502104 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

国民と天皇と大日本帝国

国民と天皇と大日本帝国

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

プロフィール

kamuy_nupe

kamuy_nupe

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カテゴリ

カレンダー

バックナンバー

2024.06
2024.05
2024.04
2024.03
2024.02

お気に入りブログ

電波帝国 MJ-12さん
帝国陸軍好きの読書… 五年現役兵さん
むうみんの脳内妄想 むうみん@ぶたぢるさん
くまのつれづれにっき 森のくまさん4877さん
2008.12.20
XML
カテゴリ:大日本帝国興亡史
 ハル・ノートは御前会議で決定された開戦スケジュールに大きな影響を与えたとは思わない、米側案の「暫定協定案」(3ヶ月延長提案)の存在は日本による対米開戦日を米国が或る程度操れる力関係にあったの表れと推測する。

 9月6日の御前会議で「帝国国策遂行要領」が決定され、交渉期限が近づいても近衛首相は日米開戦に踏み切らず、天皇は新首相の東條に再考を命じ交渉期限の延長が行われた。

 今回は近衛のクッションはなく交渉期限が近づくと昭和天皇は逡巡する。

 昭和天皇は11月26日(ハル・ノートの前日)に木戸幸一内大臣に対して日米交渉が最悪の結末になる見通しを告げ、最後の決断をする前に重臣(首相経験者)の意見を聞くことの是非を問う。
 「木戸幸一日記(下巻)」(11月26日11時15分から45分迄)に於ける木戸内大臣の奉答と其の後の重臣との会談への進行は

 「今度の御決意被遊は真に後へは引かれぬ最後の御決断でありますので、御不審の点其の他こうもして見よう、ああもして見ようと云ふ様な御気持がある様であれば、御遠慮なく仰せ戴き、御上としても後に省りて悔いのない丈の御処置が願はしいと存知ます。」

 11月28日11時20分:東郷外相がハル・ノートを天皇に説明。

 11月29日9時半から:政府は対米交渉を中心とする時局問題につき重臣と懇談と質疑応答が、2時より約一時間学問所に於いて昭和天皇は重臣の意見を聞いた。

○重臣との会談(11月29日午後2時より)

◇「岡田啓介回顧録」より

 岡田は、迫水企画院一部一課長より政府資料を取得していた為、政府側説明者の企画院総裁鈴木貞一が船舶の一ヶ月の消耗を1/10に割り引いたり東條が掛け値してものを言っている事が判っていた、物資の補給能力の点でアメリカと戦争などやれるものではない事がはっきりしたの感を持った。

◇「木戸幸一日記(下巻)」より

・若槻:国民は物資の方面に於いて長期戦に堪えれるか、慎重に研究する必用あり
・岡田:物資補給能力について充分成算があるか心配、政府説明では納得できない
・平沼:4年の戦争が遂行されており、更に長期の戦いで困苦欠乏に堪える為に民心を引締める
・近衛:政府説明では外交交渉の見込みなし、開戦ではなく臥薪嘗胆で打開を見出す
・米内:ヂリ貧を避けんとしてドカ貧ならないよう注意願いたい
・廣田:今回の危機で直ぐに戦争突入は反対、開戦しても外交交渉での解決を目指すべき
・林 :政府が大本営と充分協力研究した結果を信頼する
・阿部:政府の研究はこれ以上は望めない、支那人の動向は慎重に対処する必要あり
・若槻:自存自衛なら敗戦を予想しても戦うべきだが、大東亜共栄圏の確立など理想に国力使用は危険

※陸軍出身者(林・阿部)は政府の主張に反対しないが、他は対米戦に反対。
 政府の資料は重臣たちにも公開されていないようで、米内(海軍)・林(陸軍)は資料を持たないと断りを入れて自分の判断を述べている。
 8人の重臣の内、政府支持は2名でその2名も対米戦賛成とは思えない。

◇「昭和天皇独白録」より

・近衛:外交では平和の道がなくなった、それでも平和が求められないか
・平沼:開戦となると思想が混乱するから面白くない
・米内:石油の問題で戦争するのは反対、戦争終結方法に対して意見がない
・岡田:米内と同意見
・廣田:玄洋社出身の為か戦争賛成、皇族内閣を推薦、内閣は統帥部の意見を聞いて作った方が良い
・阿部:已むを得ぬ
・林 :戦争謳歌論

※昭和天皇の感想は「戦争に反対する者の意見は抽象的であるが、内閣の方は数字を挙げて戦争を主張するのだから、遺憾ながら戦争論を抑える力がなかった」

└─引用は抜粋・概要


〓勝手に独断と偏見〓

 「独白録」では「木戸日記」とは異なり、岡田の「政府資料に問題がある」なる趣旨の主張が消えて、廣田の発言が戦争賛成となっている。
 昭和天皇は政府資料をよく精査したのか、また「独白録」は廣田を極東国際軍事裁判の戦犯候補として暗に挙げている。
 (独白録で好意的に描かれているのは東條と米内、松岡・平沼・廣田・高松宮に対しては好意的ではない)

 「杉山メモ(上)」での重臣の所見、積極論は廣田・林・阿部で特に阿部は強弁に主張、其の他は現状維持論で岡田・若槻が主張し最も強く主張は岡田、開戦やむなしは1/3としている。

 昭和天皇は重臣の開戦反対意見は説得力に欠けるとし、更なる南進による資源獲得以外に道はないの判断。
 重臣から有効な代替案を見出せなかったのだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.12.20 23:50:45
コメント(0) | コメントを書く
[大日本帝国興亡史] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.