまで100円（税抜き価格）で買えちゃうんだ！”といった経験を積む人が増加し、1980年代の”1ドルが100円以下の為替レート”を経験した後ともなると完成したガラス容器などを海外から輸入する方が安価という事例も増加していったのでした。　例えば、”５００ミリリットルのコーラ”をすべて国産で賄うと仮定して、コーラの原価が１００円、容器のガラス瓶のトータルコストが100円ならば200円以上の値段で売ってやっと商売が成立するわけですが、同じコーラをアメリカで製造した場合1ドル、日本までの送料が０．５ドルで、為替レートが1ドル＝３６０円だとすれば、亜米利加から同等品を輸入した場合の日本円換算価格は１．５×３６０円となりますから、国産品は５４０円までは価格競争力で優位に立てるというか販売価格を吊り上げることが理論上は可能になります（黒い笑）。＊実際の市場だと、国内販売価格が２００円程度で、消費した際の満足度などが同等ないし上といった他社の商品があると、輸入だろうが国産だろうが540円のコーラを選択するのではなく、そうした低価格でありながら満足度に大差の無いような商品との競合が生じるようになるため理論上の目いっぱい高値の価格設定は難しく、更にそこに消費者の購買能力も加味されるので何かと中長期的な荒稼ぎは難しいようです。　が、他の条件は同じでも為替レートが1ドル＝１００円になると、亜米利加から輸入したコーラの日本円換算価格は１．５×１００＝１５０円になってしまいますから、同等品を国産しても１５０円以上の価格で売るだけの価格競争力が無いというか、パッと見た目で英語表記が多いかな？程度が違うだけの同等品が並んでいるところで従来の２００円で売ろうとしても　・・・　まあ、普通の人は”同等品なら安い方”を選択するので１５０円の方から先に売れていくのではないかと。　或いは、コーラの原価は100円のままで、容器をリサイクル前提のガラス瓶から使い捨てのペットボトルに変えるだけで、容器代に100円かかっていたところが5円でよくなると、中身も保存期間なども同じなのに容器が違うだけで従来は200円で売らないと採算割れしていた商品を105円で売っても同等の利益を上げることができる場合、売る側からすればどちらを選択するか？ということ（これまた黒い笑）。　実際の市場環境だとすれば、輸送コストも運ぶ量が多くなればなるほど無視できなくなるのすが、その場合、ガラス瓶とペットボトルを比較すると中身は同じ５００ミリリットルのコーラだとすれば、容器の重さが重く、衝撃などに耐える強度が低い（＝破損しやすいと輸送コストと流通時の損失コストなどは増加）ガラス瓶の方がどうしても送料が割高になるデメリットもあります。　かくのごとく、売る側からすれば、リサイクル前提のガラス瓶を容器にするより、使いすてのペットボトルに容器を変えるだけでウハウハの利益増が見込めたわけですし、ガラス瓶だと自社で回収し洗浄しいて再利用するコストも負わなかればならなかったところも、消費者にゴミの細かな分別を義務付けることでカットできるわけですから、そりゃあもう業界団体が政府にどれくらい強力に”ペットボトル”の利用を世界規模でプッシュしたことかといった具体的な解説は不要でしょう。　現実の日本経済の場合、仮に1950年代後半の新人サラリーマンの月給が1万５千～２万円程度あたりが平均どころの相場だったとすれば、それが２１世紀も令和の御代だと15～20万円程度になっているのですが、家計消費の対象になるような物価に関しては、大半が数倍に値上がりしているものの、さほど変わっていない物品もあれば、値下がりした物品もあったり、そもそも1950年代には存在しなかった物品もあったりしますから、時代を越えてモノの値段を比較するのは難しいところがあります。　或いは、1950～1960年頃にコーヒーをコーヒースタンド（まあ、スタバなんかの簡略版）で飲むと１杯１０～５０円くらいで月給は１万５千円くらいだったとすれば、2020年頃の月給が15万円の人がコンビニやスタバなどで１００～５００円のコーヒーを飲むのと消費に伴う心理的な負担は大差が無いとった比較は可能で実感を伴いやすいかもなあ～とか考えるわけです。　少し視点を変えると、2020年頃に月給が150万円（年収２０００万円クラス）の人は、21世紀の日本にいながら昭和３０年代の物価水準で暮らしているかのような消費に伴う心理的負担を経験することができるというか日常的にしているということで、　・・・　まあ、年収2000万円クラスの人の消費に伴う心理負担というのは、年収２００～３００万円クラスの人が”コーヒー1杯が500円”と聞いて感じるのと同程度の心理的負担を、”コーヒー1杯が５０００円”と告げられたときに感じるということ。　モノの値段を比較するって、数十年の時間差で生じる相対的な価格差もさることながら、同世代であっても所得の差で生じる感覚の差なんかでも何かと難しいでしょ？（笑）。　そう考えていくと、年収が新人でも２０００万円以上になる日本の国会議員にとって、”老後の自己資金が2000万円（以上）必要”と言われたときに生じる心理的な負担というのは、年収が実手取りで２００～３００万円程度の人が”老後の自己資金は２００万円（以上）必要”と言われたときに生じる心理的な負担にほぼ等しいということで、それ故に”その程度（２０００万円以上）の自己資金を貯めるくらいのこと頑張ればできるでしょ？”と本音のところではマジで思っているだろうなあ～と、私なんぞは勘ぐっております。　それはさておき、ガラス瓶からペットボトルに容器を変えるだけで、”儲けるのは私だけ、負担が増えるのは私以外の皆さま全員”という時代に突入し、少なくとも、爆発的に業界全体の売り上げはビフォーアフターで伸びたのですが、話がややこしくなったのが、”ゴミの分別回収”に利権が絡むようになってからではないかと。　まあ、ゴミの利権問題は本筋ではないので脇に置いておくとしても、私なんぞは”飲み終わったペットボトルは燃えるゴミで燃やして、ガラス廃材かなにかで固めて埋めてしまうか道路や建築素材を新たに考え出せばいいだけじゃん？と長らく考えているので、”素材が違うから、キャップは別のゴミ箱へ、ラベルは剥がしてプラゴミへ、本体は中をよく水で洗ってかさばらないように潰してから資源ゴミへ　・・・”と真顔で主張する人の思考が根本のところで理解できません。　特に、本体を洗って（中を水でそそいで）キレイにしてから潰して云々というのは、”回収後に洗浄や検査をして再充填して利用していたガラス瓶の時代でさえやってなかったし、水道代も手間（＝人件費）も別途かかるのになんでそんな無駄なことを個人でする必要があるの？”という素朴な疑問があり、ましてや、そこまで手間暇と金をかけて資源ゴミとして出したペットボトル様の”その後”を知ってしまうと、ますます”阿保かいな？”としか思えないのですが？　実際、過去にその辺りを指摘されて、アリバイ工作のごとく、”資源ゴミとして出されたペットボトルはこのような製品に再利用されています云々”と某官庁などがPRに努めたのが、（当時）電車の吊り輪の持ち手などの黒いプラスチック部品などの”どう考えても資源ゴミとして出されているペットボトルの量を考えると、その程度のことで消費しつくされていないよね？”と少し賢い小学生なら気が付く代物たちだったりします　・・・　少なくとも、資源ゴミで回収されたペットボトルの大半が新たなペットボトルの原材料として再利用されていないってこってす。　ちなみに、資源ゴミとして集められたペットボトルは、ある程度まで国内で細かく破砕した後、お金を出して中国などに大半を引き取ってもらっていた時代があったのですが、中国に限らずそういった輸出先になっていた国から”技術が発達している先進国でもゴミならば発展途上の我が国ではもっと始末に困るゴミ”ということで引き取り拒否の声が出るようになり、ゴミの母国に返送されてニュースになった事例もちらほらあります。　中国の場合、”世界で第二位の経済大国”になったあたりで、世界のゴミ捨て場になることを急速に拒絶するようになり、その余波もあってか日本もペットボトルゴミを、工業製品の生産時に再利用するための資源として輸出していると言い張ることが年々難しくなっていったのでした。　まあ、石油製品として考えた場合、レジ袋にしてもペットボトルにしても、従来は原油を精製したときに生じる使い道のかなり限られた成分が原材料だから安価という側面がありまして、原油を精製して重油やガソリン、灯油などなどを分離して取り出して利用する限り生産される物質と言い換えることもできたりしますから、他の主要な製品を製造すると次々と生産され続ける割に使い道が限られている物質であるが故に、一度、手間暇かけて加工し変質させたものを再度加工して利用するとなると、かえってコスト高になってしまうわけです　・・・　少なくとも現時点の地球人類の科学力では。　故に、使用済みレジ袋やペットボトルなどはもともとが石油というか原油に含まれる成分だけに”燃料として”使うのがベストの利用法で、特に生ごみなど水気の多いゴミを燃やすときには一緒に燃やすと、別途振りかけて加えているゴミを燃やすための油性燃料の節約にもなるわけで、そうした焼却処理が駄目な技術的な理由というのが今となっては無いんじゃないかと。　一時期、ゴミを焼却する際の温度が低いと、石油素材のプラスチック系ごみからは特にダイオキシンが発生するから駄目だ！とか、燃やすと炉内が高温になりすぎて焼却炉の寿命が縮むから駄目だ！とかいった話がまことしやかに流布していたのですが、それこそ”ゴミを高温で燃やすことで有害物質も燃やし尽くすか無害な物質にしてしまえばいい”という（その時点の）現行の技術で十分に対応可能で、新たらしい産業にさえなりうる話でもあったわけです。＊そもそも、ダイオキシンが某・環境保護団体などが観念論で主張している毒性や催奇性の強い分解が困難な物質かどうかから疑うべきですが、その辺りまで深入りすると長くなりますので今回は略。　というか、これを書いている時点で、既にゴミ焼却炉のダイオキシン対策は以前とは段違いに進んでますし、ペットボトルの再利用のパーセンテージが異様に高くなっている事例が”（ゴミとして）燃やした熱で温水を作る”といったサーマル系の（実質的に）燃料としての利用だったりするのは一部では知られた話だったりします。　今後、海外へのペットボトルごみの輸出が不可能となり、かといって他の製品の原材料にするには用途が限られる上に割高という前提が覆る見込みが乏しい現実を前にすると、国土の狭い日本で地中に埋めてしまうよりは燃料として燃やしてお湯でもわかしたり、火力発電を行って利用する方が現実的な対応ではないかと。　レジ袋を目の敵にする環境保護意識の高いと自称する人たちにとっての”不都合な真実”を知ってしまうと、”（見た目が良くて）知的生物で、私たちは歴史的に食べてこなかったのだから鯨を何人も食べるな！科学的な根拠なんぞ関係ない！”といった主張と同根な気がしてもくるのですが、その行き着く先が世界恐慌だとしても気にならないあたりで、新しい宗教の類かもな～と。　最近の環境保護業界の言動を整理すると、”地球温暖化対策として、世界規模で工業生産を縮小して工業生産に伴って排出されている二酸化炭素を削減しよう～。レジ袋やペットボトルなどプラ製品の廃止はその第一歩だ～（今、この辺）”といったことになるのですが、まあ、富裕層とは総人口の１０％でありながら冨の９０％を手にしている人たちのことですから、地球環境が人間の経済活動でガタガタになったのだとすれば、その責任の９０％と問題解決に必要な費用の９０％は経済活動によって生じた富の９０％を手にしている富裕層だけが負うべき話になるのではないかと（黒い笑）。　産業革命から後の、工業生産の増加やら金融活動の広域化やらで巨万の富を手にしてきたセレブな方々の主張する環境保護問題が胡散臭いのは、”儲けるのは富裕層の私たちだけ、ゴミの処理や住みよい地球を作るための費用は貧乏人が主体になって負担しろ、富裕層も貧乏人と同じように頭割分程度の負担になら応じてやる”ってことかなと。　まあ、富裕層に属する人たちの思考回路を私ごとき死にかけの貧乏人が推察することは不可能ですから邪推の類ですが、”世界中の魚類がプラスチックごみを食べて体内に蓄積している。海洋汚染は深刻だ！”と言った発言に遭遇したら、”だから、みんなで自然界に住む魚ではなく、遺伝子組み換えした大豆や飼育された牛を主要なタンパク源にしよう！もちろん、人工肉でもよくってよ”・・・”と話が続いていないか勘ぐってチェックする程度の疑り深さは必要ではないかと。　日本では地球温暖化の学説が（二酸化炭素の放出さえ減らせば今からでも回避でき）”異論は認めません！というか、そもそも、異論なんぞ存在しません！”とった調子で定説化してしまい、温暖化対策の名目で税金まで徴収されるようになって久しいのですが、海外では”地球寒冷化が進行中”といった異なる学説も一定の支持を集めていて、”2030年までに地球規模で氷河期に突入する”という説は比較的知られた（かなり真面目な）説だったりもします。　まあ、温暖化にしても、寒冷化にしても、人類が現在の文明水準（もちろん生活水準も）を維持できなくなるまでに残された時間が10年程度だとすれば、レジ袋やペットボトルを廃止することに時間と労力を使うよりも優先すべきことってあるんじゃね？というのが私の見解ですが、世界の富裕層が”火星移住”や”月面基地建設”に金を本格的に使い始めたというか、地球のあちこちに特殊なシェルターを建設し終わって（現在進行形で）機能や規模などを拡張していることなどなどを隠さなくなったあたりで、気が付きなさいよとも思うのですが、今の日本では少数派の見解とか妄想の類に分類されるんだろうなあと。　そんな具合に、薄らバカぼんやりと暇なときは思考を巡らせるのでした　・・・　故人曰く、”下手な考え休むに似たり”と。

2019.06.21

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当たり障りの無い話　第3話　「古代宇宙飛行士説の３」

当たり障りの無い話　第3話　「古代宇宙飛行士説の３」　昔々に地球を訪れた宇宙人が地球の原住生物と自らの遺伝子情報を使って”人類”を生み出したという仮説を出発点とするのが古代宇宙飛行士説ですが、この地球を訪れた宇宙人に関しては複数の種族が存在するという説が主流で、時に同種や異種の宇宙人同士で戦争をしていた形跡というか痕跡があるという説もあります。　では、遺伝子組み換え技術を駆使して人類を創生した宇宙人はどこから来訪したと考えられているのか？というと、現存している古代遺跡の構造や建造物の配置などから、”オリオンの三ツ星”で知られるオリオン座や白鳥座、シリウスの辺りからやってきていたという説に人気があります。　興味深いのは、エジプトの三大ピラミッドとして知られるクフ王のピラミッドなど３つのピラミッドの配置がオリオンの三ツ星の並びと綺麗に一致していて、星の見た目の大きさというか明るさとピラミッドのサイズの比率も一致していたりします　・・・　航空写真などでエジプトの三大ピラミッドの頂点を直線で結ぶと一つだけ少しずれていることが嫌でも確認できます。　興味深いのは南米のピラミッド群の中にもエジプトの三大ピラミッドと同じように２つの大きなピラミッドと少し小ぶりな１つのピラミッドという三ツ星の配置になっている場合、小ぶりなピラミッドがオリオンの三ツ星の配置がそうであるように２つの大きなピラミッドの並びから少しだけずれていたりします。　また、エジプトの三大ピラミッドがなぜあの場所にオリオンの三ツ星を模して建設されたのか？というと、ナイル川を天の川に見立てたからではないか？という説に人気があるのですが、自然界の天然の川の流れは比較的短い時間でも大きく変化することがありますので、ナイル川の下流域そのものにも何らかの加工が加えられて意図的に天空の光景を地上に再現しているのではないか？と話が続くこともあります。　地球を訪れた宇宙人を”神”と定義し、王族は”神”の代行者として神によって造られた”民”を束ねて神のために働かせていたとする記録が古代シュメール文明や古代エジプト文明などの遺物で確認されているのですが、古代シュメールの場合は神である”アヌンナキ”が地球を訪れた主目的は金の採掘であったとしていて目標にしていた採掘量に達したことで彼らは母星に帰っていったとしています。　アヌンナキのような”神”が立ち去ってしまうと、残された神の代行者たちの統治能力次第で文明や文化などの水準が維持されたり急速に衰退してしまったりしたようで、地球の総人口が推計で2億人いるかいないか？という程度の人口規模の時代に一つの古代都市だけで２～4万人が暮らしていたと推定される規模に達している事例が複数知られています。　南米のマヤ文明などの遺跡で根本的な謎とされてることの一つが、巨石も使って手間暇かけて建造した数万人規模の古代都市がある時を境に急速に衰退して無人のゴーストタウンと化し、石の高度な加工や巨石の運搬技術などが完全に失伝してしまったり、急に生きたままの人間を神への生贄として大量かつ定期的に殺す野蛮というか迷信に満ちた蛮族化してしまっている時期も場所も異なる文明が複数存在していることが知られています。　それは、神が同居している間は高度な文明社会が構築され維持されているのに、神がいなくなると同時に文明の水準が維持できなくなり密林で自給自足しながら暮らす猿の生活水準に急速に先祖返りしていったと考えると何かと辻褄が合ってくるように思われれるのですが、少なくとも古代の計画都市の遺跡として知られるモヘンジョダロの遺跡のように発掘された下の方の（＝年代の古い）遺構ほど石組がしっかりしていて上の方へいくほど素人目にも構造や仕上げなどが雑になっていく（＝技術水準が下がっていく）ように見える構造物が少なからず現存しています。　そういえば、南米の古代遺跡などから出土した人骨の中に頭蓋骨に初歩的な外科手術を行って頭蓋骨の一部を切り取った跡が残っているものが複数確認されていて、その多くが切り取った後の骨の変化痕などから数年を超える単位で手術後も生きて回復していたと推測されているのですが、その手術の際に一種の麻酔薬や術後の痛み止めとしてコカの葉などが用いられ（気候や風土などから考えて）術後の殺菌や化膿止めにも複数の薬草などが用いられていたでしょうから、かなり高度な薬草学や薬学の類が利用されていた時期があったようです。　もっとも、そういった高度な医療技術や知識は15世紀ころから本格化していったヨーロッパ人の中南米侵略の頃には既に大半が失伝していたようで、少なくとも中南米の初歩的な脳外科手術のノウハウなどが旧大陸に伝播していません。　ちなみに、南米の頭蓋骨の一部を切り取る外科手術がなぜ（ある意味で盛んに）行われていた痕跡が残っていると考えられているのかと言うと、”棍棒などで頭を強打されることで出血したりうっ血して内圧が頭蓋骨内部の圧が上昇し、いわゆる頭蓋骨が風船のように膨らむような状況が分かりやすいですが、圧力を逃すために頭蓋骨の特定の場所を切り取って脳細胞などへの致命的なダメージを軽減させようとした　・・・　という説に人気があります。　しかしながら、棍棒などで相手の頭部を（死んでもかまわないような力で）強打する状況が、頭蓋骨の一部を切り取る外科手術という治療法というか対処法を確立するほどの頻度で発生していたのか？とか、なぜそうした外科的な対処法が廃れて失伝してしまったのか？とか考えると、闘争競技や戦争だけでは少し説得力に欠けるのではないかと。　そう考えると、落石や落盤事故など地下資源を採掘している際の労働災害事故への対応の一環だったから、神たちが去って金などを掘り出す必要が無くなると、労働への見返りとして提供されていたであろう医療や教育、食糧の提供（配布）もまた途絶えたり世代間の伝承がうまくいかなくなっていったという説の方が説得力があるのではなかろうか？　ちなみに、旧大陸において外科的な処置を含む医療技術の水準は１２～１３世紀ころまでは欧羅巴圏よりもアラブ（イスラム）圏の方が上で、いわゆる十字軍の遠征によってアラブの医療技術者や医療技術が欧羅巴にある程度まとめて伝播したことで欧羅巴の医療技術が急激に進歩したという指摘があり、そうしたアラブの医療技術の大本に関してはシュメール文明起源と考えられ、古代バビロニアを経由してエジプト文明などにも伝播し影響を与えたとでもいった説に人気があります。　医療技術の類は、医療技術の水準が低い地域の人たちにとっては、従来ならば死ぬところだった人が助かる事例が増えるだけに、高度であればあるほど”生死を司どる神ないし神の御使いの起こす奇跡（の類）”ということになりがちですし、21世紀初頭の日本でさえ、代替医療の技術や国内では認可されていない輸入薬剤を用いることで神の奇蹟を演出する新興宗教団体やナチュラリスト集団などの関わる怪しげな噂話が絶えないあたりで推して知るべし。　逆に言えば、神の代行者として民を束ねる役割というか地位にいる王族などはは神と同じとまではいかなくても民よりは高度な水準で何らかの治療効果を発揮する技術や知識などを有することも（下位の民の側から）求められていたということで、英国王室のロイヤル・タッチの話のように幾つかの伝説を有する王族は実在しています。　面白いのは、ローマカトリックなどキリスト教の集団が布教活動を行うときに医療行為も併せて提供したり、修道院などで計画的に薬草（や毒草）の類を栽培し研究することで、新規の信者を少なからず獲得していった一方で”祈りによって病は治る。治らないのは信仰が不足しているか、祈りを妨害する悪魔や異教徒のせいである云々”とかいった説法の類も熱心だったことで、神の奇蹟を再現するために高位の司祭にまで手品の類の研究や練習に熱心な人が多かったようです。　また、神が立ち去るときに”かなり先のことになるだろうが、必ず再び訪れる”と残していく王族や神官、民たちに言い残したとする伝承が多く、それもあってか巨石を用いた建造物の残るような古代文明の多くでオーバースペックというか、なぜそこまでの精度で長期間に渡って熱心に天体観測を行って記録も残し精密な暦まで作成していた古代文明さえ散見されるのですが、天空を観測することでポールシフト（両極の移動）に備えるためという説もあります。　ある意味で、神さまたちは立ち去るにあたって、残していく人類が地球規模の大規模な天災で全滅しないための最低限のノウハウは残していったのではないか？という気が私はしているのですが、既に、この数年で太陽が従来とはことある場所から昇り異なる場所へ沈むようになったと部族によってはナサにまで公式のルートで警告を伝えるようになっていますし、北極の位置の移動が1年で数百キロの規模になってきているという科学的な観測記録が公表されたりもしています。　イギリスの研究者などから2030年までに９０％以上の確率で地球は寒冷化する（＝本格的な氷河期が始まる）といった学説が地球規模でアナウンスされたというのも比較的知られた話ですし、欧米などで地下都市の拡充や整備が急ピッチで進められていて2017年の段階でロシア政府がモスクワの地下にモスクワ市民全員が収容できる規模の地下施設（というか長期生活が可能な地下都市の類）が完成し、シベリアの鉱山跡などの地下シェルター化も順調に進んでいるといった情報を公式に流したことは御存知の通り。　と書くと、京都議定書に基づく国際的な温暖化対策はどうなっているのか？というと、温暖化ガスの排出権ビジネスに熱心な国はあっても、既に日本以外の国はまともに対応しなくなって久しいと書いてもいいような状況で、西欧は東欧の国に温暖化ガスの排出量を付け替える手口ですり抜け、亜米利加は亜米利加ファーストを宣言してとっとと離脱し、中国は一人当たりのGNPで見れば発展途上国である云々と発言を使い分けて　・・・　といったことで骨抜きもいいところですが、不思議と日本の新聞やTVといった従来のマスゴミが報道していないような気がするのは私の気のせいか？　何かと増税には熱心な日本政府ですが、かって神と称された宇宙人が地球規模の災厄が迫っている目安と言い残した現象が生じ始め、それに呼応するかのようにキリスト教圏の国々が大規模地下シェルターの整備や食料の備蓄などのペースを速めて”何か”への対応を急いでいるようですし、そうした世界情勢の変化から取り残されて何も準備しないままの日本政府が完全に蚊帳の外に置かれているような気がしているのも私の気のせいか？　誰も住む人のいない、世界のあちこちに残存している古代巨石文明の遺跡を思い浮かべながら、あれこれ思うことが増えてきている今日この頃だったりするわけです（黒い笑）。

2018.07.04

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当たり障りのない話　第2話　「古代宇宙飛行士説の２」

当たり障りのない話　第2話　「古代宇宙飛行士説の２」　古代宇宙飛行士説の概要は意外とシンプルで、”昔々の地球を訪れた宇宙人が、その頃の地球で自生していた動物の遺伝子を操作して、新しい生命体を産み出した。”という前提に立ち、”そうやって生み出された新たな生命体の中に「人類」も含まれていたが、「人類」は自らを産み出した宇宙人を自分たちにとっての上位者（ある意味で自らの御主人様）である「神」と定義し、自らを神に仕える（ある種の奴隷とも言える）「民」と定義し神から命じられるままに労役などを（基本的に無償で）提供していた。”とでもいった話になります。　そんなある日、”（事前に母星で策定されていた）地球における作業が終了し目的を達したため神々と神々に選ばれた直近の民は一斉に母星に帰還し（たらしく）地球から姿を消した。”と話は続き、”地球から立ち去る際、一緒に連れて行かない（残された）「民」に対しては「（一定の期間が過ぎれば）我々は再び訪れる。」と言い残し　・・・　現在に至る、といった程度の内容になります。　ちなみに、宇宙人の集団の退去が始まった目安が紀元前1万年頃、完全に退去が完了した（か人類への干渉を止めて社会の表面から姿を消した）のが紀元前６０００年頃の話になるのではないか？と世界各地の遺跡や神話などから推測されているのですが、人類最古の文明とされることが多いシュメール文明が宇宙人に遺伝子操作されて産み出された人類が築いた文明の中でも現在の人類の文明に直結している最古のものと考えている人が古代宇宙飛行士説を支持する人にも多いようです。　もちろん、”いつ頃のことか？”とか”彼らが来訪した目的は何か？”とか話を細かく検証しいていけばいくほど”諸説あります”の”諸説”が増えていくのですが、共通認識として”人類は猿から自然には進化していない”という点と”人類の文明の根底は宇宙人（或いは別の次元からの来訪者）によってもたらされ、人類はそれを基本として発展させてきたにすぎない”という点に関しては異論が少ないようです。　当然ながらダーウィンが提唱した「進化論」を信じる人たちからは否定される説でありお話ですが、自らを科学的と定義したがる進化論信者にとって困ったことの一つに”猿から人へと進化していく過程というか、類人猿が人類へと進化する直前の存在の化石が未だに発見されていない”ミッシングリンク”の問題があります。　逆に言えば、”ミッシングリンクに相当する化石の類は発見されていないのではなく、そもそも存在せず、宇宙人ないし別次元からの来訪者が類人猿の遺伝子に自らの遺伝子を組み込んで改変したから（ある時突然のように）人類が誕生した。”と古代宇宙飛行士論者は考えているということですし、世界中の神話や旧約聖書などの記述などとも矛盾しないとかいった話に繋がってもいくわけです。　旧約聖書の記述に関しては、その元ネタとして古代シュメール人の伝説や神話の類があるという指摘があり、中東における地理的、歴史的な関係性から考えても旧約聖書がシュメール文明からの伝承や影響をまったく受けなかったと考える方が無理があると（私は）思います。　しかしながら、21世紀初頭の日本においてシュメール文明における宗教や神話などの話よりも、まだ旧約聖書の内容の方が知られていますし、書籍類の入手も容易という現実がありますので、ここでは主に旧約聖書を底本にして話を進めていきたいと思います　・・・　もちろん、私はヘブライ語など中東系言語の読み書き”も”できませんので先人たちが日本語訳してくれている（岩波文庫系の）旧約聖書などが前提になることはお断りしておきます（笑）。　まあ、聖書に限らず”200ページを超えるような比較的厚めの本”を通読したことが無い日本人が珍しくない御時世ですし、幾つかの統計資料などから推測すると日本国内で日本国籍を有していて”洗礼”も受けているキリスト教信者の割合は総人口の８～１０％程度で推移していると考えてよさそうな規模なので、８～9割の日本人は旧約聖書の内容をほとんど知らず読んだことも無いどころか、”旧約聖書と新約聖書”の違いさえ分かっていない人の方が多い　・・・　と言い切って良いような気もしてはいますので出典の類を気にするだけ野暮かもしれませんが（大笑）。　念のために書いておくと、新約聖書というのはイエスキリストと直弟子たちの複数の言行録や書簡集とでもいったものをまとめて呼ぶときの呼称であり、日本でも入手しやすいローマカトリック系の場合はユダの福音書やマリアの福音書などは福音書として認めないから収録せず、ヨハネの黙示録を末尾に収録する版が主流になっているようです。　それに対して旧約聖書というのは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった中東に起源をもつ宗教や宗教の信者などが宗教や宗派などを超えて共有している（彼らにとっての）”人類の起源と歴史の書”とでもいった内容になり、天地創造を語る”創世記”を筆頭に複数の書をまとめて旧約聖書と呼称していると大枠で考えておけば間に合う　・・・　かな？　最古の宗教ということでは”ゾロアスター教”なども絡めながら話を進める必要があるのですが、ゾロアスター教の教義や儀式などを最古の拝火教と解釈すると、日本の古神道を含む世界各地の（中略）前提となる予備知識が広がりすぎる上に、書いているのが浅学菲才で陰謀論の類が大好きな私ですから、その辺りのことに関しては適当なところまでで止めておきます。　さて、楔形文字で粘土板に記載された古代シュメールの文書は、粘土板で3万枚を軽く超える規模で発見と言うか発掘されていて、発掘される粘土板が増えるに連れて翻訳の精度が向上してきていりのですが、古代シュメール人にとっての神は”アヌンナキ”と呼ばれる宇宙からの来訪者であり、アヌンナキから様々なことを教わったから、ある時期を境に唐突に砂漠の中に現代の都市文明の原型のような　・・・　当時の他の地域と比較するのも馬鹿らしいほど高度で洗練された　・・・　シュメール文明が出現したということになるようです。　ちなみに、いわゆる”エデンの園”に該当する地域は現在はペルシャ湾の海底になっている当時の平原地帯だったようで、氷河期の終わりに一気に平均海水面が（一時期には40メートルを超える規模で）上昇したときに水没してしまい、そうした環境変化によってシュメール人たちは（当時の感覚だと高台の安全地帯の）内陸部に都市計画に基づく碁盤の目状に整備された都市を建設し移住したようで、これを書いている時点で古代シュメール文明と（私が）呼称しているのは、内陸部に移住した後の遺跡が発掘された地域の話になります。　そう考えると、旧約聖書でいうところの”アダム”と”イヴ”の話は氷河期以前の話になる気がしているのですが、その時期はともかくとして旧約聖書にしてもシュメールの記録にしても、或いは世界の他の地域の神話伝承の類にしても不思議なくらい”神はその自らの姿に似せて人を造った”という点では共通しています。　そして、神や天使が自らの創造物である”人”と関係をもって、半神半人を人間の女性に産ませたり、逆に自分で産んだりしている話も少なからず世界規模で散見され、ギリシャ神話やローマ神話などではその手の話の方が多いような気がしてくるほど”珍しくない話”になっているのですが、そうして人間の女性を母として生まれてきた半神半人の多くが神に匹敵する超人的な身体能力や超能力（というか神通力か？）を有していたとする話は珍しくなく、最終的に神（に匹敵する）と認められて人間界から神の世界へ迎え入れられたとする話も珍しくなかったりします。　自然交配で混血が可能なほど神と人とは遺伝子的に近いのか？といった視点で考えるとき、人とチンパンジーの遺伝子レベルの差が１～３％程度という説が有力なことも併せて考えると、実はほとんど同じ潜在能力を有している近縁種で、最初に遺伝子を組み替えた段階で人の側に”何らかのリミッター”が遺伝子レベルで組み込まれているだけではないのか？という素朴な疑問が湧いてくるわけです。　その辺り、アダムとイブの失楽園の逸話において、人はエデンの園に植えられていた”知恵の実”を食べて賢くなってしまった（＝知恵がついた）ことから、危険な失敗作と認識されたようで、別の場所に植えられている”命（生命）の実”を食べれば”人”は”神”になれるといった道筋も示され、神は余計な知恵をつけた人に盗み食いされないように”命（生命）の実”の成る樹の警備を強化したといった話が続くこともあるようです。　それはそれとして、旧約聖書にも新約聖書にも主流派が公認していないというか、今一つ定かでは無く信憑性に欠けるものの否定もしきれないので参考書籍扱いとでもいった”外典”や、その存在や内容を公認してしまうと主流派に損害が生じるので事実上の禁書扱いとでもいった”偽書、偽典”などが複数実在していまして、例えばアダムとイヴの話にしても、そもそもアダムの最初のパートナーは女神の”リリス”であり、アダムとリリスの間に生まれた種の総称が”リリン”という解釈でよさそうですが、アダムの単調な夜の営みにリリスが切れたことで別れてしまい、パートナーを失ったアダムを哀れんだ男神たちがアダムの肋骨からイヴを造ったと話が繋がるわけです。　興味深いことに、エジプトやインド界隈など他の地域の人類創生神話において人（類）の始まりは兄と妹のカップルであり、その子孫が我々である　・・・　としている事例が意外と多いことと、そういった神話の多くで兄がどうなったのか？といった逸話が残っていても、不思議なくらい妻となり語っとマザーとなっていったであろう妹の”その後”はどうなったのか？といった辺りの話が曖昧になっている神話や伝承が珍しくありません。＊　日本では地獄の裁判長として知られる閻魔大王も、そもそもの始まりは妹（自分の次に生まれたか造られたかした異性）を妻にした最初に生まれたとされる男性で、始まりのカップルであるが故にその後に生れた人（類）すべての父祖と母祖ということにもなるのですが、最初に死んだ男性というか人にもなってしまったので死後の世界の”長”として自らの子孫を裁定し束ね直す地位に就くことを皆が納得するしかない　・・・　んだそうです。　人類最初の”お母さん”のハズなのになぜ”その後の話”が皆無なのか？という謎に関しては、怪しい話でも少し触れた外典や偽典などの話に、失楽園でエデンの園を追放された（直）後、アダムとイヴは離れ離れになってしまい（生活力の無いアダムがイヴに見限られて捨てられたとする話もある）、アダムは一人で荒野を彷徨うことになるのですが、そこで元妻のリリスが復縁を持ちかけて元鞘に収まって”産めよ増やせよ地に満てよ”を実践するようになったとする話もあったりしますが、いずれにしても楽園を追放された直後から旧約聖書の記述にイヴは不自然なくらい登場しなくなり、誰の頃に死んだのか？さえ不明だったりします。　故に、「失楽園後のアダムの子孫というのはアダムとリリスの間の子であり、キリスト教関係者などに主張する人が多い”人の原罪”説は成立しない」といった主張の論拠になっていたりもするのですが、遺伝学的に考えるとアダムの肋骨からイヴが造られたとすればイヴはアダムに対してF1に類似した特性を持つと考えていいのではないか？と長らく私は疑問に思っていまして、その場合、イヴはアダムが相手だと遺伝子レベルで不妊を示すのではなかろうか？エデンの園でイヴが出産したという話が無い（寡聞にしてアダムとイヴが子連れで楽園から追放されたという話を知らない）あたりからもあれこれ考えてしまうのですが？？　ちなみに、リリスはアダムと最初に別れた後、複数の神や悪魔の類との間に複数の子を成したという話もありますし、そもそも物質的な制限が皆無に近いのが女神でしょうから、失楽園後にアダムとよりを戻したリリスが産んだ子供たちが現代の人の直系だとしても矛盾は生じないのですが、リリスは女神ですからアダムより長寿というか（ほぼ）不老不死であるが故にアダムの方が先に死んでしまうこともまた不可避だったと推測されます。＊　故に、アダムとリリスが人類の祖という説を支持する場合、人類には複数の異父兄姉がいることも肯定する必要が生じる。　その辺り、アダムの没後もリリスは孫の代の頃までは子孫の傍にいたようですが、世代が下がるに連れて次第に表舞台からは消えていったようで、子孫の世代交代が進み居住範囲が広がると人を見守り導く大天使「ガブリエル」となって、世界のあちこちを行脚し時には事件や騒動に介入することもある　・・・　としているようです。　そのあたり、ガブリエルが必ずといっていいほど翼の生えた女性が百合の花（リリー）を手に持った姿で描かれている絵画が多いことに暗示されているという説などが比較的知られていますが、日本の羽衣伝説に類似した話が実は世界中で語り継がれていますから、女神や天使を妻にし子も成した昔話の原型になった実話があったと考えることに関してはそれほど突拍子もない推測ではないのではなかろうか？　・・・　人の妻になり子も成した天女が天に帰ってしまって終わる話の方が多いとしても。＊　本来、天使には男女の性別は無い（両性具有という説もある）存在とされ、男の天使、女の天使と区分されるのはある程度階級が上の天使の特徴と言えなくもないのですが、人と交雑した天使は堕天した堕天使と見做されて何らかの処分が下される話も少なからずあります。＊＊　例えば、竹取物語において（作中では具体的にどのようなものだったのかは明示されない）”姫が犯した罪”の処罰として、記憶をほぼ持たない赤子の状態にリセットされて地上に単身で送り込まれ、老夫婦に拾われ成長した後、貧しいながらも愛娘として育てられた間の記憶をすべて消された上で月へ連れ戻されるという話の筋そのものが、特定の罪を犯した天使が計画的に記憶を２度消されることで2度死ぬことになり、過去の記憶の無い状態で３度目の人生を月（天）で一から始めることになった過酷な堕天使に対する処罰の物語とも解釈できるのではないかと。　なお、神や天使ほどではないにしても、アダムも現在の人類と比較すると異様に長寿で身長も高かったことなるのですが、失楽園後に生まれた人類は次第に短命化し小型にもなっていきますが、人の身長が１０メートル級が珍しくない時代があったとすれば、いわゆる巨石を使った謎の古代遺跡云々というのも、当時の人達にとっては巨石でもなんでもない普通の建造物に過ぎなかったのかもしれませんな（笑）。　かなり後の世代でノアの箱舟で知られるノアの頃だと、始祖のアダムと比べると短命で小柄になったとされているものの、寿命が300歳以上とか身長が3メートルを超えている推計値になるとかいった説がありまして、ノアの箱舟に関しても作り手の寿命が長い時代なので箱舟の建造には数百年かけている計算になるとする説には意外と支持者が多かったりします。　脱線しすぎて話が長くなってきましたし、時代を少し下りすぎましたから、次回は古代シュメール文明の辺りに戻って古代宇宙飛行士説の話をするとして今回はここまで（笑）。

2018.06.29

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９５８話　「山体崩壊説」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９５８話　「山体崩壊説」　一部の常連さん相手に”御岳、浅間、富士の連環”という話をしていたのですが、これを書いている時点の世間一般では明日にでも富士山が噴火するかのように主張している声が大きいことは、まあ、御存知の通りの状況ではないかと。　ちなみに、”富士山が今にも噴火する”という話は昭和４１（1966）年から本放送が行われたウルトラＱの第７話”ＳＯＳ富士山”の回でも採用されている話でして、それ以降も何度と無く、”（今度こそ）○年の○月頃に噴火する（ことが確定している　・・・”かのように主張する学者なのかなんなのかよく分からない人達の予測なのか預言や法螺との区別さえ判然としないような”お話”に時々のマスゴミが乗っかって社会不安を惹起し続けてきて飯の種にしてきた定番ネタだったりします。　お断りしておきますが、私は別に”富士山が噴火することは未来永劫無い”と主張したいのではなく、一定の条件を満たせば２０１７年頃までに噴火するんじゃね？とかあれこれ考えている暇人に過ぎません　・・・　もちろん、２０１７年までに富士山が噴火しなかったとしても知ったこっちゃありませんが（笑）。　まあ、”いつかは噴火する火山”というのが富士山に関して唯一確実に言えることですし、前述したようにこれまでにも何度と無く特定の期限を切って富士山が噴火すると主張した人が在野のアマチュア研究家だけでなく専門家筋にも存在しているのですから、今更、私が富士山噴火に関して好き勝手な予想を書いたところで大勢に影響は無いんじゃないかと。　というか、関東大震災クラスの首都圏直下型地震に関してでさえ、それで飯を食っている地震関連の専門家と所属機関が３．１１の東北関東大震災で社会不安が増大している地震発生直後の時間帯から”３年以内に発生する”とぶちあげ、マスゴミがその情報を拡散した実績がありましたし、それでいて少し時間が経過するとさすがに何かとマズイと思ったのか３年以内と言っていたのを３０年以内と○を一個追加するようになったり、マスコミへの最新情報の類を提供をしなくなっていったことは比較的知られた話になります。　つまり、３年以内に首都圏で大規模な直下型地震が発生すると研究結果が示していたのなら、その発生するとしたタイムリミットが近づくほどに、発生する時期の精度が年から月へ、月から日へ、日から時間帯へと上がっていかなければとても学術的な根拠に基づいた科学的な予測とは言い難く、大規模震災直後の不安心理につけこんだ予算確保のための言動だったのではないのか？と言われても仕方が無いということです。　冷静に考えれば、地震大国である日本において”３０年以内に首都圏に関東大震災クラスの大地震が起こる！”という程度の予測（それを予測というのならばですが）というのは、その辺の小学生でも出来る精度の予測の類というか、１月１日に”年内に首都圏で必ず雨が降るでしょう”と予測しているのと大差が無い精度の話だと私は思います　・・・・・・　少なくともその程度の予測を研究結果として公表することで専門の研究家として飯を食っていけるのならば、それは市井の怪しげな霊能者や金星人の預言者の類よりも楽な商売ではなかろうか？　といったあたりまでを枕にして話を続けると、大規模な首都圏直下型地震や富士山噴火に関する予測というのは別に日本の研究機関だけが行っているわけではなく、海外の研究機関や海外の軍事関係筋もかなり昔から行っている分野でして、大正デモクラシーの時代で、社会がそれなりに安定して発展していた当時の日本が関東大震災の被害と復興が生じたことで財政面から一気に傾いていったことと無縁ではなかったりします。　ざっくり書けば、日本の首都圏が大規模な震災や火山噴火などの被災地となった場合、日本の株が暴落するだけでも世界恐慌の引き金になりかねませんが、諸外国の懸念は日本が海外に投資している金や購入している諸外国の債券などを売り飛ばして復興資金を調達することで自国の経済が大混乱ないし連鎖倒産しかねないと考えている人が案外と多いといった背景がそこにはあるわけです。　もちろん、ここぞとばかりに局地戦が勃発しかねない実効支配の強化を行ってでもどさくさいに紛れて国境線を動かそうとする勢力が出てきても不思議ではありませんし、実際問題、関東大震災に被災した直後の時間帯に欧羅巴某国の軍艦が東京湾に救援や物資提供などの名目で入り込んでどさくさ紛れに東京湾の海底を延々と測量していたというのは有名な実話です。　そういえば、阪神淡路大震災（1995/01/17）の頃から、”あれは人工地震だったのではないのか？”とか”（天然か人工かはともかく）事前に発生日時が判明していたのではないのか？”という都市伝説めいた噂が流れた一つの根拠に、”古くから国際観光都市として世界的に知られていて、外国人が少なからず定住したり旅行者として滞在していた地域が被災し死者６千人以上、負傷者４万人以上という人的被害が発生したにも関わらず、白人の死亡者が皆無だった”という話があります。　或いは、当時の読売新聞の後追い報道（1995/02/11）などでも検証できますが、”阪神淡路大震災が発生した直後の１月１９～２０日にかけて、自前で船をチャーターして関西国際空港から米国人を中心に欧米人が４００名ほど神戸界隈から避難した”というのは実話です。　となると、日本人が２万人近く死亡した東北関東大震災ではどうだったのか？というと、白人の死亡者は１名だけだったという話が比較的有名ですが、その辺りの真偽を確認しようとしても、なぜか日本政府が人種別はともかく国籍別の死傷者数や行方不明者数などの情報を公表していないことは比較的知られた話になります　・・・　私が不勉強なだけで、公式資料のどこかで公開されている情報かもしれませんが。　震災と連動して発生した福島原子力発電所事故というか、原子力発電所の放射性物質の広域爆散事故や炉心崩壊危機に伴う情報提供でさえも、諸外国の対応と日本政府の対応には雲泥の差があり、ほとんどの国が日本に滞在していた自国民に対し緊急避難を呼びかけて情報を提供したり避難経路を確保していた時間帯に、”パニックになるのを恐れた”という言い訳になっていない言い訳で日本政府が自国民に対して避難指示どころか放射性物質の拡散情報の提供を含めて事実上何もしなかったのは御存知の通り。　当時の怪しい話の臨時版を読み返していて腹が立つことの一つが、”非常時に備えて”という名目で専用倉庫で金をかけて備蓄したり、稲作や減反などに補助金の類を出して保護していた”米”が小売店の店頭から消えていた時間帯に、備蓄米の緊急放出を日本政府が行わなわず、食品が消えた小売店の店頭の現状確認だけをパフォーマンス的に行ったことでしょう。　震災から３日目以降に、私自身が商店街の路地の片隅などで段ボール箱に詰められ、震災前の倍近い値段で”闇米”が売買されていた複数の現場を目撃しただけに、国家が滅亡しかねないイザという時間帯に何もせず役に立たなかったのだから米の国家管理や戦略備蓄はその大きな論拠を失ったとも思います。　実際には、ＴＰＰ絡みもあってか第２次安倍内閣になって以降、稲作やら備蓄米などなどの国策であった保護策の切捨てが（いつの間にやら）急速に行われていて、2013～2014年にかけて国産米を栽培していた農家や団体が経済的な大打撃を被っていたのですが、マスゴミがその辺りの報道をすることがほとんど無かったあたりでも、亜米利加絡みだったのかなあと勘ぐらないでもありません。　その辺り、同時進行で、小泉内閣の正統な後継内閣ということ言われても仕方が無い、”なぜこの時期に？”と首を傾げる株式上場を含めた郵貯関連を外資へ提供するための一連の動きもこっそりと急速に行われていたように私には見えましたが（溜息）。　戦後の日本の政治家達がなんとか守ってきた、米と郵便貯金という日本が独立国であるために堅守してきた”肝”の部分を差し出すことの見返りが何だったのか？といった辺りまで話を広げるつもりはありませんが、そこに人工地震兵器とか気象兵器といった”とんでも話”が加わると意外とすんなりと筋道が通るシナリオがある気がしないでもありません　・・・　ま、気のせいといわれればそれまでですが。　そういえば、以前にも少し触れたことがありますが、気象兵器や人工地震の話でしばしば登場するアラスカのハープ（HARP、High Frequency Active Aurorl Research Program）は、いろいろな意味で有名になりすぎたためかシステム上１度大規模な実験を行うと次回の実験まで２週間程度使用できない構造的な欠陥を有していためか、”老朽化”を理由に既に事実上閉鎖されているのですが、世界各地の関連施設が同時期に閉鎖されたか？という観点から考えれば、次の施設が宇宙空間を含めて稼動するようになった可能性が高いのかもな～と勘ぐらないでもありません。　ま、使いすぎいじりすぎて制御不能やら想定外の動きが増大したためあわてて蓋をした可能性もありますし、大規模な地殻変動や地球内部にまで及んだ変動被害に地底人が激怒したためといった噂話もありますが、中間選挙の結果、オバマ大統領がレームダック状態になった辺りと併せて考えるとなかなか意味深な状況だけに邪推を掻き立てる分野になっていますな（黒い笑）。　話を戻すと、霊学的な立ち位置から”富士山は世界遺産になるべきではなかった”という話があり、”太古からの神山であり信仰の対象でもある富士の山頂を、信仰心を持ち合わせず観光気分の一般人が土足で踏み荒らして山の怒りを買わないわけがない”といった解説が続くことがあるのですが、以前、強固な正のパワースポットも気の乱れ運気の低い連中が御利益を求めて多数たむろするようになると場が乱れてマイナスのパワースポットへと変貌する話を延々としたことがありますが、まあ、富士山山頂界隈でも現在進行形で場の悪化が生じていると考えると分かりやすいかもしれません。　まあ、そういったスピリチュアル系の解釈をしなくても、富士山のトイレ問題などが典型ですが、”そもそも金に目が眩んでいるのか環境保護のための入山規制をいつまでたっても行わないでいる行政がどうかしている”というもっともな話がありますし、富士山周辺の自然環境の保護などなど幾つかの点で改善が見られなければ世界遺産の登録取り消しがありえると警告されているにも関わらず、金にならないことはしないのか亀の歩みのようなスピードで対策が講じられているというか、現代の小田原評定になってきていることは比較的知られた話になります。　それはそれとして、富士山が噴火するとして、どのような噴火になると思いますか？と聞かれて、北西の山腹の途中から噴火する山体崩壊型の噴火になるんじゃねえの？と予想しているのは私ですが、公式のハザードマップなどを見ていると、私の怪しい予想のような想定にはなっていないようです。　かくのごとく、富士山噴火が何時ごろどのような形になるのかに関しては諸説ある話ですし、自国の政府が情報公開の点で当てに出来ない対応を繰り返しているだけに、浅間やら首都圏直下型地震などとの連動も想定して”備えよ常に　・・・　もっぱら自前で”という気が私はしています。　もっとも、いずれも何時になるか分からない話でありながら、それなりに時間と金もかかる話だけに、他人さまを説得したり、あれこれ勧めたりする気はさらさらありませんので念のため。(2015/01/04)

