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ヘイフリックの限界part2

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2009.09.19
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妹コルネーリアと嬰児殺しスーザンナ



  ゲーテの魂は、何を以って表現されているか。それは、勿論数々の詩歌であろう。そして、迸るような美しいフレーズだ。


 ゲーテには、1年4ヶ月違いの妹コルネーリアがいた。あと5人の兄弟は幼くして夭折している。仲の良い兄妹であった。屋根裏部屋で人形芝居をしたり、家庭での厳しい教育に耐えて、互いにいたわりあったという。兄が結核になったときも妹は、兄の病床の世話した。


 ハンサムで豊かな才能の持ち主である兄と、少し大き過ぎる鼻とおでこの妹コルネーリアは、美しい娘とはいえず、病気がちで憂鬱がちだった。21歳にもなって求婚者が現れない娘だった。


 ゲーテは、そういう妹を可愛がり、やさしくかばうのが常であったという。感性豊かなゲーテの女性への思いやりがうかがわれる。


 そして、衝撃的な嬰児殺しのスーザンナの事件を知る。ゲーテは大きな同情を抱いて訴訟手続きを見守っていている。この貧しい居酒屋の女給は卑劣な男の手にかかり睡眠薬で無抵抗にされてレイプされた。処女ゆえの無知で、孤独と絶望の中でついに嬰児を殺してしまった。過酷な裁判で彼女は公開処刑された。ゲーテはこの裁判に心を痛めたという。


 偉大な詩人ゲーテはその事件の本質を理解していた。ただ自分の子を殺すという残酷な罪に対する世論の厳しい糾弾にのみに向けられていたのではない。多くの人びとが求めた極刑とは違う、そして、法律家のそれではなく、詩人としてのゲーテの魂がある。


 コルネーリアへの深い兄妹愛と、スーザンナに対する大きな同情は無縁ではない。人間として持つ愛情の発露でもあるだろう。ゲーテの詩の美しさは、内面から湧き出る詩人のこころの輝きでもある。


 偉大な詩人ゲーテは、詩人の魂がある。






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最終更新日  2009.09.19 17:09:57
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