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September 25, 2010
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カテゴリ:カテゴリ未分類
オペラ座の怪人を見た帰りに寄った本屋さんで
「悪人」吉田修一 を買いました。
吉田氏の作品「パークライフ」はとてもよかったので、
今回も期待して読みましたが、とてもよかったです。

殺人を犯した男が警察に追われ、愛する女性を連れて逃げ、
最後に女性のために、自分の幸せを犠牲にする物語なわけで、
この純情で一筋な女性への思いと、最後の自己犠牲っていうのは、
定番と言えば定番ですが、私はその辺に弱いみたいね。(←単純)
オペラ座の怪人だって、そういえば、この定番にはまってる~。

この先は完璧なネタバレなので、映画を見たり、小説を読む予定で、
新鮮な気持ちで味わいたい人はスルーしてくださいね。


主人公の祐一は、映画で妻夫木くんがやっても違和感のない、
かっこいい外観の持ち主なのですが、全然いけてない男性です。
母親は祐一の父親に捨てられて、女手ひとつで祐一を育てましたが、
生活に行き詰って、幼い祐一をフェリー乗り場に置き去りにします。

お父さんに会いに行こうと連れ出し、
ここで待っていなさいと置き去りにしたのです。
子供がずっと1人でいるわけですから、周囲が保護しようとしますが、
祐一は、父親が迎えに来るからここで待てと母親に言われたわけで、
それを信じて主張します。でも、もちろん父親も母親も来ませんでした。
置き去りにされた子供。それが祐一の原点になってしまうのですね。

祐一が殺した女性は、出会い系サイトで知り合った女性でした。
彼に殺意があったわけではありません。
お小遣い稼ぎに出会い系を利用している女性で、
祐一と待ち合わせた日に、ばったり、意中の男性と会うのです。
女性は祐一なんかどうでもよくなり、そちらの車に乗って行ってしまいます。
祐一は置き去りにされたのです。
この「置き去り」もこの小説に3回も出てくるキーワードですね。
コケにされた祐一はむっとして、一言謝らせたくて後をつけますが、
車に乗せた男性も、彼女を好きでなく、うっとうしくなって、
峠に置き去りにしてしまうのです。

祐一は、びっくりして、彼女を乗せて送ろうと思っただけです。
しかし女性は、つけて来たの?!と怒鳴るばかりでなく、
祐一に拉致され、レイプされたと訴えてやるなどと叫びだします。
無実の罪を着せられても誰も自分を信じないだろうという恐怖で、
祐一は彼女を絞め殺してしまいました。

最初のうち、車に乗せて置き去りにした大学生が犯人と思われ、
大学生自身も、峠で車から女性を下ろすとき、乱暴だったので、
死体が発見されたと言うニュースを見て震え上がり、隠れていました。
後に警察に調べられ、首についた手の跡の大きさの違いから、
捜査線上に祐一が浮かんできます。

祐一は、普通の女性に近づいて、次第に親しくなっていくという
普通のプロセスで女性と付き合った経験がありません。
殺した女性は出会い系サイトで知り合ったので、
会ったその日にホテルに行きました。
その後も、会いたかったらお金を払えと言われています。
くどく必要さえない関係です。

その前に好きだった女性はヘルス嬢で、お金を出せば誰でも抱けます。
くどく必要さえないのは彼女も同じです。
そのヘルス嬢に、豚まんを買って来たよとか、弁当作ってきたよと
ありえないお土産を持って、祐一は毎日通いました。
外で会おうとは誘いません。風俗店で制限時間の間会えればいいのです。

ヘルス嬢が、こんな仕事を辞めてあなたみたいな人と暮らせたらいいねと
寝物語に言おうものなら、彼女に相談なくアパートを借りてきて、
二人で暮らそうなどと真顔で言います。
怖くなったヘルス嬢は、黙って店を辞めるのですが、
その気だった祐一はがっくり落ち込んでしまいます。
アパートへの引越しを手伝った祐一の友人は、
祐一が何も女性に相談しないままアパートを借りた事を知って呆れます。

土木作業の仕事は真面目にするし、同居の祖父母にも優しい祐一ですが、
女性と寛いでいられる時間や空間が必要なのだと思います。
でも、そのことをはっきりとは意識していないし、
そのための人間関係を築いていくという意識はゼロのようです。

深津絵里さん演じる光代は、紳士服量販店の店員をしています。
30歳と言う年齢は、田舎でなければ問題ないと思いますが、
女性は年頃になれば結婚していくような田舎では、
似合った年齢の男性は結婚していて、誘われる事もありません。
至って真面目な光代は、出会い系サイトで祐一とメールするものの、
ドライブに誘われたら怖くなってメールするのを止めていました。
しかし、それから3ヶ月経ってから、また祐一にメールをしてみました。