2015.01.04

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２２話　「パワースポットの闇２」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２２話　「パワースポットの闇２」　明治神宮内にある清正井がＴＶで芸人たちに訪れるだけで”願い事がかなう”とか”運気が上昇する”場所といった具合に紹介されたあたりからパワースポットという言葉が一般名詞化していき、五時間待ちの行列が出来上がる頃には観光スポットの様相を呈していた気がしないでもありませんが、そういった風潮を”村おこし”や”町おこし”の名の下に利用しようとする人達が出て来てこれを書いている時点に至るのは意外と確かな話になります。　実際、パワースポットの”パ”の字も口にしていなかった場所が、ここは神秘のパワーがみなぎっている驚異のパワースポットで、訪れるだけでご利益があり、その神秘のパワーがこもった物品を飲み食いしたり身に着けていると、あ～ら不思議、パワースポットを訪れているときとおなじ（ような）御利益を得ることができます云々と時に表現をぼかしながらやらかすようになった事例には不自由しません　・・・　ま、その手の便乗商法が一概に悪いとも思いませんし、私ごときがあれこれ言ったからといって止まるとも思っていませんが（大笑）。　しかし、なぜそういった特異点のように限定された場所から（半）永続的と言いたくなるような長期間に渡ってエネルギーが漏洩しているのか？という根本的かつ素朴な疑問に対しての解説でさえかなり怪しげで、ときに”エセ科学”とか”疑似科学”と呼ばれる矛盾とファンタジー（幻想）に満ちた理論に立脚していたりすることがままあるというのは比較的知られた話になります。　私的に納得しているのは風水理論の視点からの解説ですが、これまた困ったことに風水学に詳しくない人たちが聞きかじりで怪しげな風水的な解説を繰り広げている事例に不自由しませんし、聞き手の側もとりたてて風水学に詳しくないが故に理論矛盾を論破することができないでいたり、そもそも胡散臭いのは承知で”万が一でも御利益があるようならもうけもの”とばかりに流されていることも珍しく無いわけです（笑）。　風水学もまた陰陽理論などと無縁ではなく、どこからどのくらいのレベルで解説するか？といったあたりから考え込まないでもないのですが、ざっくりと大前提の一つを書いておくと、宇宙はその誕生時点から”動いて”いて、人の体内の動きはそうした宇宙の動きの雛形になっている　・・・・・・　西洋の手相術が手のひらを太陽系に見立てて行っているあたりなどで、別に東洋の風水学だけに特有の概念ではありませんし、逆に足揉みで知られるリフレクソロジー（反射療術）だと足裏や手のひらに、中国医学だと掌紋や耳たぶといった狭い範囲に体全体の情報が反映していると（見立てるというか）考えることがあるのは比較的知られた話になります。　神道の産土（うぶすな）的な考え方とも一致するのですが、自然界に満ちている”気”の中に”生気”があり、生気が凝結することで（無機物から有機物が生じるといった）命が生まれるが故に、命あるものもまた自然界のエネルギーの流れに影響を受け同じような反応や変化を見せることがあり、物質や（運動）エネルギーが凝結して生じた命はやがてエネルギーが減衰し流れが停滞するようなりほどけていってもとの物質へと戻っていくといったあたりまで考えていると仏教的というかバラモン教など”輪廻（転生）”の考え方とも相性が良いことがわかります。　いずれにしても、古代から人類は自然界の流れの影響から自分たちもまた無縁ではいられず、無機物に生じる影響は有機物にも生じ、有機物に生じる変化は無機物にも生じるとでもいったあたりに集約されるのかもしれませんが、もう少し狭義に、自然界という外界（周辺環境）の状態はそこで生きている動物の状態に直接的な影響を与え、一定の区域で生きている動物の活動が外界に直接的な影響を与えることがあるといった程度の考え方というか自然観でも間に合うのではないかと。　以前、自然界の気の流れは、天（大気）、海（海流）、地（地殻）の順に影響が出てくるという話をしたことがあり、地球規模で気流が変化すると、次に海流が変化し、最後に地殻（大陸プレート）の動きが変化するということですが、流れが変化するときに抵抗が弱く少ないエネルギーで動くものから影響が出やすく、変化も大きくなりやすいと考えてもらったのでもかまいませんし、自然界のエネルギーの流れの変化を人が知覚できる現象として気流、海流、地流の変化が古来知られていたとも解釈できます。　かくして、私的なこじつけでは地流は地龍に通じるわけですが、風水術だと造山運動で生じた山脈といった大地の起伏というか土地の盛り上がりが連なっている部分が”龍（ろん）”であるが故に、”龍”の地形は大地の”気”の流れが盛んな状態を示すことから”龍脈”と称すことがあると話が繋がっていくわけです。　では、なぜに大地に一定のルートで（一定の期間）エネルギーの流れが生じるのか？というと、太陽から降り注ぐ電磁波など宇宙線の影響という地球物理学的な話につながっていき、地球が一つの電磁モーターというか太陽からのエネルギーで動いている発電機のような構造になっていて　・・・　とやっていると話が終わらなくなりますし、これまでにも散々と書いてきた話でもありますから深入りはしませんが、地球温暖化の原因が大気中の二酸化炭素濃度ではなく太陽から照射されているエネルギー量の変化によるという説になぜ私が立っているかはわかりやすいかもしれません（笑）。　話を戻すと、龍脈を流れるエネルギーの結節点というか寄り集まっている点が”穴（しぇー）”とか”龍穴（ろんしぇー）”ということになるのですが、この場合、龍脈をリンパ管、その中を流れるリンパ液の流れを地脈エネルギーの流れ、リンパ節を龍穴と置き換えて考えるとイメージしやすいかもしれませんな。　故に、エネルギーの流れに影響を与えたい場合、龍脈や龍穴を変化させる方が、そういった流れの類が生じていない場所を変化させるより効率が良いと考えてあれこれ術策が考案されてもきたわけですが、人の場合だと経絡理論に基づいて施術しようとすればするほど経絡を操ることの出来ない人が"気”の流れをかえって大きく乱してしまい、体調不良がより深刻な話になってしまうことがあります　・・・　陰を極めれば陽に転じるではありませんが、意図的に乱すことで狙って効果を出すという施術といった別の視点からの話もありはしますが。　となると、大地を流れる”気”もまた、外部から物理的に龍脈の流れや龍穴へ影響を与えることで大きく変化してしまうことになるのですが、ここで視点を少し変えると、地球規模で最大級の龍脈がチベット高原の南側に位置するヒマラヤ山脈ということに異論は少ないでしょうし、この大規模な龍脈の最後の気の結節点というか龍脈と龍穴で形成されているというか複数の大陸プレートがせめぎ合って形成されてきた日本列島ということにもなるわけです。　逆説的に、世界最大級の地脈と繋がり、世界最大級の龍穴群を形成している日本列島の地脈の流れの変化は、世界の地脈の変化を促すことを意味していて、その観点からだと大本教などで唱えられた日本列島の”雛形理論”が単純に日本列島の形が世界の地形に酷似しているという外見レベルの話で留まっていないこととも合致してくるわけです。　いわく、”日本に生じたことは、その何倍にもなって（該当する）世界に生じる”といったある意味でおなじみの話ですが、日本ではささやかなレベルの気脈の流れの変化が、世界中の気脈の流れを一気に激変させてしまうトリガーになっている可能性や、そういった世界規模の変化の予兆とみなすことができる可能性があるわけです。　もちろん、人類の科学技術が未発達な時代だと、人が大規模な龍脈の流れに影響を与えることは不可能に近く、龍脈から何らかのエネルギーを取り出そうとしたのではないか？という説もある各地の（エジプトのピラミッドなどを含める人たちも珍しくありませんが）巨石文明の類が一つの考え方の頂点というか到達点なのかもしれませんし、流れに逆らわずあるものを効率よく利用する融和型の思想といえなくもないかなと。　ただ、基督教型というか羅馬カトリック型の発想だと、異教徒や異端者の弾圧にも見ることが出来るように、自然環境は生活しやすいように改造し克服する対象という征服というか屈服型の思想が根底にあるが故に、”予言されている約束の地”に至るために意図的に自然環境を変化させることを是としかねないところがあり、実際、聖書の記述を一種のタイムスケジュールのように淡々と現実化させて消化していくことを目的とする基督教系の宗教集団は複数実在します　・・・　国際陰謀論の方がましな気がしますがリアルな話です。　考えてみれば、大規模な世界戦争を引き起こしたり、戦争で地球環境に大きなダメージを与える核兵器を最初に使ったのも欧米諸国の理屈ですし、風水の観点から自然界のエネルギーの流れを考慮した都市開発や大規模土木工事を行うのが東洋では常識の部類でも効率や合理性が最優先されがちな西洋では”何それ？”扱いになっているのは御存知の通りなだけに、そういった倫理観や感性が根底にある集団が、東洋的な気脈に影響を与えるノウハウだけを利用するとすれば、自分たちに有利になるように意図的に大規模な環境の変化を誘発することくらいのことはやりかねない気さえしてくるわけです。　ここまで書いて、国際陰謀論の中の２０１１年の東北関東大震災は核兵器を使った人工地震が引き金になったといった種類の噂話などを加味して考えると、福島原子力発電所の爆発事故の大音響というのは、まさに天使が吹き鳴らす滅びのラッパの音色だったのかもしれないなあという気が（私は）していまして、パワースポットで現世御利益をがばがばとといったあたりの話からはずいぶんと遠くへ来てしまったなと思わないでもありません（笑）。　まあ、黙示録の描く世界が少し進んだだけという程度の話ですし、日本列島の四季の変化が曖昧になってきたというか、異常気象が恒常化してきていることとも絡む話ですが、例によってお互いにエネルギーと時間の無駄なので”んな馬鹿なことを”という人を説得する気がさらさら無いことは最後に明記しておきます　・・・　なんせ怪しい話ですから（大笑）。(2014/07/03)

2014.07.03

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２０話　「パワースポットの虚実２」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９２０話　「パワースポットの虚実２」　欧米文明における”科学”の存在というか学問として確立されていった背景の一つには、魔女狩りに象徴される中世ヨーロッパにおける基督教関係者の暴挙に対するアンチテーゼ的な機運があったと私は考えていますが、羅馬カトリックなどがわかりやすいですが、”自らの宗教の教義や知識以外は全て異端の邪教であり、異端の邪教を信仰する者達に対しては何をやってもかまわない云々”と大真面目でやらかしたことは歴史が示すところでもありましょう。　もっとも、そんな羅馬カトリックにしても、異端の邪教が昔々から継承してきた文化　・・・　まあ、それを魔法や魔術と呼んでも良いと思いますが　・・・　を熱心に収集し、やがて独占したり秘匿するようになっていった時期があり、その観点からだと、自らが利用する魔法や魔術は”神の奇跡”とか”白魔術”と呼称し、異教徒達が同じモノを利用した場合は”悪魔の所業”とか”黒魔術”と呼称するようになっていったと言い換えることも可能でしょう。　その辺りの歴史的な推移は以前にかなり時間と手間をかけて怪しい話でも詳細に解説したことがありますので今回は深入りしませんが、羅馬カトリックも初期は過激な新興宗教集団に過ぎず、それも教祖（いわゆる”神の子”）である基督が処刑された後に生前の基督とは面識の無い人たちが中心になって十二使徒と呼ばれた高弟の中でも代表格であるヨハネなどを担いで立ち上げた組織だったりします。　つまり、基督の存命中から立ち上げられていた教団組織とか日々の生活を供にしていた人達が立ち上げた組織では無いということで、前者の場合、ある意味で基督のファン倶楽部の会長的な存在であったマルコ、後者の場合、いわゆる基督の嫁・マリアなどを核にして基督の没後に宗教組織が形成されていった流れがあったものの、そういった羅馬カトリックなどより継承の正当性が高く歴史も古い集団や組織に関しては、羅馬帝国の国教となったあたりから、取り込まれたり、置き換えられたり、無かったことにされていったりしているということです。　ある意味で、信仰を追及する宗教集団というよりも、政治を利用する宗教集団が自らが政治中枢も掌握するようになっていったのが羅馬カトリックと考えると分かりやすく、歴史的には羅馬帝国が東西に分裂する前夜に相当する時期に皇帝などの病気治しに乗じて一気に他の宗教に対して政治的な優位を得ることに成功し、それ以降は、自らも王侯貴族化してもいくのですが、王侯貴族の私有財産であった国を”宗教”という括りで再編成することで裏側から事実上占領し羅馬帝国を凌ぐ大宗教帝国を形成していくことになったわけです。　かくして羅馬カトリックの勢力が世俗の権力である羅馬帝国と密接に結びついて驚異的に勢力を拡大し、それこそ法律に基づいて他の（いわゆる異端の邪教である）既存の宗教団体を弾圧したり排斥するようになると、グノーシス派に象徴されるように羅馬カトリックなどよりはるかに起源が古い宗教団体諸派が対羅馬カトリックという点で大同団結する流れも生じるようになり、羅馬カトリックと対抗するための武器として”知識”や”技術”を隠匿していく　・・・　ある意味で古代の英知を継承する秘密結社として裏の宗教社会を形成していくようになっていったとも言えます。　歴史の皮肉としては、唯一絶対の至高神への信仰を唱え、その神の名の下に強行し続けた十字軍遠征が頓挫したどころか、十字軍遠征の主要な被害者となったイスラム教を信仰するアラブの国々が、ウイーン攻防戦に見られるように殴り返してくるというか逆に欧羅巴へと大規模な軍事遠征で攻め込んでくるようになったり、死亡率の高い黒死病（いわゆる"ペスト”）が羅馬カトリック関係者の主張する”教え”に従っていても蔓延して欧羅巴の総人口の１／３以上が短期間で死滅したりもしたわけです。　日々の生活の不満や不安のガス抜きや身近なところで宗教的な権威と求心力を維持しようとした側面が大きい”魔女狩り”が盛んに行われるようにもなっていったのですが、気に食わない相手や若い美貌の女性などに一方的に魔女の嫌疑をかけて処刑し私有財産を没収していく”魔女狩り”を大規模に繰り広げたからといっても、それと世俗化が恒常化していった羅馬カトリックの組織的な腐敗が止まるかどうかは別の話ですし、実際、内部から宗教組織として原点に返った建て直し改革を主張する勢力も増加していき、プロテスタント（いわゆる”清教徒”）として大量に分派していくことになります。　もともとが同根で教義が近く正統性の問題も生じるだけに、近親憎悪に突き動かされたのか自らの正当性を証明するためか、血を血で洗う武力衝突が生じるようにもなっていきますし、古代の中東あたりが起源となり異端や邪教に区分され魔法や魔術から話が始まる”科学”を表看板にした勢力が、宗教的な縛りとは無縁に現世利益をもたらすことで支持者を増やしていくようにもなります。　まあ、ざっくり書くとアラブ圏の文化や文明などが中世ヨーロッパに再度持ち込まれて独自の発展を遂げるようになっていったのが”近代の西洋科学”といえなくもないのですが、現世利益をもたらすどころか自分の財産を際限なくかっぱいだり、唐突に異端として断罪して命まで奪いかねない羅馬カトリックの影響力が強い社会に対して、”基督教関係者の主張＝非科学的で再現性に乏しく合理性に欠ける”とすることで、特定の宗教団体の支配から抜け出す足がかりを得たという程度のことは書いていいのではないかと（黒い笑）。　別の視点では、社会の中枢を掌握したことで、過去に別の宗教勢力がパワースポット的な意味で”聖地”としていた場所などに、教会や修道院などがわかりやすいですが基督教関係の建造物を建てて占有し独占するようになっていたにも関わらず、羅馬カトリックの勢力が影響力を低下させていったことからも、パワースポットが富や名声を奇跡のように（＝特に努力する必要もなく）もたらす場と呼ぶに値しないことはわかりそうなものではなかろうか？　少なくとも、歴代の羅馬法王や上位幹部クラスの関係者でさえ不老不死の類に至ることが無いどころか、暗殺や病死などと無縁でいられなかったことは御存知の通りですし、これまでの人類史上で空前の規模と権威を得たうえに古代から継承されてきた魔法や魔術の類にも詳しい羅馬カトリック勢力にしても、パワースポットの利活用という点では現状程度ということは良く認識しておくべきでしょう。　もっとも、それは風水というか仙術などの本場である中華圏でも大差が無く、本場というか本家の最高権威者たちが絶対的な国家権力を背景に風水理論などを最大限に利用したとしても、歴代の皇帝で不老不死を達成した人がおらず、滅びなかった王朝が無いのは御存知の通りで、少なくとも中国の歴史の中でも大帝国に区分され政治経済の面でそれなりに安定していた清国をして、科学的かつ合理的に武装した少数の英国派遣軍に”アヘン戦争”で惨敗したあたりから本格的な滅びへの道を歩み始めたことは比較的知られた話になります。　そう考えていくと、何ゆえに特殊な力場を形成するゼロ地場の一つとして分杭峠などを検証することも無くありがたがるのか？が私には謎ですし、”鰯の頭も信心から”という名言が頭をよぎらないでもありません。　ちなみに、そもそもの”ゼロ地場”という概念は物理学の実験などでも採用されているものの、少なくとも物理学の実験においては条件を整えた限定された極めて狭い範囲で機械を使ってやっと生じる現象だけに、野外の広域で、それこそ地殻変動の巨大なエネルギーがせめぎあって特異点的にゼロ地場が形成されるとは考えにくいところがあります。　仮に、ゼロ地場が形成されていたとしても、だからといってなぜ免疫力を高めたり各種のストレスを消していくような不可思議なエネルギーが彼の地だけで放散され続けるのか？そして、それだけのエネルギーが地表まで放散され地下水の類にまで影響を与えているというのなら、何ゆえに既に発生した阪神淡路大震災や東北関東大震災、あるいは発生が予想されている東海地震や南海トラフ地震などなどの震源地が中央構造線上に並んでいないのか？　少なくとも過去の日本の地震は、断層がずれることで発生したものが主流ですし、そうした地震が発生する過程で断層がずれれば地表も動いて人工衛星などを利用した広域の測地データなどに数値として異変が確認されることが珍しくなく、一定の法則性も確認されるようになってきていることは、地震予知がらみで次第に知られるようになってきている実話だったりします。　なお、磁場がゼロになっているからといって”マイナスイオン”や”気”がなぜ他の地域より余計に発生するようになるのか私には理解不能ですが、峠を訪れたり峠の水を飲むだけで病気が治る云々とか癌などの治療効果が云々とかいった話が大真面目で一人歩きしていながら公式に病院や研究機関などで効能が検証されないまま放置されているのはいかがなものかと。　その辺り、ゼロ地場から放散される謎のエネルギーを蓄えている水という前提で、分杭峠のゼロ地場の（秘）水を地下１６０メートルあたりからくみ上げ、５００ミリリットルペットボトルに詰めて一本３００円を越える値札を付けて売りさばくような話が珍しく無いことは実話ベースの話ですが、素朴な疑問としてペットボトル程度の遮蔽力でいつまで”謎のパワー”を水は維持することができるのか？それこそ、彼らの主張する理屈でいけば、携帯電話や電子レンジなどなど強い電磁波を照射する機材やいわゆる場が悪い場所などに置いておけば影響を受けて変質するのではないのか？？　少なくとも、同じような年齢層で同じ病気を抱えた集団を対象に、東京都や大阪府が自慢する水道水を同じペットボトルに詰めたものを飲む集団と、分杭峠の水をペットボトルに詰めたものを飲む集団とに分けて、同じような条件下で一定期間の経過観察を行った結果として、明らかに分杭峠の水を飲んだ集団の病状に有意な改善の変化が生じたといった実験結果が出ない限りにおいて、私は”分杭峠の秘水の効能と言われてもねえ？”と書いてしまいますな。(2014/07/01)

2014.07.01

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９１９話　「パワースポットの虚実」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第９１９話　「パワースポットの虚実」　パワースポットという言葉が市民権を得たというか一般にも広く知られるようになったのは、明治神宮内にある清正井（きよまさのいど、加藤清正が掘った井戸という説がある）を訪れたら、その直後から仕事運が劇的に（それこそ神懸かったかのように）アップしたと複数の芸能人がＴＶ番組でカミングアウトして以降の話で、少なくとも２１世紀以降の話になります（笑）。　で、同じ水系の地下水が渋谷川などに流れ込んでいる関係で云々といった話は以前に少ししたことがあるのですが、肝心の加藤清正が本当に清正井を掘ったかどうかは定かではなく、歴史的に確かな話としては清正井のある場所は江戸時代にというか、加藤清正の子である忠広の代に加藤家の下屋敷があった場所という程度のことになるようです。　そもそも論で言えば、清正井にそれほどミラクルなパワーがあるのなら加藤家が断絶することもなかったんじゃないかと私なんぞは思いますが、加藤家が絶えた後に井伊家の下屋敷として利用されるようになり、井伊家でも屋敷が絡む加藤清正関連の幾つかの逸話というか伝承が伝えられたそうで、その中でも”清正井”の名前を残した井戸の話は比較的有名な伝承というか、徳川幕府から明治政府へと政権が移った後というか平成の御世まで伝承されて来たわけです。　もっとも、ＴＶ番組の芸人の話から火がついたというか、パワースポットという言葉がブームとなり定着していく火付け役となった清正井は、最盛期には”順番待ち”の行列が５時間待ちとなり、携帯電話やスマホを片手に暇を順番待ちをする暇人が長蛇の列を作っていたというのは実話で、それも、”清正井でお願い事をすれば何でも高い確率でかなう（らしい）”といった願掛け地蔵に詣でる人達よりも物欲にまみれた人々が集っていたわけです（しみじみ）。　その辺り、その時点では願い事がかなっていなかったり運気に見放されているような人たちが少しくぼ地になっていて水気も多い場所に参集していたということで、私をして早々と、”あ～、ぼちぼち清正井はマイナスのパワースポットになっているだろうから騒動が少しおさまるまで近寄らないほうが良い”という話をしたことがあるのは怪しい話を延々と読んでいる古参の方々には説明不要で御存知の通り。　まあ、普通とかやや良い程度の運気の人でも、たかだか井戸を少しばかり拝むだけのために４～５時間も行列待ちをしていれば苛々して運気が乱れるのが当たり前といえば当たり前の傾向ですし、ましてや落ち目の人や運気に見放されている人、あるいは疫病神に取り付かれているような人が苛々しながら置き土産のように撒き散らした負のエネルギーが少しくぼ地になっている地形ゆえに滞留しはじめた場所ともなるとマイナススポット化しないと考える方がどうかしているとも思います。　面白いのは、人のまとっている気の層というのは、感情の情報などを含んでいるようで、それこそ苛々している人が小一時間座っていたような場所にはしばらくその人の気の層の形で苛々している個人情報を含んだ気が滞留していることがありますし、気が云々というのはわからなくても、人の体温の残滓と分かるような気温の温度差違や、体臭や香水などの香りが人の形というか外郭線に沿って残っているときがあるのは比較的知られた話になります。　心配事を抱えていても落ち着いている人の側にいると次第に心が安定してきたり、逆に苛々している人の側にいるとわけもなく自分も次第に心が苛々してくるといった経験をしたことがある人もおいででしょうし、怪しい話において、”金運を含めて運を良くしたければ（目的とする）運が良い人と友達になるかその側にできるだけいて運を複写するべし”といった話は定番ネタの一つですが、意識していても無意識でも運というか特定の波動が転写されて転写先でも転写元と同じような波動というか波長を再現するようになることがあります。　というか、そういった現象が生じることが経験的に知られていて魔術や密教、あるいは道教といった世界各地のカバラの類で利用されて来たわけですが、”そんな非科学的で馬鹿なことがあるものか！”という声があるのも現実社会ですし、そういった観点で生きている人たちを説得する気が私にさらさら無いことは御存知の通り　・・・　そういった人達は人達で自らの学識と信念に基づいて科学的に人生を謳歌されればよろしいのではないかと思います（笑）。　実際、オカルト話が好きな人は好きな人で、ある種の詐欺師たちに鴨にされたり流行に流されて右往左往することが珍しくありませんし、えてしてカルト化というかセクト化して異様に視野が狭くなり他の考え方やものの見方に狭量になって全否定を繰り返して友達をなくしていく人まで出てくるのはよくある話ですし、宗教が絡んで”洗脳”といった言葉もずいぶんとメジャーになってしまいましたが、行き着くところまで行き着く話さえさほど珍しくなくなってきていることは御存知の通り（溜息）。　冷静に考えれば、人工的に作られたパワースポットとされる場所で最大規模と書いてもさほど異論が出ないであろうエジプトのギザのピラミッドなどでさえ、エジプト王朝の衰退というか衰滅を食い止めることができなかったわけですし、パワースポットとされる地点の多くが既に滅んだ古代の王朝などが絡む祭祀の場や城砦の類が置かれていた場所が廃墟化してしばらく忘れ去れた後に再注目され観光地化した事例に不自由しないことは　・・・　素直に調べれば分かる話ではないかと（笑）。　別の視点からだと、これまた以前から高い確率で幽霊が出たり怪奇現象が頻発するといった噂のある怪奇スポットの類が、有名になればなるほど地元の暴走族やヤンキー兄ちゃんたちの肝試しの定番スポットや溜まり場と化し、複数のグループが同時に侵入したり順番待ちで肝試しをするようになった頃には自動販売機が設置されたり屋台が出ていないのが不思議なくらいの賑わいを見せるようになることさえあるのは比較的知られた話ですし、雑多な人が訪れて場の波動というか気の流れが乱れて従来のエネルギーなどが散逸してしまうと怪奇現象が沈静化するというか、霊的な意味でパワーが霧散して更地と化してしまうことさえあるというのも定番ネタの話ではあります。　清正井からパワースポットが知られるようになると、清正井以外の場所でも”ここが清正井に勝るとも劣らない御利益のあるパワースポットでございます”といったＰＲというか観光客の誘致合戦が既存の寺社仏閣の類まで参戦して生じるようにもなり、自称を含むパワースポットのある場所の地元の商店会あたりがやらかす分には、よくある話というか訪れる客の方も承知でだまされる話のネタが新しく増えた程度のことと考えていいのではなかろうか？　問題は、一定の権威を持つことになる地方行政組織の類が絡む場合で、何とか町や村の観光課とか自治体の長などが音頭をとって町おこしや村おこしの一環として新しくパワースポットであるかのような逸話や効能の類をでっちあげてしまったり、観光資源を意味する言葉としてパワースポットという言葉が一人歩きするようにもなったことかなと。　ちなみに、首相経験もある著名な某・政治家が自信満々に某・神社の敷地内で”ここがこの辺りでは最強のパワースポットだ！”と断言したことで話題になった場所が、まったくとんちんかんな場所だったとかいった、ある意味でリアルなネタにも不自由はしていないのですが（笑）、パワースポットが定番ネタになってくると、気の流れなどを含む自然界のエネルギーの流れが感知できていないのに、さも分かっている（＝自分には人と違った能力がある）かのように振舞う痛い人が増加してくることもまた不可避の現象のような気がしています（大笑）。　実際、"パワースポットがどこかとか、そこにどのような性質があるのかはどうやって分かるのですか？”と聞かれて、”ぱっと見て分からなかったり、現場に近づいて体感として分からないようならどうしようもないんじゃないですか？”と見も蓋も無いことを口走ったことがあるのは私ですが、霊能力とか超能力とかの類に興味を持っているというか自分自身の使われていない９０％の眠っている脳の領域が目覚めれば自分にも分かるようになる云々と考えたがり、それでいてある程度の才能に加えて地味で根気の必要な訓練の類はしたがらないといった人の数は顕在化している中２病患者の総数を軽く凌いでいる気がしないでもありません。　もちろんというか、人間の脳の９０％近い領域が使われることも無く眠っているのに等しい状態で云々というのは、”ナイトヘッド”という言葉とともに中２病患者を主要な苗床として拡散した概念というか”と学”の部類で、実際に脳の９０％近い領域が利用されていない人が日常生活を人並みにすごせているとは考えにくいところがあります（意外と真面目な話）。　パワースポットの観光地化というか、村おこしや町おこしの類に利用されているパワースポットの絡む話の横綱格といえば、”ゼロ地場”という言葉とともに１９９５年頃から一部でメジャー化していった長野県伊那市の分杭峠（標高１４２４ｍ）を思い浮かべてしまうのですが、まあ、分杭峠の場合は”人里は慣れたオゾンが豊かで空気と水が良い場所で自らの言動を静かに振り返りながら森林浴を楽しみ、お土産に天然のミネラルウオーターを持ち帰ることができる場所”と考えれば腹も立たない　・・・　かもしれませんな。　ある意味で元祖・近代パワースポットの発見といえなくもないのが、１９８８年に特定されて話題になった中国の蓮花山で、彼の地を訪れればみるみる気力がみなぎって難病の類も回復し、中国政府や、病院、大学などなどの公的な機関の公式の研究対象の場となっている云々といった話ですが、まあ、それが本当の話ならば、中国の有名人はもとより世界のセレブなどが病気で死ぬ事例が激減していくのではないかと思わないでもありませんが、いかんせん、針麻酔の前例もある国の話だけになんとも。　神秘のパワーを秘めていて爆発的な金運などをもたらすパワーストーンの効能の話をしたときに、パワーストーンの持つ金運というのはパワーストーンを購入した人よりも販売した人に億を越える文字通り巨万の富をもたらす効能が知られているといった話をしたことがありますが、実際、原価で一つが数十円とか数百円程度の石の数珠の類がお一人様に数万円とか数十万円とかいった単位で売買されている光景を目にして、幸運の壷や招運の印鑑といった霊感商法の類を連想するなという方が無理ってもんではないかと。　あちこちで、脇道に入りすぎて長くなってまいりましたので、ゼロ地場絡みの虚実が入り乱れる続きの話はまた別の機会に。(2014/06/30)

2014.06.30

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８７８話　「創生の槍」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８７８話　「創生の槍」　怪しい話においては、オーパーツの類もしばしばネタにしているのですが、オーパーツというのは”そこにあると学者さんたちにとって都合の悪い遺物”の総称とでもいったことになり、実にしばしば”無かったこと"にされたり、”み（え）なかったこと”になったりすることで知られています（笑）。　もっとも、逆に、”ここにあったらいいなあ～”という遺物がとても都合よく出土したり、特定の学者さんだけにそういった現象が生じた場合はなぜだか”あって当然じゃん？”という前提で話が進むことが多く、そこにそれがあることが妥当か否か（＝オーパーツか否か）はスルーして”偽物か本物か”論争が起こるかどうか程度の話になることは御存知の通り。　ある意味で、学術的に正しいか否か？よりも、特定の学会に所属している関係者が認めるかどうか？が優先される傾向が日本に限らず歴史の古い（=序列と収入が比例しやすい）学界にはあるということですが、早い話、オーパーツというのは先人が立てた学説（というより仮説）を否定する遺物でもあり、先人の仮説が根底から否定されるということはその仮説の上に成立している学会の序列が崩れかねないことを意味しているわけです。　もっと分かりやすく書くと、専門家が鼻で笑って”と学”扱いしていた学説の方が正しかったことが実証されてしまうと、鼻で笑っていた専門家の方が”と学”の信奉者だったというパラダイムシフトが生じることになり、早い話、それしか能が無かった人が失業して飯が食えなくなるわけですから、自らの生活防衛のためにもオーパーツの類をその筋の専門家が認めなかったり黙殺するのは脊髄反射レベルで当然っちゃ当然の反応なわけです（黒い笑）。　そのあたり、”間違っていたことに気が付いたら、それを正すことに遠慮したり躊躇したらだめだよ”いった趣旨の警句を残しているくらいですから、逆説的にどのくらい”正さずに”ごり押しを権威側が強行し続けて周りが迷惑してきたことか　・・・　といった解釈も可能でしょう。　まあ、そういった行動の前提に”無謬（むびゅう）性”とでいった信仰に近い概念があり、早い話、官僚や学者は間違ったことをいっさいやらない（＝故に自らの行動に責任を取る必要が無い）という神話の信奉者が税金で飯を食っている偉い（とされている）人ほど珍しく無いことは　・・・　まあ、御存知の通り。　それ故に、最大級のトラブルと直結しやすいのが、絶対君主の類が科学や宗教、時に軍事にまで首を突っ込んで自らも”そこそこに”学識や経験、実務能力のある人物としてふるまう場合で、実際にそういった才能があったとしても何かと迷惑なことになりがちなのに、誰からも”お前は不向きな上に馬鹿だから止めておけ”といわれないが故に万を越える死人が出るトラブルを引き起こすことが珍しくなかったりします。　で、今回のお題ですが、オーパーツもオーパーツ、人類が誕生したとされる以前の時代の槍が発見されたというニュースが流れたことに端を発していたりします。　カリフォルニア大学バークレー校の考古学チームが、28万年前の投げ槍の先端の石（石器ですな）を発掘したのはエチオピアの石器時代遺跡”ガデモッタ”からですが、何が問題になるのか？というと、人類が人類に分派したのが20～19万年前というのが定説なだけに、”人類”よりも前に、武器が製造され使用されていたことになるあたりで何かと具合が悪い人たちがいるわけです。　まあ、その槍を製造し使用していたのが現代のヒト（ホモ・サピエンス）以外の何かであると仮定すれば不思議でも何でもなくなる話ですし、現代のヒトの起源が従来の学説よりも昔々の話になってしまっても整合性はとれる話ではあるだけに、私は何も困りませんが（笑）。　これを書いている時点で研究者の間で有力な仮説は、石の刃を付けた飛び道具を作れる程度に発達した種としては60万年前頃から阿弗利加、欧羅巴、西亜細亜といった広域に生息していたホモ・ハイデルゲルゲンシスという説ですが、ゴビ砂漠や南極から恐竜の化石が発見されていることからもおわかりのように、人類が掘り返していない地中にどのようなお宝が埋まっているかはわかったものではないことは指摘するまでもありますまい。　想像をたくましくすれば、現在は滅んでしまっているナントカ原人の類が石の槍などを30万年以上前に実用化していて、その技術を現在の人類のご先祖様たちがぱくった可能性もあるわけで、それこそチンパンジーと大差の無い種が馬の大腿骨を棍棒にして獲物を殴り殺すところを見てまねをしてみたら”楽だった”ので定着し拡散していっても不思議でもなんでもないんじゃないかということです。　ある意味で古代のリバースエンジニアリングの可能性ということですが、意外と、人類の古代遺跡とされているものの内に人類以外の今は既に滅んでしまった何かが建設したものが含まれている可能性があるんじゃないか　・・・　なあと考えているわけです。　そのあたり、深夜のアニメーション”ミス・モノクローム”の第９話のように、過去の地球において宇宙人に当時の人類らしき存在が滅ぼされた後、気が遠くなるくらいの年月の末にまた似たような世界が構築されたといった可能性を否定しきれないということですし、宇宙人のところを宇宙規模の自然災害に置き換えると更にその可能性が高くなる　・・・　なあと考えてもいるわけです。　まあ、科学的な歴史観とでもいったものに、”単純から複雑へ”といった考え方があり、最初は一つの石を加工した石器から話が始まって、部品点数が数百点を軽く越えるジャンボジェットや宇宙ロケットの類が誕生していく過程を考えるとわかりやすい話かもしれません。　もっとも、これは家電製品の進化を部品点数で考えた場合でもわかりやすい話で、あるところまでは確かに”単純から複雑へ”と進化していくものが多いのですが、とある時点から”複雑から単純へ”と進化の流れが逆転する製品が珍しく無く、それこそ弁当箱くらいのサイズの基盤にびっしりと各種パーツが取り付けられていた製品が数年とか数十年後には名刺どころかアーモンド程度のサイズの基盤にちょろちょろと何かパーツが付いている程度の外観になってしまっていることがままあるわけです。　おそらく、何の予備知識も無い人が、アーモンド程度の大きさと弁当箱サイズの大きさの装置に遭遇したとすれば、大きな装置の方が高性能じゃね？と考えたくなるのではないかと思いますが、消費電力の点で考えても基盤に埋め込まれている個々のパーツの性能などで比較しても、後発のアーモンド程度の大きさの装置の方が高性能なことが珍しくなかったりします。　それは、サイズ的にはほぼ同じでも、ＤＶＤの10倍以上のデータをＢＲが記録できるあたりや、切手の半分以下のサイズしかなく名刺と大差の無い厚さのマイクロSDカードに、これを書いている時点だと千円前後で32ギガ程度のサイズが入手できますが、かってはＰＣやワープロの主力外部記録媒体だったＦＤ（フロッピーディスク。3.5インチで1.44メガバイトといったサイズが一般的だった。）で数千枚単位の情報が収録できることはご存知通り　・・・　たぶん（笑）。　かえって、カセットテープにデータの記録をしていた頃からのユーザーだからそうなのか、ちっぽけなマイクロSDカードにギガの単位でデータの保存ができることに実感がわいていないのですが、それこそ大学生の頃の自分がタイムマシンに乗ってやってきた未来の自分から”○十年後には、２時間録音できるカセットテープより、こっちのマイクロSDカード１枚の方が記録できるデータは大きくなってるよ・・・”といわれて信じるかどうか怪しいでしょうなあ。　というか、ＶＨＳのカセットデッキを初めて購入した頃の自分が”この３２ギガのマイクロSDカードでも、（ＶＨＳテープと同程度の画質や音質だと）１話３０分、全３６話のアニメシリーズが５～６タイトルは余裕で記録できますぜ旦那”とかいわれて、手のひらにぽんと実物を置かれたとしても、それを本当のことだと思うかどうか（大笑）。　まあ、ＡＶＩやＭＰＥＧ、あるいはフラッシュなどの動画形式で映像を残せる環境が一般化したことで、ＶＨＳの頃から問題になっていた、媒体がＶＨＳテープ、Hi8、ＬＤ、ＤＶＤ、ＢＲ　・・・と登場するたびに同じタイトルを買いなおす必要に迫られる呪縛から開放されたメリットの方が大きいのかもしれませんが。　日本の家電メーカーのあくどいところは、レコードからＣＤへ切り替えたいと思えば、レコードプレーヤーの生産を止めてしまう手口にあり、レコードプレーヤーを大切に使って対応しようと思っても、消耗品であるレコード針の供給を止めてしまったことは当時を知る人には説明不要でしょう。　レコードの針は型式さえ合えば汎用性がありましたが、レコードプレーヤーの型式によって細かなタイプに分かれているわけですから、対応する型式が違っていればＡというプレーヤーで使える針がＢというプレーヤーで使えるとは限らなかっただけに、針の入手が困難になればよほどのヘビーユーザーでもなければ、どんどん価格が下がっていったＣＤ環境へシフトするのは当然だったかなと。　また、同じ楽曲を収録したＬＰレコードとＣＤを比較すれば、そのサイズや重さの違いだけでもＣＤへ乗り換える人が増えた理由の一つがわかると思いますし、この分野も楽曲をＭＰＥＧファイルに変換してマイクロＳＤカードに収録してしまえばＬＰレコード数千枚単位のデータをポケットに入れて持ち運べるようになっていたりします。　つまり、かっては壁一面を埋め尽くしていたＬＰレコードのコレクションが、マッチ箱より小さいスペースに収まってしまう時代になって久しいということで、（これを書いている時点でのざっくりした話ですが）３０００ギガに相当する３テラとかいったサイズのＨＤでも弁当箱サイズになって価格的に１～２万円程度の話になっていますから、かってかなりの空間をふさいでしまい保管場所に悩まされた映像や音楽のコレクション環境が激変してしまったのは確かな話になります。　もちろん、コレクターの本能でもある”手元に置く”ことに固執しなければ、ネット上に保管したり、必要なときに業者から購入してネット経由で無限大に近いタイトルを利用することも可能な時代になってきていますから、ネットに繋げられる７～１０インチ程度のタブレット型端末があるだけで、昭和の頃なら保管に一部屋必要だった量のレコードやビデオなどのコレクションに収録されていた全データが利用できるわけです　・・・　利用料金が別途発生することもありはしますが（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８７８話　(2013/11/25)

2014.05.02

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１８話　「殺人豪雨」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第８１８話　「殺人豪雨」　東京だと杉並区あたりで”ゲリラ豪雨”と呼ばれる短時間の内に限られた区域に大量の雨が降る現象が知られていますが、これは東京湾から吹き込む湿った空気が、ヒートアイランド化している新橋あたりから内陸に向かって連続して生じている上昇気流で上空に運ばれながら雨滴を形成し、一定の重量に達して降雨現象が杉並の辺りで発生するためとかいった話もあります。　その意味では、ゲリラ豪雨は一定の地形が前提にはなるものの都市化の進行副産物という側面があり、その発生プロセスに関しても幾つかの仮説が成立しているわけですが、防災科学研究所などの定義では”１時間程度の間に、１０キロ四方くらいの範囲に振る大雨”といったあたりが大枠での話になるようです。　日本の場合、１００万人都市の分布を見るとわかりますが、沿岸部で栄えている大都市が珍しく無い国ですから、海から吹き込む湿った空気が都会の排気熱で生じる上昇気流に巻き上げられて上空で雨滴となり沿岸から一定の距離を進んだあたりで雨となる現象が沿岸部の都市圏ならばどこで生じてもおかしくないとも言えますが、やはり都市の規模が大きければ大きいほど生活にともなう排気熱もそれに非礼して増大する傾向があるようです。　それが別の形で実証されたのが、２０１３年の７～８月にかけての東京都の夜間の温度で、最低気温と言い換えてもかまわにと思いますが、赤道直下の国でさえありえないという指摘もありましたが、２日間連続（４２時間以上）して夜間の気温が３０度を越えるという驚異的な記録が達成されたのでした。　２０１３年の夏は公認記録こそ限定されていましたが、各地で４０度越えが頻発し、次第に感覚が麻痺してきて最高気温が３５度を切っていた日に”今日は比較的過ごしやすいですね”という会話になったことがあります（実話）。　感覚の麻痺と書いても、これを書いている時点で２０歳に達していない世代だともはやこういった夏場の気温の方が常識になりつつありますから今一つ実感を伴わないとは思いますが、私が小学生くらいの頃だと夏場の最高気温は７～８月の瀬戸内でさえ３５度を何度か越える程度で、それも３６～３７度あたりが上限だったわけです。　瀬戸内の特に四国側は河川が少ないこともあって降雨量が少ないと”渇水”ということになり、６月末くらいから降雨量０という状態が２ヶ月以上続いて”異常渇水”となってダムが枯渇してダムの湖底が露出し沈んでいた集落が姿を現すといったことも起こるわけですが、大枠では”節水”ということになるのでしょうが”時間給水”やら”断水”やらが頻発するようになり、次第に水道水の塩素濃度が上昇するのか水が”カルキ（塩素）臭くなり白濁しはじめる”のが夏の風物詩になっていた地域もあります。　まあ、科学技術の進歩で海水を淡水化する技術が向上し、水の価格はともかくとして、異常渇水になっても飲料水まで枯渇するかもしれないという危機感は昭和の頃と比べれば薄れていますが、降雨量０が７０日を越えて９月に入ってやっとまとまった雨が降った年の恐怖感は経験してみないとわからない自然現象の一つかもしれません。　話を戻すと、ゲリラ豪雨の場合、その日の大気の流れ次第でどこに雨滴が生じて降雨が始まるか？の特定が難しく、ある意味で夏場の入道雲がより短時間で発生して発達しながら風に流されながら移動して雨を降らせるようなものですから、何時何処で降雨が始まるかの予測が極めて困難なところがあります。　つまり、大枠では杉並区からより内陸にかかったあたりで雨になりやすいという傾向がわかっていたとしても、その何処で降雨が始まるかはその日の気象条件次第でばらつきが大きく、短時間の降雨ではあっても雨量が多いため”瞬間洪水”という言葉も知られていますが、窪地や地下室、地下街の水没が起こり、３０分程度の降雨で流れ込んだ雨水の水圧で地下室の扉が開かなくなって室内に閉じこめられ、さらに浸水が続いて助けも呼べない内にそのまま溺死してしまった事例も知られています。　大都市圏の場合、道路などが舗装され地面が露出している庭も限られ、それこそ敷地面積に法律の許す上限すれすれまで家を建てる人が珍しく無いこともあって、雨水の逃げ場というか吸収先が限られ、暗渠排水である下水道の排水能力を上回る雨量となると排水管などを逆流して汚水が噴き出してくる”逆流浸水”が生じることさえあるのですが、もちろんというか、下水道のマンホールの隙間から水が噴水のように噴き出す光景も一種の逆流浸水ですし、より下水道の水圧が上がれば各家庭の排水口からの逆流浸水というか逆流噴水現象が生じることになるという解釈でいいようです。　従来の都市計画で想定していた下水処理の対象となる雨量は毎時５０ミリ程度で、それを前提に下水道の整備が進められてきたわけですが、ゲリラ豪雨の場合、毎時１００ミリを越える事例も珍しく無くなっていますから、下水道の処理能力を越えてしまい、越えた部分は”どこかへ”漏れだして海や河川へと流れ込んでいくしか無いわけで、その際に”都市型水害”とか”都市型洪水”と呼ばれる現象が起こりやすくなっているとも言えます。　言葉としての”ゲリラ豪雨”は、２００８年に”現代用語の基礎知識”新語、流行語大賞で新語としてトップ１０入りしたあたりから使用頻度が上昇していった感がありますが、言葉として普及し認識が共有されるようになる以前だと、災害救助の本職である消防署でさえ”まさか従来は起こったためしがないそんなことが”という発想から抜け出せず、複数回の１１９番通報があっても対応が後手に回ることが珍しく無く、２００８年の８月に栃木県鹿沼市の市道で軽自動車が水没した際に運転していた４０代の女性が水死した事故では、やはり複数の通報を受けていながら後手に回った消防署の対応が問題視されています。　逆に言えば、ゲリラ豪雨が生じると数十分程度の降雨でも人死にが出るような局所洪水が発生することがあるという認識が実際に複数の犠牲者が出たことで広まり情報として定着したということにもなるのですが、昭和の頃にはＳＦドラマでさえ想定できず、一般人にはとても考えられなかったような近未来が四半世紀ほど後には現実のものとなっているわけですから、想像を現実が追い越した事例の一つとも言えるのではないかと。　では、ゲリラ豪雨の対策は無いのか？と聞かれれば、一番簡単というか現実的なのは道路の舗装をアスファルト舗装一辺倒から、ボーラス舗装と呼ばれる透水性の高い舗装に変えていく方法で、これは実際に各地の自治体が採用しはじめていることで知られていますし、一定の効果が確認されてもいます。　水を排水路に誘導する道路の舗装もボーラス舗装に含まれることがあるのですが、この場合、排水溝が何らかの物質が塞がれてしまうとそこまでですし、街路樹や家庭の樹木の落葉、ゴミ袋やブルーシートの切れ端など防水性の高い布ゴミといった分かりやすい障害物や、飛散した屋根材や壁材など”竜巻”なども関東圏で頻発するようになっていることも併せて考えると”まさかそんな馬鹿な”ことが起こりうる時代になっていると考えて置いた方がよろしいのではないかと（私は）思います。　ゲリラ豪雨の予測や観測に関する切り札的な対策として”ＸバンドＭＰレーダー”を国土交通省が豪雨対策の一環として導入して運用していますが、これは独立行政法人・防災科学研究所が２０００年に完成させた新型レーダーで実証実験を続けながら改良が続けられている新型で、雨粒の形から雨量を予測測定することが可能なあたりが一番の売りのようですが、予測の分野に関しては東京湾の海水温と風向、都内にビルの屋上に幾つかの定点観測機器を設置して気温と上昇気流など基礎データを取得し、スーパーコンピュータを導入して専用プログラムを改良しながら予測精度を上げていくあたりが現実的な対応ではないかと。　もちろん、多種多様で高度なセンサーを搭載した人工衛星まで駆使した定点観測網を整備し、スパコンの予測プログラムと連動運用することでかなり高い精度で事前に（あるいは直前に）自動的に警報を出すところまでは現在の技術でも対応可能だと思いますし、緊急地震速報、緊急豪雨速報、・・・、緊急噴火・降灰速報などなどを携帯電話や携帯情報端末などへ強制メールで送り付けることを法律で義務化するべきだとも思いますが、そういった体制が整備されたとしても、発生する災害をゲリラ豪雨に絞ったとしても１００％の確率で総てをカバーできるか？といえば難しいところがあります。　それは、従来のモデルでは説明不可能な雷を伴う激しい豪雨が２０１３年に多発したことに象徴されますが、東京湾の海水温ではなく、日本近海まで熱帯並の高い温度の海水温の海域が北上してきた関係で、海水温分布から見れば、日本列島が赤道の少し上くらいに位置しているかのような位置関係になっていた時期があったように、”従来に無い”事象を主因とする新しい災害が増加傾向にあるためです。　ゲリラ豪雨の対策にある程度の目処が付いた頃に、より広域な気象モデルを前提とし、より広範囲で死者を伴うような豪雨が発生する時代が到来したとすれば、原因がなんであれ豪雨になるとどこから水没するかとか、どういった経路で逃げると（比較的）安全かといった、マンホールや側溝などこれまでに増水時にそこに落ちて水死者が出たような構造物も網羅した洪水ハザードマップの作成と（ＨＰなどでの公開を含む）配布は各自治体の急務になっていると言えます　・・・　地震や火山噴火のハザードマップだけでは話が終わらなくなっているわけです。　海水温が上昇し、それも深海と呼ばれるような低温の海域も熱を吸収しはじめているという説がありますから、これからも日本近海の海水温が赤道直下並の海水温になったとしても不思議では無いと（私は）考えていますが、どうも日本人は”悪い状況を想定すると、その悪い状況がやってくる”とでもいいたげな最悪の状況を想定して備えておくどころか、想定の範囲内の対策さえ講じずにおいて、事故が発生してから”想定の範囲外でした”と弁明し責任回避のロジックを洗練させることに熱心なところが露骨に見受けられるだけに、”殺され損”になる国に住んでいることを自覚しておいた方が良いとも言えます。　近年、頻発するようになってきた新型の都市型大災害に関しても、その新型の都市型災害に付き合って残りの人生を過ごすのか、被害の心配が無いか少ない新天地に移住して残りの人生を過ごすのかということで、前者の場合は”国や地方自治体が速やかに対策を云々”と主張して無駄な時間を費やすことになりがちなことは、これまでの日本の歴史を少し振り返ってみればわかりそうな気がしないでもありませんが（黒い笑）。　もっとも、移住した先が安全なのか？も謎といえば謎で、これまた”従来に無い新型のリスク”が様々な分野で生じている現実に直面することになるかもしれません。　(2013/09/07)

