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2005年05月28日

所ジョージと宝くじ、売る阿呆に買う阿呆

テーマ：今日の得するかもしれない一言(34)

カテゴリ：今日の出來事今日の一言

ご存じのように、博打バクチというのは胴元が一番儲かる仕組みになっている。パチンコ・競輪・競馬すべて例外はない。

儲けた金は大概タイガイ良からぬことに使われる。パチンコの収益は朝鮮総連や韓国民団を通じて朝鮮へ送られ、競輪は経済産業省役人の私腹を肥やすのに使われる。競馬は農林水産省だ。

一番悪どいのが所ジョージの宣伝している宝くじ。宝くじの利権を持っているのは総務省だが、お客への償還率は競輪(経済産業省)・競馬(農林水産省)の七十五％に対してたったの四十六％、つまり胴元が五十六％も持って行くのだ。

所さんならずとも「目がテン！」になりませんか？

サッカーくじの所管文部省にも「よかったなあ」

　今からちょうど二十年前、米国ノースカロライナ州のノーフォーク基地に置かれていた「エミリー」がスクラップにされるというニュースが伝わった。

　「エミリー」というのは米軍が第二次大戦中、日本海軍の飛行艇「二式大艇」につけたコードネームで、設計は川西航空機（戦後の新明和工業）の菊原静男氏の手になる。昭和十三年に初飛行をした機体は全長二十七メートル、高翼四発エンジンを搭載し、最高速度は四百キロを超え、当時としては世界で最高、最大の名飛行艇だった。

　この高性能は主翼に独創的な二段フラップをつけ、その主翼も従来のがっちりした剛構造ではなく、風にゆらゆらする柔構造をとったことによるが、そのいずれもが今、飛んでいる航空機に採用されていることでもいかにざん新だったかが分かる。

　ノーフォークに置かれていたのは、その「エミリー」の最後の一機だったが、それをつぶすという知らせは日本の飛行機ファンを驚かせた。

　漫画家の岡部冬彦氏や精神科医、斎藤茂太氏などが「二式大艇を日本に取り返そう」と募金を始めた。輸送費や保存施設などを考えればまず二億円はかかりそうだが、当面は解体して日本に運ぶための一億円を目標にした。

　しかし、実際に集まったのは五十万円だけ。政府に働きかけたものの答えはノー。そうこうするうちに時間切れが迫る。

　で、関係者が駆け込んだのが日本船舶振興会の笹川良一会長（故人）のところだった。

　結論からいうと、笹川氏はあっさりＯＫして輸送費と保存施設場所を引き受けてくれた。総額で二億二千九百万円。東京湾のお台場、あのレインボー・ブリッジを渡ったすぐの「船の科学館」の前庭に置かれている。笹川氏は戦前、航空機の重要性を早くから説いて歩き、今の八尾飛行場を作った。同氏もまた飛行機ファンの一人だったわけだ。

　ところで最後の二式大艇をよみがえらせた資金は、いうまでもなく日本船舶振興会（現在の日本財団＝曽野綾子会長）が主宰する競艇の収益の一部である。

　正確にいうと競艇の投票券一枚百円のうち七十五円が払い戻しになり、残り二一・七％が主催自治体の収益金や公益法人への交付金にまわり、日本財団には開催経費として三・三％が入る。

　年間の売り上げが一兆八千億円だから六百億円ぐらいになるが、財団はこの中から例えば国連の天然痘撲滅運動に合計で三百七十万ドル、ハンセン病対策に同四千万ドルなどの援助を行い、とくに天然痘の完全撲滅は同財団にほとんどおんぶしてきたといわれる。

　このほか、突発時の緊急援助もある。チェルノブイリの医療活動支援に三十三億円、阪神大震災のボランティア活動に七十一億円、ロシアのタンカーによる重油流出騒ぎにも百六億円が支出された。前述した「二式大艇」の輸送、保存費もこうした緊急対策費から出たものだ。

　公営ギャンブルのあがりもばかにならないことがこれで分かるが、そこで気になるのが、競艇とほぼ同額の収益のある競輪、つまり通産省の自転車振興会、そして競艇の二倍を売り上げる農林水産省所管の中央競馬会である。

　ともに払い戻しは七五％と同じ、その他の支出も似たような形を取っているが、競馬会でいえば日本財団の取り分の約二倍といわれる運営経費は、「あらかじめ予算化して公正に支出するので」突発事態には応じにくいという。

　もちろんチェルノブイリで原子炉が暴走しようが、タンカーの重油流出があろうが、関与はしにくいということである。

　ただひとつ、はっきりしているのは日本財団が曽野綾子会長以下八十九人で仕切っているのに対して同規模の自転車振興会が約二・五倍の二百二十人の職員を抱え、競馬会に至っては約二〇倍の一千九百人という大所帯になる。

　大所帯になった理由は簡単で、上の方から真ん中までそれぞれに農水省、通産省からの天下りで占められるためだ。ちなみに競馬会の年間タクシー代は三億円にも上る。

　これを平たくいえば日本財団が出してきた国連援助金や阪神大震災のボランティア援助金相当額が身内の福利厚生の方に向けられているということだ。

　今、その公営ギャンブルにサッカーくじが加わろうとしている。所管の役所は文部省に決まり、霞が関には「よかったなあ」という文部省への声がある。

　霞が関では農水省以下、三つの役所が公営ギャンブルをもつ。厚生省はブームの老人医療がある。日陰だった郵政省も電波を握って、いまや飛ぶ鳥落とす役所に生まれ変わった。

　たった一省、何にもなかったのが文部省だが、それがやっとうまい汁を吸えるようになったじゃないかという響きがこの「よかったなあ」にはある。

　でも本当に「よかったなあ」にはなってほしくないものだ。

高山正之「世界は腹黒い異見自在」より

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