カテゴリ:読書
「てんとう虫」という雑誌を購読している 4月号の特集は「魯山人の嗜み」である 魯山人とはもちろん北大路魯山人のこと 名前は知っているが詳しいことは知らない この特集を読んで印象に残ったことがふたつ 一つは美食家と言われて、食への限りない追及の 原点になったと考えられるできごと 二つ目は作品の価値が世に認められるきっかけが アメリカでの評価であったことである まずはその生い立ち、生まれてすぐに里子に出され 養家を転々として不幸な少年時代を過ごす 6歳の時、今度こそこの家で大切にされたいという一心から おさんどんを買って出た 貧しい家だったので食材を無駄なく使うしかなかったが そのことで少年はどの部位にもそれぞれ独特の味があり 捨てるところがまったくないことを知る 心を込めて作った食事を、美食家の養父母に 美味しいといわれたとき、少年は生れてはじめての幸福を味わう この体験が、美食家・魯山人の原点になっているというのだが これはとても良い話だと思った 美食家のことは別として、食材を無駄なく使うという話は 水上勉の少年時代の修行中の体験談でも読んだ記憶がある 物を無駄にしない、素材のひとつにも価値を見出す 大いに共感するところである 二つ目は、生前に世間でけなされていた彼の作品が 死後、アメリカで大ブームとなり、けなしていた人たちが 掌を返すように賞賛し始めた、というくだりである 作品の価格も瞬くうちに跳ね上がったという 日本では芸術作品の評価が、家元とか流派とか 身内の協会と言った権威の中で認められないと 評価されないという傾向がある(とボクは感じている) その点、海外では属している団体などには関係なく 作品の価値そのもので評価されるようである したがってこのような話を聞くと 快哉を叫びたくなるのである 私の知る限りでは、彫刻家の流 政之 書家の篠田 桃紅さんなどがそうであり 他にもボクお知らないたくさんの人たちがいると思う 作家の山田 和さんが 魯山人は毀誉褒貶の人だったと書いている 人の評価は難しいものである お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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