2013.09.24

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７２１話　「と学と除染」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７２１話　「と学と除染」　と学と科学の境目というのは意外と曖昧で、魔術と科学との関係を連想しないでもないのですが、魔術がマニアックな人達の疑似科学とでもいった立ち位置になるのに対して、大なり小なり金儲けに利用することが前提になるあたりで”と学”に胡散臭さがつきまとうのかもしれません。　もっとも、それ故に、”それは、と学だ！”とラベルを貼って一言で葬って門前払いをくらわしている人達の中に、自分自身の既得権益を守ろうとする人達がいることもリアルな話で、その意味でも”と学”には銭がつきまとっていると言えます。　具体的には、”地震予知”の分野で、ここに年間１００億円を越える税金が投入されていながら、数十人以上の死者が出たような大規模地震でさえ一度も予知に成功していないにもかかわらず、○年以内に○％の確率でどこそこにマグニチュード○級の巨大地震が起こる云々という予測だけは盛んに流しているという話は何度かしてきたところではあります。　そもそも、”本当に地震が発生するメカニズムが分かった上での予測なのか？”というのが怪しい話が問題視している点で、過去の地震発生の記録から統計学を用いて近未来の地震発生を予測するというのなら、それこそ十万円を切る中古パソコンと表計算ソフトがあれば可能な話で、地震予知の研究名目で年間１００億円を超える金がどこへ消えているのか？　原子力発電が既得権益の塊になっていて、それで飯を食っている連中を称して”原子力村”と呼称しているケースもありますが、それと同じように既得権益の塊になっている地震予知に関連する”地震予知村”に関してはブラックホールのように金がどこかへ消えて結果が何も出ていない、それでいて危機感だけは煽り続けるという綱渡りをしているだけ有害でしょう。　地震予知が既得権益の塊になっていることの最大の弊害は、そういった地震予知村とは異なる視点で研究している事例を徹底的に無視や除外し、自分たちだけで予算を丸抱えしようと画策する傾向があることで、国は半世紀近く結果が出ていない研究に関しては　・・・　仮に東大を頂点とする学閥が背後にあるとしても　・・・　予算をカットしていく必要があるでしょう。　これまた、何度も書いているように、地震予知が不可能ならば耐震や免震関連の補助に予算を振り向けるなり、巨大地震が発生した後の手当に予算を振り向けるなりすべきで、毎年１００億円の予算があれば、仮設でなくて本格的な復興住宅が復興団地の類が供給でき、それこそ毎年１０億円単位でも新型の耐久性や居住性を高め建設期間を短縮できる仮設住宅の研究と建材や資材の備蓄に投入した方が納税者の支持を得られるのではなかろうか？。　そもそも論として、地震予知は可能なのか不可能なのか？といえば、阪神淡路大震災以降、ＧＰＳを使った地形のズレを観測するための基準点が１２４３ヶ所ほど国土交通省の所管で整備されていて、観測数値は２週間間隔で（民間でも利用できる）データが公開されているのですが、大規模地震が発生する場合、規模が大きくなればなるほど事前に地形にズレが生じる範囲が広くなるのではないか？ということは、首から上に頭が着いていれば素人でも気が付く話で、実際、そういった観点から地震予知に取り組んでおいでの研究者もおいでで、メルマガなどで公表されているデータが次第に予測精度が上昇していて、2013年の淡路島地震に関しても（私は）惜しいと思うところまできていました。　もっとも、その研究をしている学者先生は前述した地震予知村とは異なる畑の先生ということもあって、研究成果は既存の地震予知村からは門外漢の素人研究扱いというか門前払い状態で黙殺され、予算らしい予算は（税金から）確保できておらず、研究継続や予測結果の公表関連の費用さえパンク寸前という、それってどうよな状況だったりもします　・・・・・・　地震予知村の半世紀近く結果の出ていない、そしてそれを誤魔化すかのように統計資料をいじってオカルトチックな予測だけは垂れ流して危機感だけは煽っていると言われてもしかたがないような既存の研究に年１００億円を延々とこれからも投入するくらいなら、それ以外の既存の地震予知村に属していない研究者の新しい研究に予算を振り向け、両者伴に５年単位で成果をオープンな環境で査定し予算配分を変更すべきだと私は思います。　それは放射性物質の除染に関しても言えることで、菌類や微生物を利用することでセシウムなどを無害な物質に変化させて除染することが可能ではないか？という研究に関して、”放射性物質が原子変換されるなんてあり得ない”とし”と学”としてばっさり切り捨てる人もいるわけですが、そんなことを言っていられるほど既存の科学は結果を出していて私たちの体は放射性物質の体の内外からの汚染に対して余裕があるのか？という素朴な疑問を持つわけです。　この分野では、複合的な微生物を利用して放射性物質を安定物質に転換する実証実験を行ったことで、ネット上で話題になった高嶋開発工学総合研究所の研究が知られていますが、研究所のアナウンスによればですが、”無機物、エネルギーを培地・媒体とする化学合成細菌類・光合成細菌類の現生と発現の科学”だそうで、”ひまわり、ＥＭ菌、ゼオライト（多孔質）などとはレベルが違う”そうです。　この手の研究に関しては、客観的な数値データで科学なのか”と学”なのか判定できる話なので、ここでは深入りは避けますが、微生物除染を研究している機関から、一緒にしてくれるなと名指しされたＥＭ（有用性微生物群）菌を使った除染とは何か？といえば、これは農業関連では以前から知られていたＥＭ菌が除染に有効という話で、さすがに私も”と学”だと思います。　というか、”いつ、どこで、どのくらいの規模で土壌の放射性物質浄化にＥＭ菌を用いることで、どのくらいの期間かけるとどの程度の除染が可能”という実験をしたのか？が不明で、比較的低いレベルなら除染が可能という話なのか、ホットスポットでも除染が可能という話なのか、検証の元になる基礎データが明示されてないわけです。　もちろん”仕組みはわからないけれど、使ってみたら放射性物質が土壌から検出されなくなり、大気中の放射能も観測されなくなったから”というのもアリだとは思いますが、その場合でも、さまざまな汚染濃度の土壌を使って公開実験で有効性を実証してみせたり、数値データで提示することが可能なことは指摘するまでもありますまい。　そもそも論で言えば、第１段階として、セシュウム汚染が確認されている地域で、事故発生の数年前からＥＭ菌を利用して堆肥などを生産し、野菜生産や牧畜をしていた農家の農地からセシュウムは検出されていないのか？という話になり、第２段階として、実際にどのくらいの濃度でＥＭ菌を利用すれば放射性物質が消えるのか？という話になっていくわけです。　福島県農林水産部が行った実証実験の結果を基に検証すると、作物への放射性セシウムの移行防止効果はＥＭ（菌を利用して生産した）堆肥に含まれる交換性カリウムによるもので、ＥＭの特殊効果によるとは私には思えませんし、そもそも、放射性物質とＥＭ菌の関連を福島原発事故以前から研究していた人がどのくらいいて、どのような結果が出ていたから事故直後くらいから有効説が流布したのかが良く分かりません。　逆に言えば、ＥＭ菌を用いた除染の効果云々という風説には早くから疑問符がついていたということですが、以前、口蹄疫が発生した際にも“ＥＭ菌が結界を作ることで家畜を守る”というオカルトマニアでさえ眉につばを付ける荒唐無稽な風説を信じて実践した人達がいましたから、不安心理に陥ると藁ではなくＥＭ菌を掴むことで安心したくなるのかもしれません。　が、放射性物質が遺伝しレベルで障害（ダメージ）を与えることがあるのは比較的知られた話で、突然変異などが惹起するリスクを考えると、事前の検証抜きに除染に雑多な菌類を多量に投入することは、その中から有害細菌に変質する菌類が出てくるリスクも考慮すべきだと私などは思いますが、ま、そういった素人発想も”と学”に区分される発想なのかもしれませんな。　大規模放射能汚染で人類が滅んでいく話といえば、映画化もされた”渚にて”とか”復活の日”あたりの話に何度か触れたことがありますが、大規模汚染に対して除染作業を行う話はＳＦ業界でさえ皆無に近く、地球を封印して他の惑星へ移住し、半減期が過ぎたあたりに帰還するような話がチラホラあるくらいになります。　もっとも、その希有な例外にして日本ＳＦの金字塔なのが、”宇宙戦艦ヤマト”であり、イスカンダル星から提供される放射能除去装置の名称が”コスモクリーナー”だったりするわけですが、某・カルト教団が別の（少なくとも放射能は除去できそうもない）装置にコスモクリーナーの名称を付けていたことは一部では知られた話になります。　核兵器ほどの衝撃波や熱風の類は伴わなかったものの、拡散した放射性物質の量としては、中型以上の戦略核兵器が爆発した以上の話になっていて、未だに事故現場からの放射性物質の流出が止まっておらず、かえって汚染水の流出など二次災害めいた話が生じているわけですが、原子力発電の廃止や継続議論以前の話である事故現場の処理に関して日本政府の対応がどこか他人事で意図的に遅延させているのではないのか？と感じている人も多くなってきていたりもします。　悪く取れば、合法的に大量の人体実験のデータを収集したいから意図的に作業を遅延させ、他の国なら疎開ないし移住させて住人の立ち入りを数十年単位で禁止させるレベルの汚染地帯でさえ”除染すれば帰宅し生活できます”とやらかしているのではないのか？と勘ぐらないでもありません。　善意に解釈しても、責任問題を蒸し返されるのが嫌だから、事故当時の責任者が天下りを含めて退職や転職したりして”どこへ行ったのかわからない”とか”当事者死亡”といった状況になるまで時間稼ぎのための引き延ばしをしている気がしないでもありません　・・・　過去の政府絡みの不祥事や騒動の経緯などから邪推すればですが。　最近、多く聞かれるようになったのが、震災や原子力発電所の事故発生直後に被災地へ善意の募金をしたことを後悔する声で、杜撰というよりも業務上横領と言われてもしかたがないような震災復興関連予算の億単位の流用で、震災瓦礫処理を受け入れるかどうか検討するだけで地方自治体に（受け入れなくても）１００億円を交付し、地方地自体の方も”ごっさんです！”と受け取っていた話が知られると、それこそ小遣い銭をはたいて寄付したような人ほど、馬鹿にされているような気がするそうです。(2013/05/11)

2013.06.01

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一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７１９話　「迷走する除染」

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第７１９話　「迷走する除染」　ここで言う”除染（じょせん）”は、211年に発生した福島原子力発電所の爆発事故に伴う放射性物質の拡散を前提にした除染作業全般を意味していますが、そもそも、西は静岡県の東の端までセシュウムの飛散が確認され（というか検出され）、神奈川県では比較的”重い”ストロンチュウムが検出されたわけですから、福島原子力発電所から半径２００キロ以上の範囲が汚染されたと考えていいのではないかという立ち位置でも話を進めます。　もちろん、事故後の風向き、降雨などで、汚染物質の飛散と堆積の明暗が分かれているところがあり、それこそ線路や道路一本を夾んで東と西で放射線量が異なるケースもある話だけに、どこそこが危ないといった話をする気は更々ありませんので念のため。　時系列的に、一般人が除染と聞いて初期に連想していた人が多かったのが、防護服を着て汚染地帯で活動して、帰ってきたら除染のために防護服の上から泡立つ液体をふりかけて洗浄し、大量の水で洗い流す光景だったのですが、これは（ＮＢＣ兵器などで）汚染された地域から汚染されていない基地やシェルター（避難所）の居住領域へ入るときに衣類などに付着した放射性物質などを除去する事には有効な方法であっても、放射性物質を無害化する方法では無く、排水の処理がいいかげんだと洗い流した汚染物質は外部にまた拡散していくだけの話なわけです。　こういった際に用いられる洗浄液が石鹸水と大差がないしろものに過ぎず、放射性物質を無毒化したりはしていませんから、時間が少し経過して、高圧水を利用した洗浄機を使って、屋根、壁面などを洗浄することで付着していた放射性物質を洗い流すことで（空間の）放射線量を低減させることをもって”除染”と民主党政権が主張しはじめ、とんでもない額の除染費用が税金から持ち出されるようになった頃には洗浄液の類が話題にならなくなっていたことは御存知の通り。　ちなみに、一夢庵および一夢庵別館においては、当初から、汚染された範囲や地形を見ると、複数の都県にまたがり、湖沼や山岳地帯を含むだけに除染は物理的に不可能で、市街地の汚染物質を河川や海へ流し込む（＝海洋汚染の深刻化）時間を短縮するものの、汚染そのものは周辺と均一化される（＝時間が経過すると周辺の濃度が高い地域から汚染物質が移動してきて濃度が均一化されるため再上昇する）ので、政府が”人が住めるようになる”と主張して行っている除染作業は絵空事の類だと（私は）考えています。　というか、そもそも除染は簡単にできるものでは無かったハズで、比較的状況が近いチェルノブイリ事故では基本的に除染より住人の疎開というか移住で対応していますし、亜米利加のワシントン州ハンフォードの核兵器工場跡地で高レベルの核廃液が広大な土地と地下水を汚染していたケースでは、米国政府が毎年約10億円を投入して、13年間も土壌除染の研究と実験的な除染作業を行っても、除染に成功したのが全体の0.3％程度とされていますから、単純に高圧水で水洗いした程度で除染していると主張する日本方式がどのくらい（中略）かということです。　そんなことに（税）金を使うくらいなら、さっさと集団移住させて移住先で自立して食べていくための補助金に使う方が私は合理的だと思いますし、なにがなんでも移住しないで元の場所で暮らすというのなら自己責任で御自由にでいいのではないかとも考えています。　いずれにしても、東日本各地で100～10万ベクレルのセシウムが検出されていて、これはチェルノブイリ事故が発生した直後に”ホットスポット”と言われたスウェーデンの一部地域で70ベクレルを検出したことと比べても洒落にならない状況ではなかろうか？　首都圏の汚染濃度には季節変化が見られるものの、次第にホットスポット化が深刻化していて、場所によっては福島県内と大差のない数字が出ている資料もありますが、素朴な疑問として、事故現場からの放射性物質の流出は公表されている数値なのかどうか？　ちなみに、事故直後にスウェーデン政府が率先して行った除染作業は、カルシウムなどを土壌に混ぜる作業で、一定の成果を上げたと考えられていますが、日本ではなぜか植物を使った除染という奇妙な除染方法が話題になった程度だったのは比較的知られた話になります。　中でもヒマワリの除染効果が高いとして試験栽培をしてみたら、事前に想定していた程の効果が出なかったというか、他の植物と大差が無く、敢えてヒマワリを栽培するメリットが低いという結論に達してしまい、ヒマワリ栽培推進派が宙ぶらりんというか梯子を外された形になったのでした。　もっとも、それはヒマワリに限った話では無く、菜の花が良いとかいろいろな植物が土壌除染の候補としてあげられたのですが、意外とマスコミが話題にしなかったのが日本では極めて栽培が容易なことで知られる”大麻”で、産業用大麻は日本でも免許制で栽培が認可されていたりします。　産業用大麻は、テトラヒドロカンナビノール（THC、麻薬成分ですな）の含有量が少なく、麻繊維などを産業に利用しているのですが、医療目的や制限付きを含めて大麻を合法化する国や地域は増加傾向にありますから、この際、栽培を復活させてもいいんじゃないかと思わないでもありません。　というか、大麻の除染効果が高いということは、非合法に葉っぱを愛好する人達にとっては悪夢のような話で、なにしろ野菜や魚介類などのように公的な検査機関に持ち込んで放射能汚染の検査をするわけにもいかないでしょうから、以前から密かに栽培して売りさばいていた人達はセシュウムをどのくらい含有しているか分からない東日本産の大麻を抱え込むことになった　・・・　んじゃないかと。　ま、これを言い始めると、芥子の吸収性はどうよ？とか、コカは？とか、某・サボテンは？とか危ない植物系であれこれ考えてしまうのですが、問題は、植物に吸収させたからといって放射性物質が消えて無くなるわけではなく、それを集積して飛散したり流出しないように処理する必要があります。　というか、植物に吸収させるにしても気が遠くなるほど広い範囲が対象になり汚染濃度に濃淡があることは思い出すまでもありますまい（溜息）。　しかしながら、茸の類が大量の放射性物質を吸着させるが故に除染能力が高いというのは確かな話で、逆に言えば、核戦争が勃発し、近くで核兵器が使用されたら野性の茸の類は食用にしないようにという内容はほとんどの軍隊のマニュアルに記載がある内容だったりします。　実際、福島原子力発電所事故からしばらくすると、高濃度に汚染された野生キノコが話題になる頻度が増加し、出荷停止が指示されている地域もあるのですが、チェルノブイリ事故絡みだと、ウクライナで５マイクロシーベルトの土壌で育った茸から11万6000ベクレル/kgという冗談のような数値が検出された実例もあります。　何故に、野性の茸は高濃度汚染されやすいのか？というのは謎で、ホットスポットになりやすい森林の吹き溜まりや窪地を好む茸もあれば、日本だとチチタケなど樹木の根と共生する菌根性の茸に著しい蓄積能力が見られます。　茸に限らず菌類は、生育環境が非常に限定されるため、菌類を用いて除染する場合は汚染土壌を集めて行うことになりますから、実用的か？と言われると実用的ではないんじゃないかと。　結局、広く薄く拡散させることで濃度が低下する現象が除染と呼ばれているんじゃないかという気がしてきているのですが、困ったことに、食物連鎖に伴う生態濃縮を考えると、最終的に、人が最大の除染動物となり、人の遺体処理が気軽に火葬や土葬などにできなくなる気がしないでもありません　・・・　海豚や鮪などの水銀汚染が洒落にならない濃度になっていることから類推しての話ですが。　菌類を使った除染というのは未知の領域を含むモノの、既に一定の除染実績が上がり始めている事例もありますから、水で洗い流して汚れを拡散するより現実的な気が（私は）していますが、それ故に、玉石混淆のカオスな状況にもなってきているようで、一向に学術的に有効な結果が出ていないのに自分の菌こそ効果があると主張する人や団体に不自由しないあたりで迷走しているかなと。　ここまででも十分に除染は迷走しているような気がしますが、実際の現場はもっと迷走しているようで、怪しい話が大好きな一夢庵をしてさすがに唖然としたのが、ホメオパシー理論を用いて放射性物質が除去できるとし、実際に活動している人達が実在するあたりで、なんだかな～と。　ホメオパシーというのは、病気などの原因になる原因物質を十分に震動を加えて希釈した”レメディ”という水溶液を摂取することで対象とする病気が治るとする理論で、科学的根拠が無いというか、（偽薬を使ったときの）プラシボー効果と大差が無いことでも知られています。　念のために書いておくと、ホメオパシーを体系化した先人達も放射能汚染に対して有効と考えていた節は無く、それこそ想定外だったと思いますが、日本ホメオパシー医学協会の関係者はそう思わなかったようで、福島県まで出かけていって、現地で採取した土を希釈してレメディを作り、それをペットボトルに入れて河川に投入するという、まあ、パフォーマンスとしか言いようがない儀式を実際に行ったことで知られています。　その理屈でいけば当然というか、関連団体からは福島の土を使って作った砂糖玉も発売されていて（一部で）話題になったのですが、冷静に考えれば、微量でよいのなら通常販売されている農産物で十分ではなかろうか？　ま、こう書くと、ホメオパシーの肝はレメディに絶妙な震動を加えることにあるとか言われそうな気がしないでもありませんが、私に言わせれば、そもそも可能な限り放射性物質の類は摂取しない方が体内被曝の面でも良いと思いますし、否応なく摂取してしまう環境下で生活するなら、できるだけスムーズに排出できるように体調を整えることを優先した方が良いような気がします。(2013/05/09)

2013.05.28

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幻の大震災

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０８話　「幻の大震災」　大規模地震に関して、５０年、１００年といった一定の周期で発生している事例があり、”前の震災から○十年経過したから、いつ大規模地震が発生してもおかしくない　・・・”とかいった話になることがあるのは御存知の通り。　もっとも、”なぜ周期的に大規模震災が生じているのか？”を説明できる学説は存在せず、過去のデータから”だいたいこれくらいの周期で発生している”という程度の論拠でナントカ大地震が間近！とか、第○次カントカ震災は既に何時起こっても不思議ではない！とかいった話になっているようです。　これを書いている時点で、地震の発生するメカニズムとされるものは、大陸移動説でお馴染みになったプレート理論が基本というか出発点になっている理屈が多く、（すさまじくアバウトに解説すれば）プレートとプレートが押し合っている内にいずれかのプレートの下向きにしなっていた先端が水平に戻ろうとして地震が起こるとでもいった解釈で良いようです。　幸か不幸か、この理屈だけでは総ての地震発生が説明できないというか、実際に発生した地震を総てこの理屈で説明するには無理があるのですが、理屈と観測結果の整合性が高い考え方であることは確かな話になります　・・・　日本で大陸移動説が異端の学説とされ黙殺されたり嘲笑されていたのはそれほど昔の話でもないのですが（笑）。　また、なぜ地震が発生するのかはよくわからない点があるものの、地震が発生する前兆として特徴的な電磁波が生じる事が多い事が知られるようになり、ギリシャのＶＡＮ法などは、そういった地磁気や電磁波の特徴的な変化から６０％以上の確率で地震予知に成功しているのは比較的知られた話になります　・・・　なぜか日本ではいろいろな理屈をつけてＶＡＮ法を黙殺してしまいましたが。　つまり、至近に迫った地震の発生を感知するＶＡＮ法とか、ＦＭ電波の乱れなどから大規模地震の発生する場所や日時を特定する研究というのは日本人が思っているよりは（海外では）普及してきているのですが、従来の地震研究で飯を食っている人達が電磁波などとは無縁の研究をしていて、最先端の電磁波などの知識に関しては素人と大差が無いことで、そうした新しい分野からの地震予知のアプローチについてこれない（少なくとも自分たちが一番にはなれない）から黙殺しているのではないかと勘ぐらないでもありません。　なお、地殻を構成している玄武岩や花崗岩などに高い圧力が掛かったときに電磁波が発生しても石の組成から考えれば不思議では無いのですが、現代社会ではさまざまな電気を用いている複数の機械から電磁波が日常的に大量に発生しているのも確かな話で、そういったノイズといっても差し支えのない電磁波と地震の前兆現象としての電磁波との識別が困難という指摘もあるのですが、それは観測ポイントを増やして観測機器の精度を上げれば、かなり解消できると考えられます。　なるほど、大規模地震が発生しかねないほど地殻に圧力がかかって大気中に独特な電磁波が放出されるようになったら、過去のデータや観測データなどから推測して震源や規模がある程度は予測できて不思議ではないと私は思いますから、その意味で”数週間以内とか数日以内にこの程度の規模の地震が発生する確率が上昇中で　・・・”といった電磁波や地磁気の乱れを利用した直前予測には一定の説得力があります。　興味深いのは、これを書いている時点で、大規模地震などの”発生確率”とされている数値が、基本的に周期説がベースになっていることで、物理的な運動エネルギーや地殻の弾性や耐久性などからシミュレートして算出された天気予報の晴天確率のような数値ではなく、早い話、山勘と大差がないように私には思われます。　もちろん、測地衛星など人工衛星を利用した地面の（ミリ単位の）移動などに関する観測データが利用できるようになっている時代だけに、下駄を投げての明日の天気占いとは変化を感知する精度が異なるのですが、それにしたところで阪神淡路大震災や新潟地震、東北関東大震災などなどを数週間とか数日といった発生の直近で緊急警告できなかった観測態勢であることは御存知の通り。　となると、東海地震の発生に関しても、地震の発生周期説が一つの予想の根拠になっているであろうことは想像に難くないのですが、問題は、東海地震に関しては既に大規模な地震は発生していて、地殻の歪みのリリースが既に終わっているのではないか？という疑念があることです。　つまり、１９４４年１２月７日に発生した推定マグニチュード７．９の東南海地震と、１ヶ月後のマグニチュード６．８の三河地震を意図的にカウントしていないから東海地震が直近で発生するような雰囲気が形成されているのではないのか？ということです。　この昭和１９年末から昭和２０年初頭にかけての１ヶ月程の間に連続して発生した２つの大規模地震は、戦時中ということもあって国内で発生源、被害範囲、被害規模などなどが軍機密の闇から闇へと葬られた地震として知られていますが、東南海地震に関しては皮肉なことに海外の紐育タイムズで”１９２３年の地震（関東大震災）より激しい”地震が発生したと大々的に報じられていまして、地震波の観測結果などから震源と規模を逆算し、上空から航空機で偵察すれば大まかな被害は把握できたと考えられます　・・・ 1944年末ともなると、ほぼ日本の防空網が崩壊し、制空権が米軍の手に掌握されていただけに。　その意味では、東北関東大震災と連動して発生した福島原発事故が”メルトダウンを起こしている”という警告を日本人が知らされたのが米国の軍や研究者からであったことと軌を一にしているのですが、１９４４年の時も日本政府は情報統制を暗黙の内に行い、国内では新聞の片隅に被害が生じた地域もあるらしい程度の記事が数行載ったに留まっています。　東北関東大震災でも事実上のネット検閲がどさくさ紛れに強行されたのは記憶に新しいところですが、戦時中ともなると憲兵や特別高等警察に”ちょっとこい！”とやられて強制連行されれば、そこから先は法律はあってないような時代ですから、実際に東南海地震の時も、津波被害が甚大だった三重県で現地の被害調査を行っていた三重県の県職員が現地で（スパイ容疑で）憲兵に拷問を受けた記録が残っています。　それはともかく、当然、日本政府も大まかな状況を数日後には把握していたようで、内閣府で緊急会議が開かれているのですが、その議事録では東海地方という地名は墨で消されていて、現地報告書を含む議事録などの冊子は機密扱いとなり、機密となった以上、それは存在しない案件なわけですから、大々的な支援を行うことはしないことが早い段階で黙認されたとも言えます。　ちなみに、東南海地震は午後１時３６分頃に発生したらしく、名古屋などの都市圏でも火災などの二次被害はほとんど生じていないのですが、軍事工場の多くが地盤の悪い沿岸部に建設されていたこともあって液状化被害が生じた（当時は液状化という概念がほとんど知られていなかった）ことで、日本の航空機生産の６割程度を支えていた名古屋の航空機産業が壊滅状態となり、広域で津波被害が発生し、リアス式海岸を抱える三重県では多数の死傷者が生じたとされています。　この時の津波被害は土佐（高知県）から銚子（千葉県）にかけての広い範囲で発生し、地震の被害ともあいまって、東海道線に代表される沿岸部の鉄道や道路に甚大な被害が生じ、港湾施設の被害、電気・上下水道・ガスといったライフラインにも都市部を中心に被害が生じているのですが、現在と比べれば簡易というか原始的な設備でしたり、家電製品などの普及もそれほど進んでいなかったこと、戦時下の物不足がかなり進んでいたことなどなどで、さほど民間人の生活に影響が出なかったとも言われています。　逆に言えば、名古屋界隈の航空機生産などの軍需産業は”回復不能な程度に破壊”されたため、米国からすれば、大規模な空襲を実施するに当たっての懸念が減少したことになり、震災から３日後の１２月１０日から本格的な本土空襲が実施されるようになり、残る日本のまとまった航空機製造拠点は多摩地域くらいになっていくのですが、その多摩地区も今となっては軍都であったことを知らない世代の方が多くなっていたりします　・・・。　三河地震に関しては、発生が午前３時３８分頃という深夜というか早朝というか微妙な時間帯だった上に直下型地震であったことから、住宅地での死傷者が相当数に達していたようですし、三河地方に疎開していた軍需工場に甚大な被害が生じたようで、連続して発生した大地震によって主に軍需産業が壊滅し、民間にも最低で１２２３名ともいわれる死傷者が発生しているのですが、地震によるものか、空襲によるものかが不明瞭なあたりも一つの特徴になっています。　まあ、この震災で自宅が倒壊したにも関わらず帰宅せずに軍需工場の生産を死守したことが、わずかな震災関連の新聞報道でかなりの紙面を割いて美談とされ、職場の挺身が持ち上げられているあたりも、どこかで見たような気がしないでもないのですが、その意味でも歴史は繰り返しているのではなかろうか？　興味深いのは、東南海地震において、糸魚川造山帯なども影響を受けたらしく長野県などの内陸部でも建物の倒壊が発生し死傷者が出ていることで、その意味では、地下のプレート力学とでもいったものに、プレートがどういった風に連鎖して捻れているのか？を考慮していない予測には、事前予測という点でさほどありがたみが無いような気がします。　残念なことに、当時、軍事機密扱いになったこと、暗黙の内に報道管制が実施されたこと、その直後から空襲が激化したことなどなどから、東南海地震と三河地震に関しては、その被害の実態や犠牲者に関する正確な資料が確認できないのですが、私的には、もし東南海地震と三河地震が発生していなければ、大東亜戦争末期の状況がかなり変わっていたような気がしないでもありません。　逆に言えば、この２つの幻の大規模震災が発生していたおかげで、フィリピン陥落後の無意味な戦争継続が多少なりとも短くなり、名古屋への原爆投下が回避されたのではないか？という気がしているのですが、地震が発生して原発事故が起きて放射能汚染が拡大してという現状を前にするとき、第２の敗戦を経験している既視感をどうしても私は感じてしまいます。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０８話：(2011/05/12)

2011.05.18

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宝永大噴火

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０７話　「宝永大噴火」　直近の富士山の噴火ということになると、江戸も中期に差し掛かった宝永４（1707）年の宝永大噴火（ほうえいだいふんか）になるわけですが、富士山の噴火の中でも３大噴火（他の２つは平安時代初期の延暦と貞観の噴火）の１つとされることが多く、噴出した火山灰などの量が推計で７億立方メートルに達したとされています。　富士山の噴火の中でも、宝永大噴火の特徴は大量の火山灰が放出されたことで、その噴煙は上空２０キロまで達し、百キロ以上離れた江戸の町にも１０センチを越える火山灰が積もったようなのですが、貞観６～８（864～866）年の貞観大噴火の時のような溶岩の大量の噴出と流下は確認されておらず、噴火がみられたのは富士山の東南斜面の３つの火口（いわゆる宝永山）に限定されたようです。　その時の火口は、標高の高い順に第一、第二、第三を付けて宝永火口と呼ばれてはいるのですが、実際には互いに重なり合うように並んでいることと、第一火口が比較的大きく目立っているのですが、現在では宝永山は登山コースが整備されているため登山して近くで確認することが可能です。　火山灰を大量に噴出した噴火ということでは、延暦19～21（800～802）年に発生した延暦噴火も大量の火山灰を降らせた事が日本後紀などに記録されていますが、溶岩噴出が多かった貞観大噴火が発生した後は、小規模な噴火や噴気活動は記録されているものの比較的穏やかな時期が続いていて、宝永大噴火の頃には富士山が大噴火したことを知る人の方が少なくなっていたようです。　実際、学校の歴史の授業でも宝永大噴火に触れる事は希で、噴火が起こったのが徳川綱吉の治世の末期で、上方や江戸で元禄文化と呼ばれることになる町人文化が発展していて、宝永大噴火の少し前、元禄15（1702）年12月14日夜に江戸本所で赤穂浪士の討ち入りが発生しているのはかなり知られた話になります。　ちなみに、宝永大噴火の４９日前に宝永の大地震（10/04（10/28)、推定マグニチュード8.6～8.7）が発生しているのですが、それまでの富士山の火山活動は比較的穏やかだったようで、大地震の49日後に大規模な噴火が始まったことと、宝永大地震の震源域となった南海トラフを東北に延長すると、駿河湾を通って、富士山西麗の活断層富士川河口断層帯と連続していることから、地震と連動した噴火だったことが推察されます。　記録によれば、宝永地震の翌日に富士宮付近を震源とする大きな余震が発生していますから、地下の歪みが南でリリースされたことで北でも力学的なバランスを取ろうとして地殻変動が生じたかのように見えますが、宝永地震に関しては定期的に巨大地震を起している震源域である、遠州沖を震源とする東海地震と紀伊半島沖を震源とする南海地震がほぼ同時に連動して発生したと考えられています。　従って、津波の被害を含めると地震の被害は東海道、紀伊半島、四国の広域におよび、日本の総人口が４千万人程度の時代に死者２万人以上、倒壊家屋６万戸、津波による流失家屋２万戸に達したと推計されているのですが、その割には公式記録や当時の日記などへの影響の記述に乏しい感じがしないでもありません。　宝永地震の余震と宝永火口付近直下の浅い地震活動が続く中、11月22日（12月15日）の夜から富士山の山麓一帯で強い地震が数十回起こった後、23（16）日の午前10時頃、富士山の南東斜面から白い雲のようなものが湧き上がり急速に大きくなっていったという記録があり、噴火と噴煙の放出が始まっているのですが、富士山の東斜面に高温の火山灰や軽石が大量に降下するようになると、家屋は炎上し、田畑は火山灰などで埋め尽くされて荒れ地と化していったようです。　宝永大噴火に関する定番の資料として知られるのが、新井白石（1657～1725）の自叙伝”折りたく柴の記”で、降灰の様子などが記載されているのですが、新井白石は甲府藩主だった徳川綱豊（後の６代将軍・家宣：1662～1712）の儒臣となった後、1704年に幕臣にとりたてられ、家宣とその息子の７代・家継（1709～1716）を補佐したものの、1716年に８代将軍に吉宗が就任すると公務から引退していて、”折たく柴の記”も家継死後退職の時で擱筆しています。　折りたく柴の記の記載によれば、「よべ地震ひ、この日の午時雷の声す、家を出るに及びて、雪のふり下るごとくなるをよく見るに、白灰の下れる也。西南の方を望むに、黒き雲起こりて、雷の光しきりにす　・・・　夜に入りぬれば、灰また下る事甚だし。」（駿河の方から江戸へ急使の伝令が届き）「此の日、富士山に火出て焼きぬるによれり」ということですから、江戸でも前夜から有感地震が何度かあったようですし、昼前から雷鳴（ないし富士山の噴火音）が聞こえ、南西の空から黒い雲が広がってきて雪のような白い灰が江戸の町に降ってきたようです。　宝永大噴火は、宝永４（1707）年11月23日（12月16日）に始まって12月8日（12月31日）に終息しているのですが、最初の頃は白灰だった火山灰が時間の経過と伴に黒灰に変わっている事が一つの特徴とされ、噴火の最中に火山灰の成分が変化したことが知られているのですが、江戸に降り積もった火山灰は当時の文書によれば、場所によって濃淡はあったようですが、２～４寸程度だったようです。　なお、本郷キャンパスの地層発掘調査では薄い白い灰の上に、黒い火山灰が約２cm積もっていることが確認されているのですが、この降灰は雨が降ってぬかるむよりも、細かい塵状であったことから風が吹くと飛散し、その後長く（７年以上の間）江戸市民が肺気腫や喘息などの呼吸器疾患に悩まされることとなります。　宝永大噴火は、最初の４日は激しく噴火し噴煙や火山灰も大量に噴出されたものの、その後は小康状態をはさみながらの噴火が続いたようで、さすがに百キロ以上離れている江戸の町への影響は降灰など限定的だったようですが、現在の御殿場市から小山町（御厨地方）では最大３mに達する降下軽石（噴火初期）や降下スコリア（中期から後期）に覆われ、ほとんど総ての家屋や倉庫が倒壊または焼失し、田畑は”焼け砂（スコリアや火山灰ではないかと推察される）”に覆われてしまい、その後、長らく耕作不可能地となります。＊　富士山周辺では直径５０センチほどの焼け石が矢のように降り注いだとされる。　当然、用水路や井戸も埋まって水の供給が絶たれ、被災地は深刻な飢餓状態に陥るのですが、当時の領主であった小田原藩だけでは被災地が広域で大量の被災者が出ていたことで食料支援などが手に負えなくなり、藩主・大久保忠増が江戸幕府に救済を願い出ています。　徳川幕府はこれを受け入れて、周辺一体を一時的に幕府直轄領とし、伊奈忠順を災害対策の責任者に任じて物資の供給などを始めるのですが、後に問題となっていくのが被災地復興の基金というか財源として全国の大名領や天領に対し強制的な献金（石高100石に対し金2両）の拠出を命じて集めた４０万両の使い道で、４０万両のうち被災地救済に実際に当てられたのは半分にも満たない１６万両で、残りは幕府の財政の赤字の穴埋めたり他の用途に流用されています。　その結果、被害が甚大だったことにあって御厨地方の生産性はなかなか改善せず、約80年後の天明３（1783）年に天明の大飢饉が発生したときには「御厨一揆」が起こっているのですが、素直に４０万両を被災地復興に使用していれば回避できたのではないか？と思わないでもありませんが、概ね３０年くらいで復興は終わったことになったようです。　東北関東大震災でも、早い段階から義援金詐欺が囁かれ、義援金の募金活動をしている団体の中で”経費”と称して募金から飲食費や交通費などなどを抜く行為が横行していたり（中略）しているのですが、それでいて地震発生から２ヶ月以上が経過しても被災者に１０００億円を超えて集まった義援金が渡らないという異様な状況になっているのですが、億を越えると月単位で金利が生じますから、金利部分だけでもとんでもない額になっていますし、誰がその辺りの管理とチェックをしているのかも不明確なのは御存知の通り。　そもそも、街頭募金に関しては、以前からその会計の不明瞭さが指摘されていて、募金詐欺が平時でも発生していたのは有名な話ですが、大規模災害で募金活動が盛んになって参加する人や団体が増加すると警察などのチェックも甘くなることから、とんでもない話を耳にすることが多くなります。　その為か、”絶対に街頭募金には応じない”ことを信条とする人も珍しくなく、”その内、嫌でも増税や各種料金の値上げなどで強制徴収される”という主張には一定の説得力がありますし、確かに、義援金が速やかに被災者に渡らないのなら、被災者の急場を援助したいという主旨の義援金の募金は無意味だったことになります。　宝永大噴火の時に、幕府が復興プランを明示しないままに、とりあえず４０万両の献金（というか強制徴収）を災害復興を口実に強行して、被災地の復興にその半分も使用せずに放置した手口を考えるとき、それが繰り返されない保証はどこにも無いだけに、非常時を言い訳に政治家や官僚に甘い顔を見せているととんでもないことになりかねないと思って置いた方がいいのかもしれません。　歴史をなぜ学ぶのか？歴史を学ぶ価値がどの辺にあるのか？といえば、”似たようなことを懲りずに繰り返している”ことに尽きるような気が私はしています。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０７話：（2011/05/11）

2011.05.17

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貞観富士噴火

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０５話　「貞観富士噴火」　その昔、といっても地域によっては1990年代の中頃くらいまでは小学校の授業で富士山を休火山と教えていた学校が珍しくないのですが、中学以上の世代になると天文学や地学といった分野はいささか（受験対策としても）マイナーな分野になることもあってか、社会に出る頃には”そんなこと教わったっけ？”ということになっているようです（笑）。　まあ、2012年度以降の入試では地学や天文学関係の出題が以前よりは増加しても不思議ではない情勢ですが、実学としては、歴史との関係を無視して物理現象だけを取り上げてもあまり意味が無いところがあります。　ちなみに、私が小さかった頃には、死火山、休火山、活火山といった区分で、死火山は”噴火することがありえない山”、休火山は”かって噴火したことがあり、活動が再開することもありえる山”、活火山は”現在でも活動中で、いつ噴火しても不思議ではない山”とでもいった区分けになっていました。　しかしながら、天文学や地学の単位では数百年とか数千年というのは比較的短い時間尺度になりますから、人類が観測記録を残すようになって以降の記録だけで、死火山、休火山といった区分けをすることは実態からは乖離していて、山はすべからく活火山と心得て置いた方がよさそうです。　また、阪神淡路大震災が発生したときに、その直前の発生確率が”８％”と公式に公表されていたのは比較的知られた話ですし、その後の新潟地震など、甚大な被害をもたらした大規模地震に関して、地震予知が何の役にも立たなかったのは御存知の通りで、東海地震に特化した地震予知の予算配分に関して異論が高まっていたのは一部では有名な話だったりします。　つまり、地震が予知できるとか、近い内に（関東大震災のような）大規模地震が発生するとすれば東海沖地震であるかのような触れ込みで、関連予算を含めれば数百億円を越える単位の税金が四半世紀を越えて投入され続けていて、いわゆる東海沖地震利権が構築されているわけですが、結果的に観測態勢や震災対策関連予算が東海地方より後回しになっている内に大規模な被害が生じた阪神淡路や東北地方、新潟などにとっては言いたいことが山のようにあるような気が私はしています。　そうした東海沖地震に関する利権の闇の深さは、今回の東北関東大震災の後、管総理大臣が唐突に東海地震（マグニチュード８程度）の発生する可能性が「３０年以内に８７％と高い」ことを論拠として、”内閣総理大臣として”中部電力浜岡原子力発電所へ原発の完全停止を要請した行為にもちらちらしている気がしないでもありません。　具体的にその意味で、一番信用できないのが東海地震に関係して膨大な利権を既得権益として手にしている日本の地震予知関連の学者や研究機関の発言や見解ですが、そもそも論で言えば、東海地震が”３０年以内に８７％”ということと、その間に東海地震より前に阪神淡路大震災や東北関東大震災レベルの巨大地震が他の地域で発生しない保証は（過去の実績を見る限り）どこにもないだけに、無意味ではなかろうか？　また、東京電力管内へ電力供給を行っている中部電力の原発だけが狙い撃ちされたように停止対象になったということは、意図的に東京電力管内の夏場の電気供給を不足させ、計画停電などを人為的に生じさせる意図があるのではないか？と勘ぐられてもしかたの無い行動で、これは、浜岡原発など関東以外からの電力供給がある前提だと、首都圏の夏場の電気の需要が十分にまかなえて計画停電なども不要になる計算だったことと併せて考えると、誰の進言で浜岡原発を停止することになったのか、管直人は国民に対して説明する責任があります。　当初、既存の発電システムを利用した場合に夏場の首都圏で電力不足が生じるから、罰則付きの強制節電を実施するという政府の論拠となった東京電力などの資料が、水力発電などを含む一部の発電システムの発電量を加えていなかったために不足する計算になっているのではないか？と外部から指摘され、大慌てで修正して一度は夏場の電力供給関連の罰則付き節電騒動が沈静化したのは有名な話だったりします。　そういった前科があるところへもってきて、震災直後に海外から提供の申し出があった火力発電システムが、なぜか今頃になって船積みされて日本へ向けて出航し、しかも、その稼動が９月以降が目標とされているあたりで、浜岡原発停止に伴う代替電力の確保とやらに政府が本気で取り組んでいるとも（私には）思えませんから、民主党政権は意図的に夏場の首都圏で電力不足を発生させたがっているのではないか？と邪推するには十分な状況になっています。　今回の浜岡原発停止に至るまでの経緯に関しても、地方自治体や経済・産業界関係者の大半でさえ寝耳に水だったようですが、不思議なくらい、浜岡原発が停止することで夏場の電力供給に不足が生じることに対する具体的な対応策が東京電力からアナウンスされず、政府からも浜岡原発を停止した場合に不足する首都圏の電力を確保し供給する見通しがあるから浜岡原発を止めたという具体的な対策の説明もまた無いわけです　・・・　地震で危ないから止めるのなら、少なくとも日本中の原発を止める必要があるのは自明の理でしょう。　また、気温が上昇して冷房などの電力需要が増加するシーズンの直前になって、それまで口にしたこともなかった不自然かつ唐突な浜岡原発の停止を強要する管総理大臣の行動というのは、管直人が首相でいる限り、挙国一致による国体の再建を一番乱すのが政府首脳部という洒落にならない状況が延々と繰り返されることを意味しています。　話を戻すと、富士山は江戸に約４センチの火山灰が降り積もった宝永４（1707）年の宝永大噴火を起こしたのを最後に300年にわたって噴火を起こしていないことから、休火山に区分された時代もあるのですが、その後も富士山噴火が思い出したように話題になっているのは御存知の通り。　ただし富士山の活動は単体で考えると錯誤しやすく、富士火山帯（新潟県西部の妙高山、焼山を北端。八ヶ岳～富士山～伊豆七島の諸火山～硫黄島～マリアナ諸島西側の火山列島に達する火山帯）と連動した動きで考える必要があり、基本的に東から西という流れがありますが、大規模震災の場合、プレート理論も加味する必要があります。　富士山が現在の形になっていく最初の噴火は、最終氷期が終了した約１万１千年前頃に、（当時の富士山だった）古富士の山頂の西側で始まった噴火とされ、溶岩を大量に噴出した溶岩によって、現在の富士山の山体である新富士が形成されたと考えられています　・・・　富士山や阿蘇山などの大規模噴火で居住環境が悪化すると、かなりの数の縄文人が居住地を捨てて逃げ、玉突きのように海を越えていったのではないか？という話は以前にしたことがあります。　その後の大規模な噴火としては、平安時代初期の延暦19～21（800～802）年の延暦噴火、貞観６～８（864～866）年の貞観大噴火が知られているのですが、”続日本紀”の天応元（781）年に富士山より降灰があって、山麓の草木が枯れたといった主旨の記述があり、文字で残された富士山噴火に関する公式記録で最古のものとされています。　平安時代は富士山が活発に活動した時代でもあり、平安時代初期に成立した最古の物語とされる”竹取物語”にも、富士山が不死の山としてエピローグ部分に登場し、山頂から煙がたなびいていることになっていますし、平安時代中期の”更級日記”に、富士山の噴気の描写や火映現象らしき描写があるのは知られた話ですから、平安時代の貴族にとって、富士山は噴火して噴煙が上がっているのが常識の活火山だったと言えます　・・・　これを書いている時点ではピンときませんが。　ちなみに、”日本三代実録”には貞観大噴火の状況が書かれているのですが、文献記録に残る富士山噴火のうちで最大規模とされ、総量が約７億立方メートルと推計される噴出物は富士山の形を変え、長尾山や幾つかの丘などを形成し、膨大な量の溶岩流（いわゆる、青木ヶ原溶岩流）は北西山麓を広く覆い尽くした末に、北麓にあった広大な湖（セの海）の大半を埋没させ、湖の残りが現在の富士五湖の、西湖と精進湖だそうですが、この時の溶岩流の上に1200年の時間をかけて青木ヶ原樹海が形成されていきます。　平安時代の貞観大噴火と江戸時代の宝永大噴火は、富士山の噴火災害の中で特異例とされる程の規模で変化が生じたのですが、時代を遡るほど記録などが少なくなると同時に、記載されている数値などを素直に信じて良いかどうかも微妙になっていくのはしかたのないところかもしれませんが、貞観大噴火が過去の富士山の噴火の中でも最大規模のものとなったのは確かな話のようです。　仮に、浜岡原発の停止理由が、東海地震ではなく平成の富士山噴火だとすれば、唐突な稼動停止要請（という名の強要も）辻褄が合わなくもないのですが、その場合に生じる被害を考えるとき、首都圏から東海地方にかけて壊滅的な被害が生じるのは不可避ですが、富士山で貞観大噴火が発生した５年後の、貞観11（869）年に東北地方で発生した貞観地震が、2011年の東北関東大震災に似ているところが多いとか、江戸の町を震撼させた宝永大噴火と地震の関連などについての話は、また別の機会に。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０５話：(2011/05/09)

