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◆娘が風邪を引いて。咳がひどくて。寝るたび咳き込んで、えづいて、吐いたりして、苦しそうで。
手馴れた母の手つき。 見ていて、顔が引きつったよ。笑えてきてしまった。 「この人から、この子を奪うなんて、できない」 無理だよ、できないよ。 せっかく見つけた生きがいを、幸福を、その立場を、奪ったりなんかできないよ。 そんなの、恐すぎる。どうなってしまうかわからないし、落ち込む母を見るのはもう嫌だ。 私のせいで暗くなる母親を見るのは、もう嫌なんだ。 逃げたって、言ってくれていいよ。悪いけど、逃げるよ。 お母さんの、母親からの愛情に対する執念は大きいし、理想も高いんだろうけれど。 ムリだよ、愛せば愛するほど、努力すればするほど、苦しいよ。 私の子どもなのに。 つらいよ。 だからお願い、何も言い訳なんてしないから。 貴女のこと責めたくないから、言い訳なんてしないから。 言ってもわかってもらえないだろうし。 ねえ、最低の人間だとさげずんでもいいから。 黙って、逃がして。 無力な自分、 何かしてあげたくても、それはお母さんの邪魔をするだけになると思ったら、何も、できなくて。 母から言わせれば「言えばよかったのに」とか「あんたがやらないから私がやってるんじゃない、努力しなさいよ」って、言われるんだろうけど。 ムリです。まだ立ち直ってもいないのに、無理です正直。 離婚から、立ち直っていないのに、いや。離婚の根源、だな。 人間不信を携えて、それでもがんばったのに。 娘のたった一言で無惨に砕け散る。 耐えられないよ。 貴女から役割を奪うために戦う力もまだないし、その罪悪感に勝てる力もないし、愛しているのに届かない虚しさや、産んだ悲しみと戦うのは、まだ無理だよ。 今むりなら、もうずっと、無理なんだ。 だからごめん。 ごめんね。 誰か助けて。 耐えられない。助けてあげられない。世界で一番愛している人に愛を届けられない。 必要とされてない、家の中。 苦しいばかり。 でも、言えないでしょう。 何度痛い目を見たか、なんて、もう思い出したくもないぐらい。 本当の気持ちなんて言えないよもう、貴女には。 受け入れてくれるつもりがない貴女には、私なんかよりはるかに辛い人生でそれでも死なずにがんばって生きているという誇り高い貴女には、勝てないよ。 世界で自分が一番不幸に対してがんばっていると思っているあなたには、私の苦しみなんて、届きやしないよ。自分の物差しでしか計れない貴女には、勝てないよ。 ちょっと足が痛くて、歩きにくくて、辛いわけじゃないけど、痛みとかってつい口から滑り落ちてしまうじゃない? それが、不幸自慢のキッカケになってしまったり。 「ごめんね、お母さんは足ずっと悪いし痛いから、わかってあげられないの」 わざわざ口に出さなくていいじゃない。 大人の対応してよ。上辺の言葉でいいから、「あー痛そうだねー」とか。言えるでしょう。 言わなくても、いいし。ていうか何も言わなくていいし。 不幸自慢だけはやめて。同情されるの嫌うくせに、不幸自慢とか、何を求めているんですか返答にこっちが困ります。 兄が軽く喘息起こしたって、さあ、兄が辛いと言っていれば「うわーお気の毒に。大変だなー」って、心から言えるよ、こんなガキでもさ。 もうホンット、あの人苦手すぎる。 でも嫌いじゃないの。愛しているから困る。 不器用なりに必死に愛してくれたのはもう、わかっているから。 だから、こそ、私は何も、言えないよ。 私の本心はいつだって貴女を傷つけてしまうじゃない。 だから、言えないよ。 結婚して、「自分の家族」という新しいコミュニティを作って、やっと解放されると思ったの。物理的にも精神的にも、とても良い距離になるって。 でもだめだったものね。壊れてしまったものね。 私はここにいるしか、ないんだものね。 苦しいよ。 これだけは、言いたくなかったし、最近は思うこともなくなっていたのに。 「死にたい」 空白の頭に、唐突にふわりと湧く、泡のような言葉。 霧のような声。 本気で死にたいわけじゃないのに。 勝手に浮かんでくるの。勝手に、私の心の中から、その言葉がつくられてでてきてしまうの。 死にたくないよ。 「もう死にたい」 私はまだ、生きていたいのよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.05.19 02:35:09
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