Sweet memories
大学生のころ、大好きだった女の子がいた。とてもピアノを上手に弾く子で、シンセやコンピューターミュージックもこなしていて、一緒にバンドを組んだのを契機に仲良くなった。彼女がやっていた流しのバイトや、音大の卒業演奏にも、花束を抱えて出かけたのを覚えている。ちょっとの間、恋人っぽい雰囲気になったのだけど、うまくいかなくて、若気の至りでとっても後味の悪い別れ方になってしまった。今となっては、甘酸っぱい思い出である。それ以後8年も音信不通だった彼女が、今フランスにピアノ留学していること、そしてもうすぐ東京でコンサートに出演することを知った。それでいてもたってもいられず、しばらく前につてをたどって便りを出していて、今朝電子メールでその返事が来た。とてもうれしかった。彼女も僕からの久々かつ突然の便りに驚き、かつ喜んでくれているようだった。素敵な「今」を充実させて生きている彼女にとても勇気づけられた。コンサートには応援にいこうと思う。体調と相談だけど、彼女がソロをとる曲だけでも聴きたい。彼女は青い色の花が好きだったっけ。持っていこうかな。浮き沈みの大きい激動の一年だったけど、最後をしめくくる一服の清涼剤のような、素敵な便りだった。今年の正月、年賀状のかわりに出した電子メールに、「今年は病魔からの復活の年」と意気込んだことを書いた。病気を抱えながらビジネススクールという厳しい鍛錬の場に飛び込み、最後は息切れしたものの、それなりに力を発揮できたことについては、自分を褒めてあげないといけないなと思う。この病気とつきあいながら生きていくことはほんとうに難しい、それを痛感した一年でもあったけれど、めげることなく、自分のできる範囲でがんばっていきたい。