2011.05.14

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暴走する地球

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０２話　「暴走する地球」　チェルノブイリ原発事故を今なお現在進行形で間近に経験している欧羅巴諸国からすれば、福島原発事故が予断を許さない状況であるというのは分かり切った話でしょうから、欧米諸国がいらついていないわけでもないでしょうし、特に日本政府の情報隠しに関してはかなり厳しい反応があったわけですが、日本政府を相手にしていても埒があかないと判断して以降は、自分たちで勝手に観測して情報を入手する体制を構築したようです。　そのあたり、日本政府は情報を渡していないのだから現在の状況がばれていないと考えているのかも知れませんが、既に当事者能力が無いと判断され亜米利加経由で国際的な対応が始まっていると解釈した方が良さそうですし、原子力潜水艦、（資源探査）人工衛星、遠洋観測船、無人を含む偵察機の類などは活躍の場を広げたようです　・・・　例によって軍事機密の壁は厚いようですが。　以前、ダーティボムの話をしたことがあるのですが、これは核兵器の中でも”爆発しない核兵器”とでもいった区分になるのですが、核兵器で甚大な被害をもたらす、熱、衝撃波といった現象は小さいものの、プルトニュウムなど大量の放射性物質をばらまいて汚染する事を主目的とする焦土兵器でもあります。　その意味では、だらだらと（これを書いている時点で２ヶ月近く）放射性物質を垂れ流している福島原発事故というのは、ダーティボムが連日のように爆発しているのと大差が無い状況で、それがどのような影響をもたらすのか誰にも正確なところが分かっていない事象ですが、放射性ヨウ素、セシュウム、ストロンチュウムなどなどが検出されていることを考えれば、居住不能地域が次第に拡大していることだけは分かります。　既に汚染濃度の高い水が海洋投棄されたことで、地球規模で放射性ヨウ素やセシュウムだけとは考えにくい核関連物質の拡散と高濃度汚染が始まっていると考えられるのですが、もちろん、核兵器が基本的に爆心地に近いほど影響が大きいのと同じように、事故を起こした原発に近い地域ほど影響が大きいと考えて良いのではないかと（私はですが）思います。　その辺りで、諸外国も日本政府の当事者能力に疑問を感じたようですが、日本政府が積極的な情報提供を行った形跡が無く、いらついた米軍が無人偵察機などを飛ばして自前の観測網を構築したのは御存知の通りで、この頃からいろいろな国の人工衛星の軌道や原子力潜水艦のシフトなどが微妙に変更されるようにもなったようです（未確認情報）。　その一方で、日本政府の情報統制は次第にエスカレートしていき、日本国内では１５日頃からＴＶ報道にかなりの規制が入ったのは、唐突な番組構成の変化で明かですが、超広域大災害になりかねない時期に原発事故関連の（LIVEを含む）報道番組が激減し、どうでもいいようなバラエティ番組が唐突に増加したのは御存知の通り。　その意味では、どれくらい深刻な事態になっていたのか寝耳に水だったのは日本の一般人くらいのもので、この頃から観光客を含む外国人が一斉に姿を消した理由は、外から入ってくる情報との乖離が著しくなり、信用度の点で母国からの情報や指示を信じた在日外国人が多くなったということで、一番分かりやすいのが、各国大使館関係者の家族や、そういった家族と連絡網を構築していた在日外国人ほど早い段階で姿を消したことではないかと。　ちなみに、報道関係者と縁故があったり情報ソースがあるような日本人もまた、海外や西日本への疎開をこの頃には終えていたことを併せて考えると、１３日の夜から１４日にかけての現地の事態が一番深刻だったのではないか？ということになるのですが、首都圏に放射性物質が到達するタイムラグを考えれば、遅くとも１６日の午前中には関西方面か日本海方面への疎開を終えていなければならなかったのではなかろうか？　・・・　今となっては藪の中ですが。　もちろん、”そんなのはお前の考えすぎだ！”とか”邪推のしすぎ！”という声もあるでしょうが、私にはそう思えるということですし、一夢庵別館を含めて、ほぼリアルタイムで根拠を明示しながら情勢分析をしていたのは御存知の通り　・・・　もっとも、私の情報発信はＲＦＣｏのメンバーしか対象にしていませんが（笑）。　ところで、今回の東北関東大震災に関して、米軍の地震兵器が使用されたという噂が流れているのですが、一つの現実として、米自動車大手３社の業績が2011年１～３月期決算はいずれも前年同期より大幅に急回復していて、ゼネラル・モーターズ（ＧＭ）の１～３月期の世界販売台数が前年同期比１１％増の２２２万１千台となり、トヨタ自動車（ダイハツ工業、日野自動車を含み２０９万９千台）を上回り、四半期ベースで世界首位を奪回しています。　念のために書いておくと、北米市場が好調で、ＧＭは５四半期連続、フォード・モーターは８四半期連続の黒字だったのですが、クライスラーでさえ2009年の経営破綻以降、初めて四半期ベースで黒字となっているあたりできな臭いのですが、２月後半以降は原油価格が高騰していて、従来のパターンならば燃費の良い小型車の需要が増えて米メーカーがシェアを落とし、燃費効率の良い日系メーカーなどが伸びる局面で、東日本大震災が発生し、トヨタの米販売台数は３月に前年割れとなり、４月もマイナスになっています。　ちなみに、（不思議なことに）米３社は「今のところ震災による生産への大きな影響はない」としていますから、この傾向は短くても2011年の間は続く可能性が高く、年末までに日米大手の明暗がさらにはっきりする可能性が高いのですが、ここにきて奇妙な動きとして、法的な権限も根拠も無いにもかかわらず、管内閣総理大臣が、国会で審議することもなければ専門委員会を招集することもせずに、唐突に静岡県の原子力発電所を停止させると宣言したことでしょう。　そして、これまた唐突に、ビンラディンが（かなり長らく潜伏していた形跡のある）パキスタンで米軍の単独作戦行動で射殺され殉教者となったことで、イスラム勢力との対立が激化し（核関連施設への攻撃を含む）大規模テロの可能性が上昇したわけで、”なぜこの時期に？”と勘ぐるには十分な情勢ですし、少なくとも、法治国家が裁判抜きで武器を所有していない状態の容疑者を問答無用で射殺して”現場の判断”とするのがまともとも思えませんし、突入した部隊の戦力と技能を考えれば（中略）ではないかと。　そんなこんなで、亜米利加が地震兵器を使用したかどうかはともかく、東北関東大震災以降の状況を積極的に利用するようになってきているのは明かで、もちろん、それは独立国としてまっとうな判断であり行動だと私は思いますが、機能停止状態に陥っている管政権を倒閣できない野党が存在する意味が疑われる時間帯に入っていることも意味しています　・・・　既に、海外からも利用価値無しで無視しても問題ないと判断されている可能性が高いわけです。＊　それはともかく、これまでに何度か書いているように、”管直人は決断が必ず裏目に出る星の下に産まれている”ことから考えると、”絶対にしてはいけないことが中部電力浜岡原子力発電所への停止要請”で、不思議なことに巨大地震への対策が急務なことが理由といいながら、それ以外の全国各地の原発の停止要請について「ありません」と明言するというちぐはぐさを露呈しています　・・・　そう、トヨタなどほぼ無傷で稼動している東海地方の企業の生産活動を考えれば、”絶対にやってはいけないこと”の典型事例です。　今回の静岡の原発停止の根拠として、管直人が東海地震（マグニチュード８程度）の発生する可能性が「３０年以内に８７％と高い」ことを論拠としているのは笑い話の部類で、これだけ甚大な被害をもたらせた東北関東大震災も、それ以前に発生した阪神淡路大震災も、新潟地震なども事前に予測できず対策も講じなかった連中の言う”発生確率”や”被害規模”などが、なぜ東海地方に関してだけは的中すると主張するのかが私には理解できませんし、米国など海外の研究者から”地震発生予測は事実上不可能で、（日本の場合）どこで何時発生しても不思議ではないだけに無意味”という指摘もあるわけです。　それとも、どこかから”言うことを聞かなければ、これこれこういった規模でどこそこに地震兵器を使用するけどどうする？”と恫喝されたから発生確率も被害規模も確実なのでしょうか？　現実問題、原発を停止しなければ補強工事の類が実施できないのか？というのも謎で、日本が貿易立国であることを考えれば、工業生産を維持するためには代替電源を確保できるまで原発ロシアンルーレットを続ける必要があるだけに、代替電源の当てが無いのに原発の停止だけを国のトップが唐突に言い出すのは無責任というよりも、意図的な売国行為ではないのか？尖閣諸島のトラブルにおいて管政権のやったことを併せて考えるとき、私は今回の原発停止要請にかなりの裏疑惑を感じています。　別の視点では、原発を全廃して工業生産や生活水準を（贔屓目に考えて）昭和初期以前の水準に戻す覚悟はあるのか？ということも私としては聞いてみたいところで、代替電源が確保できてもいないのに”反原発”を主張し即時停止を要求する阿呆は、原発の無い阿弗利加や東南亜細亜に移住して理想の生活をした方が早いんじゃないか？と思いますし、原発による電力供給を前提にした世界で屈指の工業生産に支えられた、現在の食生活、居住環境、老後の年金生活などなど総てを明日から捨てるだけの覚悟があっての言動なのか？　・・・　ソドムとゴモラの住人である私は、砂漠を彷徨うような貧乏生活が素晴らしいとも、どこぞの発展途上国並に生活水準を下げてまで長生きしたくないだけに。　なお、私は巨大地震の到来で東海地方の原子力発電所に被害が生じるよりも、今夏には大型台風の襲来で、特に従来は被害が少なかった茨城より東の日本太平洋側から北海道にかけては大型台風襲来でかなりの被害が生じるリスクがあると考えていまして、静岡の原発に関しては、これまでに東海地震対策とも絡んで長年にわたって何百億円もの税金が、他の地域よりも優先的に既に投入されていることを考えれば”何を今更”という気がしますが？　東日本への巨大台風襲来の論拠は簡単で、広島や長崎に原爆が投下された前後の気象現象から推測しても、常にない熱量が発生した（発生している）地域では上昇気流が生じて一種の煙突状態になるため、台風などが引き寄せされやすくなっている可能性が高いことと、地球温暖化の影響で2010年頃から台風が発生する海水面が北上してきているためですが、そこに管直人の星回りの傾向を併せて考えるとき、かなり現実味がある気がしています。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第１０２話：(2011/05/05)

2011.05.11

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東北関東大地震

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０６２話　「東北関東大地震」　2011/03/11(14:46)に宮城県沖で大規模な地震が発生し、宮城県北部は震度７、東京都内も震度５強（速報値）を記録した。　地震発生直後、マグニチュードを７．９としていた気象庁は、後にマグニチュード（以下、Ｍ）を８．４とし、更にＭ８．８と修正しているのですが、亜米利加地質調査所の解析（速報値）では、Ｍ８．９とのことなので、最終的に数値が確定するのはもう少し後のことになりそうです。＊　後に、Ｍ９．０とされ、国内で観測された地震で最大のものとなった。　ちなみに、１９００年以降に発生した世界の大地震は、１９６０年にチリで発生したＭ９．５が最大で、今回の東北関東大地震がＭ８．９だとすれば、史上５番目の規模になるそうで、太平洋全域に津波警報が発令され、日本国内でも長崎や沖縄にまで警報が出される異様な規模になりました。　Ｍ８．８の地震のエネルギーというのは、阪神大震災（Ｍ７．３）の約１８０倍になるそうですが、阪神大震災の場合、当時の村山内閣の初動が遅れに遅れ、在日米軍の援助などを断っておきながら、自衛隊の災害派遣も遅れ、その後の火災などによる死者を含めると６０００名以上の犠牲者が出てしまいました。　首相官邸で、”ＴＶで見ていた”という当時の首相や官僚たちの無策の前に、地震の後に発生した火災で生きながら焼かれていった人が少なからずいたことを私は忘れられないのですが、今回、防波堤や防潮堤を津波が乗り越えた箇所が多かったようで、地球温暖化による海面上昇対策として５０～１００センチは防波堤の嵩上げが必要と主張してきた怪しい話としては、かなり思うところがあります。　また、阪神大震災では、せっかく地震では命が助かった人が、住居を失い仮設住宅などでの避難生活にも疲れたのか、高齢者を中心に自殺する人が続出するという地震の２次的な死者が生じたことでも知られています。　比較的、マグニチュードが近い地震としては、歴史的には、関東から近畿にかけて大きな被害をもたらした幕末の3-776”安政大地震”（1854）が、最大のものでＭ８．４前後の規模と推定されているのですが、東海地震や南海自身では、集落が全滅してしまったり津波に襲われて被害の全容が完全には把握できなかったことが知られています。　再録になりますが、安政年間（1854～1860）は地震が頻発していて、安政１（1854/07）年６月の奈良～四日市の地震、同年11月４日の東海地震、翌５日の南海地震と続き、安政２（1855/11/11）年10月２日に江戸地震が発生していますし、安政５（1858/04）年２月には飛騨北部地震といった具合に大小２０程の地震が記録に残っているのですが、安政の大地震としては、その内の東海・南海・江戸地震の３つが該当します。　東海・南海地震は津波も伴ったことで二次災害も大きくなったようで、人的な被害に加えて社会インフラが崩壊した地域も多かったためか、記録に欠落や不備が多く、地震関連の死者の数などでさえ推定になっているのですが、南海地震の死者は2000～3000人程度、東海地震は津波の被害も入れると死者が１万人を越えていたという説もあります。　江戸地震の場合は、荒川河口付近が震源となったためか、南海、東海の地震ほどの津波被害は出なかったものの、元来地盤が脆弱ですから地域によって明暗が分かれ、本震と８０回を越える余震で建物が崩壊して圧死した人が多かっただけでなく、地震の二次災害として住宅密集地で３０ヶ所以上から出火したことでも被害が拡大したようで、壊焼家屋１万4346戸、市中の死者約7000人という記録が残っています。　正確には、地震による倒壊家屋は約１万４千戸でも、地震の後の火災で延焼した家屋が約１０万戸という記録があり、地震と火事で江戸の街にあった家屋敷の１／３程度が失われたようです。　今回の東北関東大地震の特徴は震源が地下１０キロ程度と比較的浅かったことと、動いたプレートの規模が（これを書いている時点で）４００キロ程度に達しているのではないかと推定される大規模なもので、揺れ幅が大きくも揺れている時間も長かったことで巨大な津波を引き起こしたことにあります。　また津波の原因となった地震の規模が大きかったためか、防潮堤が決壊して津波がそこから侵入して壊滅的な打撃を受けた地域もあり、防潮堤の耐震設計もまた震度８に耐えられることを当面の目標にし、補強工事なども行う必要があるのではないかと。　防潮堤が、地球温暖化の海面上昇の影響を考慮して、後５０～１００センチ嵩上げされていたら？スマトラ島沖地震における津波被害で大震強度や津波の波高に関して再検証していたら？ここまで被害が広がったかどうか？＊　防潮堤を嵩上げしておけば助かった地域もあったかもしれませんが、文字通り想定を遙かに越えた”三階建ての建物を呑み込む波高”となった地域もあった。＊　防潮堤が根底から崩壊した地域も珍しく無く、文字通り想定外の規模の津波が襲来したことは確かなものの、詳細な検討が終わるには数年を要する状況になっている。　東北関東大地震における地震の特徴としては、横揺れが長かったことで、それは東京都港区の東京タワーの最上部のアンテナが曲がったことにも端的に現れていると思われますが、アメダスシステムなどの観測網が本震で何らかのダメージを負った箇所が多かったこともあってか、これを書いている時点では今ひとつ専門家の解説も具体性を欠いて一般論に流れているようです。　また、震源に近く地盤が軟弱な東京湾沿岸部では地下鉄を含めて鉄道網の麻痺が長引き、都営新宿線が復旧したのは午後１０時になろうかという頃のことになったのですが、ＪＲが11日中の首都圏の鉄道の運休を宣言したこともあって、千葉方面への鉄道輸送が全面的に途絶しました。　もちろん、震源の位置によっては逆に首都圏の東側にトラブルが集中する可能性もありますが、以前から指摘されていた”帰宅難民”が現実のモノとなり、表面化しただけで２万人を越える帰宅難民が発生した結果、行政の対応が後追いになったのはいかがなものかと　・・・　政府は無理に帰ろうとするなと言うものの、ではどうするのか？の対応は地方自治体との打ち合わせがろくに出来ていないかったという点は特に。　そうした、政府の”言うだけ”で”裏付けがない”対応が目に月初めているのですが、東京都の帰宅難民への対応にしても、東京マラソンであれだけ豊富に食べ物や飲料などを提供しておきながら、こういうときには速やかに提供する体制がとれなかったというのはかなり問題があると私は思います。　その意味で特徴的だったのが、行政の対応を見限ってとっとと徒歩で帰宅する人が多かったことと、そのための事前準備をしていた人もまた思ったよりも多かったことで、行政側が体裁を取り繕って実効性の無いアナウンスに終始し、帰宅困難者用に各施設を開放したのも政府が”無理に帰宅しないように”というアナウンスをＴＶでした数時間後で、しかも満杯になって追加の施設解放を行う羽目になるという見通しの甘さも露呈したわけです。　災害時帰宅支援ステーションとして、水道水・トイレや各種情報の提供等をガソリンスタンドやコンビニエンスストアと行政が提携しているのですが、それが機能したかどうか？どれくらい役に立ったのか？については今後の検証が必要な点ですが、一つは、そうした支援ステーションの機能を徒歩で帰宅する人に限定すべきなのか、防災拠点として自家発電システムの補助や井戸の掘削補助などを行政補助してテコ入れすべきなのか。　国、都の施設に加え、区市の協力も得ながら、鉄道が機能停止し帰宅が困難になった人達を一時収容する施設の確保にしても、たまたま晴れていたからよかったものの、雨や雪なども想定し、あるいは、半島情勢が緊迫化して一時的に避難民を数万人単位で引き受けるような事態もそこに加えていいですが、各地のドーム球場などの天蓋が付いた大型施設との提携を行って、通常は必要としない数のトイレの確保などを含めて事前に準備しておくべきではないのか？　もっとも、東京電力福島第一原子力発電所（福島県大熊町、双葉町）１～３号機、福島第二原子力発電所１号機が地震によって被った被害で自動停止した後、水を注入して冷却する「緊急炉心冷却装置（ＥＣＣＳ：除熱装置）」を停電時に稼働させる非常電源が故障するトラブルが発生し、冷却用の水を炉心へ注水できなくなり、12日になると炉心の（放射性物質を含む）水蒸気を抜いて内圧を下げるところまで追い込まれたことの方が実はリスク管理としては大問題です。　その構造上、沿岸部に設置される事が多い原子力発電所を地震大国の日本が津波の問題を含めてここまで設置していいのか？原子力発電所や附属する設備の耐震問題や非常時のバックアップにおける問題などが指摘されていたにもかかわらず、今回、やはりそういった事前に指摘されていた点がネックになって後手に回ったというか、メルトダウンが現実味を帯び、下手をするとスリーマイル島かチェルノブイリかというところまで追い込まれたわけです。　なにより、これに関する政府のアナウンスもかなり問題があるのではないのか？　政府は、１１日夜、原子力災害対策特別措置法に基づき、原子力緊急事態を宣言して、原子炉内の水位が低下して燃料棒が露出して放射能が漏れる危険性を考慮し、同原発から半径３キロ・メートル以内の住民に「避難」させるよう地元自治体に指示し、これは後に半径１０キロ以内にの住民の避難に拡張されています。　経済産業省原子力安全・保安院によると、ＥＣＣＳを動かす電源を消失した事態は国内初めてだと言うのですが、”大規模地震などで電源トラブルや付随する取水管などの施設が機能停止して炉心冷却水の供給が不可能になりメルトダウンを起こす可能性”を彼らが素人呼ばわりした人達が指摘し、それを否定したプロの対応に穴があったことが実証された形になったわけです。　ちなみに、原子炉の構造が異なるのでまったく一緒というわけではないのですが、チェルノブイリ級の事故が発生した場合、それが国内のどこの原子力発電所であっても、ほぼ日本全域が放射能で汚染される規模になるのですが、原子炉の構造的にスリーマイル島のトラブルの方が近いことと、風の吹く方向などを考慮すれば、最悪で首都圏くらいまでの汚染で収まる見込みだから１０キロ圏？　また、今回の地震が世界の株式市場に与える衝撃を考えるとき、世界の株式や証券市場の反応によっては、超大恐慌の到来が危惧されるだけに、速やかに日本政府は内外へ金融面でも対応しなければならないのですが、こちらも各自が自力で歩いて帰った方が話が早いのかも知れません。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第６２話：（2011/03/12）

2011.03.25

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瞬間移動

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０５９話　「瞬間移動」　四次元といえば、それこそ四次元の断層にでも落ち込んだかのように突然姿を消してしまう話が洋の東西を問わずありまして、その幾つかはこれまでにも怪しい話に収録してきましたから馴染みの方は御存知ではないかと　・・・　忘れてなければたぶん（笑）。　もっとも、次元という概念をはたしてどれくらい理解できているのか？といわれれば、”次元大介”とか言って逃げる怪しさですが、一応、３次元までは人間は概念としては理解できるようです。　おそらく一番馴染みがあるのが、数学における次元の概念で、”点の位置（自分の位置と考えてもかまいません）がどのように認識されるか？”という話で、線上にあれば一つというか一箇所、面上なら（Ｘ軸、Ｙ軸を使った）二つの座標が交差した地点、立体的な空間内なら、（Ｘ軸（横）、Ｙ軸（縦）、Ｚ軸（高さ）といった）三つの実数（座標）で位置を特定できることになっています。　したがって、線、面、空間がそれぞれ１次元空間、２次元空間、３次元空間ということになり、このあたりまでは線を引いたり、図を書いたり、積み木を積んだりしても認識できる身近な話ですからわかるのですが、０次元として移動できない点の世界を想定する程度ならともかく、逆に３次元までの理屈を拡張して４次元、５次元、・・・、n次元といった無限次元の空間が考えられるというあたりで、”はて？”という（笑）。　さらに話がややこしくなるのが、物理学にも次元の概念があることで、ディメンションとか言い出すとどちらかといえば物理の話になる事が多いのですが、ある物理量が”長さ L、時間 T、質量 M” などの基本的な物理量とどのように関係するかを示す構造（式）とでもいったことになります。　すでに物理学なんぞ遠い昔の話になって久しい人の方が多いでしょうし、書いていて自分でも良く分かりませんが（笑）、まさにその良く分かる人が少ないあたりを見越して、”四次元”という概念がＳＦ小説などで乱用されてきたのは御存知の通りですが、”氷点下３０００度”とかいった表現よりはばれにくい科学っぽい法螺が多いジャンルではあります。　念のために書いておくと、絶対零度とされるマイナス２７３．１５度になると、理論上、物質原子の熱運動がなくなるため、それ以下の温度というのは存在しないというか、仮に存在しても測定が不可能になる　・・・　それ以前に、熱力学第３法則（熱力学の法則）によれば有限な温度の状態から絶対零度に到達することは不可能なのは確かな話です。　それはともかく、四次元世界という概念が誕生した背景には、日本人が大好きなアインシュタインの相対性理論があり、それまでは空間と時間は全く独立して存在すると考えられていた概念が相対性理論の登場で否定され、1907年にミンコフスキーが時空間を一つにした四次元世界の数学として、相対性理論の諸関係を整った形で表現することに成功しています。　相対性理論では”事象は四次元世界の中の（世界点）”、”質点の運動は（世界線）”で表されることになり、すべての基本的な物理量はその中の四次元ベクトルや不変量などで表示され、諸法則は四次元世界の座標変換に対し不変な形をもたなければならないとしているのですが、やはり書いていて自分でもよく分かりませんし、今後も理解する事は無いでしょう（笑）。　だいたい、相対性理論（相対論）といい出すとほとんどの理屈が引っ込む葵の紋所が付いているどこぞの印籠のような存在になっているのですが、既に百年以上が経過していて、1905年以来アインシュタインによって展開された物理学の理論体系ということになるのですが、”賢くないと理解できない”とされているため、”分からない”とは言い出せない微妙～なところがオトナにはあるようです　・・・　私は分かりませんが。　そんな私でも理解できたニュートン力学の、絶対空間、絶対時間の考え方を否定した相対性理論は、要約すれば前述したように”物理法則はあらゆる座標系に対し同じ形式で表される”という相対性原理を基本要請としていて、相対性原理を互いに等速直線運動をする座標系に適用すれば（E=MC^2で知られる）特殊相対性理論（1905）に、互いに加速度運動をする一般の座標系に拡張すれば（アインシュタイン効果で知られる）一般相対性理論（1916）になるそうです。　まあ、早い話、理解できなくても日常生活に支障は無い理論のハズで（少なくとも私は支障無く生きてま）すし、四次元絡みの事件に巻き込まれたときに相対性理論を知っていたから対応できるというものでもないようで、まあ、こういった実話が知られているのですが　・・・　ナルニア国物語の第１作”ライオンと魔女”では、古い洋服ダンスの中に入り込んで吊してある服を掻き分けて奥へ進んでいくと、ナルニアの雪原に出てしまうのですが、それと似たような経験をしたのが英吉利のドーセットシャー州プーレルに住んでいたウオール家のキャロン（当時７歳）で、1967/08/21のことだったのですが、その日はキャロンの誕生日だったそうで、プレゼントに仏蘭西人形と真珠の指輪を貰って大喜びしていたそうです。　ただ、喜びすぎたキャロンはグラスに入っていた赤ワインを一張羅の白いレースの服にこぼしてしまったそうで、大慌てで着替えることになり、洋服ダンスを開いたのですが、開いた洋服ダンスの中に洋服は無く、なぜか古ぼけたビルの室内が見えたそうで、そこにキャロンは吸い込まれるかのように入っていって姿を消してしまったそうです。　まあ、それだけだと残った家族が口裏を合わせて何らかの犯罪行為を隠蔽した可能性もあるのですが、ほぼ同じ頃、こちらは加奈陀のトロント市の裏通りで古いアパートが建ち並んでいる区画でのこと、ビルの取り壊しを請け負ったスプリング建設の関係者が、取り壊しのためにビルの内部を確認していて、ビルの一室の扉を開いたとたん、小さな女の子が中から飛び出してきたそうです。　警察が呼ばれて少女から事情を聞くと、自分は英国に住んでいるキャロン・ウオールだと名乗ったので、英吉利の家へと国際電話をかけてみると、白いレースの服に赤ワインをこぼしていること、仏蘭西人形と真珠の指輪を持っているといった家族の証言と少女の様子が一致したそうで、キャロンは無事に家に帰ることができたそうです。　この事件は、少し後の1967年になってＢＢＣによって報道されて話題になったことで、”ＢＢＣねえ？”と私が少し思うところがあるくらいが問題点ですが、ＢＢＣが絡まない瞬間移動話だと、　時は1968/06/01の深夜、場所は南米はアルゼンチンの首都ブエノスアイレスの近くの高速道路でのこと、弁護士のゲラルド・ビダルとその奥さん、友人のローカム夫妻がそれぞれの車に乗って、ブエノスアイレスの南にあるシャコム市を出て少し行ったあたりで、霧が出てきたと思っていたらビダル夫妻の乗っていた車が消えてしまったそうで、ローカム夫婦は急いで警察に届け出て、警察もすぐにハイウエイの周辺などを捜査したそうです。　当然、何らかの事故に巻き込まれた可能性とか、殺されて車ごとダムや海に突き落とされた可能性とか、拉致とか誘拐されて山奥や砂漠に監禁されたり放置されている可能性も考慮されたでしょうし、ローカム夫妻も知らないような事情で意図的に失踪しなければならなくなっていた可能性も考慮されたとは思いますが、いかんせん、さっぱり足取りが掴めなかったそうですし自宅にも変わった様子は無かったようです。　事態が急変したのは２日後の６月３日の午後のことで、メキシコのアルゼンチン領事館からローカム夫妻に長距離電話が入り、その電話には領事館員だけでなくビダル夫妻も電話に出たのだそうですが、当時の交通事情でも、夫婦２人だけならアルゼンチンのシャコム市からメキシコのメキシコシティーまでの７０００キロを飛行機などで移動することは１日あれば十分可能だったそうです。　が、問題は、ビダル夫婦はローカム夫婦と一緒に走っていたときの車に乗った状態でメキシコシティにたどり着いていたことで、ビダル夫妻の証言では、霧の中を走っていたら気を失ってしまい、気が付いたらメキシコシティの道端に停車していたそうで、当時の列車や船を使った運送ではとても１～２日では車ごと運ぶことは不可能だったそうです。　ここで不思議なのは、この騒動に亜米利加のＦＢＩが乗り出してきてビダル夫妻の車などを調査していることですが、ＦＢＩも不審な点は見付けられなかったようですし、メキシコのアルゼンチン駐在領事もメキシコに現れてから後のビダル夫妻の行動に関してはすべて事実であると証言しているのですが、いわゆるＸファイルに該当する話だったようで、新聞で大きく報道されたもののその理由が解明されることが無いまま現在に至っています。　高速道路を走行中、たまたま四次元空間に迷い込んで運良く出てくることができた事例という説や、アルゼンチンとメキシコといえばＵＦＯの目撃が頻発している地域ですからＵＦＯが絡んでいて意識を失っている間にＵＦＯで運ばれたという説もあるのですが、いずれにしても、なんらかの怪しげな事態に巻き込まれたことを想定しないととても当時の輸送技術では説明がつかない事例ですがビダル夫妻の消息が判明しただけましかもしれません。　同じような条件下で消失したまの事例は、3-791”消える車”の回に収録した日本の茨城県藤代バイパスで消えたトヨペットクラウン騒動（1963/11/19）が知られています。　この騒動では、同じ車に乗って茨城県竜ヶ崎市のゴルフ場へ向かっていた富士銀行の葛飾支店の支店長と次長、お得意さんの３人が、松戸から柏市を過ぎて藤代バイパスにさしかかったあたりで、水戸街道あたりから３人の車の前をず～っと走っていた東京ナンバーの黒いトヨペットニュークラウンが、突然、白い霧のようなものを噴き出したかと思うと数秒程度で走行中に消えてしまったというもの。　なぜ事件ではなく騒動かといえば、警察に該当するような失踪の届けで無かったことと、消失したとされる現場が横道もなければ工事中の穴もない一本道でありながら事故の形跡も無かった　・・・　早い話、被害者が存在しないか特定できなかったためですが、信用第一の銀行員が吹く法螺にしてはメリットが無さすぎることには異論が少ないと思われます　・・・　何らかのアリバイ工作ならもっと上手な方法があるわけですし。　船舶や航空機の失踪事件は数多いのですが、すべてが海の藻屑となったり人気の無い山岳地帯などに墜落して発見されていないのか、中にはそれこそ四次元断層に入り込んでしまった事例もあるのかは定かでは無いのですが、そうした事例の中に時間を超えてしまったとしか考えられない事例が幾つか記録されていたりもします。　が、長くなってまいりましたのでそのあたりの話はまた別の機会に。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０５９話：（2011/03/09）＊　燃料棒が露出し、メルトダウンが懸念される状況になったようです（０：１５）、その場合、風向きにもよりますが首都圏は、まあ、ここでは書かない方がいい状況になりそうです。

2011.03.15

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四次元教

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０５８話　「四次元教」　１９７０年代くらいまで、何か不思議な出来事が起こると”四次元”という言葉を持ち出して解決してしまうことが珍しくありませんで下。　曰く、”四次元の裂け目に吸い込まれて　・・・”とか”四次元から出てきて　・・・”とかいった具合ですが、その説明（？）を聞く方が理解できたかどうかは別の話で、”ここで分からないとか言うと馬鹿と思われるんじゃないか？”と思った人も多いようで、いかにもわかったかのような顔で”そうですね、そういうこともあるかもしれませんね　・・・”とかなんとか真顔で応えたりしていたわけです。　もちろん、やはりよくわからないままに、”四次元なんて馬鹿げたものがあるわけないじゃないか！”と反発する人も（その多くは自分の方が賢いと思っている人ですが）中にはいたのですが、それに対しては”では、他にどのように説明できるんですか？”と質問されればそこまでだったりしたわけです。　科学というものの成り立ちを知っていれば、その時点で判明している科学の知識で、ましてや学校で教わっているレベルの科学の知識で全てが説明できると考える方がどうかしているのですが、さほど珍しい存在で無いことは御存知の通り（笑）。　日本人が学校で教わっている科学というのは、欧羅巴で確立した学問がベースになっていることが多いのですが、その欧羅巴の学問の歴史を遡れば、中世に魔女狩りに象徴される異端審問の類を延々とやり続けた基督教の神学へのアンチテーゼという側面があることに嫌でも気が付きます。　科学の基本は、仮説とその検証から導き出される法則性の理論化や体系化で、法則性が解明されれば同じ条件で同じ状態が再現できるというか、同じ条件では同じ現象が再現される確率が高ければそこに何らかの法則が存在するのではないか？と勘ぐってかかるのが科学的な姿勢かなと。　それ故に、そういった法則性に気が付くことが重要で、映画”日本沈没（1974）”で田所博士が言う”直観とイマジネーションだ！”ということにもなるわけですが、大部分の日本人の面白いところは、直観とイマジネーションを導き出す能力に大差がないと考えたがることではないかと。　その手の人が大好きな格言が発明王エジソン（1847～1931）の”発明は（或いは天才は）１％の閃きと９９％の汗”という格言ですが、これは、１％の閃きが無い人の汗は無駄になることも意味しているわけで、実際、その１％の閃きが無い”残念な人”がいたるところにおいでで、”それは前から知っていた”という言葉が大好きなことは御存知の通り。　言うまでもなく、学術論部とは異なる（空想科学）小説の場合は”いかにもっともらしい顔で法螺を吹くか”が売上高に関わる大切な要因になりますから、科学的に正しいことよりも、科学的に正しいように思えなくもないもっともらしさの方が優先されることが多く、１％の嘘をつくために９９％の本当を積み重ねることが重要とされています。　もっとも、まことしやかに嘘を紡ぎ出すことで自分の立場を優位にしようとするのは年齢も男女の別も問わない人類の普遍的な傾向ですが、嘘が発覚したときに理論的にさらに嘘を重ねて切り抜けようとする人と、”だって嘘をつくと歯が綺麗になるんですもの。”とか言い放って開き直る人に大別されます（大笑）。　話を戻すと、科学がなぜ神学より社会的な価値観として優位に立てたか？あるいは立ち続けているか？といえば、神の名の下に運営された社会で暮らした人達の生活があまりに悲惨で貧困に悩まされ続け理不尽な死に晒されるようになり、そんな信者達に神の愛や神の前の平等を説く聖職者の腐敗や世俗化は目に余り、既得権益を維持するために神学や教義まで曲解されていったことと無縁とは思えません。　では、その神学や教義が何に対抗して確立していったのか？と言えば、これは化学の母胎にもなった錬金術に象徴されるな古代の宗教や魔術に対してですが、ある意味で、古代の魔術や宗教の系譜の中で政治と結びついて勝ち残ったのが基督教で、唯一絶対神を信奉する一神教であるが故に、他の宗派の存在さえも認めず邪教として駆逐していったわけです。　豊かになることは悪いことではないのですが、人の欲に上限が無いとすれば、必要以上に豊かになる事や、或いは、単に豊かになっただけという人生に意味がないというのも真理で、自分が豊かになったことで他の人をどれくらい豊かにできたかといったあたりが棺桶に入った後の評価ということになるのではないかと　・・・　その時になって神様に献金しても、神様って金の発明者でもありますからねえ？　では、魔術とは何だったのか？というと、欧羅巴においてはガリア地方のケルト人の宗教に基づく儀式の系譜、いわゆる古代ケルト魔法の系譜と、アラビアンナイトで知られるアラビア系というか古代ソロモン王に代表されるソロモンの魔法の系譜、古代エジプトを遡りかねないエジプト系の超古代魔法の系譜に大別されます。　ちなみに、基督教の魔術としての側面は、ユダヤ教から派生した新興宗教ということからソロモン王の魔法をベースに、羅馬帝国の他の宗教の魔法を順次取り込んでいったと考えられますが、自らの技術体系は白魔術で自分たちの技術体系以外は黒魔術ということになっています。　が、魔術の本質は、常に最先端の知と技術を求め続ける姿勢や生き方とでもいったことになるが故に、主流だった特定の魔術の衰退は新たな魔術の興隆と並行するわけですが、そう考えると、近代科学もまた、新しい魔術の一つに過ぎないということになります。　そのあたり、高度に発展した科学に基づいて開発された製品でできることは、その理屈が理解できない素人からすれば魔法と大差が無く、実際、古の魔術師や基督教の聖者が行った奇跡の類を越える土木工事や家電製品などがごろごろしているのは御存知の通りで、神の奇跡とされた地形の変化を凌ぐ人工構造物は地球上ごまんとあるわけです。　魔術の別称でもあるオカルトという言葉は、ラテン語の”occultum（隠されたもの）”に由来する言葉ですが、日本だと神秘額とか隠秘学と訳されることが多く、含まれるジャンルとしては、占星術、錬金術、心霊学など魔術師の営業項目とほぼ重複するのですが、ある意味でそれらを合理的に説明するために、統計学や確率論、化学や物理学、心理学などが確立されていったとも言えるのではないかと。　別に超能力や霊能力、あるいは神の奇跡で薪に火をつけなくても、マッチやライターの類があれば事足りるわけですが、では”なぜマッチは（で）火が着くのか？”を科学的に説明できるか？と考えると、一般人の科学知識というものはかなり底が浅いことに思い至るのではないかと　・・・　それ故にこれまた宗教から派生した詐欺やペテン、手品の類にひっかかるわけですが（笑）。　魔術が手品を意味するマジックを含み、マジックはギリシア語のマギケーに由来し、マギケーの原義は”マゴスの術”のことで、マゴスの術のマゴスは古代メディア王国の神官の名称になるのですが、ラテン語だとマグス（複数形がマギ）となり、新約聖書において基督の生誕時に登場する”東方三博士”の博士たちがマギということになっているとうい話は何度かしてきたところです。　そもそも、神官の使う術が魔術の語源で、手品、奇術、呪術、医術なども含む膨大な知識体系であるということは、後の神官である宣教師達にもそうしたノウハウの一部が継承され、一般人にはオカルトとして遠ざけられ体系的に公開されることが希な知識や技術になっていて、手品が典型ですが、種を知らなければ簡単に騙され、奇跡や神秘体験と思い込むことが珍しくないのは御存知の通り。　有名な、鉄砲で撃たれた宣教師がその弾丸を歯でくわえて受け止めてみせた奇跡は、発砲と同時に砕け散る塩の弾丸とすり替え、口の中に弾頭をあらかじめ含んでおくというペテンでもあったのですが、結果的に、地元の呪術者の面子は丸つぶれになり、その地で一気に基督教が信仰される契機となったのは実話だったりします　・・・　信じる者は騙される。　少なくとも基督の教えに一般人が耳を傾けるようになった契機は、彼の興した数々の奇跡現象であり、具体的には悪魔払いであったり、病気直しであったり、水の上を歩いて見せたり、・・・、預言が的中してみたりといった具合だったわけですが、普通の人にはできないことをやってのける人の言葉だからこそ耳を傾けたとも言えるわけです。　ただ、ここで問題なのは、人が耳を傾けたり集まってくるもっと大きな動機に”利益誘導”があり、そちらの比重が高いのが政治家の街頭演説（笑）や、宗教関係者や霊能者、時には占い師まで口にする”私の言うことを聞かないと地獄に堕ちる（という不利益を与える）！”というフレーズが典型的かつ古典的な　・・・　それ故に効果が実証され続けている手口ではないかと。　面白いのは、”教えに（ほとんどの場合、教団関係者の指示に）従わなければ地獄に堕ちる！”とする場合、輪廻転生という立場に立つと、地獄に堕ちても救済され生まれ変わってくることになりますから、地獄を罪を精算する場と解釈することが可能となり、地獄を必ずしも怖れなければならない場と考える必要が無くなるのですが、それ故に、生まれ変わりを否定することになりがちです。　そして、輪廻転生を否定する宗教の多くが、最後の審判を採用し、地獄に堕ちれば救済されることが無いとか、かって神に等しい力をもっていた天使でさえ堕天使と化して地獄に堕ちれば救済されないとかいった設定にしたがり、そんな場所には行きたくないと思いたくなるように、地獄の凄惨な描写は微に入り細に入り念入りに解説されます（笑）。　その一方で、天国の描写はシンプルで、衣食住に悩むことが無く、妙なる音楽が流れて綺麗な花が咲いていて良い香りに満ち、　・・・　ある意味でとても単調で退屈な場所のような気がしますが、今も昔も、庶民の欲求というのは衣食住が満たされて、異性にはもてもてで、病気や怪我に悩まされず、金のために働かなくても良い世界とでもいったことかなと。　となると、宗教に頼らなくても、死後の世界でなくても、十分な金さえ有れば現実世界で実現できる生活じゃなかろうか？と思い至る人も中にはいるわけで、更に一歩進めて、社会が豊かになれば富を見苦しいまでに掻き集めなくても天国に近い生活ができる人が多くなるんじゃなかろうか？とも考えられるわけですし、現実世界が自分の思うとおりにいかないのなら仮想世界で王になれば精神的にも充足されるわけです。　突き詰めれば、世界というのは、その人の脳味噌がどのように認識しているか？という相対的な存在でしか無いということですが、そのあたりをわかりやすく書けば、本格的に惚けてしまえば大富豪も貧乏人も大差が無くなるということで、正気と狂気の境目は曖昧で内からも外からもわからないということでもあり、人は神様の前だけでなく惚けの前でも平等ということになります。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０５８話：（2011/03/08）

