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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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Phos Graph

2015年10月02日
XML
カテゴリ:Phos Graph
イラスト;freedesignfile.com
詩の転載元:文学極道(作品#7801 掲載日'14/12/08)

 ※作品下:水野英一さんの『ばらの花』評リンク




                      詩:sampleさん
                      ツイッター:sample @@kaibutsu_head





ばらの花


言葉と子どもが走り抜ける橋の下で
焚いた火は明るく
配達され続ける魚を燃やして
皿の上に描かれた
細密な骨の水路は
若い母の背中にあった
痣のような海の記憶を圧し流して
排泄して
こぼれ落ちた情緒は骨を溶かし
なにもない皿へと
空腹だった子どものまま
きれいな手が伸びる

意味も解らず嘔吐した
溶けかけた宝石を拭ってくれた
考えるだけで泣いていた
眠り続けていたい
天井を蹴破ってみたい
一生のお願い
を、たくさん抱えている
朝はいつも怪物が訪問する
冷たい空気を吸い込むと
肺に魚の骨が突き刺さる
咳と痛みを創造する
幼児の悲しい魔法

なわとびをしていた
もう、どれほど飛んでいるのだろうか
握った手のひらに汗をかき
ロープが滑って抜け落ちていった
コンクリートの地面に
プラスチックの部分が叩きつけられて
響きのない、乾いた音が鳴った
片方の手から足下に垂れさがる
ロープの曲線を何度も目で往復させながら
今日はこれでおしまい
ロープを手繰りよせて結んだ
もう解けないくらい
きつく結んだ

窓から遠くの緑をながめる
もっと目が良くなりたいから
燃え続ける星を見上げる
剥落する光、口、あけたまま点眼する
目をつむると
清潔で真っ白な布が瞼に裏打ちされて
黄色い染みが小さく浮かぶ
それは波紋のように広がってゆき
耳のうしろへ、背筋のくぼみへ
やがて一枚の画用紙の上
尾ひれを生やした子どもになって
水色からいちばん遠い色ばかり
すり減らしていた

嘘だと知っていたから
一瞬、笑いかけた
あなたは、
橋の下から拾ってきたのよ。
そんなはずはないけれど
息継ぎを忘れるほど泣いた
お風呂にしようね。
息を大きく吸い込んで
浴槽に頭を沈めた
髪の毛の間に気泡が留まるのを感じた
目をひらいた、なにも見えないな
手のひらをひらいてみる、閉じてみる
苦しい、浴槽から顔をだす
排水口にお湯が逃げてゆく
流れる音は徐々に高くなり、細くなり
消えてゆく

並んだ隣の布団から
母の寝息が聞こえる、規則的な
息を吸う、止まる、息を吐く
繰り返す、母のそれに合わせて
呼吸をしてみる
けれど、それだとなぜか
息が苦しいような気がして
いつもどおり、呼吸する
息を吸う、息を吐く、ただそれだけなのに
同じではいけないんだ
真っ暗な天井を見つめる
かすかに、耳鳴りがする

橋の上から川をながめている
流れのない安らかな水面
遠い町の、名前の知らない川
両岸から木々の枝葉がせりだして
濃い影をつくっている
呼吸をする、その音だけが聞こえる
とても静かな時間
子どもが僕のうしろを駈け抜けていった
二羽のすずめが水面に触れて
そのまま林の奥へ消えていった
つぎに向かう駅の名前
それを確認するように
小さく声にだしてみる







                      7 FG freedesignfile(com.png



                                  
水野英一さんの 『ばらの花』評
                                          評(1)   評(2)   評(3) 











最終更新日  2015年10月25日 07時07分06秒
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