動機/影の季節
横山秀夫。警察内部の話。警察と言う組織も所詮(と行ったら語弊はあるかもしれないが)サラリーマン社会であり、会社・組織を守るためだけに動く人もいるし、その中の仕組みは会社と変わらなかったりもする。まぁ、しがらみの多さとか慣習の重圧などは大きいかもしれないけれど。その中を以下に上手く泳ぎぬくか、がポイントなのかもなぁ。そう感じさせる。リアルに描かれている。「警察」と言う組織の人もただの人、保身も野心もある。そんな中で時に鋭く切り込み、情報量も豊富、その地位から時に恐れられ、周りの人から一目置かれている人事課のエース、二渡。客観的に描かれる話から見ると、かなり冷徹でお高く止まったように思われがちだけれども、第1話目で、天下りした会長を退職させるために老獪な会長に翻弄され、事実利用されてしまうのを読むと、後の話の中の二渡も嫌味なく読める。かなりリアルな小説で、続編も読みたい。ちなみに両方とも短編集。