2011.03.13

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奇跡の泉

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０２８話　「奇跡の泉」　世の中には、その水を飲むことで万病の治癒に効果がある奇跡の泉とか治癒の泉といった異称で呼ばれる水場があり、だいたいにおいて宗教と結びつくことが多いのですが、神様との射ｍが関係は良く分かっていません。　つまり、神の奇跡というのなら、かて悪魔が囁いたように”このコップの中の水をワインに変えてみせろ”という話いなっていくわけで、何の変哲もない水道水を飲ませても、雨水の類を呑ませても劇的な効果が出てこその奇跡ではないかと私も思います。　気功の芸の中に、飲み物や食べ物の味を変えるというジャンルがあるのは比較的知られた話で、酒や水がマイルドになったりするのですが、それを飲んだら健康になるという話は寡聞にして聞いたことがありません　・・・　室温コーラの水割りを愛飲する私が言うのも何ですが（笑）。　もっとも、これまでに何度か触れてきたように、日本の霊能者の中に、御神水の類を湧出させた事例があることもまた知られた話で、弘法大師や安部晴明などの井戸や泉の類が全国に存在するのは御存知の方の方が多いのではないかと思われます。　日本の場合、降雨や降雪に恵まれている地域であると同時に、そうした水が伏流水になりやすい、山岳地帯が国土の七割を占めるとも言われる地形だけに、砂漠地帯などと比べると、遙かに湧水や泉の類が多く、霊水や御神水と呼ばれる水が珍しくなかったりします。　その意味では、火山地帯の上に成立している国だけに国中がパワースポットだったわけですが、まあ、明治以降の近代化の前に崩壊が進み、特に１９７０年代の”日本列島改造論”以降、ぐだぐだに寸断され潰され続けていることもまた御存知の通り。　それこそ、フリュギアの伝説的な王様で、山野の精霊シレノスを歓待し酩酊させた返礼として触れたモノを全て金に変えてしまうようにしてもらったミダス王のようなもので、その手に触れられるものを全て金に変えて世界屈指の大富豪にはなったものの、手に入れた生活が快適とはとても言えず、かといって後戻りも出来ずというのが、日本が行き着いた欧米型経済の一つの頂点の実像ではなかろうか？　ちなみに、シレノスはギリシア神話における山野の精霊の名で、人間の上半身に馬の耳、足、尾がついた姿で知られ、同類のサテュロスたちよりは老けて見えて知恵深いともいわれるのですが、しばしば混同されているあたりで、大差がないか、サテュロスが高齢化するとシレノスになるのか？謎の残るところです（笑）。　半人半獣の神といえば、ミダス王は太陽神アポロンと牧神パンとの音楽競技のときに審判をして、素直にパンに軍配をあげたら怒ったアポロンにロバの耳をつけられてしまい（”王様の耳はロバの耳”の逸話で知られる）、その秘密を知っていた王の床屋が、誰かに話したい衝動をこらえきれず地面に穴を掘ってしゃべったら、そこにはえたアシが風が吹くたびに秘密を囁いたとされています。　まあ、モノは考えようで、皆が知ってしまえば秘密は秘密でなくなるため、秘密を触れて回る快感は無くなり、数ある知識の一つになるだけなのですが、邪推マニア的には、そもそもミダス王がシレノスと人との間の混血児だった可能性を考えてしまいますから、アポロンにロバの耳をつけられたのか、ロバの耳に気付かれてアポロンのせいにしたのか？は微妙な気がしないでもありません。　それはさておき、聖水や霊水の類は、聖域の山や丘陵などを水源に湧き出している事が多く、周囲の土地の生命活動に不可欠というか、産土ないし産霊の原点と解釈することも出来ますから、特定の”場”の水に神道で言うところのムスミ（産霊）の力が強力に顕現しても、さほど不思議ではないとも言えます。　世界規模で有名な奇跡の泉といえば、ルルドの泉と聖ウィニフレッドの泉あたりが思い浮かびますが、いずれも奇跡現象の方が先で教会の公認などは後追いというか、他の宗教団体に抑えられないようにという程度の対応のように思えなくもありません（笑）。　ルルドの泉があるルルドは仏蘭西南西部のピレネー山脈の麓にある小さな村だったのですが、ルルドの泉の評判で年間５００万人程度の訪問者が世界中から訪れるようになっていますから、ろくに人工的な観光資源があるわけでもないことなどを考えれば、そちらの方が奇跡現象のような気がしてきますし、村起こしというか経済効果で考えればカジノの誘致などより上策のような気がします。　ルルドの奇跡の始まりは、1858年のことで、当時14歳だった少女ベルナデッタがマッサビエルの洞窟で聖母マリアと遭遇したとされていますが、いわゆる幻視と考えられていて、ベルナデッタの前に18回出現したといっても彼女以外には見えなかったようです。　このことは、教会関係者にとってはいささか厄介な状況であったことを意味していて、教会関係者でもなければ、読み書きも満足に出来ず高度な教育を受け豊かな教養があるとは言い難いベルナデッタには聖母マリアが見えて、”無原罪の宿り”と名乗ったといった話に代表されるように、会話が成立していた現実があったわけです。　となると、神の代理人を自負し、神の代行者としてあれこれ言っている教会関係者に聖母マリアが（幻視であったとしても）見えないというのは、神様の姿を見たり声を聞いたりしたこともない人がなんで神様の代行ができるの？という素朴な疑問を呼び起こしかねないわけです。　さらに、教会関係者にとって困ったことに、聖母が現れた洞窟の泉から湧き出している水を飲むことで奇跡現象が生じ始めたことで、その噂を聞きつけた体に障害を抱えていたり、重い病に悩む人がぞくぞくとルルドにやってくるようになり、また、そういう訪問者の中から奇跡現象が発現していったわけです。　前述したように、ルルドを訪れる人は年間で約５００万人とされているのですが、その内の約７～８万人程度が重い身体障害や病に悩まされている火とされ、文字通り、我が身が奇跡に遭遇することを願ってやってきているわけで、少なくとも地元や近場の教会では救済できなかった迷える子羊たちと言えます。　なお、カトリック教会が奇跡の治癒事例と公式に認めた件数は７０件ほどに留まっているのですが、日本風に言えば、奇跡的に治癒したと本人が感じ、不要になって奉納した杖などの類が７０を遙かに越えて、文字通り鈴なりになっていることは書くまでも無いことかもしれません　・・・　そうでもなければ毎年５００万人の規模で訪れる人がいるわけがないとも言えます。　当然のように、あるいは巧妙に、ベルナデッタはカトリック教会に囲い込まれ、1933年には列聖もされているのですが、かって、”その遺体の腐敗が進行しない”ことで話題になっていたベルナデッタの顔に蝋のマスクが被せられて久しく、ルルドの泉から離れたヌヴェールのサン・ジルダール修道院に安置されているのも、どんなもんかという気がしないでもありません。　つまり、本来ならば、ルルドの泉の側に教会を建設してそこに安置するか、地元の教会に安置すべきではないのか？ということですが、そもそも論でいえば、マリア信仰とは結びついても、必ずしも特定の基督教の宗派と結びつく事例でないだけに、オトナの事情があるのかもしれません。　そんなルルドに対して、聖ウィニフレッドの泉はもっと素朴な奇跡の泉ですが、”ウエールズにおけるルルドの泉”と呼ばれるだけあって、英吉利のウエールズ北部フリントシャーのホーリーウエル（直訳すると”聖なる泉”というベタな名称になる）という村にあります。　こちらは、ルルドより遙かに歴史が古く、少なくとも千年以上前から重要な巡礼地となっていて、現在でも宗派を越えて神聖な場所として認められているという意味では、英吉利で唯一の共有されている聖地ということになります。　聖ウィニフレッドというと、日本人だと男性名のように思いがちですが、７世紀頃に実在した女性の名だそうで、異教の王子カラドグの求愛を拒んだことで斬首にされ、切り落とされたウィニフレッドの頭部が落ちた場所から湧き出したのが聖ウィニフレッドの泉とされているのですが、参考までに書いておくと、当時の欧羅巴で主流の斬首の方法は斧で切り落とす方式でした。　もっとも、７世紀頃の乙女というのは、７世紀には既に巡礼地となっていたことから逆算しての話で、さらに古い記録が出てくればさらに遡る可能性はあります。　泉の水に病を癒す効能があるという噂も早い段階で広まって、それなりに実証も伴ったようですが、決定打となったのが17晴雨機に国王のジェイムズ２世夫妻が泉に訪れたときに子宝を祈願したら、その後、王妃が懐妊したことだったようですが、王室御用達として王や貴族達、あるいは特定の宗教団体だけが御利益を独占しなかったあたりでも聖地であることが証明されているのかもしれません。　現在、泉の近くにはカトリックの礼拝堂が建っているのですが、毎年６月と10月に大規模な祭礼が行われているあたりから考えて、実際には聖ウィニフレッドの伝説より前、それこそ古代ケルト以前からの聖地が継承されている可能性が高く、祭礼を行っている人達も既にその由来が分からなくなって久しいのかもしれません。　なお、16世紀にカトリック教会から離脱して英国国教会として独立した英吉利の宗教変動の後も聖地であり続けているということは、やはり基督教が渡来してくる以前から広く民間に信仰され支持されていた聖地と考えるべきでしょう。　というのも、ルルドの泉の奇跡現象に近い奇跡現象が英国で起こっていた場所は、どちらかといえばカンタベリー大聖堂で、12世紀に国王ヘンリー２世によって堂内で大司教トマス・ベケットが殺害されて以降、足の不自由な人が歩けるようになったといった奇跡現象が頻発したとされています。　後に英国国教会を立ち上げたヘンリー８世が修道院を閉鎖した際に、歩けるようになって奉納された膨大な数の杖が残されていたことが知られています。　ちなみに、エリザベス１世によってイギリス国教会の総本山とされ、カンタベリー大主教座がおかれているのですが、大聖堂の一番奥にある礼拝堂に灯されている一本だけ灯されている蝋燭の下に大司教トマス・ベケットが眠っているそうで、宗派が異なるだけに、それはそれでどんなもんかという気がしないでもありません。　しかしながら、確実に言えることは、本来、奇跡現象は場所を選ばないということで、逆に言えば、場所を選ばないで起こるからこそ奇跡の名に値するとも言えます　・・・　身も蓋も無い結論ですが（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０２８話：（2011/02/01）

2011.02.07

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地殻移動

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０１０話　「地殻移動」　日本人が大陸移動説を素直に信じることが出来たのは、”日本沈没（1973：小松左京）”の出来が良かったからではないかと思うのですが、当時としては最新の学説に準拠していたそうです。　実際、最初の劇場版（1974）を３０年以上経過した2011年の段階で見直しても、基本的な考え方としては十分に通用する丁寧な（当時としては画期的な）解説が織り込まれています。　その意味では、かえってリメイク版の方が説得力に欠けるというか、”ここまでは本当に科学的な話”とでもいった解説部分が欠落している分、嘘臭く感じられ、沈没が止まるラストに至ってはウンザリするのですが（笑）。　大陸移動説の始まりはいたってシンプルだったようで、世界地図を見ていて、”南亜米利加の東海岸と阿弗利加の西海岸が一致するように（そこからちぎれていったように）見えた”ことになるようです。　そういった視点で世界地図を見ていくと、”あれ、こことここの海岸線もくっつけるとつながって一枚板になるんじゃなかろうか？”という場所が複数存在することに気が付き、かっては一つの大陸（いわゆるパンゲア）だったのではないか？というところまで話は進むことになります。　かって一つの大陸だったものが、あちこちでちぎれながら離れていって現在の五大陸が三つの大洋に囲まれた状況になったのではないかと考えたとき、次は、”なぜそうなったのか？”とか”どういうことが起こればそうなるのか？”と話が進んでいったわけです。　もちろん、ウェゲナー（1880～1930）が最初に大陸移動説を世に問うたときは、主流の学者ほど”と学”扱いして笑い飛ばし、相手にしていないのですが、中には、直感的に”それって正しいんじゃないのか？”と思って自分の専門分野で検証を始めた人達も出ています。　面白いのが、この手の新奇な学説の場合、専門分野で先行している学者よりも、他の分野の学者によって検証が進められる事例が珍しくないことで、それこそ他の分野の研究で外堀が埋められて世間が支持するようになって渋々認めれば上出来な方なのかもしれません。　そうなりがちな理由は、既得権益の保持といいましょうか、研究予算の配分や社会的な評価といった人間くさい部分が主因で、それこそ、従来の説を唱えていた大御所の学者先生が亡くなるまでは意地でも学会が認めなかった学説というのは少なく無かったりします。　特に日本の場合は、大学の講師、助教授（これを書いている時点だと準教授）、教授というヒエラルヒーが強固だったこともあって、先人の学説に下手に異を唱えると世界的には評価されても、先輩の学者達に睨まれると講師のままで助教授にさえなれなかったケースもあったそうです。　その辺り、”日本沈没”でも日本沈没を最初に予測し行動を起こすことになる田所博士に関して、外資系団体は評価して補助金などを出していても、日本の関係省庁や大学、研究機関、学会などの大半は黙殺していたといった立ち位置に反映しているようです。　もっとも、”大陸移動説”を唱えたウェゲナーは独逸の気象、地球物理学者で、ベルリン大学等で天文学を学び、ハンブルク大学教授（1919）、グラーツ大学教授（1924）と順調にキャリアを重ねていますから異端の科学者という程でもありません（残念）。　代表的な著書の”大気熱力学（1911）”を出した翌年に大陸移動説を発表（1912）して、1915年に”大陸と大洋の起源”を著しているのですが、４回目のグリーンランドを探検したときに行方不明となり、現在に至っています。　一つの仮説として、大気の動きに詳しいが故に、その下層部分である地殻なども（タイムスパンはともかく）基本的に同じように動いているように思えたのではないか？従って、大陸が地球表面を漂移して相互の位置関係が変化するという説は、大気の中を雲が漂ったり気圧の変化で大気の流れが変わるといったあたりからも連想したのではなかろうか？　そう考えて、気象学の（あるいは熱力学の）知識を前提にウェゲナーの仮説を見ていると、シアル質の大陸がそれより密度の大きい（つまり同じ体積だと重い）シマ質の大洋の上に浮かんでいて、現在の諸大陸は古生代後期まで単一の大陸（パンゲア）だったものが、地球の自転などの影響で分裂して離れ離れとなったという説が雲の流れのように思えなくもありません。　ただし、ウェゲナーの死後、大陸移動説を研究する人は皆無に近くなり、再評価されるのは第２次大戦後に古地磁気学の研究が進んで、現時点では海を夾んで分かれている大陸が、過去のある時点で相互の位置を変えた（例えば分離していった）と考えなければ辻褄が合わなくなってからの事になります。　大陸が移動した事は大枠で認めるとしても、やはり、地球の自転程度のエネルギーでは大陸は分離して移動したりしないのではないか？その程度の事で分離し移動するのならもっと移動しているのではないか？という辺りがネックになったようです。　その辺りを再検討して、主流派が確立していったのがプレートテクトニクス理論で、地球表面を比較的地震の起きない十数個のプレート（板）の部分と、プレート間の境界である地震帯の部分に大別して考えていくのですが、”日本沈没”ではお馴染みの理屈なので、初回の劇場版を参照された方が理解は早いと思います。　大陸を形成するプレートは上部マントル低速度層（アセノスフェア）よりもさらに上部の、マントル最上部と地殻をあわせたリソスフェアと呼ばれる部分が板状の剛体として動くと考えられているのですが、近年、スマトラ島沖地震や四川省地震などが発生したことで揺らぎ始めています。　特に、プレートテクニクス理論の欠陥の一つが、大陸内陸部の巨大地震がなぜ発生するかといった、短期間のダイナミックな動きが説明できないことで、長期間の緩やかな動きを理論的に解明しようとしている学説というか仮説に過ぎないとも言えます。　実際、プレートテクニクス理論は、大陸（というかプレート）をパズルのピースの一つに見立てた理論で、地球内部の熱循環がプレートを動かす基本的な動力源だとしても、ピースを動かす余白がなければ上手く動かないのは素人にも分かる欠陥ではないかと思われます。　したがって、チャールズ・ジャプグッドの唱えている地殻移動説（1958）のように、すべてのプレートが一瞬でずるりと動くことがあるといった仮説も取り入れないと、実際に起きてきたこと、起きつつあることが説明できなかったりします。　例えて言えば、蜜柑の皮と実の間に隙間があって滑りやすくなっていて、中の実の位置は変わらないのに表面の皮だけがずるりと動くような動きを地球の地殻がすることがあるといったことになるのですが、この場合、プレートが無理に他のプレートを押しのけて動かなくても大規模な移動が生じることができます。　そう考えると、極点が一瞬で数百キロ単位で移動するポールシフトという現象も、太陽などに対する地軸の位置関係は変わらなくてもプレート上の位置が瞬間的にズレうることになり、生きたまま氷漬けになった複数のマンモスなどがなぜ生じたのかにも一定の説明ができることになります。　ポールシフトの発生に関しては、地球の地磁気の衰弱がトリガーになるという説があり、地磁気が衰弱する原因を地球外部、特に太陽からの荷電粒子（いわゆる太陽風）に求めることもあるようですが仮説の域を出ないようで、実際に起こった後でないと特定できないのかもしれません　・・・　その時、人類が生き残っていられるかどうかはともかく（笑）。　以前、1-330”衝突宇宙”の回で触れた　ヴェリコウフスキー(1895～1979)の”衝突する宇宙（1950）”で語られたように、地球だけでなく太陽系のほとんどの惑星が激震というか壊滅しかかった騒動があったとすれば、地殻がずるりと動くくらいのことは起こったのではなかろうか？　或いは、以前からノアの箱船絡みでも延々と書いているように、地球が月を捕獲したというか月が地球へ辿り着いたときの衝撃で地球の地殻がずるりと動いたりパンゲアの分裂が始まった可能性はかなり高いと見ているのですが、月からの大量の水の飛来、従来無かった月の引力の加算などなど、それこそ天文学的な質量の移動や潮汐力の増加というのはトリガーとして魅力的です。　地球儀や地図を見ていて、砂漠の位置が、まるでファールチップされた野球のボールについた傷のように見えることで、大気圏外から大量の水が降り注いだ場所の土が深くえぐられて砂漠化していったのではないか？と妄想したこともあるのですが、同じ緯度でも、場所によって砂漠になっているかと思えば、密林や草原になったりしているのも不思議ではあります。　まあ、そこまで仮説や思いつきの話を進めなくても、ある日唐突に、ずるりと地殻が動くことがあれば、その瞬間、従来の高度な文明は終焉を迎えることになり、運が良ければ江戸時代くらいの文化水準からやり直すことができるかもな～とここのところ思うようになっています。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第０１０話（2011/01/11）

2011.01.17

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避難都市

一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第００９話　「避難都市」　ノアの箱船の話にしてもギルガメッシュ叙事詩の類似の話にしても、大雨に伴って大洪水が発生したときに巨大な船に乗った人が助かった話しと解釈されていることが多いようです。　規模の問題は兎も角、箱船が実在したことに関しては疑っていないのですが、本当に発生したのは大洪水だったのか？ということはかなり疑っています。　標高千メートルを越える山々が水底に沈む洪水というのが大雨が原因で発生しうるのかというのが私の長年の疑問ということで、4-8”最初の箱船”で潮の満ち干についてあれこれ触れたときに書いたのですが、現在の潮汐差が最大でも２０メートルに達しない現実があるわけです。　大洪水が発生した後の世界で大潮の時期に満潮になってもヒマラヤの大半が水没しないことを考えるとき、大雨で大洪水になったのではなかったのではないかという気がしているわけです。　高い山の頂しか残らないほどの大洪水というか、アララト山に船が漂着したことになっているということは、最低でもそのあたりまでは水が満ちていたということですし、旧約聖書のノアの箱船におけるカラスと鳩の逸話を信じればですが、しばらくの間、水は高い水位のまま引かなかったことになります。　大雨で大洪水が発生するというのは、海へ上手く雨水が抜けていかないため低地に水が溜まる現象と言い換えてもいいわけですが、冷静に考えると、地球の大気圏内の水の量や海の水の量はトータルでは一定のハズですから、理論的にありえないのです。　地球温暖化を叫ぶ人が”北極の氷が溶けると海水の量が増加して海面上昇が起こる”と主張していた頃に、”既に海に浮かんでいる氷が溶けて水になった場合、重量は同じでも体積はかえって減少する”と指摘した人もいたのですが、実際、平均海水面の上昇が数年前の予測値のように上昇していないのは御存知の通り。　もっとも、永久凍土の融解や山岳地帯の万年雪の融雪などが生じれば、従来は大陸の上にあった水が海に流れ込むわけですから、その分は海水量が増加するため、最終的に最大で５０センチくらいの海水面の上昇になるのではないか？というのが怪しい話の予測というのも長年の読者の方にとっては御存知の通り（笑）。　話を戻すと、氷河が融解して天然のダムが産まれ、それが決壊して大規模な洪水が起きたとしても、山の頂くらいしか残らない洪水が数日続くとも思えませんし、大規模な津波が発生した場合も、ピークの水位がそれほど長く続くとも考えられません。　大規模地震や隕石や小惑星の衝突で地殻が割れるくらいの衝撃が発生して、ヒマラヤの頂に迫る規模の超大型津波が発生したとしても、そうした波（海水）が高所に数日間も留まり続けることはありえませんし、ノアの洪水の記述に大規模地震や巨大隕石の墜落を連想させる記述はありません。　雨が降って河川が氾濫して窪地に水が溜まって池や湖のようになっていくことがあっても、最終的に海へ雨水が抜けていけばそういった臨時の湖の類も消えていくとしたものですが、大気中の水のように、既に存在するものが一時的に増加することはありえないのではなかろうか？　つまり、大洪水というのは、大雨で起こったのではなく、月などの巨大天体が接近したことで異常な潮汐力が生じたと考えないと起こり得ないのではないか？ということで、何らかの原因で月が地球に接近してロッシュの限界に迫り、月の地殻が部分崩壊して内部の水が地球の引力に引かれて降り注いだのではないか？　内部の水の大半を失うことで質量が軽くなり、月は地球の引力に引かれて墜落するのを免れて現在の位置まで離れていったのではないか？ということですが、月が惑星間や銀河系を長距離移動するための人工天体だとすれば、内部の水というのはブレーキやバラストの役割をさせるためにあらかじめ仕込んであった可能性もあるわけです。　火星の水を月に詰めて、地球へ向かって月に乗って集団で移住し、内部の水を放出することで方向や速度をコントロールし、最終的に地球の引力圏内で大量に放出することで月が地球の衛星になる位置に固定したとすれば？　そう考えると、月の内部は水を蓄えていた部分の大半は空洞になっているハズですが、まだ内部には意外と大量の水が残っているのではないか？とかいった話は、1-35”月の伝説”や1-112”月の先住民”の回などで散々してきたので今回は略とします（笑）。　月が見えるのは、あくまで太陽の光が反射してのことで、新月の夜のように太陽と地球との位置関係によっては月があっても月が見えなくなるわけで、直前まで接近してくる月に気が付かなかったのではないか？　・・・　昔々、まだ夜空に月が無かった頃の話というのも、神話や童話の類では無いかもな～ということです。　ところで、ノアの箱船が実際は潜水艦というか半潜水艦で、すべてが乗り組むと出入り口はもちろん窓なども塞いで水が入ってこないように密閉したようで、考えてみれば、海水が船底から染み込んでくる心配と同時に、雨水が船内に入り込んで満水になって沈んでしまうリスクも当然あったわけです。　ノアの洪水で高い山の頂くらいしか残っていなかったといった話になっているのですが、となると、南米はペルーのクスコから山の方へさらに７０キロほど入ったところにあるマチュピチュは、海抜２５００メートルに位置するだけに、ノアの洪水のときも水面にあった場所の一つと考えられます。　マチュピチュで奇妙なのは、近くを流れるウルバンバ川の峡谷からでも６００メートル上に位置していることで、なぜそんな場所に４０万平方メートルにも及ぶ都市が建設され、斜面の畑を利用して自給自足が可能な体制になっていることではないかと思うのですが、水源というか集水システムの構造がよくわからないことでも知られています。　つまり、河川ということでは６００メートル下の渓谷を流れる川が周囲の水が集まる自然の流れということで、本来ならばウルバンバ川の辺に都市を建設して畑を作り自給自足する方が合理的な気がするわけです　・・・　現在の地形と建設された当時の地形が同じならばですが。　マチュピチュを誰がいつ頃、どのくらいの期間と人数で建設したのかとか、何の目的で何も無い山頂に大規模な都市を建設し、いつの間にか廃れたのか？といった事は、未だに謎とされていて、恐らく、今後も解明されることは無いのではないかと思われます。　一説には、大洪水の到来を察知して建設された避難都市というかシェルター都市で、大洪水とその後の混乱が終息するまでの数年、数十年を生活するのが目的だったから、水没していた地域が復興してくると、次第に生活しやすい低地へと移動が始まり、いつしか無人都市となったのではないかということです。　興味深いのは、マチュピチュの段々畑というのは、標高差を利用してさまざまな種類の植物を栽培していた痕跡があることでも知られていて、都市部分と段々畑の部分の機能を併せて考えると、一種の箱船都市の役割を果たしていた可能性もあるわけです。　古代文明の中に、天体観測に異様に傾倒し高水準の観測をしていた文明があるというのは比較的知られた話ですが、彼らは規則正しく動く星、動かない星を特定したかったのではないか？と考えると、常にない星が現れて大きくなってくると、かって月が大洪水をもたらしたような災厄が訪れると考えたのではないか？　それ故に、見慣れない帚星（彗星）の類が天空に現れて移動しはじめると”不吉”として警戒する風習だけ残ったのではないか？何らかの前例も無しに、ほとんどの地域で彗星が不吉や災厄の前兆とされている理由も、意外とそのあたりなのかもしれません。　ちなみに、マチュピチュに地下道というか地下トンネルの類があるというのは一部で知られた話で、マチュピチュに限らず、標高の高い場所にある都市と都市は地下道で行き来できていたという話に繋がっていきます。　となると、アンデス山脈の地下に大規模な地下都市が建設されていて、マチュピチュなどはそこへの入り口の一つに過ぎないのかもしれないという気がしているのですが、カッパドキアの地下都市のように、ある程度の標高がある場所の地下に避難することで、いわゆるノアの洪水から逃れようとした地域は意外と多いのかもしれません。　亜米利加のグランドキャニオンなどにしたところで、実際には極めて短期間でああいった形状になったのではないか？という気がしているのですが、月から地球へ降り注いだ”雨”の量は現在の海水の量の半分程度だったのではないか？という推定値もあり、それだけの量の水が加わったからこそ、大雨が一週間程度続いたのかもしれません。　ただし、そうだったとすれば、地球の側も無傷とは考えにくく、大規模な（大陸移動を伴うような）地殻変動が短時間の内に発生した可能性が高く、恐竜の化石も（中略）なのかもしれませんし、かなりの数の恐竜が人類が同時代に生きて一部は家畜化されていてもさほど驚かなくていいのかもしれません。　洪水の時期に関しては、2002/01に、印度西部にあるキャンベイ湾の海底に９５００年以上昔に栄えたと考えられる都市が沈んでいるのが発見されたのですが、河川の痕跡の両岸に住居跡、大浴場、城塞らしき痕跡が確認され、かなり高度な文明が成立していた　・・・　少なくとも竪穴式住居で焚き火を囲んでウホウホ言って過ごしてはいなかったと考えられる文化水準だったようです。　建築資材として使われた木材や化石化した人骨、土器の類も回収されているのですが、木片の年代測定の結果が前述した９５００年以上前ということで、伐採された切断面や加工の跡などが確認されていて、自然の悪戯でたまたま都市に見えるようになりましたというにはかなり無理がある状況のようです。　念のために書いておくと、従来、いわゆる４大文明の中でも最古とされていたメソポタミア文明でも確認されている遺跡で紀元前３０００年くらいにシュメール人によって成立したとされていますから、それより一気に５０００年以上前に後のメソポタミア文明に匹敵するか、下手をするとより高度な都市文明が成立していたことになるわけです。初出：一夢庵　怪しい話　第４シリーズ　第００９話：（2011/01/10）

2011.01.15

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石油ピーク説

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第９５９話　「石油ピーク説」　石油ピーク説というのは、”在来型石油の生産量は2006年にピークを迎えていて、2006年に記録した7000万バレルが史上最高となり、今後は7000万バレルに並ぶことはなく徐々に減少していく”とでもいった事になります。　ただし、石油系燃料という括りでみると、総生産量の増加は続くという予測が多く、国際エネルギー機関（IEA）の予測（2010/11/09）でも、2035年までに日量約9900万バレルに達する可能性が最も高いとしていますから、明日にでも石油を前提とした現在の文明が崩壊するという物騒な話にはならないようです（笑）。　整理すると、従来の原油の生産量は日量6800万～6900万バレル前後で停滞するか徐々に減少していくけれど、天然ガスの副産物として産出される”天然ガス液（NGL）”などの従来は主力でなかった液体燃料の増加が減少分を後四半世紀くらいは上回ると予測されているということです。　そもそも”国際エネルギー機関（IEA）”は1970年代の石油危機の後、先進国の大部分が参加する形で立ち上げられた組織で、世界のエネルギー事情を分析し、各国の政策に関する助言を行っているのですが、そもそも石油ビジネスには巨額の金が絡むため、素直に信じて良いのかどうかは微妙な話も多い上に、地球温暖化における二酸化炭素濃度主因説に見られるような環境保護団体などの思惑も絡み、”さて、誰を信じたものか？（笑）”。　少なくとも、ITA関係者が石油価格が下落する方向で話をしたことは珍しい事例で、現在でも、”消費国サイドで需要増加の抑制に努力しなければ石油価格は上昇する。”というのが基本的な立ち位置で、あっさり書けば、”今後、石油価格は上昇する”としているのですが、問題は、上昇では済まず”手に入らなくなる国や地域が増加する”と考える時間帯になったのかなと私には思われます。　これを書いている時点での産油量は日量で約7000万バレル程度ですが、石油に限定すれば、その産油量は2035年頃には2000万バレルを切っているのではないか？という予測が（IEAに限らず）国際的な機関や研究者の予測としてあり、それを覆して現状維持か増産に成功しようと思えば、新技術を開発して既存の技術では枯渇したことになっている油田の再開発や海底や深深度地下の油田などを発見し開発に成功するしかないようです。　一応、現在の技術では資源化が難しいものの、そこに含まれる石油成分の豊富さという点で期待されているのが、”オイルサンド（油砂）”とか”タールサンド”と呼ばれる資源ですが、こうしたいわゆる非在来型の資源は在来型の石油より環境を汚染し高くつくという意見もあるのですが、それしかなくなれば技術的なブレークスルーが起こる確率は高いですし、誰かが富を独占しようとしない限りですが、量産化されれば生産コストが下がって安価に供給できるようになっていくのは理の当然ではなかろうか？　ちなみに、タールサンドから原油を製造すると、二酸化炭素（CO2）の排出量が在来型に比べ5～15％増えるという説もあるのですが、そもそも二酸化炭素が地球温暖化の原因というのもかなり怪しい仮説ですし、それ以外の瓦斯を含めて温室効果ガスというのもどんなもんかと私的には考えています　・・・　だいたい、二酸化炭素が原因ならば、２０１０年に発生した火山の大規模噴火だけでも京都議定書以降に先進国が削減したと主張している年間排出量くらいに達しているのではあるまいか（邪推）？　また、地下に豊富な石油が眠っているとわかっていても、戦争や政治的な混乱などなどによって開発が進まず、生産量が潜在的な供給量にまったく届いていない地域もあれば、戦争をしているわけでもなく政治的な混乱が無くても、日本の尖閣諸島周辺のように、中東の大規模油田かそれ以上の規模で豊富に石油が埋蔵されていることが海外から指摘されていても、ず～っと放置して国民に更なる税負担だけ要求し続けている政府もあるわけです。　かって産油国として知られていた国の古い油田では既に枯渇したり減少が始まった油田が珍しく無くなってきていますし、中国や印度などの経済発展の速度を考えるとき、年間の産油量が維持できたとしても何らかのブレークスルーがなければ、石油価格は上昇に向かうしかないというのも、需要と供給の関係からすれば理の当然なわけで、先物取引の思惑なども絡み、今後も石油相場は乱高下しやすい展開になるというのは、もっともな話ではあるわけです。　ただし、石油ピーク説のおっかないところは石油価格の話では無く、現在の文明が石油を前提に発達してきたところにありまして、石油を代替できる資源が事実上存在しないところにあります。　つまり、石油の、自動車や発電所などの”（火力）燃料”としての役割に関しては、天然瓦斯や他の液体燃料、風力、水力、地熱などの自然エネルギーなどで代替できるとしても、石油を前提としている化学製品の類はまだまだ代替できるレベルで生産できる段階に達していないということ。　原子力発電所にしたところで、その建設には石油が不可欠ですし、その維持と解体にも石油が不可欠なことは御存知の通りで、原子力発電で生み出せるのは基本的に”熱”であり、その熱を利用して発電した”電力”でしかなく、ウランやプルトニュウムから工業原料が生産されることは（賢者の石があれば別でしょうが）現状ではありえません。　もちろん、植物や藻などから石油に類似した液体を生産したり、プラスチックなど工業原料を生産する技術も開発されてきているので絶望はしていないのですが、バイオエタノールのように、本来ならば食用に回すべき穀物まで”銭になる”という理由でエタノール生産に回して世界の穀物相場まで混乱させ大顰蹙を買った亜米利加合衆国のように、”欲に目が眩んだら何をやるかわからないのが欧米列強の基本姿勢”であることはよくよく覚えておく必要があります。　いずれにしても、石油を燃料として燃やすことは次第に許されなくなっていって、工業原料を生産する原材料と考えなければ、早晩、需要が供給を追い抜いて、そのギャップで世界経済全体が崩壊しかねないリスクがあるのは確かな話ですし、尖閣諸島沖で採掘する根性が無い日本が世界市場で石油が高騰してから慌てて掘ろうとしても間に合わない　・・・　中身が一杯に詰まっている冷蔵庫の前で餓死する間抜けを演じることになっても不思議ではないと言えます。　もっとも、深度６０００メートルから１万メートルといった深層油田の開発が技術的に可能となった場合、日本の地下には膨大な油田が存在していて石油輸出国になれる可能性があるという”石油無機起源説（非生物起源説）”に基づく推測もあります。　石油無機起源説といっても”なんですかそれは？”という人が多いとは思いますが、従来の、石油が誕生するまでの話としては、植物プランクトンなどが大量に死滅して海底に沈殿しケロジェンと呼ばれる泥炭状の地層を形成していき、それが長い年月の間にバクテリアや地熱などで熟成され石油系炭化水素に変化し、生成された石油は地下の圧力で移動し一定の地層の下に溜まっていく　・・・　とでもいった石油生成の仮説は”生物起源説”ということになります。　が、絶対不変のように信じられていた石油の生物起源説では説明できない大規模油田があちこちで発見されるようになり、にわかに従来は”と学”扱いされていた石油無機起源説の信者が増加してきているわけです　・・・　怪しい話がどちらの立ち位置を好むかは言うまでもないでしょう（笑）。　ちなみに、石油無機起源説の元祖というのは露西亜の（元素の周期表でお馴染みの）メンデレーエフが１９０７年頃に唱えた説が始まりのようですが、石油は化石燃料の一種ではなく、地球の成分が変化したものであって地球内部から地表へ湧き出してくるとでもいった考えが基本になります。　これを書いている段階で支持者が多い石油無機起源説における石油生成のシナリオは、コーネル大学のトーマス・ゴールドの唱えた仮説で、４６億年くらい前の地球が誕生していく過程で膨大な量のメタンが構成物質の一つとして取り込まれて地球内部に大量に存在し、それが地表に向かって上昇してくる過程で石油などの化石燃料に変化していく　・・・　といった話になっているようです。　もちろん、その地下から地表へ湧き出してくる間に変化する過程で、微生物などなんらかの生物の力を借りて変化が生じているのではないか？という説もありますから、そういった意味での生物の関与を石油無機起源説が否定する必要は無いのですが、従来の生物の死骸が堆積して変化するという意味での石油生物起源説とは一線を画していると言えます。　そして地球内部から湧き出してきているとすれば、プレートとプレートが接合して押し合っているような場所には湧出している可能性が高いということになり、そうなると、日本のように、北亜米利加プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートといった４つの巨大なプレートがぶつかり合っている地形はかなりその地下に有望な湧出口が期待できる　・・・　可能性があるわけです（笑）。　実際、日本近海の海底（というか深海）でメタンハイドレードが確認されているのは有名な話で、メタンハイドレードが海底プレートの動きで地殻中に封じられて変化して石油になるとすれば、もうこれはゴッグやズゴックといった深海作業モビルスーツを国策で開発して次世代産業として育成すべきだと私は考えています　・・・　石油云々を抜きにしても（深海や宇宙空間を含む）特殊な環境下の作業用ロボットの開発と生産というのは次世代産業としてかなり有望ではなかろうか？。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第９５９話：(2011/11/12)

2010.11.18

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フェーン現象

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第９４６話　「フェーン現象」　地球は温暖化しているのか？寒冷化しているのか？単に異常気象が恒常化しているだけなのか？いずれにしても、二酸化炭素濃度の上昇を主因として温暖化が進行しているという主張を私が信じていないのは御存知の通り（笑）。　ちなみに、以前、怪しい話で2-986”５０度の世界”という回をこれを書いている３年ほど前の２００７年９月に書いているのですが、その中でも触れたように２００４年夏の段階で東京都の都心の気温は４２．７度をマークしていたのですが公認されず、同じ日の公式データにおける東京都心の最高気温は３９．５度ということになっていたりもします。　つまり、現在の日本における最高気温というのは、気象庁の誇るアメダス（AMeDAS）観測システムで測定されてデジタル化されている記録における最高気温であって、実際に各地で実測した気温とはかけ離れていることが珍しくありません。　ただ、日陰で地表から１ｍ程度の高さで、一定の精度で測定可能な温度計で測定した気温が、”もし仮にそこにアメダスシステムの観測装置があったら記録されていた気温”とそれほど大きな誤差が生じるとも思えませんが、定点観測していることで時系列変化を確認できる意義なども確実にあるのは御存知の通り。　なお、アメダス観測網が整備されていく(1970年代中頃)以前には、気象庁が各地の役所や個人などに委託して観測を行っていた区内観測所などのデータもあるため、必ずしも全ての気象データのデジタル化が行われているわけではないのですが、気象庁の”観測所気象月報”などには記録が残っていますので、それこそ紙台帳であっても公式記録と考えていいようです。　というのも、1923年8月6日の徳島県撫養の区内観測所（板野郡役場）における観測記録に４２．５度という記録があり、前述した２００４年の東京都心における４２．７度という非公認記録がありえない話ではないわけです　・・・　それ以前に、実際に数万人単位で体感した人達がいたとは思いますが（笑）。　もっとも、これを書いている時点で２０１０年１０月までの日本国内の最高気温は、（アメダス観測システムが記録した）2007年8月16日15時30分現在として公認された、・　埼玉県　熊谷　40.9度　14:42・　岐阜県　多治見　40.9度　14:20となっていて、それ以前に気象庁の直営観測所（笑）で記録されていた、1933年7月25日の山形県山形市の山形測候所における４０．８度を更新し、アメダス観測システムや測候所の記録した最高気温では国内最高記録となっているのは御存知の方も多いのではないかと。　なお、区内観測所とはいっても気象庁に公式記録として残されている徳島の記録や山形の測候所の記録は、”戦前に既に４０度を越える最高気温を記録している”ことを意味しているわけで、別に地球温暖化が話題になっていなかった時代でも最高気温が４０度を越えた事が過去に実際にあったわけです。　めんどくさいのでとりあえず国内最高気温としておきますが、平成20（2007）年8月16日にたまたま埼玉県熊谷市で記録されたのは”たまたま”とは言い難いようで、熊谷の場合、内陸性気候で夏の気温は昔から高めだったそうですが、最高気温35度以上の猛暑日の記録は８月に限れば、1960年代は平均２日。1990年代に平均７日。2000年以降も順調に増加し、2006年に19日に達していたようです。　逆に言えば、世界規模の地球温暖化ならば、なぜ全国的に一律に気温が上昇していないのか？とか、１０年程でそこまで激増するほど二酸化炭素濃度が上昇したのか？というあたりも謎といえば謎ですが、猛暑は、地球温暖化だけではなく、都市の高層化、高密度化、排気熱量の増加などで気温が上昇する”（いわゆる）ヒートアイランド現象”の方が自然環境の変化より最高気温を押し上げているのではないか？という指摘があります。　とはいうものの、○月の観測史上最高を記録したとか、○月の観測史上最低を記録したというニュースに接する頻度は増加していて、温暖化というよりも地球の大気が根本的なところで大変動を起こしているのではないのか？という気がしてきている人は多いのでは無かろうか？　２０１０年の気温変動の特徴は、農産物（厳密には農林畜産物）の不作に象徴され、気になったところでは、特に１０月に入って人里に（親子連れを含む）熊が下りてきて人を襲うトラブルが過去に前例が無いようなペースで発生していて、冬眠のために熊たちが秋口に食いだめをするドングリなどの山の幸が不作であると推測するに十分な状況になってもいます。　以前から、杉の人工林が増加した結果として、一見すると山は緑で豊かそうに見えても、野生動物が食べる食物という観点からすれば日本の山野がやせ細ってきている山の砂漠化を指摘する人は珍しく無く、食糧の自給率が低下しているところに異常気象が襲来すればどうなるか？を熊たちが先に経験しているだけのような気がします　・・・　食べ物を求めて里にまで下りてきて射殺されている熊は明日の貴方の姿かもしれないということです。　私に言わせればですが、国際競争力の低い農業を切り捨てて工業製品を輸出することで外貨を稼いで豊かになったという詭弁は止めて、１人でも多く生き残る事ができる算段をすべきだと思うのですが、民主党の前原議員というか大臣を筆頭に、この異常気象の恒常化が何を意味しているか理解できていないからＧＮＰの２％にも満たないから９８％以上を稼いでいる分野の為に犠牲になれと平気で言えるんだろうなと。　なるほど、現状ではＧＮＰの２％に満たないかもしれませんが、文字通り、海外の農産物の余剰が皆無に近くなっていったときどうなるか？実際、２００６年以降の不作で小麦の生産量が国際的に低下した結果、小麦の国際価格が高止まりし、２０１０年に欧羅巴を襲った異常気象は欧羅巴の穀倉地帯に深刻なダメージを与え、国際市場で小麦の先物取引価格などが高騰しているのは御存知の通り。　別の視点では、”ＧＮＰ的にはカウントするのも馬鹿らしい規模の日本の農業が壊滅しても、工業製品をばんばん従来のように売り飛ばして儲けて食糧は海外から安価に買えばいいじゃないか！”という従来の世界の気象が安定していた時代でさえ、爆発的な人口増加や食糧消費の急速な増加の前に破綻してきているロジックを未だに主張し、数億～数十億円以上の単位で個人資産を形成している階層は、日本が危なくなれば海外へ逃げれば飢えることは無いかもしれませんが、大多数の貧乏人はそうはいかないわけです。　というか、そろそろ、工業製品をばんばん世界中に売りまくって収益を上げ対ドルで円高になり続け、亜米利加型資本主義国家に衣替えして半世紀以上経過した結果、日本が以前より住みやすく誇れる国になったか？と考え検証する時期に来ているのではないのか？生活保護の受給世帯が１９５０年代と同等か越えた地域が現在進行形で増加し、覚醒剤などの麻薬は全国に戦争直後を彷彿とさせる勢いで蔓延してきている現状を維持することはそれほど魅力があるのか？　もちろん、それは欧米諸国というか資本主義社会全体で大なり小なり生じている現象でもあり、従来は永遠の成長が続くかのように錯覚していた資本主義市場が既に資源の枯渇が現実の事になってきた上に連鎖崩壊を始めているが故に、崩壊や崩壊後を見据えた対策を講じていない国は結果的に何もかも失うことになるのではないか？という話はこれまでに怪しい話で何度かしてきたところではあります。　世界規模の天候異変の恒常化と激化も示すように、”前提としていたルールが変わった”ため、”従来のゲームの負けている分をチャラにするため、ゲームに参加している人達がゲーム盤をひっくり返す自分に有利なタイミングを計っている”時間帯に、あまりに無策で外交能力というか外交センスが欠落している政権が国政を担っている絶望感は、本来なら、若い世代がアクションを起こすのに十分な状況でもあるわけです。　なお、今回のお題にしたフェーン現象というのは、分水嶺になっているような山々を夾んで気圧の差が生じることで大気が一気に山を越えて移動するとき、山の斜面を大気が吹きのぼるときは断熱冷却のため水蒸気が雨や雪となって失われて異常乾燥し、その際潜熱で大気が加温されますが、更に山頂を越えて吹き下ろすときさらに断熱昇温が生じて異常高温になり、異常乾燥して異常高温になった大風が生じる現象とでもいったことになります。　本来は、欧羅巴のアルプスの北麓に吹きおろす乾燥した南風というか春の嵐の呼称ですが、東北地方や山陰地方などの日本海側でも類似の現象が生じることがあり、大規模な火災や各種の乾風害を起こしやすいことで知られていて、1933年の山形県山形市の最高気温40.8度、湿度26％という記録もフェーン現象によるものと考えられています。　気象学的には、アルプスの北にある低気圧に地中海から大気が流れ込む現象で、日本だと日本海側に低気圧が発生してそこへ山を越えて太平洋側の高気圧から大気が流れ込む事で発生しやすいため、基本的にそういった気圧配置になりやすい春先などに発生しやすいのですが、日本海側を台風が通過したときに太平洋側から高温な大気が流れ込むことがあれば夏場でも発生します。　ちなみに、本場のフェーンは文字通り地響きがする勢いで吹き下ろしてくる事が多いだけに、本来は速度規制の無いアウトバーンで速度制限が設けられたり、天気予報で（日本で言えば異常乾燥注意報や強風注意報などのように）フェーン予報が春先に流される一方、フェーンが吹くと一気に春が進むそうです。　いずれにしても、天気図で気圧配置をみていれば、フェーンの発生はある程度予測できるわけで、予測できれば対処も可能なだけに、”明日は環境が激変する”と予測して今日までとは違う明日への準備する人と、天気図が読めずに何も準備をしない人とでは、フェーンが吹いて環境が一気に激変したときの明暗がはっきり分かれる可能性が高いわけですが、私には山の向こう側を風が吹き上って山頂付近に達しつつあるようにしか見えないわけです。　したがって、”そんなことは無い、それはお前の勘違いや妄想の類で、今後も異常気象で世界の農産物生産が激減することはなく、石油が枯渇することも、鉱物資源が高騰することもなく、今日までと大差が無い明日がやってくるに決まっている！”という人とは立ち位置が違っているわけで、違う立ち位置の人達を説得する気はさらさらありませんので誤解の無いよう　・・・　元来、ここは”怪しい話”ですから、信じて貰わなければならない必要性は最初からありません（大笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第９４６話：(2010/10/28)

2010.11.03

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ラドン温泉

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第７８４話　「ラドン温泉」　プラテノドンの略称が2-408”ラドン”という話は、円谷特撮ファンにとっては常識の一つですが、ラドン温泉とは関係のないネタだったりします（笑）。　歴史的には、キュリー夫妻がラジウム化合物に触れた空気が放射能を持つようになることを発見した（1898）のが始まりで、1900年にドルンがラジウムからラドンが発生していることを突き止め、ラザフォード、ソディ、ラムゼーといった科学者達が希ガス元素であることを特定していますから、人類がその存在を知った時点からでも、これを書いている時点で、百年少々しか経過していないことになります。　自然界に置けるラドン（Rn：原子番号86）は、融点が－71度、沸点が－62度という揮発しやすい物質であることと、無色の気体として（なにしろ半減期がある希ガス元素ですから）短時間しか存在していない事が多いのですが、ラジウム元素から放出されることから分かるように、微量の放射線を有しています。　天然にはウラン鉱物中や鉱泉などに存在し、ラドン219（アクチノン）やラドン220（トロン）、ラドン222（ラジウムエマネーションとも）の３種の形で存在し、この中ではラドン222が半減期3.825日で最も寿命が長いこともあって、普通はラドンといえばラドン222を意味しています。　ただ、ラドンの特性として水に可溶で化学的に不活性で微量のガンマ線源ということから、いわゆるラドン温泉として放射線温浴療法に用いられた事で日本でもラドンが溶け込んだ水を利用したラドン浴健康法ブームとでもいったものが生じた事があります。　常温では瓦斯化していますから、呼吸によって体内に吸収され、その強力なイオン化作用は代謝作用を促進し、ラドン温泉に１０分程度入浴しているだけで適度な温感と伴に大量の発汗作用が起きることから、愛好者が世界中に存在しています。　医学的に実証というか客観的な証拠が得られていないものの、ラドンのような低線量の放射線は生物に発育促進をもたらすホルミシス効果を生じさせるとか、免疫力を向上させる効能があるといった研究報告があり、低線量で半減期も４日に届かないラドンの場合、放射線温浴療法の一つとされながらも、民間で気軽に温浴法としてヘルスセンターなどでも広がったようです。　ちなみに、神経性疾患、運動器疾患、循環器疾患、呼吸器疾患、体表疾患などに効果があるというのがラドン医学者の主張なのですが、そうなるとラドン浴の効能というのは、いわゆる温泉の効能とされるものとほとんど重複するようですし、ラドンが発見された後になってラドンを含む温泉だったことが判明した事例も珍しくありません。　実際、ラドンがどうしたという以前から、天然の放射能泉として鳥取県の三朝温泉、島根県の池田温泉などは温泉街として発展していたのですが、国内で最もラドンを多く含んでいるとされている山梨県の増富温泉も、別にラドンの効能が発見されたから温泉街が形成されたというわけではありません。　どちらかと言えば、ラドンの効能が話題になったことで、温泉法で規定する必要が生じたところがあり、温泉法では水１リットル中に放射能強度１１１ベクレル以上のラドンを含有いるものが放射能泉と規定されたことで、それを目安にして人工的にラドン浴施設があちこちに作られ、ラドン温泉を名乗ったというのが歴史的な経緯になるようです。　この辺り、三朝温泉などの天然ものはラドン泉と呼び、人工的に温泉法の規定を満たすように水を加工している場合はラドン温泉と呼び分けることで、営業的には住み分けているようですが、古くからの温泉地はラドンだけが売りではなく、他のミネラルも温泉水に含む事が多いので同じモノとは言い難いところがあります。　逆に言えば、ラジウムを含んだブラックシリカ鉱石やアドガシュタイン鉱石などを浴槽に使ったり、ラドン発生装置で発生させたラドンを水に溶け込ませて、ヘルスランドなどでお手軽にラドン温泉を名乗った施設の中には、ブームが去って廃業したり廃墟となったものもあり、既に明暗がラドン温泉の中でも分かれているようです。　興味深いのは、源泉にラドンを含んでいない温泉地が、ラドン浴がブームだということで、ラドン温泉として施設を改造したり新築した事例で、ブームが去ってみれば、そうした設備投資の借金だけが残った事例も珍しく無かったようで、従来の温泉施設だけで営業していた方が負債を抱えないで済んだわけで、結果的に、ラドン温泉を売りにして温泉地として巻き返そうとして失敗した話もあるようです。　　ラドン温泉が話題になっていたのは昭和５０年代初旬くらいまでの話で、何しろ、人工的にラドン温泉が造れるわけですから、あちこちにラドン温泉が乱立すれば希少価値が薄れる上に過当競争にもなったようで、昭和５０年代も中頃になると急速に下火になっていったようです。　そのお手軽さといいましょうか、網袋の中に鉱石を入れて湯船に沈めておくだけでもラジウム温泉と名乗れるだけの量のラドンがお湯に溶け込むくらいですから、それこそ御家庭でも日常的に楽しめるのがラドン浴ということで、ラドンしか含有していない温泉地が廃れたのもそのあたりが原因のような気がしないでもありません。　というか、一般的な温泉でも、無色透明だとありがたみが今ひとつな気がしてくるのが人情のようで、乳白色とか褐色とかいった色つきのお湯の方が”温泉に入った！”という満足感を伴いやすく、無色透明の場合は、普通のお湯よりも粘性が高い方がありがたみを感じるようで、無色透明で普通のお湯よりサラサラしているというのは、よほど効能が無い限り苦戦する事が多いようです。　もっとも、昔のように会社の慰安旅行などで団体客が温泉地に繰り出すという光景は激減しているそうで、比較的スペースにゆとりがある温泉施設の場合、介護事業などに乗り出して、温泉入浴が可能な介護施設として盛り返した事例も増加してきているようで、急速な高齢化と世代別人口構成の変化を考えるとき、妥当な選択のような気がします。　従来は、道路建設などの公共工事に頼っていた土木業者が介護事業や農業などに進出して経営を多角化させている事例の増加も、高齢者が増加すれば、高速道路や空港を利用する人よりも介護施設を利用する人の方が増加するのが道理ですから、合理性のある選択だと思うのですが、温泉街などの既存の施設との連携も増加していくというか、連携した方が地場産業として発展しやすい気がしないでもありません。　結果的に、温泉が湧いていれば、特に何もしなくても慰安旅行や忘年会などで団体客が殺到して濡れ手に粟の大儲けという時代を経験した人が、その安易な成功体験を忘れて、時代の変化にいかにして合わせて流れに乗っていくかが課題になっている時代ということで、時代のニーズを読むことに失敗すれば、数百年の歴史と伝統があっても寂れていくのは必至のような気がします。　まあ、現役時代から別荘というか休日に使うセカンドハウスに温泉水が蛇口を捻るだけで安価に利用でき、介護施設や医療施設が充実しているようならば、定年退職後に本格的に移住ということもありうる御時世だけに、地元行政組織などとも連携して、どこが早くそうしたニーズを取り込むか？が栄枯盛衰の分かれ目になるだろうなと。　このあたり、田舎ほど排他主義な人が多いだけに、地域経済の活性化が必要と言いながら、年寄りの持っている金は欲しいが年寄りは入らないとかいった事も言ったりするわけですが、少子高齢化が不可避な日本では、温泉が利用できる住居を安価に提供して人口を増加させ、その人口に見合った医療や介護施設を充実させ若年層の雇用を確保し、葬儀から墓地まで面倒を見るのと引き替えに遺産を市町村が接収するといった、新しい産業を創生した地域が経済的に発展するのではあるまいか？初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第７８４話：(2010/04/22)