メールでの会話は楽しく、光代は祐一と会う約束をします。
普通のデートコースを想像していた光代は、いきなりホテルに誘われ、
動揺しますが、承諾します。お堅い女性なんですが。
出会い系サイトで知り合ったという特殊事情はあるにしろ、断れる状況です。
しかし光代は不愉快にすら感じていないのでした。

ホテルの部屋に向う途中、光代はずっと、自分を求めてくれる男性に、
抱きしめられたかったのだと、自分の気持ちを分析します。
求められなかった歴があまりに長いのです。
光代のこの思いはかなり強く、この後の彼女を支配します。

祐一と光代は似ています。
地味で、野望なんてなくて、普通の「大切な人」が欲しいだけなんです。
祐一は金髪に染めていますが、自分を変えたいと思っても、
彼に出来ることはそれくらいしか思いつかなかったというくらい地味。
光代も、食事もドライブも後回しで、いきなりホテルに誘われても、
怒るどころか、自分の体を求められているのに感動するほど自己評価が低いし。

数日後のデートで、祐一は、自分の殺人を光代に告白し、自首すると言います。
当然光代は自分から離れていくと思ったのに、光代は祐一に執着します。
祐一は、元々人のいい性格なので、巻き込んだことを光代のために後悔し、
引き止めるつもりもなかったのです。

地味で真面目な女性だった光代が、思わぬ情熱を見せて、
「私、待つよ、何年でも」と言った時、
祐一は震えだし「俺、怖か。・・・死刑かもしれん」と言い出します。
光代に会う前だったらこんなに怖くなかった、
死刑かもしれん、もう光代に会えん、と祐一に言われ、
光代は祐一のいない今後の想像に耐えられず、一緒に逃げてと懇願します。

死刑になんかならないよ~と思うでしょう?
殺意があったわけでも、お金目当てでもない、計画性もない、
峠に置きざりにされた女性を送っていこうとしたら、
拉致されてレイプされたと訴えてやると逆上されて、怖くなって殺したんです。
祐一はその事実を話しても、信じてもらえないだろうと思ったのでしょう。
世界は自分を受け入れてくれないだろうという不安が強いのだと思います。

二人は逃避行を続けますが、それも終わりの日が来ます。
見つかってしまう直前、光代は泣いて祐一に謝ります。
祐一が警察に自首すると行った時、止めた自分が悪かった、
何もしてあげられないのに、一緒に逃げようと言った自分が悪かったと
自分を責める光代の言葉を聞き、祐一はある決心をしたのでした。

パトカーのライトが近づく中、光代の手を振りほどき、
「俺はあんたが思っているような人間じゃない」と言って、
光代の首を絞めたのです。

かつて自分を捨てた母親がコンタクトを取ってきたとき、
祐一は母親を責めたりせずに、会っていました。
その祐一に、母親が自分を責める言葉を吐き出したとき、
祐一は、母親にお金をせびるようになりました。
お金が欲しかったわけではありません。
自分が貧しい母親からお金をせびることによって「悪人」になり、
母が自分を悪人だと思って苦しむ事から、母親を救いたかったのです。

祐一が光代の首を絞めたのは、同じ理由でした。
自分は光代を恐怖でコントロールしていたと祐一は証言しました。
光代は自分の意思で祐一についてきたと証言していましたが、
それも、光代に植え込んだ恐怖心が解けてなかったからで、
光代はいつもびくびくしていたし、追い込まれている女性を見て、
自分は性的に興奮する人間だったとも証言しました。
最初から光代など好きではなかったし、金づるだったとも言いました。

この証言が大きく報道されることで、光代は被害者になりました。
殺人者と一緒に逃避行した女ではなく、
「悪人」の祐一に、無理やり連れまわされた被害者です。
実家に石を投げられる事もなくなり、職場復帰も出来ました。

光代は、祐一と愛し合っているという思いは、強かったのですが、
この証言を報道で繰り返し聞くことで揺らぎ、
自分だけが舞い上がっていただけだと思うようになります。

「考えてみれば、出会い系サイトで出会ったばかりの女を
本気で愛せるような男はおらんですよね?
愛しとったなら、私の首を絞めるはずがないはずですもんね?」

光代のこのつぶやきこそ、祐一が求めたものだったのでしょう。
自分に出会ってしまった光代が、一日も早くもとの生活に戻れるよう、
祐一のために、人生を犠牲にすることがないよう、
自分の罪を重くしても、祐一は悪人にならなければいけなかったのです。
不器用な祐一は、自分のことよりも光代や母親や祖母のことを
心配し、幸せを祈って、残りの人生を送るのでしょうね。

長い文章ですけど、これでもかなりはしょったの~。
登場人物の中の一部しか書けなかったもの。
他の登場人物にも「悪人」は出てくるんです。
悪人にあざ笑われながらも立ち向かう、まっとうな人たちも出てきます。
小説もすごいけど、このタイトル、深いです。

9.24.JPG
昨日の晩ご飯です。
普通に二人で晩ご飯を食べる日々を、祐一と光代にあげたかったです。






Last updated  September 25, 2010 03:47:59 PM
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