照葉樹とは
冬に葉の落ちる落葉樹に対して、一年中青々とした葉を茂らせる木を常緑樹という。スギ・ヒノキなどの針葉樹や、シイ・カシなどの常緑広葉樹がこれにあたるが、特にシイ・カシなどの温帯の広葉樹は革質で光沢があるため、「照葉樹」ともいわれる。革質で光沢のある葉は、一目で照葉樹(常緑樹)と分かるのだが、シイ・カシ類には様々な種類があり、なかなか見分けるのが困難だ。葉脈の入り方や葉っぱの縁のギザギザ(鋸歯)などが見分けのポイントなのだが、なにぶん種類が多いので、違いを覚えきることができない。 ということで、私はシイ・カシ類はお手上げだと思っているのだが、最近、街でよく見かけるシラカシ、アラカシ、マテバシイぐらいはなんとか分かるようになってきた。 じつは昨日、静岡市南部の小鹿公園に樹名板を取り入れてもらうことになり、樹木調査に出かけた。公園建設当初の植栽計画図をもらっていたので、それと照らしながら調べれば一人でも大丈夫だろうと出かけたのだが、建設から時間が経っていることもあり、当初の計画図とはかなり植栽も変わっていた。あるはずのニセアカシアやスズカケノキ(プラタナス)などは1本もなく、代わりに何種類かの木が植えられている。しかし、この公園には市民が手作りの木製名札をつけてくれあるため、ヒトツバタゴやカツラなど、私があまり見たことのなかった木も見分けることができた。ところが、この木にぶつかってはたと考え込んでしまった(8/29撮影)。これは間違いなく照葉樹の葉だ。鋸歯(ギザギザ)がないからマテバシイに近い感じだが、ドングリではなくこんな実がついている(1枚目)。これは私の辞書にはないぞ。とにかく写真を撮って帰って調べねば。 ふと見ると、すぐ隣の同じ木にこんな名札がついていた(2枚目)。その場で「これは違うだろう」と分かったが、この実をみつけなかったらこの名札を信じてしまったかもしれない。ことほど左様に、照葉樹は見分けるのが難しいのだ。 (あと2枚) さて、苦労して調べ上げたこの木の名はタブノキ。植物調査で何度も名前を聞き、自分で樹名板を取り付けたこともあるのだが、この実がなっていなければシイ・カシ類と見分けがつかなかった。タブノキは暖地に生えるクスノキ科の常緑高木で、ブナ科のシイ・カシ類と並んで代表的な照葉樹だ。新芽・新葉が赤いことは知っていたが、実のつく枝先(果柄)が赤いのも大きな特徴のようだ。これは覚えておこう。この実は秋に黒く熟すという。