2010.04.28

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安政大地震

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第７７６話　「安政大地震」　人と話をするときには、大なり小なり相手の知的水準を推察しながら話す人の方が多く、相手が誰であっても自分の言いたいことを言いたいように言う傾向がある人というのはどこか精神を病んでいる事が多いようです　・・・　わが身を省みても首肯できる説です（笑）。　以前は、儒教の影響も少なからずあったのですが、年輩者を尊敬するとしたのも、年輩者の方が知識や経験が豊富で若輩者は教わる事が多かったからと考えられるのですが、大前提として社会の変化がゆっくりしていたことがあります。　つまり、１０年前も１００年前も現在と大差のない生活をしている社会では、次々と新しい商品やサービスが世に出てこないわけですから、新しい知識を学習し続ける必要性が低く、何度繰り返したか？という経験の差が知識や智恵の差に直結していたとも言えるわけです。　もっとも、戦後だけに限定しても日本の社会の変化はかなり早い部類で、わかりやすいところでは、ＪＲがまだ国鉄で紙の切符しか無かった時代しか知らない人がいるとすれば、2010年の首都圏で鉄道や地下鉄を利用しようとすると新しく覚えなければならない事が結構あるのは御存知の通り。　そして智恵や知識が、社会生活を前提に成立するものが多いとすると、高齢者の智恵や知識が役に立たなくなるまでの期間が次第に短くなってきていると言えます。　しかしながら、過去の経験が現在にも生かせるジャンルも少なからず存在するのも事実ですし、大災害や戦争などで社会インフラが崩壊してしまえば、たちまち江戸時代より不便な社会環境に放り込まれてしまう事は、阪神大震災などの大規模地震などの大規模災害を経験した人には説明に必要が無いと思います。　そうえば、以前から気になっていたのが、昔から日本人が怖れていたものの代表として、”地震、雷、火事、オヤジ”の４つがあるのですが、非常事態関連の話をしているときに、”でも、戦後はオヤジが弱くなったから、地震、雷と火事の３つになりましたね。”と言う人が多いこと。　つまり、”オヤジ＝親父”と思い込んでいる人が多いので、話がかみ合っていなかったわけですが、だからといっていちいち”オヤジというのは、昔の大風や嵐の名称で、現代で言えば台風に相当するんです”と解説するわけにもいかず、口の中でもごもご言って話を続ける事が多かったりします。　それはともかく、首都圏というか東京の地で発生した巨大地震といえば、大正１２年の関東大震災（1923/09/01）と江戸時代の安政大地震が横綱級なのですが、安政年間（1854～1860）は地震が頻発していて、安政１（1854/07）年６月の奈良～四日市の地震、同年11月４日の東海地震、翌５日の南海地震と続き、安政２（1855/11/11）年10月２日に江戸地震が発生しています。　その後も、安政５（1858/04）年２月の飛騨北部地震など多少とも被害が記録されている地震が大小２０程記録に残っているのですが、安政の大地震としては、その内の東海・南海・江戸地震の３つが該当し、東海・南海地震はマグニチュード３．４程度で津波も伴ったことで二次災害も大きくなったようです。　あまりに人的な被害が大きく、社会インフラが崩壊した地域も多かったためか、地方都市でも詳細な記録が残っている事が多い江戸時代の末期にも関わらず記録に欠落や不備が多く、地震関連の死者の数などでさえ推定になっているのですが、南海地震の死者は2000～3000人程度、東海地震は津波の被害も入れると死者が１万人を越えていたという説もあります。　荒川河口付近が震源となった江戸地震の場合は、南海、東海の地震ほどの津波被害は出なかったものの、元来地盤が脆弱ですから地域によって明暗が分かれ、本震と８０回を越える余震で建物が崩壊して圧死した人が多かっただけでなく、地震の二次災害として住宅密集地で３０ヶ所以上から出火したことでも被害が拡大したようで、壊焼家屋１万4346戸、市中の死者約7000人という記録が残っています。　厳密には、倒壊家屋が約１万４千戸で、地震の後の火災で延焼した家屋が約１０万戸という記録があり、地震と火事で江戸の街にあった家屋敷の１／３程度が失われたようです。　が、3-772”江戸っ子学”で触れたように、明暦の大火の教訓もあって、材木問屋を類焼の恐れが少ない深川へ集団で移転させ、住宅用木材の貯木場として木場を整備しており、火災などで城下の住宅密集地が失われても速やかに復興できる社会体制が完成していたこともあってか、翌年の安政３年には地震前の江戸の街の繁盛をおおよそ取り戻すことに成功したようです。　単純に比較するのは難しいのですが、安政の江戸地震の頃の江戸の人口は約１１０万人で、関東大震災の時のほぼ同じエリアに居住していた人口が約２００万人といった規模になっていますから、あれこれ勘案して江戸の地域に限定して考えると、安政の江戸地震では関東大震災の半分くらいの被害が発生していたのではないかと思われます。　興味深いのは、安政の江戸地震と関東大震災で都心で被害が出た場所がほぼ重なっていて、相対的に山手は被害が少なく、下町方面（上野、浅草、本所、深川、神田の高台より下、日本橋など）の被害が大きくなっていることで、これは３度目の首都圏大地震が発生したときにも踏襲される可能性が高いような気がします。　ただ、平野にささやかな木造住宅が建っていただけの安政江戸地震の頃はもとより、関東大震災の頃と比較しても、江戸の街に該当するエリアの利用は上にも下にも高密度化しており、今となっては、実際に大地震が到来してみないとどういった被害が生じるのかわからないというのが正直なところではないかと思われます。　なるほど、一軒一軒の家や、一棟一棟のビルに関してはコンピューターなどを駆使して強度計算を行ったり、各種のシミュレーションを行ったりする時代になっているわけですが、隣のビルが倒れてくるとか、地上の建物が地下のトンネル部分にめり込んでくるとか、地震には耐えたけれどその後の水害で倒壊したとかいった事が起こるか起こらないかは（現時点では）誰も知らないのではないかと。　かくして、関東大震災から後、大規模な地震被害を経験する事が無いまま旧・江戸の市街地では１００年近くが経過し、軟弱地盤で定評のある沿岸部に高層ビルやタワー型マンションが林立し、地下鉄と地下鉄が最接近している場所ではトンネルの下端とトンネルの上端の間隔が３０センチに満たないという話もある際どい開発が進んでいるわけです。　まあ、そう難しく考えなくても、かっての江戸の為政者達のように、”どのみち壊滅的な被害は防げないのだから、速やかに復興できるように資材や技術者などを確保して備えておく”方が現実的な気がしますし、そういった地域に住むのなら過去の歴史は知っておいた方がいいような気が私はしています。　では、ぐらっと大揺れがなければ、第７７７話では別の話をします（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第７７６話：(2010/04/14)

2010.04.19

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地名と災害

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第７６６話　「地名と災害」　地名から連想する怪異とでもいった話は、”洗足”や”千足”というのは、天井から大きな足が突き出されてくる家があり、家人はその足を綺麗に洗って拭うのが日課になっていたところから付いたという話などは典型かなと。　或いは、2-496”池袋の女”のように、江戸時代に池袋村と呼ばれていた頃の話として、池袋村から女性を女中などに雇うとポルスターガイスト現象のような事が起こるとかいった話もあります。　まあ、それはそれとして興味深いのですが、今回は、もう少し実用的な、地名から類推することが可能な災害に関して書いていこうかと考えています　・・・　どこへ漂着するかは例によって定かではありませんが（笑）。　地名と災害ということで比較的分かりやすいのが、洪水関連の被害と、火山関連の被害ですが、日本の場合、洪水関係が地名の由来になっている地域が多かったりします。　火山関連というのは、例えば、首都圏だと富士見台や駿河台といった”台”が付いている地名で、これは富士山がかって噴火したときの火山灰が体積して台地状になった地域に多いようです。　関東平野（面積約1万7千平方キロメートルで日本最大）に関して言えば、基本的に堆積平野ですから、東京２３区内において、天然の山というか丘陵は港区の愛宕山（標高25.7m）くらいのもので、ある意味で、地下水の上に浮かぶ都市と言えます。　そこに、富士山、箱根山、浅間山、赤城山、男体山、那須岳などが噴火して噴出した火山灰が降り積もり、台地や丘陵を形成してきたというのが大雑把な話なのですが、それ故に、災害による変動が日常という地域でもあるわけです。　その観点で整理しておくと、・台地：武蔵野台地、下末吉台地、相模野台地、下総台地、常陸台地、那須野が原・湿地：渡良瀬遊水地、見沼田んぼ、東京湾の干潟・湖沼：霞ヶ浦、北浦、印旛沼、手賀沼、牛久沼、谷中湖　といった地域は、地名がどうしたこうしたという以前に過去に、洪水や火山噴火などの影響を受けた事がある地域と言えます　・・・　まあ、○万年以前という地域もありますが（笑）。　ちなみに、東京湾は江戸湾だった頃から盛んに埋め立てられていて、いわゆる”零メートル地帯”と呼ばれる沿岸部の居住地域が水害に晒されてきた歴史があるのですが、それ故に、水害対策が進んでいて、どこに被害が出やすいかも知られている利点があります。　逆に、現在の沿岸部で不確定要素となっているのは、乱立という表現が似合う高層タワー型マンションで、関東大震災クラスの地震が発生した場合にどういった影響が出るのかは未知数で、これまた地名とは関係の無いリスクを抱えていると言えます。　例えば、これまでの人類の歴史の中で、実質的に”海の中の浮島”に高層ビルを建てて人が居住した時間も場所も極めて限られていて、設計通りに建てられているかどうかを含めて、”劣化”速度の予測と現実にかなり差があるのではないか？ということが考えられます。　もちろん、これまでにも触れてきた、高層ビルの高層階に居住している人の、死産や流産率、あるいは鬱病などの発生率が高層階ほど高くなる傾向があるといったリスクもあるのです。　なにしろ、東京タワーの大展望台とどっこいどっこいの高さで寝起きしている人達が出てきたのが、高層タワー型マンション時代の特徴ですから、洪水、火山の噴火に風の被害というか風害というのを考慮すべき時代になってきているのかもしれません。　が、まあ、私自身が住んでも居ない高層タワー型マンションの心配なんぞはどうでもいいといえばいいことで（笑）、地名に話を戻しましょう。　一番分かりやすいのが”谷”が付いている地名で、東京なら、四谷や渋谷が思い浮かびますが、映画”ゴジラＶＳメガギラス”で渋谷の街が水没しているシーンがあるのも、実際に排水が追いつかなくなるとああいった光景が出現するからだったりします　・・・　メガギラスは出ないとしても。　つまり、平野なのに”谷”という地名が付いているということは、周囲よりも低くなっていて、排水能力が低いというか水が出ていくルートが限定されていて水が溜まりやすい地形を意味している事が多いということで、ゲリラ豪雨が多発している現状から考えて洒落にならない事態を想定しておくべきでしょう。　当然、世田谷も”谷”の仲間で、田圃の田に谷ですから、これはもう湿潤な地域であったことは疑う必要も無く、地下を含めて鉄道が南北に走っていないのは、完成後を含めて地下水の問題と無縁ではないと思われます　・・・　太平洋戦争当時に、Ｂ２９が投下した爆弾の不発弾が埋まりすぎている地域に地下鉄が延びていないという説もありますが。　少なくとも、世田谷区の２００８年の豪雨では、池尻、三軒茶屋、用賀などで浸水被害が出ていますから、かっての水害の名所だった江東区などが長期的に水害対策を行ってきているのに対して、この数百年程度の間は大した被害が出ていないので対策が遅れている地域の方が、行政も住民も慣れていないだけに、リスキーかもしれません。　関東平野というのが基本的に、地下水の上に浮かんでいる浮島のようなものと考えるとき、そこで更に、川が流れていたり、湖沼が形成されているとなると、”地盤改良をした”といっても、しないよりはマシという程度の気休めのような気が私はしますし、長期的には地盤沈下のリスクが高いのではないかと考えられます。　となると、”沼”が地名に付いていたり、”○川”といった地名の場合、過去にその名称の湖沼が存在して埋め立てた地域とか、その河川がよく氾濫した地域というのが地名の由来という可能性が出てくるわけで、土地を購入する場合、地名の由来を少し調べるのは無駄ではないと思われます。　もっとも、昔とは違って、３階以上の高さの建物も多くなっているので、津波などを含めて、いざ”水が出た！”となれば、そういった建物に緊急避難する事が可能になるように法制化しておけば、命だけは助かるでしょうし、さらに安全な場所へ２次避難するための集合場所として、有効になってきています　・・・　まあ、実際に被害が出て人が死ぬまで法制化は進まないかもしれませんが。　河川に由来ということでは、新宿区の”落合”も河川に由来し、川と川が合流する地点だから”落ち合い”と呼ばれるようになった地域が多いようで、新宿区の落合の場合、井草川と神田上水（それ以前に別の名称の川が流れていたとも）が合流するところから来ているとされています。　他には、川の堆積物が溜まってできた岸や砂浜などを”曽根”と呼ぶことから、大曽根、中曽根なども、いささかリスキーな地名となるのですが、水運など交通の要衝になる事が多かった関係で昔から開けている地域が珍しくありませんので、被害の出方も分かりやすい地域が多いようです。　水害が予想される地名としては、阿久津や圷（あくつ）が、湿地帯で悪い土地から来ているという説があり、そういった地域を開発して”新田”とか”窪田（や久保田）”呼ばれるようになった地域もあるようですが、頓知問答のようになるのが”鶴見”で、湿地や窪地で餌を補食する鶴がよく見られたところから来ているとか、田畑の用水路がツルミと呼ばれていたという説があります。　意外なのが、湧水池の類で、周囲に河川などが無くても、浮気（ふけ；水気が浮いている）、布気、布計、婦気、・・・、深、更などは湿地帯か湿地帯だった可能性があるようです。　まあ、水害は覚悟の上の東京湾沿岸の場合、足立区の”保木間（ほきま）”のように、木の柵で土の流出を食い止めながら干拓した技法が地名になったりしていますが、最近は江戸時代の古地図も入手しやすくなったので、かって海だった地域は分かりやすくなっています。　ただ、頓知問答のような地名は沿岸部でも存在し、川が河口付近で二股に分かれている場所を”俣（また）”と呼ぶのですが、映画でおなじみ、葛飾の柴又は、嶋俣（しままた）が転じたとされ、三角州のような地形が原形だったと考えられます。　となると、横浜市の二俣川は、”俣”＋”川”ですし、水俣や三俣といった地名も、その由来は似たような話になっていくと考えられます　・・・　ま、絶対にそうだったから全ての同じか類似した地名の場所がリスキーとは、もちろん言いませんが。　あれこれ書いている内に長くなってまいりましたので、続きはまたの機会に　・・・　例によって”忘れずに覚えていれば”ですが、ここのところ惚けが進んでますからなんとも（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　大７６６話：(2010/04/01)

2010.04.07

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地磁気の異常

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１９話「地磁気の異常」　長野県伊那市の分杭峠が日本のパワースポットの中でも特殊な気場で０磁場も形成している原因として、南北に走るフォッサマグナ（の中の糸魚川～静岡構造線）と東西に走る中央構造線が交錯していて地殻に巨大なストレスが恒常的にかかっているからではないか？という話は、これまでに怪しい話で何度かしてきたのですが、今回はもう少し物騒な話になります。　というのも、”０磁場の近辺では方位磁石が役に立たなくなる”という話を以前にもしましたが、ここのところ房総半島で方位磁石の誤差が拡大（中には４５度前後偏移）している場所が、特に２００７年末頃から増加中だそうで、これを書いている時点で、犬吠埼の界隈は洒落にならない状況になってきているようです。　もっとも、元来、相模トラフ（日本海溝と伊豆・小笠原海溝の接するところから相模湾にかけての海底の窪みで、フィリピン海プレートと北米プレートの境界と考えられている）の影響か、房総半島の南端で地磁気に異常が生じるのは珍しい話で無いといえば無いのですが、今回の異常は時間の経過とともに影響が出ている範囲が拡大していて、なかなか終息に向かっていないことと、スマトラ島沖地震や四川省大震災のように、亜細亜の地殻が全体に大きく動き始めている物証が揃ってきていることで、富士山噴火を含む、太平洋側で巨大群発地震が発生しかねない状況ではないかという推論が成立しやすくなってきているわけです。　また、伊豆諸島というか富士火山帯の火山活動が次第に富士山を目指しているかのように１９８０年代くらいから次第に北上してきていますし、富士山そのものの沈降が２００７年から顕著になっている関係か、観測態勢を強化している研究機関や学術機関などが多くなってきていることは比較的有名な話だったりします。　結局の所、日本列島というのは、折りやすいミシン目の入った巨大なクラッカーというかクッキーのようなもので、クラッカーのミシン目に相当する部分が構造線と呼ばれているわけですが、なんらかの外力が加われば、ミシン目の周辺が折れやすいのはクラッカーも地殻も大差が無い現象だったりします。　クラッカーを折るときに加わる力が人力というか人の手の力だとすれば、地殻を折るときに加わる力は大陸（プレート）を移動させている地下のマントル対流の動きになるわけですが、厳密には、古代のパンゲア大陸が地球が膨張するに従って割れていった現象の続きをやっているだけだったりします。　このあたり、本来は固体のマントルですが、液体のような対流現象を起こしていると考えられているわけですから、高温の物質が内部（地球の中心）から外部（地表へ）向けて上昇していく流れと、冷えて外部から内部へ沈み込む流れが同時に発生して循環していると推測されていることになります。　ま、この辺りのことは、多少古い学説をベースにしているのですが、以前から推奨している映画の”日本沈没（1973）”で劇中に登場する解説映画が学校の授業より分かりやすいかもしれません（笑）。　あるいは、振り返って考えてみれば、1-45の”地の龍”の回で、一番エネルギー変化の影響を受けやすい気体である大気に影響が出ているときは、その下の液体である海の流れなどに影響が出ていて、液体の海の流れに影響が出ているときは個体の地殻に動きに影響が出ているという話はしていますから、ここにきて先祖返りをして再度解説していることになるのかもしれません（大笑）。　実際、ここのところ、スーパーコンピュータや衛星からの情報なども利用していて以前よりは格段に精度が向上しているハズの気象庁などの天気予報がかえって当たらなくなっている（以前からそれほど当たっていなかったと言われればそれまでですが）原因に、過去の半世紀近い気象観測データとは異なるパターンが増加しているからではないか？という仮説を怪しい話では数年前から提唱しているのですが、竜巻やダウンバーストの発生件数の増加などを含めて、地球温暖化などでは説明が付かない何かが起こってきているか、近日中に発生する確率が高いのではありますまいか？　ま、これ以上は推論に推論を重ねることになりますから、少し視点を変えると、以前、3-602”夏の大三角”の回で、星に頼らなくて良いようにコンパスを持ち歩くように心がけていると書いたら、”話のオチとしては今ひとつ！”と某氏に言われたのですが、つき合いが古い連中は”まだ、持ち歩いていたんですね～”と反応が分かれました（笑）。　前職の、野外調査がメインの仕事だった頃、地図とコンパスは必需品でしたし、それをよいことに米軍にも採用されたことがあるレザンチックコンパスまで購入した前科がある私ですから、リュックサックにコンパスと雨合羽は必ず入れてあります（笑）。　もちろん、単純に方位や自分の位置を知るのが目的ならば、最近は小型軽量のＧＰＳ機器がずいぶんと安価になり、定価でも１万円台で購入できる御時世ですから、コンパスは過去の遺物の類になっているのですが、手軽に安価な装置で地磁気などの異常も感知できるというあたりで、まだ利用価値があるわけです。　もっとも、植生や天測などでおおよその方角は見当が付きますし、太陽が出ている時間帯だと時計の短針と長針を使って方角は特定できますから、日本の野外で方位磁石を使うチャンスというのは実はほとんど無かったりします　・・・　特に詳細な地図が手元にある場合は（笑）。＊　腕時計は昔ながらの長針と短針があるダイバーウオッチタイプを長らく愛用しております　・・・　デジタル式の腕時計は、リュックサックにくくりつけている一昔前のプロトレックくらいです。　ちなみに、都内を移動する場合は、方位磁石やＧＰＳよりも、ランドマークになる建物や公園、鉄道の線路などを頼りに地形を覚えた方が現実的ですが、１万分の１くらいの縮尺で薄い地図本をバックの中などに常備しておいた方がよろしいかと　・・・　そのものズバリの”震災時帰宅支援マップ”の類も幾つか出ているのは御存知の通り。　ま、怪奇現象が発生しやすい場所は地磁気も乱れていることが多いという説がありますし、昔から方位盤は風水師の必須アイテムですから、磁場と気場の関連性というか、それらの法則性は、ある種の職業の人達にとっては常識なのかもしれません。　ちょろりと書いておくと、都内の東京都が管理している公園などが、緊急時に遺体の埋設場所というか保管場所として利用できるように２００７年くらいから法整備が進んでいることや、都知事が北京オリンピックが開催されてからの間隔を考えても現実味が薄い東京オリンピック誘致にあれほど熱心に取り組んで、用地確保や都内の詳細な立体地図の類を造った理由は、東京マラソンがそうであるように、オリンピック誘致という表の理由だけではなかったからではないかという噂が流れていたりします。　では、裏の理由は何のためだったのか？というと、鳥インフルエンザなどの新型で致死率の高いインフルエンザがパンデミックスを起こした場合に備えるためという説や、太平洋沿岸で連続して巨大地震が発生した場合に備えるためという説などがあるのですが、今のところ、いずれの説も噂というか都市伝説の域を出ていません。　ただ、どうも、第二次関東大震災や東海地震、南海沖地震の類が単発で起こるのではなく、極めて短い間隔で連鎖発生する最悪の事態を想定しないといけないのではないかという状況証拠は徐々に揃いつつあります　・・・　ま、地学的な極めて短い間隔というのは、何秒とか何分どころか、何ヶ月や何年とかでもなく何百年という間隔になってしまうことも珍しくありませんが（笑）。　そんなわけで、とりあえずは、１００円ショップで方位磁石を幾つか買ってきて気長に定点観測をしていると、意外と大規模地震の予知に繋がるんじゃないかな～というあたりで今回はお終い。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１９話：(2009/10/12)

2009.10.17

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遺跡の石材

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１８話　「遺跡の石材」　異なる材質の石を隣接させるだけでも、石の性質というか相性によっては、そこに電界や磁界が発生する事があるようですし、隣接させた状態で圧力をかけると圧電気が発生します。　石などに圧力をかけたときに発生する圧電気をピエゾ電気と呼ぶこともあるのですが、ある種の結晶板に特定の方向から圧力を加えるた場合、決まった方向に誘電分極を起こして両面に正負の電荷が現れる現象ということになります　・・・　ま、ライターやガス器具の着火に用いられている、パチッと小さな火花が散る圧電セラミックスなどを加圧したときの火花放電現を思い起こしてもらった程度で十分ですが（笑）。　あるいは、電波時計の普及で精度の競争がほぼ無意味になったのですが、水晶板などを利用した圧電素子の開発の成功は、時計の精度の向上に水晶振動が利用される端緒となり、それまでの機械式の時計とは精度の面で一線を画すようになったのは御存知の通り。　ちなみに、圧電気の電気量は加えられる圧力の強さに比例していて、かけられる力が大きいほど発生する電気量も多くなり、圧力の代りに張力を加えると両面に圧力を加えたときとは反対符号の電荷が現れる事が知られています　・・・　ま、ゆとり～君世代でも学校の授業で習った人も多いとは思いますが。　ということは、そうした圧電気を発生しやすい、あるいは帯電しやすい素材を組み合わせた場合、そうした仕掛けの規模が大きくなればなるほどエネルギーの総量は大きくなるのではないか？と私などは思うのですが、そうなると、巨石文明や石や煉瓦などを積み重ねた巨大建造物というのは単純に石が積んであるだけではないのかもしれません。　このあたり、ピラミッドもかっては表面が大理石などの飾り石で飾られて太陽光を反射してキラキラと輝いていたという話があるのですが、その飾り石がどうなったかというと、近隣住民達に剥がされてカイロなどの家の建材に化けているそうで、近くに石材を求めたのか、石材の入手が容易な場所の町が拡張されていったのかは微妙な気がしないでもありません。　まあ、人力くらいしかあてにできない時代に、砂漠の多いエジプトで延々と何十～百数十キロも先の石切場から家の建設に使うサイズの石材を運ぶよりも、近くにあるピラミッドの外壁を剥がして使いたがったのもわからないでもありません　・・・　ピラミッドの所有権者が定かでなくなっている時代だと特に。　ところで、キャップストーンと呼ばれるピラミッドの頂上の飾り石　・・・　クリスマスツリーの頂上の星のようなもの　・・・　は、かっては存在したことがわかっているのですが、現在は消息不明で、正確な大きさや形状も不明だったりします。　つまり、ピラミッドが四角錐ではなく、その頂上から放電しやすいように何らかの工夫がされていたと妄想することが許されるだけの余地があるということになるかなと（笑）。　ちなみに、南米のピラミッドの場合、頂点で人を神（というか太陽）に捧げる儀式が行われる一種の祭壇として使われることもあったようですが、頂点に一定のスペースが設けられている構造が多く、考え方によっては、本来そこにあった何かが取り去られた結果としてそこに一定のスペースが生じている可能性も捨てきれないのではないかと。　なお、南米のピラミッドなどで、人が上り下りするには段差が狭くて急な階段が設けられている事があるのですが、一説には、頂上で人を殺したり、或いは生け贄を生きたままで突き飛ばして下へ落とすときに途中で引っかかるのを防止するため　・・・　下まで転げ落ちやすいように、下まで転げ落ちたときには確実に死んでいるように設計されたという説がありますので、なぜにピラミッドをあれだけ大きなサイズで建設しなければならなかったのかという根本的な事は”よくわかっていない”というのが現状ではあります。　日本の場合、樹木の生育が早いこともあって、石材よりも竹や木材が住宅の材料として重宝される傾向があり、（巨）石を使った建造物というのは数が限られているのですが、幾つかの山は人工ピラミッドという説がありますし、城の石垣に見られるように、木造建築の土台に一定量の石を使う工夫などは、一種の巨石文明の名残なのかもしれません。　もっとも、日本の人工ピラミッドの場合、自然の山をピラミッド状に成形してから、その外側に石を敷いたりして加工したものや、山の頂上に小さなピラミッド状の祭壇程度の石組みの構造物が残されている事があり、それこそ気場や地脈などの自然界のエネルギーの流れとも密接に関係して造営されているようです。　残念ながら、日本の場合は、人工ピラミッドではないかと考えられている山や遺跡が存在するほとんどの地域で故事来歴が不明となっている上に、気温と降水に恵まれて樹木の生育が旺盛な地域が多いだけに、石造りの構造物もやがて森に呑まれ土に埋もれて忘れ去られていったようです。　忘れ去られた巨石文明の遺構といえば、ミクロネシアのポンペイ島の南の浅瀬に築かれたナンマドール海上遺跡群も巨石建造物というか、カヌー程度で運べたとは思えない１０トンを越えるものもある六角柱状玄武岩で造られた建物というか目的不明の遺跡で、その構造や材質などから考えて、気場の上に建設されている可能性があります。　近くの島に住む人達がカイロの住人達のように、その遺跡から石材を調達して自分たちの家の材料にしていないどころか、外から来た人にナンマドールの事を話しただけでも禍が降りかかると信じている人が未だに少なからずいるそうです。　その背景には、ノンマドールが王様の墓だからという説もあるのですが、何しろ、調査をしに入った研究隊や観光開発などを目論んだ業者などはもちろん、彼らに協力した現地の人たちまでバタバタ死んでいる実績が真相究明を阻んでいるようで、日本風に言えば”何かはよくわからないけれど、とにかく祟る”場所として認識されているのかもしれません。　ただ、沖縄などで話題になった海底遺跡がかっては海面上にあった　・・・　平均海水面が今よりも十数メートル程度低かった時代があったとするならば、ナンマドールの遺跡も海面下にもっと何か遺構があるのかもしれませんし、石材も陸路で運ばれた可能性を考えていいのかもしれません。　本来、その近辺に無い圧電気を生じやすかったり帯電しやすい性質を持つ石材を大量に集め、四角錐など一定の形状の構造物を造ることで、人工的に活断層というか気場を造り、大地のエネルギーを湧出させていたのではなかろうか？　もっとも、そうした遺跡の多くが遺跡と化しているということは、何らかの理由で地下を流れるエネルギーの流れが変わってしまい、地下水の流れが変わると井戸が枯れる事があるように、エネルギーの湧出が枯れてしまったからではないかと考えるとき、そうした変動に対応するだけのノウハウを既にその当時の人類は持ち合わせていなかった　・・・　あるいは巨石文明を築いた神に相当する連中が既にいなくなっていたと考えると辻褄が合ってくるのではなかろうか？　では、神々が立ち去った後に何が起こったのか？とつらつら考えると、地磁気の逆転現象とそれに伴うポールシフト（極移動）が第１候補で、そうした現象が発生しやすい周期律を探すために、古代文明の中に暦の作製と天体観測に異様な熱意を捧げている文明が多いのではなかろうか　・・・　というあたりで、今回はお終い（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１８話：(2009/10/10)

2009.10.16

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０磁場

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１７話　「０磁場」　気場の話をしていて、”気場＝０磁場、ということですか？”という話になったのですが、０磁場は気場に含まれる事になり、気場が必ずしも０磁場というわけではありません。　ちなみに、０磁場というのは、Ｎ極でもＳ極でもどちらでもない磁気特性を示す場所とでもいったことになるのですが、方位磁石が機能しなくなる事で知られています。　つまり、本来は発生しているハズの地磁気が、逆の特性を持つエネルギーが至近で向き合うことで相殺されて、一見するとその場のエネルギーが０になっているように見えるのが０磁場と呼ばれる現象ということで、文芸部の部室というかＳＯＳ団の溜まり場なども一種の０磁場が発生している気場ということになります。　この方位磁石が機能しなくなる　・・・　ぐるぐる回ったり、いつまで経っても揺らぎが収まらない　・・・　現象というと、物質化が発生するレベルの心霊現象が発生する場所でも見られる事がある物理現象として知られているのですが、正反対の２つの磁場が発生している場所では”気”が発生しやすい一種のパワースポットになる事が分かっていますから、そうした０磁場で発生しているエネルギーが心霊現象における物質化に何らかの影響を与えているのかもしれません。　中国の蓮花山に匹敵するとされる日本の分杭峠の０磁場ですが、この２つの地点は地下の構造に特徴があり、蓮花山は大陸の大きな断層の上に位置していてプレートの移動などの地殻変動によって生じるエネルギーが恒常的に放出されているようです。　分杭峠の方は、日本で最大、最長の断層帯である中央構造線上で、特に愛知県東部から北上して関東平野にまで達する全長１０００キロ以上の大断層の上という事もできる、地殻に生じているストレスが国内で最大級の地点ということになります。　ま、比較的近い場所に生じているフォッサマグナの形状などから考えても、南北と東西の地殻にかかるストレスの影響が出やすい地点という推測が可能ですが、太平洋に向かって張り出す形になっている日本列島の本州を”く”の字型に折り曲げようとしたときに折れ曲がっていく頂点になる（なりやすい）場所が分杭峠の界隈という理解の方が分かりやすいかもしれません。　興味深いことに、蓮花山も分杭峠も断層で接しているそれぞれの地層はまったく異なる地質ということで、これは地下からどちらかの地層が噴きだしてきたのではなく、数億から数千年前にはは南北に遠く離れていた地殻が、プレートの移動によって隣接するようになったと考えられています。　日本列島の場合、中央構造線の北側というのは大陸の東の端で、南側の太平洋プレートやフィリピンプレートなどは北上していますから、７０００万年くらい昔に、亜細亜大陸の東の端に形成されていた日本列島の上半分に、南からせり上がってきた南側の半分（見慣れた地図で言えば下半分）が、桟橋に船が接舷するように滑りながら入り込んできて現在の形の日本列島が形成された　・・・　と考えられています。　そのためには、地殻が最低でも３０００キロほど移動する必要があるのですが、（上半分の下端）北九州で発見されている化石と（下半分の上端）北海道西部で発見されている化石に共通点がある時代が実際に存在していることが一つの物証になっているという説があります。　それ故に、北海道でナウマン象の化石が発見されたり、四国の石鎚山などの山頂近くで魚介類の化石が発見されると考えられているのですが、まあ、それを誰が見ていたわけでもありませんから、とりあえず、ダイナミックな地殻変動があり、それによって生じている地殻の歪みから何らかのエネルギーが生じていると考えておくことにします。　日本では、阪神淡路大震災の頃から、大地震の前兆現象としての空電現象といいましょうか、地殻に圧力がかかることで電気が発生し、大気中に電子が放出されたり、地中に電気ないし電磁波が生じたのではないかと考えられる現象が相当数報告されています。　もっとも、それ以前から、大きな地震が近づくと地表に接していたり地下にいる蛇やミミズなどの動物が異常行動を起こしたり這い出てくる事や、川底や池の底に生息している鯰などの底魚の類が活発に動くようになる事は経験的に知られていましたから、異なる地質が接している断層に一定以上の力でストレスが生じると電気が生じ、その歪みを解消するための物理現象が地震と考えると分かりやすいのかもしれません。　まあ、中国大陸の場合、四川大地震で知られたようにプレートとプレートとの境目に断層が生じていると言われても分かりやすいのですが、日本の場合、断層の上に日本列島があるというか、日本列島そのものが断層がせめぎ合って盛り上がっている地殻のストレスそのもののようなものですから、今ひとつぴんとこないかもしれません　・・・　少なくとも日本人にとって大地は盤石なものではなく、年に何度かは地震が起きて揺れる（有感地震が発生する）のが当たり前と思っている人の方が圧倒的に多いというくらいのことは言えると思います。　その意味では、プレートの移動によって生じている日本最強のパワースポットは富士山ということになるのですが、地下から何らかのエネルギーが湧出してくる地点の究極の形というのは、日本に限らず火山ということになるのかもしれません。　そして、世界を旅した日本人が各地で”なんとか富士”と命名したがる形状の現地の山が複数存在し、そうした山の多くが火山ですから、地下から湧出するパワーが形になると富士山型の形状の山になるのかもしれません。　一つの仮説に、エジプトのピラミッドというのは、火山が無い地域で火山によって生じる自然現象を人工的に発生させるための装置ではないかというものがあり、それゆえに、建設される角度や高さ、あるいは使われる石の材質や建設される場所の地質などに一定の条件があるのではないかとされています。　そう考えると、世界中の古代文明で石のピラミッドがなぜ建設されたのかという謎にも一つの答えが出てくるのですが、残念ながら今の段階では仮説の域を出ていません。　ただ、経験的にその効能が知られ、なおかつそこで発生するエネルギーを利用していた（いる）のではないかという一つの物証が、いわゆる魔女の三角錐の帽子で、あれは本来はピラミッドを模したものという説や、大地のエネルギーが形になった火山のミニチュアという説などがあり、遡れば地母神信仰に辿り着くという話もあります。　まあ、そうした神秘学的な説はともかくとして、今回の話は地学の基本的な知識が無いと理解するのが厳しいと思われますが、文字で読んでも今ひとつわかりにくいとも思いますので、できれば映画の昭和版の方の”日本沈没（1973）”でも参考にしてもらうとよろしいのではないかと。　なお、平成版の”日本沈没”はドラマ性が優先されたためか、今ひとつ日本列島に関する地学の入門教材として見るにはいかがなものかという出来になっているように（私は）思います。　では、長くなってまいりましたので、今回はこのあたりでお終い。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１７話：(2009/10/09)

2009.10.15

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特殊な気場

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１６話　「特殊な気場」　地脈とかレイラインといった、地表にまである種のエネルギーが流れていると（仮定）されている線上などに、地下からパワーが湧き出ているかのようなパワースポットとか気場と呼ばれる特殊な力場があります。　それは、地球を人体に見立てて、地脈やレイラインが経絡、パワースポットや気場などの力場がツボに相当する関係になると考えると理解しやすいのですが、内部構造が地球と人体とではかなり異なりますから、理解するための概念として利用する場合、その原理原則に関しては別枠で考えていく必要がある　・・・　と、私は思います（笑）。　さて、これまでにも書いたことがあるのですが、パワースポットで放散されているエネルギーの多くは地下から湧出するという点で井戸水や湧水地の湧水と類似しているのですが、地下から湧出してくるということは、地面を構成している物質に代表される周囲の環境の影響も受けていることになります。　また、湧き出してきている何かが、ある種のエネルギーと仮定すると、当然のように正と負の性質が真逆のエネルギーが存在する事が想定され、両者が同程度のエネルギー総量で接触した場合は対消滅とまではいいませんが、見かけのエネルギーの動きが打ち消されて０になる事が予測されます。　実際、そう考えた方が理解しやすい現象がパワースポットの周辺では発生していることが多いのですが、この場合の正、負というのは、人にとって御利益があれば正、害が大きければ負という程度の意味合いで、神と悪魔の闘いのような宗教的というか哲学的な意味合いで言っているのではありません。　面白いのが、人にとって病気が治ったとか運気が改善されたとかいった正の効果があるパワースポットにしたところで、”過ぎたるは及ばざるが如し”という格言ではありませんが、必要以上に浴び続けると逆転現象が生じる事が経験的に知られています。　その意味では、陽極まれば陰に転じ、陰極まれば陽に転じるという陰陽の基本原理の由来がこの辺にあるような気がしないでもありません。　最近、ある種の共感覚なのかもしれないと考えるようになってきているのが、気の流れなどが”見える”現象なのですが、単純に可視光線（の反射）以外の何かに視神経が反応し、その特有の信号を脳が解釈できるようになる現象と考えても筋は通りますし、今のところ定説というのは無い現象ではあります。　この辺り、超能力者や霊能者などの中に、頭のスイッチを切り替える事で普通の人には見えないモノを見ていると称する人達が複数実在している事から、潜在的には万人が持ち合わせている知覚能力で通常は退化している能力の中に、”気”と総称されるエネルギーの流れを見る能力が含まれているのかもしれません。　それ故に、一定のトレーニングを積むことでかなりの確率で”気”が見えるようになったり、感覚的に感じる事ができるようになる人が出てくるのではないかと考えているのですが、逆に言えば、どれだけ訓練しても泳げない人や自転車に乗れない人がいるように、気の流れなどの視覚化や感覚化が体得できない人というのも一定の割合で存在するのかもしれません　・・・　あっさり書けば、努力と根性では越えられない持って産まれた壁のようなモノがあるということです。　そうかと思えば、先天的にその手の能力が全開という人もおいでなわけで、ある程度大きくなってから、”みんなに見えていると思った”とか、”周囲の人に自分が普通に見ているものが見えていない事がわかって驚いた”という話も少なからず存在します　・・・　まあ、少数派の能力であるが故に個人攻撃や排斥へと発展してトラウマの原因になってしまっている人も珍しくないようですが。　もっとも、そうした気の流れが見えたり感じたりできる人達がいたからこそ、神社などの宗教施設がパワースポットを取り込む形で建設されている事が多いと考えられるわけですが、地下水が偶に枯れる事があるように、パワースポットも（地殻変動などの）何らかの原因で湧出点が移動したり消失する事があるようで、かってはエネルギーが湧出していた痕跡があるものの、現時点では枯れ果てている元パワースポットとや、そこに未だに存在する宗教施設という光景も珍しくなかったりします。　一般論として、エネルギーの湧出が続いている環境だと、清浄とかすがすがしい　・・・　それこそ何かに身も心も洗われているような　・・・　感覚がしてくるのに対して、湧出するエネルギーが枯渇していくと次第に清浄感が減衰し、どことなく薄暗い感じが漂い始め、建物などがあると、どことなく煤けた、それこそ運気がかえって墜ちていく感じがするようになります。　このあたり、年末の大掃除などで”煤払い”と称する事があるのは言い得て妙だと（私は）思っているのですが、塵や埃の類を流し去るだけのエネルギーの流出が無くなって澱み始めていると煤けた感じがするのかもしれません。　逆に言えば、掃除をこまめに行ってエネルギーを動かすことで気が巡って運気が相対的に向上するという理屈も成立するわけで、負というか陰の気が籠もりやすい玄関やトイレなどのこまめな掃除を運気改善の手段として経験から勧める人が多い理由なのかもしれません。　それはともかく、近年話題になったパワースポットといえば、中国の蓮花山で、元極気功法で知られる張志祥先生が1988年に強大な気場を発見して病院を建設し治癒実績に明確な差が生じたことで一躍有名になったのは御存知の通り。　日本で有名な、長野県伊那市の分杭峠の気場を1995年に特定したのも張先生だったわけですが、実際に日本中を巡回して”見て”発見したあたりがミソではないかと。　ちなみに、”見て”わかるものなのか？と言われれば、地中に金や銀、あるいは水脈などがある場合、地中から特有の気（金、銀、鉄などの鉱物資源の場合、総称的に”金気”と言うこともある）が大気中に放出されていて、上空の空気の色が変わって見えるというのは、山師と言われることもある金山や銀山などを開発して飯を食っている人達にとっては昔から知られていた事ですから、それほど驚くような話でもないのかもしれません。　ただし、蓮花山や分杭峠などの気場の場合、地下の埋蔵物の発見というよりも、ゼロ磁場と呼ばれる特殊なパワースポットで、その効能が学術的に検証されるようになってから２０年程度しか経過していない、比較的新しい分野だと言えます。　分杭峠の気場が特定されてから１０年以上が経過して、やっと一般にも分杭峠が話題になってきていて、ゼロ磁場という言葉も知られるようになってきているのですが、長くなって参りましたのでその辺りの事はまた次の機会に。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第６１６話：(2009/10/08)

2009.10.14

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Ｘジャンプ

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第５０９話　「Ｘジャンプ」　都市伝説なのか実話なのか微妙な話がＸジャンプで、”東京ドームの時は震度３を記録した　・・・”とまことしやかに語られていたりします。　ちなみに、Ｘジャンプというのは、仮面ライダーＸ（そ～ゆ～仮面ライダーがいる）のジャンプの事ではなく、伝説のロックバンドとなったＸジャパンが持ち歌の”Ｘ”を歌うときにファンが一斉にサビの特定の部分でジャンプすることだったりします　・・・　大雑把ですが。　もちろん、１０人や２０人がジャンプしたとしても、よほど安普請の建物でもなければ何が起こるわけでもないのですが、千人とか一万人とかいった単位になってくると、ちょっとした地震並の振動が発生することもあるようです　・・・　漫画やアニメの中の話のようですが（笑）。　Ｘジャンプが偶発的に始まっていた最初の頃は、Ｘジャパンのメンバーにとっても、コンサートが盛り上がったときのファンの自発的なリアクションのようなものという程度の認識だったのではないかと思われるのですが、会場の規模が大きくなり、入場者数が万を越えるようになると、洒落にならない現象が実際に生じ始めたようです。　ちなみに、”たかが、人が自力でジャンプしたくらいで、それほど揺れるものなんですか？”というもっともな疑問もあったのですが、少なくとも、過去にＸジャンプが行われた実績があるキャパシティの大きな会場などでは管理会社側が”Ｘジャンプを意図的に誘導する事の禁止”をＸジャパン側に事前に申し入れているという噂が流れていたりします。　逆に言えば、Ｘジャパンの側も、事の重大性に気が付くまでは”Ｘ”の特定のサビの部分でＸジャンプをマイクパフォーマンスなどで誘導していたということになるのですが、マイクでジャンプのタイミングが合うよに誘導された場合、数万人の群衆が一定のタイミングで一斉にジャンプして一斉に着地する事になるわけで、見事にシンクロしてしまうと会場周辺に震度３くらいの怪しげな揺れが発生するというのもわからんでもないなと。　寡聞にして、数万人を越えるような規模で人が一定のタイミングでシンクロして何度もジャンプするような事が過去にあったという話を聞いたことが無いのですが、思い当たる節が無いわけでもありません。　例えば、何万人単位の人間が一定のリズムで行進しているような場合、確かに一人一人は単に歩いているだけなのに、地面が揺れて微震を感じる事があります。　或いは、東京マラソンのような大規模なマラソンがスタートするときの地鳴りというか実際に地面が揺れるような衝撃がある事は経験したことのある人には説明の必要も無いのではないかと。　まあ、昔の戦争で、数十万人単位の肉弾戦となったときなど、大地が鳴動したと表現されることがあるのもこの類だとは思うのですが、無駄なエネルギーといえば無駄なエネルギーの放散ということになるのかもしれません。　実際、一定の圧力を瞬間的に加える事で発電するシステムというのは実用化段階に入っていて、例えば、駅の改札などに設置して、大勢の通勤や通学のお客がその上を踏んでいく事で発電し蓄電する事には成功していますから、将来的には人や自動車がその上を通過することで発電したエネルギーでもかなりのことができるようになるかもしれません。　ちなみに、どこまで本当でどこからが嘘なのかよくわからない話に、堅固な城壁に守られた城の周りを数十万人の軍隊で囲み、太鼓のリズムに合わせて一斉にジャンプして地面を揺らし、城壁の内側の建物を倒壊させたといった話があるのですが、本当にそういったことが過去にあったのか、実際に可能かどうかは定かではありません（笑）。　Ｘジャンプを誘導する事を禁止するように申し入れがあったという話の場合も、いざコンサートの日になってみると、ファンが自発的にＸジャンプを何度かしてしまったものの、事前に懸念されていた地震のような揺れは発生しなかった　・・・　といった続きがあるパターンもあるようです。＊　逆に、物好きな物理学者が計算すると、理論上は、地球上の人類が一斉にジャンプして同時に着地すると地球の自転や公転運動に極々わずかながらも影響が生じるという結果が出たという話もあります　・・・　どこまで本当かは知りませんが。　もっとも、一人の人間が動いているだけでもかなり振動を発生させているもので、床に寝ていて伝わってくる振動で侵入者に気が付く程度のことは（一定水準以上の）武人ならば出来て当たり前の嗜み程度の事だったりします。　つまり、曲者の気配を感じて目を覚ますのではなく、地面や床を伝わってくる人が移動するとき特有の振動を体の皮膚感覚で捉えて目を覚ませるようになれば、武人としてはどうにか一人前という事です。　もちろん、その上を行く侵入方法というのも存在していて、正確な表現かどうかはともかく、呼吸がシンクロしてくると脳波の流れのようなものもシンクロしてきますから、仮に動いたときに振動が発生したとしても、もう一人の自分が発生させている振動として脳が情報を処理してしまうようです。　このレベルになると襲われる側からすれば、影を相手にしているようなものですが、迎撃する対策としては（中略）といった事が以外と有効だったりします（笑）。　ただし、映画やＴＶなどで偶にお目にかかるシーンに、見張りや巡回をしている歩哨に背後から近寄ってワイヤーなどで首を絞めたりして殺すというのは、相手との運動能力などに大差が無い場合は、実際には不可能な事のようです　・・・　相手がしこたま酒でも飲んでいるのならともかく。　つまり、起きている人間の場合、ましてや敵兵や侵入者が予想されるような緊張している状況下では感覚がかなり鋭敏になっていますから、”話としてはおもしろいけれど　・・・”ということになりがちなわけです。　逆に言えば、それこそ相手の呼吸を盗む事ができて、相手の数倍の速さで動ける人の場合は、息がかかるくらいの真後ろに立っても相手が気が付かない事があります。　実際、数倍の感知能力と運動能力を持つ相手に背後に付かれて、五感の死角へ死角へと廻られてしまうと、仮に第六感の類で気配には気が付いたとしても、目で確認する事ができず、まさに幽霊が背後にいるような気がしてきます。　こうした現象は、武術の達人とは程遠い人でも、２～３歳くらいの小さな子供を相手に死角へ死角へと回り込んでみると腑に落ちるのではないかと思うのですが、結果的に、小さい連中が怒って泣き出したとしても当局は一切関知しませんので念のため（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第５０９話：(2009/06/05)

