テーマ:皇室(560)
カテゴリ:歴史 傳統 文化
初めて楽天広場に記事を書いたのがちょうど一年前、「中島らも追悼写真展 東京開催へ」なる記事であった。以来三百六十五日全て埋めてきて、今日から二年目に突入した。 去る十月九日に「愛子内親王殿下がおかわいそう」なる発言をしたが、世の中には似た様な事を考える人が居るようで、一週間後「国際派日本人養成講座」なるメールマガジンに「愛子様、おかわいそう」との考察が載っていた。この記事を二回に分けて紹介する。 愛子内親王殿下の婿を探すより旧宮家の復籍の方が安全策だと思うのだが。 このたびの「女系天皇問題」に関して政府に言いたい事のある方は左記のフォームより。 国際派日本人養成講座 平成十七年十月十六日 四百十六号 「女性天皇問題」は歴史の知恵に学べ ■一、「愛子様、おかわいそう」ケース一■ 二十一世紀の最初の年にお生まれになった愛子様も、世紀末が近づく頃には八十代の老境に入られていた。うら若き頃から女性皇太子となり、第百二十七代天皇になられる事が決まっていたため、妙齢になっても配偶者に恵まれず、子も孫もいない寂しい毎日だった。 *一 第三十三代・推古天皇、第三十五代・皇極天皇(第三十七代斉明天皇) *二 第四十四代・元正天皇、第四十六代・孝謙天皇(第四十八代・称徳天皇)、第百九代・明正天皇、第百十七代・後桜町天皇 父・天皇が皇太子の時代に、皇太子妃として母を選んだ際にも大変だったと聞いている。まして、史上初の「女性天皇の夫」などという立場には、まともな男性はみな尻込みしてしまった。 愛子天皇はそんな不満も口には出さずに、日々の宮中祭祀や、重要行事への臨席、外国からの賓客のもてなし、そして年に何回もの海外公式訪問と、息つく暇もないほどのお勤めを果たされていたが、すでに八十代のお体には大変な負担だった。 ■二、老女性天皇の孤独■ しかし、最大の悲しみは次代天皇となるべき皇太子がいないことだった。現在の皇室には、愛子天皇ただ一人しかいない。百二十七代も続いた皇室が自分の代で断絶してしまう、と思うと、日の本の民の幸福を祈り続けてきた歴代の天皇様方になんとお詫びしてよいのか分からなかった。 しかし、その女性天皇が配偶者を持てない場合、あるいは、持ったとしても皇子に恵まれなかったら、後継問題を一代先送りしただけに過ぎない。そこまできちんと考える人がいなかったのである。 老女性天皇が覚束ない足取りで、海外公式訪問の飛行機のタラップを登られるその背中に、そんな深い苦しみ、悲しみがにじみ出ていた。多くの国民もそれを感じ取って、「愛子様、お可愛そう」と感じたが、ことここに至ってはなすすべもなかった。そしてただ一人皇室を守る老女性天皇に象徴されるかのように、日本全体も高齢化が進み、活力を失っていった。 ■三、「愛子様、おかわいそう」ケース二■ 二十一世紀の末期、八十代の愛子天皇は思いやりの深い夫と、お子様達、お孫様達に恵まれ、多忙な公務をこなしながらも、充実した日々を送られていた。 それも学習院時代の同級生と結ばれるという幸運のおかげだった。お相手は立派な人格と見識を持った青年で、裕福な一族からは「財産も十分あるのに、何を好きこのんで『天皇の夫』などという不自由な身分になるのか」と猛反対されたが、当時皇太子だった愛子様との愛を貫き通して、ついに結婚にまでこぎつけたのである。 愛子天皇のご長男はすでに五十代。皇太子として、時に老境の母天皇に替わって、外国公式訪問などの公務を担われていた。いかにも篤実な風貌と思いやりに満ちた言動は、海外でも《Prince of Japan》として人気を集めていた。 しかし愛子天皇の悩みは国内にあった。一部の国内勢力は、今の皇太子は「女系の男子」で、天皇になる資格はない、というのである。 ■四、「男系」と「女系」■ 「男系」とは、父親か、あるいは父親の父親というように、男親を辿っていくと天皇につながる家系を言う。愛子天皇は父・先帝陛下の娘なので「男系の女子」である。前章で言及した八代十人の女性天皇もいずれも父親が天皇であるから「男系の女子」である。 愛子様のご長男が即位すれば、その伝統が破壊されるのである。「女系で天皇に即位した例はない」と「女系反対」の主張はマスコミを賑わした。史実に基づく主張だけに、保守派も反論できなかった。 すでに次代の男系が絶えた今、女系の即位が認められなければ、次の天皇はいない。天皇制は自然消滅となる。国民はようやく気づいた。二十一世紀初頭にマスコミは女性天皇賛成論で賑わい、その勢いで皇室典範が改定されて愛子様が皇太子から女性天皇となるレールが敷かれた。その上で、今度は「女系反対論」である。女性天皇を二階に上げておいて、梯子をはずしてしまう戦術である。「女性天皇賛成論」とは本音では天皇制廃止を目論む左翼やフェミニスト達の戦術だったのか。 いずれにせよ、愛子天皇のご長男をめぐる論争で、皇室の権威は深く傷つけられ、国民の一体感も失われていった。 ■六、「女性天皇」論議には、その次の天皇を議論する必要■ 畏れ多い事ながら、現在論議されている「女性天皇」が実現した結果として起こりうる未来をシミュレーションしたのが、上記二つのシナリオである。国民の間には「過去にも女性天皇がいらっしゃったのだから、愛子様が即位されてもおかしくない」「男女平等の時代ではないか」という事から、女性天皇を容認するムードが強い。しかし、愛子天皇の後継者を考えておかなければ、単に問題を先送りしただけに終わってしまう。 第百十五代桜町天皇の皇女としてお生まれになったが、異母弟であった第百十六代桃園天皇がわずか二十一歳で病没された時、その皇子がまだ四歳であったため、成長されるまでの中継ぎとして伯母にあたる後桜町天皇が即位された。 「女性天皇がいらっしゃった」という史実から「女性天皇で良い」と結論するのは早急に過ぎる。「女性天皇はいずれも男系男子の後継者がいらっしゃった」という点を踏まえて、愛子天皇の後継者はどうなるのか、という点も考えておく必要がある。それを考えると、上記の二つのシミュレーションのように、いずれも暗い結果が予想されてしまう。(続く) 平成十七年 十一月二十七日 筋肉少女帯「バラード禅問答」を聴きながら コメント・トラックバックは予告無しに削除する場合があります。あらかじめご了承下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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