カテゴリ:国語
誰しも自分が悪魔として堕ちた経験があるはず。何年も何十年もその後悔と想いは意識の底で澱となり、どんなにおだやかに暮らしていても影となって付きまとう。
おばあちゃんと孫娘。「西の魔女が死んだ」でも出てきた梨木 香歩さんのお得意ですが、文体としては私は「西の魔女」の方が好きです。しかし、堕ちた自分、何もかもがなくなってしまっても尚心から離れない澱に胸が痛むという経験は誰しも心当たりがあるでしょう。抑えた文体で語る分、行間からにじみ出る深い後悔がうかがえます。 私もあります。中学生のときに女の子のグループで一人が仲間はずれにされた。私は浮いた存在で、積極的に仲間はずれにもしなかったので、はずされた子は死に物狂いで私にすがってきました。溺れる人がすがるわらのような存在でした。 困りました。私には支えられなかった。私は頼りないわらでした。でも積極的に仲間はずれに加担するのもできなかった。 そして、学校に行けなくなりました。 私はいじめはいじめられる子供の人生も狂わせますが、いじめる子供の心の中に澱を作る罪なものだと思います。だから、いじめる子にも早く気がついて欲しい。何年も経って謝って、相手には多分許してもらえずにあいまいに笑ってやり過ごされる。そして過ちのまま澱として残り続ける。 すみません。話がそれました。「エンジェル・エンジェル・エンジェル 」は人の悪魔性と良心を鏡面のように書いたミステリーのような作品です。そんなに重い作品でも軽い作品でもないでしょう。無粋なネタばらしは止めておきます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.08.18 02:04:37
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