2009.06.11

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ヴォイニック

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４７８話　「ヴォイニック」　亜米利加のイェール大学にあるベイニッケ希少本資料館に収蔵されている奇書の一つがヴォイニック写本なのですが、奇書の中の奇書として知られていたりします　・・・　一部ではですが（笑）。　写本といえばオタク業界では死海写本が知られていますが、そもそも”写本（しゃほん）って何？”という基本的なところはどこかへ置き去りにしている人も珍しくなかったりします。　日本語における写本というのは印刷された刊本に対して手で移し書きした本を意味する言葉で、鈔本(しょうほん)と呼ばれることもあるのですが、英語だとマニュスクリプト（manuscript）が該当するようです。　それこそ版木や活字を使った印刷で書物などが大量生産されるようになるまで、誰かが文字や絵として残した資料は　手で書き写すしかなかったわけで、それこそ、古代エジプト文明の遺物の中にはパピルスを使った写本がありますし、粘土板などにクサビ形文字などde刻まれたものの中にも写本の一種がああると言えなくもないわけです。　そんな写本の中でも、中世欧羅巴の修道院で修道僧達がせっせと羊皮紙などに筆写した聖典の類の中には、実用とは程遠い装飾文字やミニアチュールが多用されているものがあり、一種の美術品として仕上げられているものが珍しくなかったりします。　まあ、その分、一冊の本を書き写すのに必用な労力は増大するわけですから、生産性は印刷と違って低くどうしても高額になってしまうのですが、もっぱら修道院で作成されたということは、金さえ出せば誰でも買えるとは限らない制約も付いて回ったと考えられます。　それはともかく、写本の中で有名なものといえば、"ケルズの書”や”リンディスファーンの書”としたものですが、そうした写本とは別の意味でヴォイニック写本は有名なわけです（笑）。　そもそも論で言うと、事の起こりは１９１２年に亜米利加人の古書蒐集家であるウイルフレッド・ヴォイニックが伊太利亜で奇妙な古書を購入した事だったりします。　その本のタイトルは不明で、発見者というか購入者の名前から仮に”ヴォイニック（の）写本”と呼ばれているのですが、何故故にタイトルが不明なのかといえば、タイトルだけでなく、その内容も解読不可能な文字で書かれているためで、判別できるのは収録されている図版だけで、その図版もなかなか怪しげなモノが多いそうです。　発見された当時、装幀や使われている素材などから１５～１６世紀頃の写本ではないかとされたのですが、図版の中に、少なくとも１６世紀の欧羅巴には存在しなかった望遠鏡や顕微鏡を使って初めて分かるような自然科学関係と思われる絵や、この世のモノとも思えない動植物らしきものの絵図などが含まれていまして、その絵の説明をしているのであろう部分に書かれている文字がさっぱりわからなかった事で、後の世の暇人がでっちあげたのではないかという説は根強くあります。　その一方、筆跡などを科学的に分析してた結果、最低でも２人の人物が書いている事がわかったのですが、写本にはつきものと言ってもいい書き損じや訂正などが一つも無い事なども確認されていて、”いたずらにしては無意味な精度で作成されていてできすぎている”という人も少なからず存在します。　ヴォイニック写本は、２３０ページほどの本なのですが、前述したように何を書いているのか判読できないまま現在に至っていまして、例えば”カバラ”などを使ったある種の暗号で書かれているのではないかといった具合に、秘密結社か何かが外部に情報漏れないようにするため暗号化しながら書き写したのではないかと考えた人も多かったりします。　コンピュータを使った暗号解読の試みも行われているそうですが、今のところ成功したという話は流れていませんし、聖書の暗号でも指摘されたように、”コンピュータを使ったからといって、その暗号解読結果が正しいとは限らない”のではないかと私的には考えています（笑）。　ちなみに、ヴォイニック写本の制作者に関しては諸説あるのですが、有力視されているのがボヘミアの錬金術師、エドワード・ケーリーがボヘミア国王のルドルフ２世をだまくらかして高値で売りつけるために制作したという説や、やはりエドワードが当時ライバルだった錬金術師のジョン・ディーをひっかけるために制作したという説に代表されるように、錬金術師がペテンのために作成したという説に人気があったようです。＊　ルドルフ２世。ハプスブルク家出身で神聖ローマ皇帝（在位1576～1612）、ハンガリー王、ボヘミア王。三十年戦争（1618～1648）は彼が元々の原因であったとされる他、奇人皇帝としても知られる。　まあ、いろいろな分野のプロが解析を試みたくなるほどもっともらしい写本なのですが、いざ解析に取りかかってみると、”出鱈目にしては文字の並びなどが規則的すぎるし、暗号を含めて一定の文法を導き出そうとしても（コンピュータを使っても）解析ができない、　・・・”という袋小路に迷い込み、”やっぱ出鱈目だ（と思う）！”という結論に到達した人も一人や二人では無いようです。　ただ、1-117”古地図”の回で少し書いたピリレイス地図（オスマン・トルコ帝国時代のレイス提督が1513年に作製したとされる地図で、氷冠に覆われる以前の南極大陸の海岸線が描かれていることで知られる。)にピリレイスが参考にした大元がエジプト文明以前の地図があったという説などが頭を過ぎるわけで、もともとの種本があって、それを１５世紀頃に誰かが筆写した可能性も捨てる必用は無いのではないかと愚考するわけです　・・・　怪しい話としてはですが。　極端な話をすれば、文字では無くバーコードのような記号を筆写していく過程で装飾してしまった可能性もあるわけで、そもそもの立脚点が根底から異なる文明によって作成されたオーパーツの類だとすれば、人間が作ったという前提で解析したり、原本とは異なる素材に筆写した段階で全てが無意味になっている可能性もあるわけです。　もちろん、確信犯的なジョーク商品で、一か八かで巨万の富を手にするための小道具として数年～数十年といった時間と無駄に高度な知識と手間暇を掛けたフェイクだったという方が面白いことは言うまでもありませんが、その場合、その大嘘がばれたとすれば、その当時の貴族や錬金術師、あるいは聖職者の誰かが日記か何かに書き残していそうな気がしないでもありません（笑）。　少なくとも、焚書されることも禁書扱いされることもなく売買されていたあたりで、安値で買いたたかれた上に、買い叩いて入手した人が死んだ後にはゴミとして二束三文で売られた可能性が一番高いような気が私はします　・・・　所有者以外に価値が無いものを他人はゴミと呼ぶと言われていますから（大笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４７８話：(2009/04/30)

2009.05.06

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寒冷化リスク

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４７５話　「寒冷化リスク」　温暖化する地球ということではこれまでにも何度か書いてきたのですが、もちろん、地球温暖化の原因が二酸化炭素だという説を私は未だに支持していません　・・・　という前提があることをお忘れなきよう（笑）。　そして、未だに太陽活動によって地球の温度は変化するという説を支持しているわけですが、太陽活動の周期が従来になく不規則なパターンになっているという話も以前からしているところだったりします。　つまり、従来のパターンなら太陽活動が低下する時期に活性化したり、活発化する時期に低下するという現象が恒常化してきているということで、それが結果的に多少のタイムラグはあるものの地球の平均気温を（極めて短期間で）押し上げたり押し下げたりしているのではないかと考えているということです。　ちなみに、日本で主流の学説である”地球温暖化の主因は二酸化炭素（正確には温暖化瓦斯）説”の場合、大気中の二酸化炭素濃度が上昇ないし変化していなければ、地球の平均気温は上昇することになります。　なぜならば、彼らは、”太陽活動が活発化したから温暖化が進行したのではなく、太陽活動は大した影響を及ぼしていない！”と主張し、”温暖化瓦斯の影響で熱が逃げにくくなった事が温暖化の主原因である！”とのたまっているからです。　話を単純化すると、例えば、太陽をガスコンロ、地球をその上で熱せられている水が入った鍋、温暖化瓦斯を鍋を塞ぐように置かれている新聞紙といった具合にモデル化すると、温暖化瓦斯主因説の場合は、鍋の上に置かれた新聞紙がだんだん厚くなるから鍋の中の（気体の）温度が上昇すると主張しているわけで、太陽説の場合は、下から加温しているガスコンロの火力が鍋の中の温度の上昇や下降を支配していると主張しているわけです。　そして、温暖化瓦斯説を主張する人の場合、ガスコンロの火力は微々たるもので、多少の増減があったとしても無視できる影響であり、新聞紙の厚さの方が鍋の中の温度に与える影響が大きいと言い続けているわけです　・・・　大雑把に言えばですが。　ここまでの説明で、太陽説の場合、”ガスコンロの火力が低下すると、新聞紙の厚さに関係なく鍋の中の温度は低下するのではないか？”ということに気が付いた人もおいでだと思いますが、実際、地球寒冷化を警告している科学者も複数実在しています。　私的には、学説というのは多数決で数が多い方が正解だとは考えていませんので、これからも太陽説を支持していきたいと思います　・・・　なにしろ、火力が弱くなればそのまま寒冷化説にもシフトできますから（笑）。　ただ、原因がなんであれ、地球が寒冷化してしまうと、とても困る人達　・・・　温暖化を前提に環境ビジネスで儲けている関係者　・・・　にとっては、”地球寒冷化は絶対にありえない仮説”ということになるのではないかと。　温暖化と違って寒冷化に伴う最大のリスクは極めて短期間で食料が不足するようになることで、ましてや、温暖化を前提に農業生産を切り替えた段階で寒冷化が本格化すると、数十億の単位で餓死者が出かねないほど減産に直結するのではないかと危惧していたりします。　温暖化の場合は、極端な事を言えば多毛作や二期作、三期作といった農業生産が向上し増産する地帯が北上すると考えることもできるのですが、寒冷化の場合は、逆に農業生産が低下したり不可能になる地域が南下するということですから、そのリスキーさは説明するまでもないような気がします。　そのあたりの気象変動リスクを低減するためにも、駅前や駅地下、屋上やビルを丸ごと農場や農地とする稲作ビルやレタスタワーといった次世代の施設農業を日本の場合は押し進める必用があるという話は以前からしていますが　・・・　話がややこしくなりますから今回は以下略ということで（笑）。　以下略といいながら、少し補足しておくと、東京湾や瀬戸内海などの住宅密集地を近くに抱えた内海に農産物生産プラントを沈めて農産物を生産し、電力は洋上で太陽光や潮力、風力などで賄えばより（台風や地震まで想定しても）環境変動に対してサバイバルビリティが高くなりますし、将来的には宇宙ステーションや月や火星などで使える食料プラントの基礎データも取れるのですが　・・・　”経済対策として○兆円を、そういった将来投資に使う！という政治家は日本にはいないようです（溜息）。　冷静に考えれば、地球温暖化が進行したとすれば、少なくとも地表というのは人類の生存には適さなくなるわけですし、寒冷化の場合も、地表よりも地下や海中などに移住した方が生き残りやすいのではないかと私は考えています。　そもそも、欧羅巴諸国が主導している温暖化瓦斯を排出する量を金銭でやりとりするという市場とその発想というのは、温暖化を止めない事が前提になっているわけで、落ち着いて彼らの言い分を考えてみれば、”何もしないで（何もしない方が）儲ける”錬金術を越えた詐欺同然の金儲けのシステムに過ぎず、大半の人類の生存が不可能になるほどの地球温暖化の進行を一番信じていないのが彼らなのかもしれません。　日本の場合、他国と比べて圧倒的に領土よりも領海の方が面積が広いわけで、”海洋が吸収している二酸化炭素の量”を日本の削減負担量だと主張してもいいのではなかろうか　・・・　森林が多い国が森林が吸収する二酸化炭素の量を主張するのなら、海洋国家は海が吸収する二酸化炭素の量を主張することに何の矛盾も無いような気が私はしますが（笑）。　その意味で、国費で珊瑚を増殖させたり、浅瀬の光合成を行う藻場を整備したりするくらいの投資をなぜに景気対策の一環として行わないのか？　日本人が逃げ込んで生き延びる事ができる先は”海”しか残っていないと私は考えていますし、それを可能にする技術と智恵を持っている唯一の国だとも考えています。　最後に太陽派としてワクワクしている話を少し書いておくと、２００８年に入ってからの７ヶ月間の太陽黒点の数は平均で約３ヶで、８月から２００９年３月にかけては、ほぼゼロですから、太陽黒点がほとんど観測されなくなって１年くらい経過していたりします。　それに呼応するかのように、昨年末くらいからの気候の変動は之まで以上激しくなっていて”観測史上前例が無いレベルの異常”を示す地域が増加していることは御存知の通り。　まあ、どの仮説を支持するかにもよるのでしょうが、呑気に二酸化炭素の排出抑制で温暖化ストップなんてことに金を使うより、変化した後の環境を見越してそれに適応するために金を使わないと間に合わなくなっている時間帯じゃないのかと私は考えています。　もちろん、”まだ間に合います！”にこしたことはないのですが、太陽派としては既に素直に首肯できなくなって久しくなっているわけです（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４７６話：(2009/04/27)

2009.05.02

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魔鬼谷

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４１２話　「魔鬼谷」　以前3-255”地獄の声”の回でインドネシアのスマトラ島北部にあるシバヤック山（2145m）の”スアラ・ナラカ”について少し書いたことがあるのですが、”そこへ行くと何らかの自然現象の影響で死んでしまう場所”というのが地球上には幾つか存在すると言われています。　もっとも、その多くが人跡未踏の地とまではいいませんがかなり僻地にあることから学術的な研究が進んでいないようで、事実上、伝説の魔所として噂になっているレベルで話が止まっていることの方が多いようですが　・・・。　念のために書いておくと、船の墓場と言われることもあるサルガッソー海のように、船乗りの噂話としては有名なのに場所が特定されていない魔所も珍しくなく、”そもそも、実在するのか？”といったもっともな疑問を抱かせることもあったりはします（笑）。　それはさておき、今回の魔鬼谷ですが、中国の新彊ウイグル自治区のコンロン山脈の東の端　・・・　青海省の西の外れというかチベット自治区の北方というか　・・・　にあります。　ちなみに、そこを流れているナリンゴル河の中流域にある周囲を険しい山に囲まれた１００キロほどの長さの谷が魔鬼谷なのですが、特に夏場は怪奇現象が頻発することから地元の遊牧民もあまり近づかないようです。　夏場に多い怪奇現象というのは、魔鬼谷に見慣れない黒雲がかかって雷鳴を伴わない青い怪光が閃くことがあり、そうしたときに魔鬼谷に放牧などで居合わせた人や家畜のヤクがいると、原因は不明ながら全滅しているのだそうです。　それらの遺体に雷に打たれた後でもあればまだ納得がいくのでしょうが、外傷らしい外傷が無いことから、ある種の毒ガスが間歇泉のように吹き上がって谷に立ちこめたのではないかという説もあるようです。　一応、１９８５年に中国と亜米利加の科学者による合同調査隊が結成されて調査に訪れているのですが、当時の科学技術では手に負えなかったようで途中で調査を断念して撤退しています。　調査を断念した一番大きな理由は、谷底に近づくほど地磁気に異常が生じてコンパスが役に立たなくなったこととされているのですが、ということは、ＧＰＳが普及した現在だと捜査が可能ということになるのですが、再調査されたという話は伝わってきていません。　まあ、西域というのは地下資源の宝庫として知られていて、中国がチベットが自国領であると主張する主な理由も地下資源の専有が主目的であるという説があるほどだったりしますので、再調査が行われて公表したくないデータが確認されていたとしたら、永遠に、魔所として一般には封印される可能性もありますが。　一般論として、アルプス山脈やヒマラヤ山脈のような造山運動が盛んな地域には膨大な圧力が地層に掛かった過去がある（とされている）わけで、結果的に、貴金属や放射性物質などが生成されたり地表近くまで押し出されて来ている事がままあるわけで、農作物が実りにくく放牧を主に細々と生きていくしかないような不毛の地が文字通りの宝の山になっている可能性が高いわけです。　その辺りのことは兎も角、コンパスが使い物にならなくなり、最新型の無線機が谷の近くの山岳地帯では動作が不安定になってしまうことなどから途中で調査を断念したものの、一つの仮説として、”魔鬼谷の一帯では地磁気に異常が起きているのではないか？”という説が提示されています。　これで、ＵＦＯの目撃談が頻発していれば、もう怪奇スポットとしては定番の条件を幾つか満たしているのですが、幸か不幸かそういった目撃談は無いようです。　別の説では、チベットの地下から繋がっているという噂のある地底帝国”シャンバラ”と何らかの関係があるのではないかという説もあるのですが、こちらの説の方が調査隊が途中で断念した理由としてはもっともらしいかもしれません。　ただ、人工衛星を利用した地下資源探査が２１世紀に入ったあたりから本格的に稼働するようになり、それこそエジプトの砂漠の下に眠る未発見の遺跡の探査にも流用されたり、本業の石油や鉱物などの地下資源探査でも驚異的な成果を上げるようになってきています。　なにしろ、これまでは現地で実際に勘と経験を頼りに、場所によっては巨額な資金を食いつぶしながら試し掘りを含めて”掘ってみないとわからない”という一種の博打状況が数千年続いていたのが地下資源の掘り出しだったわけですから、人工衛星の利用は画期的なわけです。　これまで何ヶ月とか何年とかいった単位の予備調査をして結果的にスカという事も多かった時代から、遥か上空からの探査でほぼ特定できてしまう時代になったわけで、従来は、山師（ペテン師と同意、言っていることに信憑性がない）とか千三つ（１０００掘って３カ所から出る程度）とか言われてきたジャンルも様変わりしていると言えます。　ただ、逆に言えば、衛星からの地下資源探査能力を持つ国と持たない国とでは、地下資源の開発効率が極端に差が出る時代になったということで、ＥＵや中国が２０世紀末あたりから宇宙開発に熱心になった理由の一つがそのあたりにあるという説もあります。　現在は、人工衛星を利用した海の底の探査や、海の底の岩盤の下の探査の精度を向上させているとか、既にそれもクリアしたという噂もあるのですが、いかんせん、宇宙開発といえば月へ行くかスペースコロニーを建設するくらいという認識しかない日本政府は宇宙からの地下資源探査に関して興味が無いようですし、どのくらい他国が先行しているのかも気にならないようです。　ただ、グーグルアースの登場で、地球上のほとんどの場所を撮影した衛星からの映像を個人のパソコンを利用してインターネット経由で手軽に見ることができるようになって、さすがに”何かすごいことになってきている　・・・”と認識を新たにした人が多い事は、日本の宇宙開発にとってプラスの話かもしれません。　そして、当初は”見られない場所が珍しかった”グーグルアースが、米軍というか米政府の要求で米軍施設など米政府が不適当とした場所に関してはマスキング処理を行うようになってきて、衛星からの画像データに関して、米国の機密は保持され、他国の機密は保持されない事が露骨に示されたわけで、いかにそれが金になる情報か気が付いた人もおいでかもしれません。　ただ、グーグルアースの画像に関しては、龍やニンゲンらしき外見の未確認物体が写り込んでいる事が稀にあり、町中の監視カメラの増設が怪奇現象の撮影頻度を上昇させているように、衛星の探査性能の向上は思わぬ副産物を産んでいたりもします（笑）。　いろいろな意味で、従来は怪奇スポットとされていた地域の調査も前提条件がクリアされてきているわけで、その内、地球上の不思議スポットはほとんど解明されてしまうのではないか？という気がしないでもありません　・・・　それはそれで残念なのですが（大笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第４１２話：(2009/02/12)

2009.02.18

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海の向こう

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３７２話　「海の向こう」　水平線の向こうには何があるというのだろう、とか言い出すと何やら雄大な気分になってきますが、実際の水平線までの距離というのは実はたいして離れていなかったりします（笑）。　というか、どのくらいの高さから見るかで水平線までの距離というのは変わってくる事がしられていまして、経験的に知られているように、高いところほど遠くまで見渡すことができます。　つまり、原則として、高ければ高いほど遠くまで見渡す事ができるのですが、余り高くなりすぎると地球の丸みを見ることになるというか、天体としての地球の半球全体を見てしまうことになるのですが、逆に言えば、肉眼で直接地球の裏側まで見ることは不可能ということです。　それはともかくとして、高いところから見た方が遠くまで見渡すことが出来るという原則は、洋の東西を問わず、城や要塞に物見の塔が作られていますから、遠方から押し寄せてくる的をいかに早く察知するかが昔から闘いの勝敗を左右する事が多かったことを意味しているのではないかと思われます。　このことは、昔の戦は、攻めてくる敵を目視してから準備しても間に合ったという、いささかのんびりした戦いだったということですが、次第に戦闘が大規模化してくると、直接目にするより前の”情報戦”の段階で勝敗が付くようになってくると、あまり意味を持たなくなってきます。　分かりやすいところでは、日本の城で最大の物見の塔といえば天守閣の最上階としたものですが、火災などで消失したまま天守閣が再建されなかった事例も江戸時代にはあります。　それは一つに、大砲などの火砲が強大化して有効射程距離が伸びた結果、天守閣が大砲の的にしかならなくなっていった事と無縁ではないようです。　ちなみに、軍艦の艦橋でも城の天守閣が辿った歴史とまったく同じ事が起きていて、同じような目的で造られたモノは同じような経緯を辿る宿命があるのかも知れません。　城の天守閣に相当するのは軍艦では艦橋ということになるのですが、帆船の時代から一番高いメインマストの上の方には見張り場が作られていた船が珍しくありません。　いち早く、陸地や島を発見したり、海賊船を発見したり、逆に、獲物の船を見つけたりと、高い場所は有効利用されたようです。　さらに、望遠鏡を使うことで肉眼より遠くをより鮮やかに見る事ができる時代になると、見張り場に望遠鏡が常備されるようにもなったようです。　時代がもう少し進んで、大砲を撃ち合う頃になると、戦闘能力などに大差がない場合、相手より早く発見して正確な位置を測定できるかどうかが勝敗を分けるようになっていきます。　そうなると、艦橋はより高くそびえ立つようになり、目視よりも光学的な測距装置が主流になっていきます　・・・　まあ、大型の双眼鏡のようなモノが実装されるようになったという程度の理解でよろしいかと。　このあたりで第二次世界大戦に世界は突入していったのですが、大戦中に”レーダー”による敵の探査システムが実用化されると、目で見る必用は無くなってしまい、艦橋の高層化は終焉を迎えてしまいます。　その代わり、レーダーや通信システムといった電子装置は増加し、艦橋の肥大化は進むこととなり、現在のイージス艦の艦橋のようなずんぐりむっくり型になってしまいました（笑）。　ということは、アニメの中では宇宙戦艦の艦橋が剥き出しになって一番高いところにある　・・・　第二次世界大戦に突入した当時の戦艦の艦橋と基本的に同じ設計思想で建造されている　・・・　のは、ミノフスキー粒子などでレーダーの類が無効化されて、肉眼に頼るしかないためとかいった合理化する（屁）理屈が必用となるわけです。　その意味では、宇宙戦艦ヤマトや起動戦艦ナデシコの設計思想は根底の部分で崩壊していると言えます　・・・　見栄えは薄暗い穴蔵の中でごそごそしているよりは遙かによろしいですが（大笑）。　ところで、まだ帆船の時代だった１８世紀中頃に、水平線の向こうから近づいてくる船を察知する事に成功していた船乗りが実在していたという記録が残っていたりします。　もっとも、それが可能だった男性は、ボテーノという姓は分かっているのですが、極貧の中で死んだこともあって、名前など詳しいことは不明だったりします。　事の起こりはボティーノが1764年に仏蘭西海軍の船員としてモーリシャス島へ赴任して、おそらくはそこでの勤務が暇だったのだと思いますが、”船が近づいてくる時、水平線に到達するまで目で見ることはできないが、大気にはなんらかの影響がでているのではないか？そして、それを察知することができれば、船が近づいてくる事が目で見えるようになる前にわかるのではないか？”と考えたようです。　そのあたりまでなら、彼の他にも考えた人がいたかもしれませんが、ボディーノの場合、延々と半年近く、その”何かの影響”を探して水平線を眺め続けたとされています。　そこにどのような理屈が働いているのかは定かではありませんが、最終的に、ボディーノは船が水平線上にあらわれる３日前に察知することができるようになったそうで、1778～1782年の間に、延べ５７５隻の船の到着を正確に予測したことが記録に残っています。　もっとも、その技術を母国のために役立てて、なおかつ自分も裕福になろうと考えたのであろうボディーは、1784年に仏蘭西に戻ったときに、海軍大臣に謁見を願い出ているのですが、当局の偉い人達は”そんな馬鹿な”とか”蜃気楼かなにかを勘違いしたんだろう　・・・”といった見解で一致したようで、却下されています（笑）。　結果的に、1789年にボティーノが死んでしまうと、彼の発見した法則というか技術は失われてしまい、その後、仏蘭西海軍が世界の海を制覇することはなく今日に至っていたりします。　まあ、いささか惜しい気もしますが、仏蘭西以外の国にとってはボディーノの技術が失われた事はラッキーだったのではないかと。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３７２話：(2008/12/28)

2009.01.02

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姥ヶ火

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３５０話　「姥ヶ火」　怪異談や奇談、あるいは妖怪話などを調べていると、オリジナルと思っていた都市伝説に原形となるような話があったり、幾つかの話を融合させてモザイク状に組み合わせて生み出されているケースがあることがわかってきます。　その意味で、完全にオリジナルな怪しい話というのは極めて稀で、中には起源が二千年以上昔の中国の古典というケースもあったりします　・・・　まあ、昔から人というのは怪しい話が大好きだったというだけのことかもしれませんが（笑）。　それはさておき、現代の怪異談というか都市伝説というか微妙な存在に、1-987”マッハ婆さん”という一連の高速移動する婆さんの話があるのですが、これもそもそもは幾つかの元ネタがある話だったりします。　中核となったと思われるのが、関西では割と知られている”姥ヶ火”の話で、老女が神社から供え物の灯明に使う油を盗んだ祟りとして火の玉になってしまい、油を求めて彷徨い続けていることからそう呼ばれています。　姥ヶ火の場合、直径が３０センチ程度の火の玉で、その中には苦しみに歪んだ老婆の顔が浮かんでいるという話もあるのですが、一里（３キロ）程度なら一瞬で高速移動することでも知られています。　ちなみに、姥ヶ火に肩をかすめられた人は３年以内に死ぬという物騒な話もあるのですが、姥ヶ火に出会ってしまったときには”油差し”と呪文を唱えれば害されることはなく火も消えてしまうそうです　・・・　そもそも、遭遇したいとも思いませんが（笑）。　より人間の姿ということになると、油赤子が有名で、家の中に忍び込んできた火の玉が行灯の油を舐めるときに赤子（赤ん坊）の姿になるというもの。　ちなみに、喜多川歌麿の師匠で”今昔百鬼拾遺”、”画図百鬼夜行”などで知られる鳥山石燕（とりやませきえん）が描いた油赤子もこの類とされているのですが、逆に、鳥山の描いた油赤子を元ネタに”東北怪談の旅”などに収録されている油赤子などの怪異談が後に作られたこともあったようですから、昔から二次利用、三次利用は珍しくなかったようです。　江戸時代の中頃以降になると、油赤子は若い女に連れられているという話も出てくるのですが、これなどは丙午生まれの女性に関する迷信から産まれた飛縁魔（ひえんま）と組み合わさった可能性が時期的に考えてあります。　この話はブラックというか、今日の都市伝説にも通じるところがあるのですが　・・・　ある油問屋から火が出て大火事になっているとき、それを見ていた野次馬の中で、しきりに”もったいない　・・・”を連発している赤ん坊を抱いた若い女がいたそうです。　というのも、火事の明かりではあったものの、結構な美形だったこともあって、色気づいた若い衆が近くに寄っていて聞き耳を立てていたので、女の言った事も、其の後の事も伝わっているわけです。　其の後の事というのは、女が何度目かの”もったいない”を口にしたとき、不意に抱いていた赤ん坊が笑いながら”半分は舐めたから、俺はもういい。”と答えたのだそうです。・・・　といった具合になります。　昔は、植物油より安価だったこともあって、行灯などに良く使われていた魚油を好んで舐める猫が結構多かったことから、薄暗がりの中でそうした猫を誤認したのが油赤子の原形というもっともな説もあるのですが、地蔵に備えてあった油を盗んで売っていた男が成仏できずに赤子の姿になって彷徨っているというのが定番の解釈だったりします。　油が貴重だった頃の昔話の中には、この手の灯明用の油を盗んでいて火の玉の妖怪などに化した話は多く、犯罪抑止効果を怪異談に求めたのかもしれませんが、結構、修行中の僧侶や神官（の卵たち）が油を盗んで売却を含めて私用に使っていたという話もあったりします。　その手の”油坊”の話は、場所柄か京都や滋賀県のお寺を舞台にしていることが多く、油を求めて彷徨う怪しい火の中に苦しむ坊主の姿が見える場合は、油坊とされているようです。　もっとも、京都の壬生寺の怪火の場合は、宗源火（そうげんび：叢原火）という固有名詞で知られていて、生前は寺の油を売りさばいたり、賽銭をくすねるといった悪行を重ねていたため、死んだ後も成仏できずに彷徨い続けているとされています。　油坊や宗源火の類は、梅雨から初夏の夜によく見られたとか、雨の降る夜に現れるからそれと分かると言われているのですが、人魂の一種という解釈でもいいのかもしれません。(初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３５０話：（2008/12/02)

2008.12.08

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地下水脈

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３３６話　「地下水脈」　箱根の芦ノ湖には、毎年、三升三合三勺の赤飯をお櫃（ひつ）にいれて九頭竜明神に捧げる祭りがあるのですが、そのお櫃は決して浮かび上がってこない事で知られていたりします。　以前に書いた1-612”遠州七不思議”で、浜岡町の”桜ヶ池のお櫃納め”という芦ノ湖の赤飯に似た話があり、皇円上人が衆生救済のため龍蛇と化し入定された桜ヶ池で、高弟の法然上人がその霊を供養する為に、お櫃に赤飯をつめ、一つは池宮神社に、一つは池の中心に沈めたことを起源としています。　桜ヶ池の場合は、お櫃は数日後に空になって浮いてくるそうですが、桜ヶ池は信州の諏訪湖とつながっているのか、諏訪湖にお櫃が出る事があるともいわれています。　ただ、そうなると、地表を流れる川のように単純に高いところから低いところへと地下水脈は流れていない事になり、水圧のかかりかたによっては低いところから高いところへと水が流れていることもあるのかもしれません。　地下には広い水脈が流れていて、一部の地上の湖沼や井戸の類と繋がっているという説は、起源が定かではない程、昔から存在するようなのですが、トンネル工事などで地下水の流れにぶつかると、川の底を抜いたかのような水漏れに地下で遭遇することがるそうですから、意外と実体験から知られた話なのかもしれません。　もっとも、池の底から地下水脈へ流れ込む水の流れも有れば、逆に地下水脈から池の底などへ吹き出す（湧水のような）水の流れもあると説明が続いたりします。　その延長上の、一夜にして池や沼が出来るといった話や、次第に移動する池の話は、以前に3-49”散歩する沼”の回でも触れた事があるのですが、一定の周期で消えたり現れたりする池や沼の話は、世界規模で存在しています。　砂漠に突如として数週間だけ現れる池の場合は、上流で雨が降って地下へ染みこみ、地下水脈の水量が増えれば水圧が上がって地上へ吹き出してくるから雨季と乾季で池が消えたり現れたりするのではないかと考えられているのですが、千夜一夜物語などにも記載があるくらい古くから知られている現象だったりします。　地下水脈があれば、地底湖のようなものがあっても不思議では無いわけで、実際、干ばつと内戦に悩む阿弗利加某国の地下には、確認されているだけでも琵琶湖の２０倍以上とも言われる淡水の地底湖が存在する事が知られています。　ただ、内戦やテロなどが頻発しているから地下水として開発ができず飢餓に苦しんでいるという説と、そういった豊富な地下資源である地底湖があるから内戦やテロが絶えないという二つの説があります。　人が飲用水や生活用水として使ったり、農作物や家畜に使える淡水の量というのは意外と少ない（飲用に適した水は地球上の水の総量の８％程度という試算もある）そうで、早ければ２０１０年頃から水資源を巡る戦争が本格化するという予測もあり、２０２０年頃からは石油並に地下水も（換金可能な）戦略物資であるという認識が国家レベルで定着してくるのではないかとも言われています。　もっとも、地下水の流れは複雑怪奇ですから、仮にＡ国の下にそういった地下湖があったとしても、隣国のＢ国やＣ国、あるいは遙か彼方のＺ国から汲み上げる事が可能というケースも出てくるかもしれませんが（笑）。　地下水の流れが複雑という話で有名なのは、瑞西のジュネーブで起こった奇妙な死体運搬の話で、事の起こりは、ささいな夫婦喧嘩で妻を殺害した旦那が庭にあった井戸に死体を投げ込んだあたりになります。　しかしながら、次第に旦那は自責の念にかられるようになり、２年程した頃にはノイローゼ状態だったそうで、警察に”妻を殺して井戸に捨てました　・・・”と自首したそうです。　当然、警察は井戸をさらったのですが、不思議なことに井戸から遺体は出てこず、旦那の精神状態も不安定だったことから、とりあえず病院へ入れたそうです。　ただし、近隣への聞き込みなどから、２年程前から奥さんの消息が不明になっている事は確認されましたから、妄想とも言い切れない状態だったようです。　不思議なことに、旦那が病院へ収容されてから３ヶ月した頃、市内を流れるローヌ川から、旦那が自供したのと同じ服装で首を絞められた跡がある奥さんの死体が上がったそうです。　ちなみに、不思議というのは井戸に捨てた遺体が近くの川から上がったことだけでなく、検視結果として、”死後３０時間程度しか経過していない”と判定されたことで、この検視結果が正しければ、旦那が病院に収容されていた間に殺された事になりますから、旦那が奥さんを殺害することは不可能になります。　水温や水質によっては脂蝋化現象が発生して生きながらに一種の木乃伊状態になることがあるという話はこれまでにもしてきましたが、そういった状態ではなかったようで、一種の（０度前後の）氷温貯蔵状態でフレッシュな状態でアルプスの雪解け水が流れる地下水脈の中を漂っていたのではないかという専門家もいます。　ちなみに、奥さんの新鮮な死体がローヌ川から上がったというニュースを耳にした旦那は、病院を抜け出して自宅の井戸へ身を投げたそうですが、旦那の場合は３日後にローヌ川に遺体が上がったそうです。　一応、井戸の底が柔らかい砂状なので、死体の重みで徐々に沈み込み、地下水脈の流れに乗ってローヌ側の川底にある湧水地で押し出されたのではないか？と考えられていますが、実証実験をやったという話は無いようです。　まあ、地下水脈の水量の増減で条件が変わって、どこかにひっかかっていた遺体が地下水脈の中を流れるようになったから奥さんの遺体が２年目にして浮上し、旦那の場合は既に地下水脈の流れが変わっていたから３日で浮上したのではないかという気がしないでもありません。　こうした現象が、どこの国でも普遍的に起こるものなのか、豊富なアルプスの雪解け水の類を前提とした局地的なものなのかは定かではありませんが、実際に起こっただけに、可能性としてはどこでも０では無いのかもしれません。　もっとも、井戸に死体を捨てるような事をしなければいいだけの話ではありますが　・・・。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３３６話：(2008/11/15)

2008.11.21

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法螺抜け

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３２２話　「法螺抜け」　豪雨が降り続いている最中に、轟音とともに何かが空に向かって飛んでいって、ごっそりと地面がえぐれていたような場合、法螺貝が龍になって空へ舞い上がったとか、巨大な田螺が空へ飛び上がったのだと解説されることがあります。　この場合の法螺貝は螺貝と書かれていることもあるのですが、本来は海の中にいるはずの法螺貝がなぜか山中などから突如として空に飛び立つ姿を見たという人がいたようです。　意外と、この手の目撃談は多かったようで、中国の古典にも登場するのですが、形状から考えてＵＦＯや宇宙船の類を昔の人が目撃したら、自分が知っているモノから類推して、巨大な法螺貝とか田螺とか栄螺とかいった表現になったのかもしれません。　ただ、かなり大きい物だったようで、俗説でも”山に３０００年、里に３０００年、海に３０００年を経た法螺貝は龍となって昇天する”としているくらいですから、法螺貝が（もし）９０００年程度生きていられればこのくらいになるのではないかというサイズの”何か”ということだったのではないかと。　また、一つの貝がひたすら大きくなって龍に転じるのか、複数の貝が同じ場所で大きくなって一斉に天に昇っているのかは話が分かれていて、大雨の前後に目撃されたという話では一つの貝が、大地震の時に目撃されたという話では複数の貝が目撃されているようです。　例えば、”東海道風景図会（安藤広重、柳下亭種員）”の明応８（1499）年の大地震の時の記述によると、”大地震して山奥より螺貝おほくぬけ出、其跡惣海となれり”といったことになっています。　ちなみに、其跡惣海となれということで、螺貝が飛び立つ前は陸だったのに海になってしまったというのは東海道の舞阪宿と新居宿の間の従来は砂州で繋がっていた場所のこととされ、明応の大地震でこの砂州が決壊して、浜名湖と太平洋が繋がってしまった変動が該当するとされています。　これまたおなじみの”桃山人夜話　絵本百物語（竹原春泉画）”では同様の話が”出世法螺”として知られていますが、雷のような光と大音響を伴ったとかいった記述が瓦版などに残っているケースもありまして、抜けた跡は法螺抜けと呼ばれる事もあったようです。　日本の場合、大地震が起きると、一気に地面が２～３ｍ隆起したり沈降したりした事もあったようで、そうした大規模な変動が起こった痕跡として、珊瑚の化石などが海岸の崖の途中などに残されているケースがあります。　つまり、緩やかな地殻変動で年に数ミリとか数センチ程度の沈降や隆起が起こっていた場合は、珊瑚といえども徐々に生存に適した水深へ移動する事ができるのですが、一瞬で数メートルという単位で動いてしまうと、珊瑚虫が生存できない環境へ（時には大気中や、より深い海の底へ）短時間で移動してしまうこととなり、結果的に、断崖の途中などに枯死した珊瑚の残骸が帯のように残るわけです。　もちろん、海の平均海水面が極めて短時間に数十センチ～数メートル変化しても同様の痕跡が残るのですが、どのくらいの”短い時間”なのかに関しては意見が学者によって分かれているようです（笑）。　ただ、地震被害をあれこれ検証していると、数秒とか数十秒で数センチから十数センチの地表面というか地盤の沈降や隆起が発生するというのは日本の大規模地震では珍しい現象ではありませんから、それほど時間をかけなくても起こりうるのではないかと考えられます。　つまり、一定のペースで、年に数ミリといったじわじわと隆起や沈降をして地形が変化している地域もあるのでしょうが、数秒とか数十秒という程度の地震や火山活動などで通常の何百倍も何千倍も地形変化が発生してしまうこともあると言うことです。　そして、大規模な地形変化が一瞬にして起き、その変化した地形が大きな貝が地面から抜け出たように見えたり、或いは、ダイダラボッチの巨人伝説で巨人が残した足跡として語られる窪地や池として伝えられている可能性があるのではなかろうか？　もっとも、逆に、宇宙船の類が石になったとかいった話もあり、福島県会津の滝沢峠にある舟石は、神様が降臨するときに乗ってきた舟が石になったという伝承があります。　興味深いところでは、中国の江西省の炭鉱から巨大な石炭脈石が出土しているのですが、大きな物で直系が１ｍ５０センチ程度はある黒い碁石のような形状で、厚さが６０センチ、重量が１トン前後とういうものが出てきているようです。　その形状などから、ＵＦＯが化石になったとか、大きな二枚貝の一種が化石になったといわれれば信じてしまいそうな気がしないでもありません。　ちなみに、この石炭脈石が形成されたのは、３億年くらい前の事のようで、古生代の石炭期後期からペルム期前期くらいではないかと考えられているようです。　もし、この石炭脈石が何らかの動植物が石炭になったものだとすればと、空に飛び立ち損ねた螺貝の仲間が化石になっている可能性もあれば、後少しで空に飛び立つ法螺貝がどこかの地中に眠っている可能性もあるわけで、ガメラの如く火を噴きながら空を飛び回るかどうかはともかく、私たちの知らない何かが地中に埋まって飛び立つ時を待っている可能性を全て否定しなくてもいいのかもしれません。　かといって、法螺貝の類ならともかく、マクロス艦のような物騒な代物の場合は勘弁で、埋もれたまま石炭にでも石油にでもなってもらった方がお互いのためによさそうですが　・・・。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第３２２話：(2008/10/30)

2008.11.05

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空耳アワ～

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２８４話　「空耳アワ～」　念のために書いておくと、そもそもの”空耳アワー”というのは、ＴＶ番組”タモリ倶楽部”の中の人気コーナーで、洋楽の歌詞が本来の意味とは関係のない日本語に聞こえる（ような気がする）という視聴者からの投稿を紹介しているものだったりします。　したがいまして、そういった洋楽の歌詞が日本語で○○と言っているように聞こえるというネタはタモリ倶楽部の方を参照していただくとして、そこはそれ怪しい話的な空耳アワ～を解説していこうかなと。　これまた念のため、”空耳アワー”ではなく”空耳アワ～”と姑息に表記を変えているあたりが怪しい話的な手法だったりするのですが（笑）。　それはさておき、以前、生体ラジオ現象とでもいいましょうか、荒野とか都心の特定の場所とかで、頭の中にラジオ放送が鳴り響く事があるという話をしたことがあるのですが、一応、虫歯などの治療で虫歯に被せた上の歯と下の歯の合金が受信装置と（上下で合金の種類が違ったりすると）微弱電流の発生源を兼ねる事となり、頭蓋骨が増幅共鳴板となり、鉱石ラジオのような原理で特定の局の放送が受信されてしまう事がありうる　・・・　とかいった解説もあります。　んが、野外で野鳥の声などを録音していると、既存のラジオ放送ではなく、死者の声が録音機材に入ってくる事があるそうで、それも、録音している人の近親者の声や近親者しか知らない内容であることが多いそうです。　多くの場合、現地で録音しているときには気が付かず、持ち帰ってチェックしていると既に亡くなっている母親が呼びかけてきている声が入っていたとか、祖父の独特の咳払いの音や子守歌などが入っていたとかいった事に気が付くようです。　こうしたケースでは、録音された音声の内容が当事者のプライベートに関わっているためか、個人の所蔵として外部には出さなかったり、そのまま消して無かった事にする人が多いため、あまり表面化していないというもっともらしい解説が付くこともあります。　もっとも、これが全くの法螺話かといえば、湿原や樹海、あるいは山奥などでウロウロしていると実際に怪しい音声に遭遇する事があったりしますので、一概には否定できないかなと。　古くは”天狗笑い（人気のない山の中などで、どこからともなく隠れて哄笑(こうしょう)する声が聞こえる現象）”も、山の怪音の典型の一つですが、人気の無い山でテントを張っていて一晩中（脈絡がほとんど無い）人の声に悩まされる事は実際にあります。　こうした現象に関しては、大気の温度や風向きなどによっては、かなり離れた場所の音が届く事があり、数百メートル離れた場所の会話などが増幅されながら聞こえる事がある他、稀に地形的に反響して、山の向こう側の声が（やはり自然条件によっては増幅されて）聞こえたりする事があるとかいった、あまり面白くない解説もあります（笑）。　深山だけでなく、樹海の怪音としても有名なのは、”読経が聞こえる”とか”赤ん坊の泣き声が聞こえる”とか”人の声が聞こえる”とかいった現象ですが、これもそれなりに説明が付くとされています。　一番説明がシンプルなのは、人気の無い樹海なのに”人の声が聞こえる”というもので、これは遊歩道や普通の道路が思っているよりも近くを通っているためだそうです。　つまり、樹海や獣道しか無いような見通しの悪い山の中を移動する場合、地形によっては１キロ進むのに１時間以上かかることさえあるわけで、平地しか歩いた事の無い人の体感としては数キロは直進して道路からかなり奥地に入っているつもりでも、実際は、人が行き来する道路から百数十メートルくらいしか離れていないため、特に生活音などの雑音の類が少ない野外では、風向きなどにも左右されるそうですが、遠くの人の声などが間近に聞こえても不思議ではないそうです。　もちろん、オカルトちっくに、樹海などで自殺した人の霊が語りかけてきているとか、霊どおしが会話しているとかいった説に傾く自由はあると思いますが　・・・。　実際に、森林地帯を移動していてびびってしまうのは、読経や赤ん坊の泣き声ですが、これもある程度慣れてくると、連続して聞こえなかったり高低がまちまちだったりするためか違和感を感じるそうで、そういった違和感を突き詰めていくと、かなり高い空中からそういった音が聞こえてくる事に行き着くのだそうです。　まさかという解答かもしれませんが、樹木の枝などが風で動いてこすれて生じる音が何重にも重なった結果として、読経や赤ん坊の泣き声のように聞こえてしまうのだそうです　・・・　私は確認していませんが、ありえる話だとは思います。　ただ、そういった音の出所を求めて移動していて、なぜか数体のお地蔵様が設置されている少し開けた場所に行き当たったりすると、頭では分かっていても心が揺らぐ事があるそうで、”別にオカルト的な解釈でもいいんじゃないですか。”という意見もあります。　そういえば、青木ヶ原の樹海で方位磁石（コンパス）が効かなくなるというのは本当ですかという質問があったのですが、その手のことに詳しい人に効いてみたところ、”そんな場所は無い　・・・　か、極めて限定されるエリアなので、コンパスが効かなくて困る事は無い”のだそうです。　で、”どちらかといえば、山岳地帯などで鉱石が露出していたり地表に近い場所などではコンパスが効かなくなる事が実際にあるため、そのあたりの話と混同しているのではなかろうか？”とのことです。　また、”樹海や森の中で（富士山などの）近くの高い山で方向を確認しようとしたり、太陽の位置などから方角を知ろうとしても、ほぼ不可能なので、地図と、コンパスやＧＰＳは土地勘の無い場所の野外活動の必需品”だそうです　・・・　そういった場所をウロウロする趣味は私にはありませんが、一応、書いておきます（笑）。　ちなみに、町中で多い怪音としては、街を歩いていて”おい！”とか”あの　・・・”といった台詞で（耳元に後ろから）呼びかけられて、声がした方向へ振り返ってみると、目視できる範囲には誰もいなかったというものが有名ですが、これもまた、街が発している雑多なノイズが（幾つか重なって）、たまたま耳元まで届いた現象という、これまた面白くもなんともない解説があります。　ただ、後ろから”おい！”と呼びかけられた気がして、”なんでしょうか？”と答えながら振り返っても誰も近くにはいなくて、一緒に隣を歩いていた友達に、”誰に返事をしているの？”と聞かれたりする話もまた実在しますので、私的にはオカルト的な解釈もありではないかと（笑）。　まあ、自然現象で発生している怪音の場合は、再現性がある事が多く、同じような場所で同じように聞こえる確率が高く、樹木が伐採されたり、道路が通ったり、建物が建て替えられたりすると消えてしまうようです。　では、霊絡みというかオカルト的な怪音は？と聞かれれば、長くなって参りましたので、それはまた別の機会にということで今回はここまで（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２８４話(2008/09/16)

