カテゴリ:本
イラストルポ「本」のある仕事場
三浦しをんも「三四郎はそれから門を出た」で人の書棚はその人の内面を覗き込むようでプライバシーと好奇心の間でもだえると書いていたが、 そんな書棚を公開してくれた偉大な方々を興味深いイラストと共に内沢氏が記す一冊。 自宅の書棚は秘密(未公開)で、仕事場を公開される方も多い。 実際に見ていなくても、高尚な本ばかりでくらりとする方々ばかりでも、 本と付き合い続けている人の書棚はやはり興味深い。 家に、仕事場に小さな図書館(移動式本棚)を備えつけている人の多いこと! 自分はまだまだというか、ここまで出来たら楽しい&幸せではないだろうか。 林望・古典籍からアンアンまで、リンボウ先生のふみくら (書誌学者・作家)自宅地下が偉大な書庫。高校時代のノートなど、一度使った読んだ本は全て捨てずにあるという。 荻野アンナ・豚と駄洒落が飛ぶラブレーな本棚 (作家・フランス文学者)研究室。仕事に使う本の傍らにギャグ漫画もあり。 静嘉堂文庫・九百歳の姫君、宋刊本が眠る森 (二子玉川にある図書館)お姫様のように守られた和漢の古典籍と美術品がある。 南伸坊・シンボーズ オフィス、本棚はどこ? (イラストレーター)全て扉付きの本棚のある自宅。資料ばかりというけれど… 辛淑玉・執筆工場に散らばる本の欠片 (評論家)仕事場。読み終わった本は必要な部分だけとっておいて、後は捨てるという潔さをもつ。 森まゆみ・書斎とお勝手のミニ書斎 (作家)谷根千の編集者でもある。生活に根付いた書斎のある自宅。 小嵐九八郎・作家が放浪する時、本は… (作家)追っ手から逃れるため、ダンボールに入れた本と共に各地を漂浪する作家の仮の住まい。 柳瀬尚紀・辞書と猫に囲まれて (翻訳家)自宅。重い本(辞書)を逆さまに入れるという収納術はお見事。 養老孟司・標本と図鑑にあふれた書斎 (解剖学者)自宅。解剖学は記載学。 逢坂剛・古書店直結、神保町オフィス (作家)事務所。資料が原稿料よりも高くなることもあるほどリアリティにこだわっている。父親はチャンバラ専門の挿絵画家・中一弥 米原万里・ファイルと箱の情報整理術 (作家・同時通訳者)自宅。一日一ページずつチケットや郵便物をファイルする整理術も面白い。 深町眞理子・翻訳者の本棚・愛読者の本棚 (翻訳家)自宅。設定、日付(曜日)までチェックする翻訳時の苦労が偲ばれる。愛読書はミステリやサスペンス。この頃は京極夏彦がお気に入りとか… 津野海太郎・好奇心のために、考えるために (編集者)自宅。大学以来の書斎を持ったばかり。ただ、仕事は雑然とした音のある所の方が良いとのこと。 石野桃子・プーさんがどこかで見てる書斎 (児童文学者)自宅を半分開放して貸し出しもしている(東京子ども図書館・分館)とか。 佐高信・出撃基地は紙片のカオス (評論家)事務所。足の踏み場もないほど紙が散乱しているイラストは圧巻。 金田一春彦・言葉のメロディを聞き書きするひと (国語学者)自宅。山梨の図書館に寄贈したため、本はほとんどないというが…仕事のたびに某図書館から必要な本を送ってもらうというのはなんだかいい。 八ヶ岳大泉図書館・ある蔵書の幸せな行方 (図書館)→金田一氏の蔵書が寄付されてある→その後、北杜市金田一春彦記念図書館と名称変更される。 小沢信男・本棚に並ぶ先輩達に見守られて (作家)自宅。神棚のように不動の位置を占める書籍のある本棚あり。 品田雄吉・映画ビデオに囲まれた書斎 (映画評論家)自宅。建築事務所の協力で苦心した収納が活躍。 千葉栄一・いるだけで本が買いたくなる書斎 (スラブ語学者)自宅。他に二箇所書庫を持つ。なんだか楽しそうな書籍がたくさん。 西江雅之・本のコトバを聞き取って (言語学者)自宅。本以外にも部屋中にあふれる動物の剥製やお面なども魅力あり。 清水徹・至高の書物を求めて (フランス文学者)自宅。専門書店「フランス図書」ご愛用。 石山修武・居場所のこだわりを解放する (建築家)自宅。改装された家ともども興味深い。彼の自宅に出入りできる学生は有望だとか。 熊倉功夫・茶室のような書斎を持つひと (茶道史家)自宅。和本は民博に。小さな書斎にも細かい心配りが。 上野千鶴子・三段重ねなのに、100%稼動中の本棚 (社会学者)研究室。貸し出し可。アルファベット順に並べることで死蔵本ナシを誇る本棚。 粉川哲夫・移動、解体、組み立てをくり返す書斎 (メディア批評家)書斎を持たないとのことで、父親が設立し、彼が館長を勤める東京ゲーテ記念館が紹介されている。あふれる送信機も風情アリ。 小林康夫・「雑に置くこと」の美学 (フランス文学・哲学研究者)研究室。アバウトに置くため、見つからない書籍アリだが、それも笑い飛ばす爽やかさ。「愛すること」を拒否した結果だとか。 書肆アクセス・ゆったりなのにワクワクさせる棚の妙 (新刊書店)小さな出版社の本などはこちらが便利。 月の輪書林・調べ、集め、並べては手放す古書目録の書棚 (古書店)目録販売のみ。きっちり調べて目録つくり、どんどん売って回転していく。 杉浦康平・書斎を流動する本たち (ブックデザイナー)自宅。アジアの図像研究家でもある。アジアを旅するたびに買い集める本。 曾根博義・重ねず積まず、五万冊全てが見える書棚 (日本近代文学研究者)自宅。堀を活用した書庫は絶品。書庫兼書斎の二階は圧倒される。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
August 11, 2006 08:31:14 PM
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