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風狂夜話2

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2012年01月31日
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カテゴリ:思想





堺屋太一 上がそうだと、国民全体のモラルも低下していきます。最近、国民年金

 納付率が6割を切ったことがその一つの表れです。その一方で、生活保護をもら

 う人が非常に増えている。これはまさに「敗戦」を招く危険な兆候です。戦後も

 誰も彼も闇市に手を出すのは当たり前になっていました。国に忠誠を尽くす筈の

 軍人が、旧軍が解散したときには軍の物資を持てるだけ持って帰ってしまった。

 「敗戦」のときには、「みんなやってる」という論理がまかり通って、このよう

 なモラルの頽廃が雪崩を打って起こるんです。「第三の敗戦」を迎えた今、国民

 のモラルをもういっぺん国を挙げて作り直さないといけない時期に来ています。

 モラルの低下は、固定した社会で組織の利益を第一に考えることから生じている

 のですから、まずは、官庁や大企業に入ったら、その組織に一生留まる、という

 「身分制」を一刻も早く廃止すべきです。

 日本は能力主義の社会と思われているかもしれませんが、能力が測られるのは、

 学校を卒業して、組織に入るときまでです。その後は能力や知識、意欲によって

 所属組織や職種分類を変える機会は非常に少ない。

 アメリカの資本主義が長持ちしているのは、再チャレンジの機会が非常に多くあ

 るからです。官僚から民間に行ったり、民間から官僚に戻ったりと人材の流動性

 が高い。

 ところが、日本では役所の間でさえ、社会の変化や時代の要請に応じて、人材を

 動かすことが非常に難しい。

 (中略)

 政権交代によって、まったく知識も能力も経験もない人たちが政治をやり始めて

 しまった。これは困ったことです。省益のためにばかり動く官僚に国益を認識さ

 せて働いてもらう。そういう意味であれば、民主党政権の「脱官僚」というスロ

 ーガンは間違っていないと思うのですが、実は全然違っていた。

稲盛和夫 政権交代までの問題は、官僚が日本の行政をすべて牛耳ってしまい、政

 治家が誰も官僚をコントロールできないことでした。それを打破するために「脱

 官僚」「政治主導」と言いだしたまではよかったんです。でも、事務次官会議な

 どを廃止して、自分たちで何でも決めなければならない、と思い込んだのが、混

 乱の元ですね。

 巨大で複雑な機構を持った国家を機能させるためには、専門的な知識が必要で、

 それを持っているのは、各省庁の官僚をおいてほかにいません。ですから、本当

 はもっと官僚に意見や政策を具申させて、政治家が「無私」の精神で、それが国家

 国民のために本当になるのかを公平に判断して、取捨選択していけばよかったん

 です。

堺屋太一 民主党は日本が向かうべき目標を定めて、それにかなう政策を官僚に作

 らせればよかったのに、その政策自体を自分たちで誂えようとしてしまった。政権

 交代後に民主党の上層部の方々とお会いしたときは、自信満々でした。でも、志は

 あっても、知識も経験もないのですから、無理なことは民主党にもわかっていた

 はずです。

 タクシーでいえば、お客さんは行き先をいって、運転はプロの運転手さんに任せれ

 ばいいのに、いきなり運転は俺がやるといって、運転席を占拠して、ハンドルを握

 ってしまったようなものですよ。

 これで発車早々に事故を起こして立ち往生してしまった。それで今の日本の政治、

 行政は定期バスにまた逆戻りしてしまった。つまり、行き先は運転手である官僚が

 決めて、客席の政治家はがやがや騒ぎながら、目的地に運ばれるだけ。行き先は、

 「省益」という駅です。

稲盛和夫 それは腑に落ちる譬えですね。

(「文藝春秋」平成23年9月号「民主応援団長が見た日本中枢の崩壊」)





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最終更新日  2012年02月02日 18時44分10秒
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