2008.09.22

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小百合火

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２７０話　「小百合火」　小百合火（さゆりび）というのは、小百合という名前の女性の霊が火の玉となったものとして知られています　・・・　例によって、”一部では”ですが。　場所は富山県富山市ですが、小百合は逆さ吊りにされた上で鮟鱇切りにされたそうで、小百合が逆さ吊りにされたという榎（えのき）は富山市安野屋町にあり、磯部の一本榎として知られていたそうです。　富山を治めていた佐々成政の側室の一人であった小百合が密通を疑われ、殿、自らの手で殺されたのは安土桃山時代も終わりに近い天正年間（1573～1592）のことだったとされているのですが、一本榎のあたりで一定の行動を取ると火の玉が現れる現象は明治の頃までは続いていたようで、磯部の一本榎といえば、江戸時代には既に肝試しの人気スポットだったようです。　ちなみに、”一定の行動”というのは、一本榎の回りを”小百合、小百合、・・・、小百合”と唱えながら七回廻る事で、そうするどこからともなく火の玉が現れることがあったのだそうですが、３-89”雄島概論”などの回で書いたように、この種の儀式では、”右回りか？左回りか？”が意味を持つ事があります。　一本榎の場合はどちらに廻るのが正統とされていたのかは知りませんが、雄島のように、左に回ると黄泉への扉が開いてしまうと考えられている場所は少なくなかったりします　・・・。　それはともかくとして、死んだ人間の霊が死んだ場所の近くの樹木に宿るという話には意外と普遍性があり、大分県大分市の姫之宮春日神社の境内にある楠にも火の玉が絡む話があります。　この楠は樹齢が４００年を越すとも言われているのですが、そもそもの事件が起こったのが、大伴氏鑑が相続争いに破れ鶴崎城が落城した頃の話になりますから、下手をすると、楠がまだ生えていなかったというか植えられていなかった可能性もあります。　このあたりの判断が難しいのですが、神社が建てられているような御神域というのは、地脈などのパワースポットないしパワースポットの周辺ということが多いのですが、巨木が繁茂しているような場所も御神域として神社などが建てられている事があるようです　・・・　２つの要素を兼ね備えているスポットの方が圧倒的に多いとは思いますが。　つまり、無念の思いから鬼神となったような相手を抑えるために、神として祭り上げなければならないような場合、地脈の活動がかなり活発な火山国日本とはいっても、地脈系のパワースポットを利用する事ができないケースが出てくるわけです。　そうなると、巨石や巨木などを使って封じるような呪法を一定の様式で行い、無闇に後世の人がいじることができないように神社や寺などの人が常駐する必用が無い建物を”そこ”ないし”そこの近く”に建てるケースもあるということですが、ある意味で、古墳などの巨石建造物の中には埋葬者の霊が出てきて祟ったりしないように封じる目的で設計施工されている物件もあるようです。　そんなこともあって、古墳があったような場所に人が住むというのはかなりハイリスクな行為だと私は考えているのですが、もちろん、中にはその封じの波動とシンクロしやすい、普通の人ならおかしくなる波動を自然と利用できる人も一定の確率で存在します。　ただ、あまりにシンクロしてしまうと、死んだ後の魂の行き先も古墳というか霊的な仕掛けの一部分となってしまう確率が高いようで、そのあたりにも”人を呪わば穴二つ”の法則が成立しているような気がしないでもありません。　それはさておき、鶴崎城が落城したときに、氏鑑は討たれてしまうのですが、氏鑑の幼い姫が乳母に連れられて城から逃げ延びたのだそうです。　その後はよくある話といいましょうか、姫と乳母は逃げ切れず、今の姫之宮神社があるあたりで姫は乳母に胸を突かせて自害し、姫を埋めた場所の目印として楠を植えたとされています。　そういった処理をした後、乳母は近くの九六位山で自害したそうで、おそらくは姫の死（んだ場所）を隠蔽する目的で少し離れた場所まで移動したのではないかと考えられます。　姫を埋葬した場所の目印とした楠の幼木が、現在の姫之宮神社の境内にある楠の巨木となったとされているのですが、事の経緯をしっていた現地の人達が姫達を哀れに思ったのか姫達が自害した九月に祭りを行うようになったのだそうです。　そして、不思議なことに、その祭りが始まると九六位山の方から火の玉が飛んできて楠の枝にとまった事から、乳母が火の玉となって姫のところへやってきたのだと解釈されたようです。　それ故に、楠の枝にとまっているように見える火の玉を”乳母の火”と誰言うともなく呼ぶようになったのだそうですが、当時の風習から考えて、相続争いで男の氏鑑が討たれるのは戦国の世の習いとしても、同じ一族に属する女で幼い姫まで殺す可能性は極めて低かったのではあるまいか？　実際、姫の最後の場所に姫之宮神社が建てられているということは、（勝ち残った側の誰かの養女にした上で）政略結婚などの駒として使われる事はあったでしょうが、勝ち残った大友宗家の側に姫の死を惜しむというか哀れんだ人が少なからずいたということでしょうから、乳母さえ先走らなければ　・・・　と、思わないでもありません。　乳母の火の場合、一定の場所を行き交っていますから、単純に人魂というよりも、沖縄で言うところの遺念火（いにんび）の方が近いのかもしれませんが、”そんなのは、土中に含まれている燐が何らかの理由で燃えて浮き上がり、風に乗って移動しているのに過ぎない　・・・”とかなんとか野暮な事を言う人も必ず出てくるわけで、同じ現象を見ても解釈は十人十色ということかなと。　ただ、特に豊臣秀吉などは、殿様が潔く自害して恭順するのならば残された一族の罪は不問とし、後日の領地の増減や国替えといった処置はともかく、必要以上に命を取ることは極力控えて余計な怨みを買わないようにしていたようで、その辺りが、織田信長と豊臣秀吉の最期の違いになっていったような気がしないでもありません。　中には、城主の娘（姫ですな）を側室として差し出せば少々の事は不問とした事例もあり、織田信長と比較すると人として”（女に）甘い”部分を意図的に持つというか演出することの有効性に関しては、徳川家康など他の戦国大名達の多くも十分に参考にしていたのではないかと指摘する人は少なくないようです。　もっとも、こういった怪異談で語られる背景がどこまで実際に起こった事を伝承し反映しているのかは確認のしようが無いといえば無いわけですし、榎にしても楠にしても、火の玉は既に見られなくなっているようです。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２７０話(2008/08/30)

2008.09.05

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地獄の声

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２５５話　「地獄の声」　特定の音や声を聞くことで死んでしまう話というのがあるのですが、実際に特殊な高周波や異常に高いサイクルの殺人音波を出す自然地形というものが存在していて、有名なところでは、インドネシアのスマトラ島北部にあるシバヤック山（2145m）の”スアラ・ナラカ”が知られています。　スアラ・ナラカは直径が約２ｋｍ、深さが約３００ｍの穴なのですが、穴の内部に蜂の巣状の横穴が並んでいて、おそらく、そこから出ている音波が人の耳の三半規管を一瞬で破壊してしまうのではないか　・・・　と推測されています。　惜しむらくは、調査しに現場へ出かけて行って正気で戻ってきた人がいないためか、未だに”詳細は不明”ということになっているのですが、写真などは撮影されていて、スアラ・ナラカが実在し動物なども近寄らない事は確認されています。　もっとも、地元の人達にとっては、”悪魔が住んでいて、地獄の声が聞こえる。その声を聞いてしまうと悲惨な死を遂げることになる　・・・”と代々語り継がれている伝説の場所だけに、この世とあの世が繋がっている場所である可能性も排除しなくていいのかもしれませんが。　リアリストが好きな現実では、物質にはそれぞれ固有の振動があり、そこに一定の振動を外部から加えられると崩壊することがあるので、もちろんそちらの解釈でもかまいませんが（笑）。　ただ、ジェリコの城壁の話にもあるように、そういった理屈が知られていなかったであろう昔から、経験的に、太鼓やラッパを演奏したときに出る音というか衝撃波のような現象は広く知られていたようです。　ちなみに、ジェリコの城壁に関しては、日本では新世紀エバンゲリオン（ガイナックス）のＴＶシリーズでヒロイン（？）のアスカが自分の寝所と主人公（？）のシンジの寝所との間を隔てる襖が難攻不落のジェリコの城壁であると宣言した事で知名度が増したのですが、私的には、”ジェリコの城壁ってあっけなく崩壊したけどいいのか？”と本放送当時から疑問でしかたがなかったりします。　何故、アスカがジェリコの城壁をあのシーンで持ち出したのかは謎なのですが、ジェリコとかエリコというのは地名で、実際にはイェリコが近い発音になるそうなのですが、現在では、パレスティナのヨルダン川西岸地区にある村の名前として知られています。　位置としては死海の北方約８kmのあたりで、標高が海面下250mというのが一つの特徴になっていますが、旧約聖書などでヨシュアに率いられたイスラエル人達に奇抜な手段で攻略されたことが記されています。　一番メジャーな記録と思われる旧約聖書の”出エジプト記”によると、モーセの後継者であるヨシュアがジェリコの街を陥落させる際に、ジェリコの街を守っていた堅牢な城壁が文字通り障壁となったので、ヨシュアに従っていたイスラエルの民達が契約の箱（後の”失われたアーク”）を担いで７日の間城壁の周りを廻り歩き、その後、角笛を城壁に向けて吹くと、さしもの巨大で堅牢なエリコの城壁も崩れ街は陥落した　・・・　のだそうです。　以前にも何度か書いたように、一般論として、城攻めというのは攻める側が守る側の三倍以上の兵力を必用とされ、それ故に、武将達はいかに城塞を（一般に必用とされる兵力よりも）少人数で知略を駆使して攻略するかで自分の名が上がると考えていたようですから、ヨシュアの非凡な軍事的なものを含めた才能や契約の箱の神秘性などをアナウンスする目的もジェリコ攻略の話には少なからずあったのかもしれません。　なんとなれば、当時のエリコは廃墟同然に荒れていて、ほとんど人が住んでいなかったという説があり、ヨシュアたちがやってきたときには既に城壁の大部分が崩れていたのではないかという疑惑があるわけです　・・・　その場所に私がいたわけではないので、疑惑に過ぎませんが（笑）。　なお、契約の箱というのは、その形状が意外なことに日本の祭り御輿に似ている事が知られているのですが、聖書などの記述から推測すると、なんらかの電磁兵器だった可能性さえある代物だったりするのですが、これに関してはまた別の機会ということで今回は略。　いずれにしても、楽器などを演奏すると空気が振動して衝撃が伝わり離れた場所にあるコップなどのモノが動く事があることは昔の人にとっても日常レベルで知られていた事だったと考えてもそれほど無理がないと思うのですが、或いは、大きな物音が雪崩を誘発することがあるあたりから攻城兵器として”角笛を吹いたら城壁が崩れ落ちた！”ことになったのかもしれません。　ただ、スアラ・ラナカの様な”悪魔の声”の場合、単純な衝撃波や高周波の類が引き起こしている現象というよりも、どちらかといえば、”味噌蔵で下手くそが唄うと味噌が腐る！”とか、やはり”酒蔵で下手が唄うと酒が酢になる！”話の方が近いのかもしれません。　実際、特別な音波が出ていなくても、単に下手くそなピアノ奏者がしつこく練習しているだけで、その音を無理矢理聞かされるハメに陥った人達は殺意に近いものを抱く事が多いようですし、どちらが”地獄の声”に近い現象なのか微妙～な気がしないでもありません（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２５５話(2008/08/13)

2008.08.19

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温暖化の矛盾

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２２２話　「温暖化の矛盾」　これまでにも何度か、”地球の温暖化が進行していることに疑問の余地は無いけれど、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が温暖化の原因ではない”という立場に怪しい話は立っていると明記していることは御存知の通り。　そして、現在進行している地球温暖化の主因は太陽活動の活発化であり、人類が何をしたところで止めようがないという立場で話を進めている事も御存知の通り。　もう少し踏み込んで書いておくと、二酸化炭素濃度に関しては、”温暖化が進行したから二酸化炭素濃度が上昇したのであって、二酸化炭素濃度が上昇したから温暖化が進行したのではない”とも考えています。　もっとも、こう書くと、映画”不都合な真実”にも採用された大気中の二酸化炭素濃度の上昇と気温の上昇が比例している折れ線グラフを片手に”何を非科学的なことを　・・・”と鬼の首を取ったかのように騒ぐ人達がいることは重々承知しております（笑）。　にもかかわらず、その手の人を阿呆よばわりするのは、”人類の産業革命以降の産業生産の増大に伴って増加した二酸化炭素　・・・”という枕詞を付けた上で彼らがその手の主張を繰り返しているからだったりします。　特に産業革命以降に本格的な発展を始めた工業生産は、日本における公害問題でも見られたように、大気、水、土壌などを人類が生存するのには適さない汚染物質で広域に汚染した事から、どこかで”またか？”という意識が働いていることは否めないのではないかと。　しかしながら、数値データを見ていると、明らかに矛盾するカ所が嫌でも目に付くわけで、”それはそれ、これはこれ”と分けて考えるべきところは分けて考える客観性が必用では無かろうか？　仮に大気中に放出される二酸化炭素が温暖化の原因ならば、１９４０～１９７０年くらいの地球の平均気温が下降している事をどう説明するのか？　時代としては、第２次世界大戦からベトナム戦争あたりまでが該当するのですが、この３０年程の間というのは、世界規模で産業生産が増加し、二酸化炭素の排出量が劇的に増加した時期でもあるのですが？　もっとも、大気中のメタンガス濃度が上昇した場合は、地球温暖化が一気に加速するという立場にも立っていますから、既に北極圏の氷の下で眠っていたメタンガスの気化が始まっていて、温暖化の進展とともに本格化してきている現状では、”やっぱ手遅れちがいますのん？”と。　といった話をしても、”地球シミュレーターのような高性能スーパーコンピュータでシミュレートした結果が　・・・”と主張する人がいるのですが、”明日の天気さえ正確に予測できない気象モデルを根底に抱えた長期シミュレートを神様からの神託であるかのように盲信する神経”というのが私にはよくわかりません。　それほどシミュレート結果に自信があるのなら、なぜ、今後数十年の月別気温と降水量のシミュレート結果を地域別に公表しないのか？　極論すれば、２００８年の上半期だけでも、ミャンマーを襲った大型サイクロンや中国南部の大洪水、あるいはほぼ同時期の九州の大雨などを”地球シミュレーターなどのスパコンが事前に警告した”という話を寡聞にして私は知りません。　つまり、ごく最近の気候変動さえシミュレート上で（発生を）予測していなかったのではないのか？ということで、その程度の予測精度でしかないのに、１０年後、２０年後　・・・、２１世紀中頃、２１世紀末（２２世紀初頭）にはどうなっていますこうなっていますと言われてもねえ？　実際、現実の事態の推移はこれまでの専門家達が公表していた予測よりも前倒しで推移しているのは素人目にも明かで、それは何らかのファクターが織り込まれていない事を意味している可能性が高いわけですし、太陽系規模で生じている温暖化など、複数の視点から検証していくと、”やっぱり、人類が今更二酸化炭素の排出量を減少どころかゼロにしてもどうにもならないところまで既に事態は進行しているんじゃないの？”と、私は邪推しています。　ただし、既に決定的かつ精密な予測データは算出されて各国の首脳達は既に承知しているものの、今更、”もう何をやっても無駄です”とは自国の国民に言えないから、”まだ間に合う”とか”みんなが努力して二酸化炭素濃度を下げれば　・・・”とか主張して社会が混乱するのを押さえている可能性もあるわけです　・・・　邪推の極みですが（大笑）。　例えば、仮に、後１０年程度で（平均気温や平均海水面の上昇、自然災害の大規模化などなどが原因で）現在の産業活動や経済活動は根底から崩壊する事が現時点で９０％以上の確率で予測できていたとすれば、少なくとも私は公的年金には参加せずに、その分、自分で好きなように使います　・・・　貯金をしたり、林檎の苗を買ったりするかもしれませんが（笑）。　欧羅巴諸国の動きを見ていても、二酸化炭素の排出権ビジネスに見られるように、この変動を金儲けのチャンスくらいにしか考えていないのではないのか？という気がしてくるわけで、既に、かなり精細な変動予測が出回っていて、その上で、温暖化の後の世界への準備を進めているのではないかという気がしています。　ただ、どうも日本だけが蚊帳の外といいましょうか、何か欧羅巴グループでもない、亜米利加グループでもない、大きなパーティに招待はされたものの、ぽつんと一人で立っている間抜けのようにしか見えなかったりします。　で、たまに、誰かが挨拶に来てくれると、大喜びで尻尾を振って、自分もどこかに加わろうとするのだけれど、明確な国家戦略を持っていないこともあって、意中の人達は誰も相手にしてくれない　・・・。　まあ、現在の社会を支えているシステムが十数年というタイムスパンで根底から崩壊し、事前の予測よりも早い段階で食糧や飲料水が不足し、平均海水面の上昇と気象災害の大規模化で住む場所が減少していく近未来の現実を直視し、根底から社会を改変するよりは、”我々が努力すれば地球温暖化は止められます！”とか”まだ、間に合います（現在のような生活が続けられます）”とか主張している方が心地よいとは思いますが　・・・　。　温暖化対策の一環として、環境税などの新しい税金を課税したり、消費税の税率アップなどを政府は主張していますが、”政府の主張する温暖化対策を実施すれば、それで温暖化は止められて、世界経済も軍事バランスも崩壊せず、餓死する人がいない未来がやってくるのですか？”と私は聞きたい。　というか、温暖化が進行した後の世界を前提に、今から対策を練って布石を打っておく時間帯に既に突入したんじゃないのかと思っているのですが　・・・　ま、一番酷い目に遭う若い世代が騒がないんだから、それでもいいということなんでしょうかねえ？初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２２２話(2008/07/05)

2008.07.11

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磁極の移動

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２１１話　「磁極の移動」　北米の先住民として知られるホピ族は、独特の預言を継承していることでも知られていて、その預言の大半が既に現実になっていることでも知られています。　まあ、ホピ族に限らず、特定の民族固有の”世界が滅びる預言（や伝説）”というのは珍しいものではないのですが、そうした預言で示された内容の多くが、既に現実となり、成就していない預言の数から考えると、”もう時間が無いのではないか？”という気が私はしています。　ちなみに、ホピ族の預言としては、（現在の）４番目の世界が滅びを迎えるときの”９つの前兆”という預言が有名なのですが、今回はこれとは別の預言がネタ元になっています。　その預言は、現時点では地軸の移動を預言していると解釈している人が多いのですが、具体的には、”両極の二匹の（水）蛇の頭と尻尾に座る二人の軍神が力を緩めると、蛇は動き、大地を動かす”という内容になります。　欧羅巴の常識として、１５世紀の頃まで”地球はお盆のように平たい”と考えている人の方が多く、地動説の基本的な概念である、”地球はボールのような球状で回転（自転）しながら太陽の回りを一定の周期で回っている（公転）”という知識が一般に普及し公認されるのは１９世紀に入ってからのことになります。　このあたり、キリスト教の影響力が強い時代は”（神様が造ったのだから）地球が宇宙の中心にあって、太陽や星々の方が地球の周りを回る（天動説）”と考えられ、十字軍遠征やペストの大流行などで経済的に疲弊し王制を立て直す必用が生じたときにキリスト教の影響力を弱める必用が出て来るまでは、地動説の方が異端で、１６３３年に羅馬に召喚されて宗教裁判にかけられ審問されたガリレオ・ガリレイ（1564～1642）が身の安全のために地動説を否定しておきながら”それでも地球は回っている　・・・”と、こっそりつぶやいたとかいった法螺話が知られています。　もっとも、コロンブス（イタリア語名でCristoforo Colombo、英語表記でColumbus：1451～1506）が新大陸目指して船出した１５世紀末には、既に”地球は丸い（のではないか）”という天文学の知識はかなり知られていたようで、”後は誰かが実証するだけ”という状況ではあったようです。　考えてみれば、葡萄牙のマゼラン（1480～1521）が５隻の船で世界周航に出発したのが１５１９年（で、フィリピンで原住民と交戦して戦死したのが1521年、１隻だけになって部下達が帰国したのが1522年）の事ですから、ガリレオが宗教裁判にかけられていた頃には、既に”地球は丸く、地球の方が太陽の回りを公転している”という知識は船乗りや王侯貴族の間では常識になっていたと言えます。　つまり、広い海原を遠洋航海をするときは、星や太陽の位置を観測して位置の特定ができないと自分が何処を走行しているのかわからなくなるため、天文学の知識が必須であり、宗教的な宇宙観ではなく、実用的な宇宙に関する知識が必用となっていたわけです。　ちなみに、どちらに向かって進んでいるかはコンパス（磁石）があればある程度は分かるのですが、磁石が示す北（磁北）と地球の回転軸があると仮定される地軸の北端（北極点）は一致していません。　地磁気に関しては、これまでにも何度か書いてきましたし、正確に説明すればするほどわけがわからなくなりますが（笑）規則的な・日周変化・年周変化・永年変化と、磁気あらしのような不規則な変化が知られている地球の磁力現象とでもいったことになります。　現時点では、地磁気が発生したり変化する原因の大部分は地球内部にあると考えられていて、地磁気の西方移動現象などから地球の核内に流体運動があり、その動きによって磁気が生じている（ダイナモ理論）が支持さています。　地磁気や磁極に関しては、地球を巨大な磁石に例えて説明する事が多く、巨大な磁石に見立てた地球磁石とでもいったものを”地球磁場双極子”と呼ぶこともあります。　もっとも、今回のネタと直接関係するのは、地球磁場が地質時代において何度か向きが逆転した（７８万年前には完全に南北が入れ替わった）事さえある　・・・　といったことが古地磁気学の研究などから明らかにされている事だったりします。　古地磁気学というのは、地球表面にある岩石に残された自然残留磁気などを手掛りにして、地質時代の地球を研究したり、地球磁場の変動などを研究する（比較的地味な）学問なのですが、人類滅亡預言にとっては不可欠の知識となります。　つまり、日月神事で”上下ひっくり返るぞ。水も洩らさん仕組みぞ　・・・”といった預言に遭遇したり、ホピ族の両極の二匹の水蛇の預言に遭遇したときに、学問的にあり得る話と考えるか、単なる法螺話や妄言の類と考えるかの分かれ目になるという意味でですが　・・・。　悪いことに、地磁気がここのところ弱くなっていて、磁極の揺らぎが大きくなってきているという観測データが多くなってきていまして、なんとなく”地軸なんてものは（地球儀の回転軸のように）固定されていて半永久的に動かない”と思いこんでいる人が多いのですが、結構、ふらふらしているわけです。　少なくとも、加奈陀や南極で観測されている磁極の位置はこの数年急激にブレが大きくなってきていて、年間の変化で、２０～３０キロくらい動いている年が多くなっているようです。　例えて言えば、独楽が勢いよく回っているときにはブレが少ないのに、回転が弱くなってくると軸がブレ始め最後は大きく傾いてしまう　・・・　といった変化を連想してもらうとわかりやすいかもしれません。　２０世紀末あたりから顕著になってきた磁極の移動は、マントルスリップと呼ばれる事が多くなってきているのですが、地球内部のマントルと地球表面の地殻が、地球の中心にある核（コア）の表面を滑っている現象と推測されています。　一つの仮説として、２００４年に発生したスマトラ島沖地震は北極の自転軸が短時間に２cm程度動いたことが原因とする説が公表されています。　その後の、中国四川省大地震にしても、従来の地球物理学のプレート理論だけで解釈するのは（私は）無理があると思いますし、地軸の移動と地球内部の異常という概念を導入すると、腑に落ちるところが多いのではないかと。　ちなみに、第３シリーズ第１７８話「フォトン」などで書いたように、太陽が２０１０～２０１２年頃に過去に類例のない極大期を迎えると予測されているわけで、その時に太陽から放出される荷電粒子が大きな磁石に例えられる地球に影響を与えないと考えるには無理があるのではないかとも考えています。　そうした時、地球磁場が帯電する可能性は指摘されているのですが、太陽からの電磁エネルギーは地球内部へも取り込まれるでしょうから、地球内部でかなり大きな変動が起こるのではないか？ということです。　最悪、大規模なマントルスリップなどが発生して地球の回転が変化する事もあり得るわけですが、次悪としては一時的に地磁気が消失した後、短時間で南北の極が入れ替わる規模の地軸の移動（ポールシフト）が発生することもあり得るという、下手なＳＦ特撮も真っ青な未来の光景がそこには導かれるわけです。　もちろん、そこまで大規模な変動が起こらず、だらだらと日常が続く　・・・　といった光景も十分ありえる近未来の光景の一つなのですが、まあ、ここは怪しい話ですし（笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第２１１話(2008/06/23)

2008.06.28

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原発と温暖化

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１９５話　「原発と温暖化」　日本のマスコミの論調で、”こいつら馬鹿か？それとも、国民をよほど馬鹿だと思っているのか？”と考え込んでしまうのは、”原子力発電所は二酸化炭素を排出しないから地球温暖化対策の切り札になる”とマイナス面を検証せずに主張することではなかろうか？　原子力発電の仕組みを大雑把に説明すると、濃縮されたウランなどが核分裂するときに生じる熱エネルギーで水を沸騰させて蒸気を発生させ、その蒸気を使って発電器のタービンを回して発電するという事になります。　といった話をすると、”原子力発電って、蒸気機関車と大差が無い熱効率なんですか？”と聞かれる事があるのですが、そこまで効率は悪くないけれど似たようなものということになります。＊　原発で発生する核分裂によって生じる熱の約３分の１が発電に、残りの約３分の２が海水の加温に使われているという試算もある。　もっとも、一度始まった核分裂を制御する事はまだ難しいようで、夜間になって、電力の消費量が減ったから少し核分裂を止めたり低下させようといった細かなコントロールは苦手と書いてもいいようです。　それ故に、出力調整用の揚水発電所が併設される構造になっている原発が日本には多いのですが、揚水発電所の発電（？）効率は１０を投入して７が回収できる程度の効率ですから、実質は蓄電所と言った方が正確かもしれません。　また、”下水が整備されていない水洗トイレのようなもの”と揶揄される事があるように、使用済みの核燃料や低レベル核廃棄物などを（美しく言えば）処理する場所を確保する事に苦労しているのは御存知の通り。　個人的には、今後の温暖化の進展で世界的に原発の最大の問題となるのは、原子力発電所が”真水”の大量な利用を大前提としていることではないかと考えているのですが、なぜか、原子力発電を擁護する人達は口をつぐんでいたりします。　というか、これまで原子力発電に反対している人達が指摘していた、”原発の大規模災害に対する脆弱さ”に関しても、新潟地震で刈羽崎原発が現実に稼動停止に追い込まれる被害を受けるまで”そういった事態は起こり得ないように設計されている”と主張し、問題提起した側を”と学”扱いしていた（自称）知識人が珍しくなかったことは御存知の通り。　冷静に考えれば、地球温暖化対策で新たに原子力発電所を造るよりは、省エネを進めたり、自然エネルギーに切り替えていくことで、既存の火力や原子力発電システムを廃止して、日本全体の総エネルギー消費を減少させていく事が温暖化対策に有効な事は馬鹿でもわかる理屈ではなかろうか？　これを書いている時点の消費速度などから推計すると、原子力発電に使えるウランの確認埋蔵量は６０～７０年分しかないわけで、これは２１世中には”原子力発電所は完成したけれど燃料のウランが無い”時代が到来することを意味しているわけで、問題を先送りしているだけではないかという気がしないでもありません。　日本政府が多額の税金を投入しながら技術的な問題が解決できないでいる”もんじゅ”に代表される高速増殖炉技術が軌道に乗ったとしても１０～１５年分程度の効率化が実現できれば良い方だという試算もあるくらいで、少なくとも、永遠に原子力発電が可能になるというわけではありません。　また、せこく考えれば、原発で発電をするということは、水を加温して蒸気を発生させるということで、二酸化炭素は発生しなくても、炉心で核分裂が発生している限り加温された水が２４時間体制で排出され続けるわけですから、水温を上昇させて直接温暖化を進めているわけです（笑）。＊　ちなみに、石炭を使った火力発電所の熱効率が約３０～４０％程度、石油を使った火力発電所で約５０％という施設が日本には多い。　何よりも、日本の電力会社の行動で驚いているのは、”オール電化住宅”を促進させたことで、結果的に、京都議定書以降、日本の電気消費量を増大させた主犯になっています。　なぜそれが問題なのかといえば、日本が排出している二酸化炭素は上位の１６０～１７０件程度の工場や発電システムなどから出ているためです。＊　日本の二酸化炭素排出源の約４分の１が５１基の火力発電所からという試算もある。　もう少し詳しく書くと、製造業関連の工場などに関しては、以前から二酸化炭素を排出していましたし、経費節減ということもあって省エネも大なり小なり進んでいますから、京都議定書が締結されて以降もそれほど極端に増加していません。　二酸化炭素排出量が多い企業の中には、１９８０年代くらいから、海外へ生産拠点を移した企業も珍しくなくなっていますから、上位の施設といえば、鉄鋼業と発電所が中心になっているという試算もあります。＊　日本はなぜか鉄鋼業がどれくらいの量の二酸化炭素を排出しているかを企業秘密として非公開とすることを政府が（これを書いている時点では）公認している不思議な先進国だったりします　・・・　それ故に、日本の二酸化炭素排出問題を考えるときは、推計とか約という曖昧な部分を残すことになります。　電気の消費量が減れば、新しい原子力発電所は不要となり、火力発電所も自然エネルギーを利用した発電所で代替する事も可能になっていくわけで、それが費用を掛けずに二酸化炭素排出を抑制する一番の近道だと私は考えますが、日本政府や電力会社はそう考えなかった”オトナの事情”があるようです。　邪推すれば、”自分たちの利益を守るために、あるいは増加させるためには、電気の消費を拡大させなければならない、そのためにはオール電化を進めよう。それで二酸化炭素の排出量が問題になるのなら、原発を造ろう！”という、どこかで見聞きしている流れの根底には、既得権益を手放さず、結果的に人類が滅ぶとしても、自分たちの増収増益を優先する意思や思考があるのかなと。　何度も書いているように、地球温暖化の原因究明とは別に、現実に進行している温暖化への対策が必要なわけで、二酸化炭素が温暖化を加速させているというのなら二酸化炭素の排出量を減少させ、平均海水面が上昇しているというのなら防潮堤を強化したり排水ポンプの類を設置する必用があるのは馬鹿でもわかることではないのか？　或いは、日本の場合は、石炭や鉱山の廃鉱を利用して、食糧や物資を備蓄したり大規模シェルターを構築するような事も絵空事ではなく実行しなければならない時期に来ていると私は考えていますが、危機感が薄いなあ～と。　地球温暖化に対する日本の取り組みを検証していて、心底、銭の亡者かこいつらは？と思うのは、現状維持を続けて、既得権益を守り続けて金を稼ぎ銀行預金が天まで届くような金額になったとしても、それが無価値になる時代がすぐそこにまで来ている事には目を閉じて、子供や孫の代にツケを回し続けて恥じない行為を続けている事。　もっとも、最大の問題は、そういった年寄り連中の態度に若い世代が自分の頭で考えることを放棄し、目立ったリアクションを起こしていないことだと思うのですが、”まあ、一番酷い目にあう世代がそれでいいというのなら、それでもいいか？”とここのところ（私が）思うようになってきているのは御存知の通り（大笑）。初出：一夢庵　怪しい話　第１９５話(2008/06/04)

2008.06.10

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消えていく海

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１７１話　「消えていく海」　古典ＳＦに”海が消えた時（チャールズ・エリック・メイン）”というのがあるのですが、ジュブナイル版の”消えていく海”を幼少期に読んだ人もおいでかと。　この話は、太平洋上の連続核爆発実験で地殻が破砕されてしまうあたりから話が急転回していきます。　その実験でできた地殻の破砕孔があまりに大きかったため、地殻の下のマントルまで海水が流れ込んでしまい、マントルで熱せられた海水は水蒸気爆発を起こして更に地殻を破砕していく　・・・　といった、まあ、冷静に考えると穴がありそうな展開の話ではあります（笑）。　途中をはしょると、海の大半が干上がってしまい気候が激変して人類は滅亡へと向かうことになるのですが、例によって結末は内緒です。　それはさておき、今回の消えていく海というのは、海が消えて無くなるというよりも、私たちが常識として知っている海の生態系が既に崩れつつあるという話で、例によって地球温暖化とも絡んで行く現在進行形の話だったりします。　２１世紀に入って少しした頃から、磯焼けとでもいった現象が報告されるようになり、沿岸部の海藻類が白化して死滅してしまう話があちこちで見られるようになっているという話は以前に少し書いたことがあります。　その後、海水温の変化のためか、珊瑚が死滅したり、回遊する魚の異常行動が報告されるようになっていったのは、少しニュースに気を付けていれば気が付いた事と思います。　沿岸部の魚の生息場所に急激な変化が発生しているサインとして磯焼け現象を捉えるか、単に海草や海藻の類に一時的な異変が発生したと捉えるかは意見が分かれるところなのかもしれませんが、この１０年程の間に”海で何かが起こっているのではないか？”と思うに足りる現象が次第に増加している気がしているわけです。　最大の問題は、”その先に何が起こるのか？”ということなのですが、この話がややこしくなるのは、狂牛病の影響や世界的な健康志向の影響もあって、牛肉や豚肉から魚肉へ切り替えた人が意外と多く、魚の消費量が２０世紀末くらいから世界中で急激に上昇してきている事があります。　時間の問題かも知れませんが、将来的に、人に感染するように変異した毒性の強い新型鳥インフルエンザなどの影響が今後加わるようになると、鳥肉を食べていた人達の中からも魚肉へシフトする人達が出てくるでしょうから、獣肉や鳥肉から魚肉へのシフトは長期的かつ不可逆的なトレンドになる可能性が高いのではないかと見ています　・・・　そんな事は無いと言われればそれまでですが（笑）。　整理すると、魚介類に対するニーズが高まる一方で、世界規模で魚が生育する為に必須な海草類が繁茂する磯場や藻場が磯焼け現象や埋め立て工事などで減少しているところへ、地球温暖化の影響で平均海水面の上昇が加わり、沿岸で穫れていた魚が急速に減少する要因が増加しているのではないかとも考えているのですが、　・・・　これも、そんな事は無いと言われればそれまでですが（笑）。　そうした話を棚上げしておくとしても、熱帯の大西洋や太平洋で、低酸素の海域が広がっていることが、独キール大海洋研究所や米スクリプス海洋研究所など、独米の研究チームのデータ分析でわかったというニュースが２００７年の４月末頃から流れていて、”来るべきモノが来た”という話になっていたりします。　海洋で酸素が欠乏する海域が拡大すれば、魚類や海洋性哺乳類などの生息に影響が出ることは必至ですし、そういった海域がオゾンホールのように拡大を続ける可能性も否定できなかったりします。　２００７年５月に公式に公開された資料によると、船や観測用浮きが１９６０～２００７年の約５０年の間に収集した海洋の酸素濃度などを調べ、過去５０年間に海洋の３００～７００ｍの深さで海水に含まれる酸素のレベルが目立って減少し”不毛の海”と化していると指摘しています。　酸素が飽和した海面近くでは酸素濃度は１キログラム当たり３００マイクロモル程度になるものの、もともと濃度が低い中深層は１キログラム当たり９０マイクロモル以下となっていて、生物が生存するには厳しい環境と言えるようです。　最も大きく減少しているのは、海洋熱塩循環でも話題になっている大西洋の北東部海域で、その他は、程度は少ないもののインド洋の東部でも酸素の減少がみられています。　もっとも、熱帯域の北大西洋では、酸素濃度が９０マイクロモル以下の海水層が、１９６０年に３７０ｍの厚さだったものが、２００６年には８５％増の６９０ｍに広がっていますから、偶々とか偶然という範囲は超えていると考えられます。　また、熱帯域の大西洋の中東部や赤道付近の太平洋の深さ３００～７００ｍでは、酸素濃度の減少が著しく、年間１キログラム当たり０．０９～０．３４マイクロモル減少している計算になるようです。　これまでにも、地球温暖化で海水温が上がると、酸素や二酸化炭素は海水に溶けにくくなり、実際、世界規模で海洋が吸収する二酸化炭素の量が減少しているという調査報告があったのですが、酸素も溶け込みにくくなっているわけです。　海水の上層に溶けこんだ酸素は海水が循環していれば中深層に取り込まれるのですが、温かい海水は上層に留まりやすくなり、中深層の冷たい水と混ざりにくくなるため、温暖化が進めば、海の中深層では酸素不足が起きるという予測は以前からされていたのですが、それを裏づけるデータが公表されたと言えます。　酸素の欠乏範囲は海の深い部分で拡大しているのですが、次第に海洋の表面に向けても進んでいますし、今後は、海流によって沿岸部にまで及ぶ可能性も指摘されるようになってきています。　なお、研究者は、”この酸素の減少が世界的な気候変動の影響によるものなのか、それとも自然の過程の短期的な現象なのかは定かでない”としていますので、気にしたくない人は気にしなくてもいいのではないかと。　ただ、早ければ２０１０年くらいから海洋の食物連鎖の頂点に近い海洋性哺乳類が減少する可能性が高いのではないかと指摘する民間の研究集団もあり、怪しい話では運命の年である２０１２年頃には日本の食卓が様変わりしている可能性は結構高いのではないかという気がしてきています。　まあ、そこまで極論に走らなくても、現在の世界の魚類の消費スピードと海洋生物の繁殖能力などから推測しても、２０４０～２０５０年頃までには、世界の漁獲量が激減している可能性が高いですから、回転寿司にしても何にしても、金を出せば安価にふんだんに食べられる内に食べておいた方が良いのではないかと私は思います（大笑）。　まあ、魚介類や獣肉、鳥肉の類が食卓に上らなくなったとしても、菜食主義にシフトしたり、メタボリック対策を強化したと考えればそれはそれでいいのかもしれませんが　・・・。　いずれにしても、”先に死んだ者を生き残った者達がうらやましく思う”時代の到来は案外と近いのではないかと思うニュースがここのところ多くなってきた気がしているわけです　・・・　”お前の気のせいだ！”といわれればそれまでですが。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１７１話（2008/05/07）

2008.05.13

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海洋熱塩循環

一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１６４話　「海洋熱塩循環」　地球温暖化の話をしていて、”最終的に最高気温が５０度を超えるような日が来るんですか？”と聞かれて、”いやいや、それ以前の話として　・・・”と答えたのが今回の話のベースだったりします。＊　もちろん、今回の話も”仮説”に過ぎません。　現在、地球温暖化といえば、何か一本調子で意外と短期間で平均気温が（もちろん最高気温も）上昇していく印象を持っている人が多いのですが、地球温暖化の仮説はそれほど素直なものではなかったりします。　中でも、気温が上がれば溶ける氷が多くなるという話があり、例えばヒマラヤや欧羅巴アルプスなどの高山地帯の万年雪や氷河などが水に変わって流れてしまい、下流では乾季になると水不足が（近い将来）発生するという話もあります。　もっとも、氷が溶けて一番深刻な問題となるのではないかと言われているのが、グリーンランドの島の上の氷が融解して大西洋へなだれ落ちたときや、北極圏全体で氷が融解して海に流れ込んだ結果として大量の真水が北極圏の海に流れ込んだときどうなるかという事だったりします。　御存知のように、地球の海水は赤道付近で加熱されて高緯度地域へ向かう”暖流”と、高緯度地域で冷えて赤道へ向かう”寒流”に大別されていますが、これは海洋表面の表層の流れにすぎなかったりします。　学校では教わらなかった人も多いのかも知れませんが、海の底の方には深層海流（いわゆる、海洋ベルトコンベアー）と呼ばれる海水の流れがあり、表層の海流から深層の海流へ大量の海水が沈み込んでいる事が知られています。　中でも最大規模とされているのが、グリーンランド沖の海域で、温かな海水が氷結するときに塩分がはじきだされて表層の海水の塩分濃度が高くなり、重い海水となって沈み込むことになるようです。　逆に言えば、グリーンランド沖で南からやってきた海水の沈み込みが発生するからこそ暖流（北大西洋海流）が極地の近くまで流れ込んで欧羅巴を暖めているわけです。　が、地球温暖化で氷結する割合が減少してくると南から流れ込んだ海水は軽いままということになる上に、やはり温暖化で氷が溶けて海へ流れ込む淡水の量が増えて薄くなってしまい、２つの要因で海水が軽くなる可能性が指摘されていたりします。　そうなると、従来は重くなることで沈み込んでいたグリーンランド沖の海洋ベルトコンベアーの動きそのものが止まる可能性が出てくることにもなるわけです。　面白いのが、南極でも北極同様に氷が溶けて海水が薄くなると予想されているのですが、南極圏での表層水の沈み込みはもともとありませんから、淡水によって薄くなった海水は一層温まりやすくなるのではないかと予想されています。＊　北極と南極の海底の地形の違いなど、幾つかの要因が原因として考えられているが深入りしない。　まあ、海水温が上昇すれば、台風のたぐいが発生する確率が上昇し、その規模も従来にない規模になるとは考えられているのですが、北極圏のように寒冷化に襲われるよりはまだましではないかなと。　温暖化の進展で、ある日、グリーンランド沖の海洋大循環が止まったとして、北極圏は、それまでの温暖化傾向が一転して極めて短期間の内に氷河期に入ってしまう可能性が高いわけです。　もっとも、”極めて短期間”の長さに関しては学者の意見が分かれていて、数年かけて徐々に進んでいくという説もあれば、１ヶ月もかからないという説もあります。　幸か不幸か、海洋大循環が止まったと考えられる現象は過去にも発生していて、グリーンランドの氷床コアなどの分析から、約１万２千年前に起こった、”温暖な気候へ徐々にシフトしていたのが、突然、寒冷化してしまい、以後、２０００年の氷河時代（ヤンガードリアス期）が続いていたりします。　ちなみに、この異変の切っ掛けは、北亜米利加大陸にあったローレンタイド氷床が温暖化で融解してしまい、大量の淡水が短期間で北大西洋に流入した事だそうなんですが、いずれにしても、海洋ベルトコンベアーが止まってしまうと欧羅巴界隈は氷河期に突入する可能性が高いということです。　実際、溶けだしたシベリアの永久凍土の中から発見されているマンモスの遺体には１万２千年前に氷漬けになったものが珍しくありません。　逆に言えば、これまで掘り出すことが困難だった永久凍土が融解してマンモスが出てきているということは、その場所の環境が１万２千年前に近くなっているということですから、後は、一定量以上の淡水が流れ込めば海洋ベルトコンベアーが停止する可能性が高いのではないかと（私は）考えています。　現段階でも幾つかの変化のパターン仮説が提示されているのですが、既に危険水域に入り始めているという説もあり、洒落にならない時代に突入しているのは確かな事のようです。　海外のニュースなどをチェックしていると、他の先進国はそれなりに大規模な準備を進めているようなのですが、どうも日本は危機意識が薄いというか他人事のようなのんびりした対応をしているというか　・・・。　まあ、ソドムとゴモラの住人がそうであったように、下手にじたばたしないで滅びの日を迎えてあっさりと死滅してしまうというのもまた一つの選択ですしねえ？初出；一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１６４話(2008/04/29)

2008.05.05

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不知火

怪しい話　第３シリーズ　第１２０話　「不知火」　不知火(siranui）というのは、日本固有の自然（？）現象で、九州の有明海や八代海などで夜間に見られる光の異常屈折現象の総称ということになっています。　科学的な解説としては、干潟に夜間の放射冷却によって局所的に冷気塊ができる事に加えて、干潟の延長上の海上の気温が夏場はかなり高いことから、大気密度の異なる気塊が複雑に存在し、それらが風などに流されて波状に移動すると一つの漁火が無数に見えたり、点滅して見えたりするという説が有力なようです。　ちなみに、旧暦の８月１日(八朔：はっさく)に現れるとされているのも、暗夜の大干潮時を利用して漁を行うときの灯火が光源となるためだというのですが、このあたりから、”そうか～？”という声が出始めるようです（笑）。　というのも、八代海が、この特殊な発光現象から不知火海と呼ばれるようになったのが”日本書紀”に既に記述があるためで、景行天皇が九州を平定した時に八代海で遭遇した怪光に関する記述がそれだとされています。　また、烏賊釣り船の強力な集魚灯ならともかく、１０００年以上昔となると、灯火の光源といっても、長良川の鵜飼いなどで見られるように、せいぜい薪を燃やす程度だったはずで、その程度の光量が不知火現象と呼ばれるほどの光の乱舞の根元となりえるかどうか？　ましてや、そういった漁法を見慣れている地元の人達がそれを勘違いするかどうか？と考えていくと、別の光源があるか、なんらかの光量の増幅現象が発生していると考えないと無理があるのではなかろうか？　それ以前の話としては、アイヌの古い言葉で”シラヌイ”は”宙から降りる火”といった意味があるという説もあり、不知火を観測しているときに、地磁気の異常が観測されることが珍しくなかったりしますから、特殊な大気の状態が主因の光の屈折現象というだけで説明が付くとも思えません　・・・　そう思うのはお前の勝手だといわれればそれまでですが（笑）。　さらに一歩踏み込んでおくと、八代海といえば、ＵＦＯが目撃される海としても有名ですし、不知火が青みがかったオレンジ色の光が水平線すれすれに点滅しながら移動する光景は、海底に何かがあるのではないかという説に一定の説得力を持たしているような気が私はしています。　何よりも、同じような大気の屈折現象である蜃気楼が、特定の日に発生が集中する事が無く、一定の自然条件を満たせば発生していると考えられるのに対して、８月１日という決まった日の前後だけに特異的に発生するのはおかしいというもっともな指摘があります。　実際、地球温暖化現象に限らず、海流の変化などを含めた自然環境の（年）変化や、当日の気象条件に左右されず、特定の日の前後に集中発生する理由は今のところ解明されていないようです。　少なくとも１０００年以上の間、８月１日に集中発生する事が多い怪光現象に対して、一定の自然条件を満たす事が前提の科学的な解説というのはいささか分が悪いといえば悪いのではないかと。　また、他の地域で類似した現象が発生していないのも不知火の特徴で、科学的に全てが解明されるにはもうしばらく時間がかかるかなと。　特定の年齢以上の世代だと、”不知火”といえば人気ＴＶシリーズだった隠密同心を連想するとしたものですが（笑）、不知火が出現する日が（ほぼ）特定されていることや、沿岸に不知火町が存在することからも分かるように、昔から不知火見物が行われていたようですが、現地で具体的にどのようなものかを見た事がある人は意外と少ないようです。　まあ、不知火のような怪光現象が１から１０まで解明されてしまうと、それはそれで面白みが無くなってしまうのですが、地球温暖化が進行して海水面が上昇したり大気温度が上昇した結果として、不知火に何らかの変化が生じるのか？はたまた関係なく特定の日に出続けるのか？　逆に言えば、従来は数千年の間、当たり前のように生じていた自然現象が見られなくなっていくことで地球温暖化というものを実感していくことになるのかもしれません。初出：一夢庵　怪しい話　第３シリーズ　第１２０話(2008/03/01)

2008.03.07

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一夢庵別館

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