カテゴリ:┌ 詩
火曜午後3時過ぎ
熱39度6分、心拍数一時200オーバー 平熱が低い父 本当に、よく頑張った 熱、心拍数ともに落ち着いた 火曜午後9時過ぎ 棚に立て掛けられた、50音ボードを指さす どうしても伝えたいことが あるんだね ボードを手元に持っていく 父の右手が掴む 浮腫んでしまった左手は しばらく宙をさまよった後 ボードを掴んだ 私も一緒にボードを支える 父の指が、ゆっくりさしたのは 「ら」「い」「と」 もう寝る時間だよ 看護婦さんが、部屋の電気、消しにきてくれるよ 違う 父が指さしたのは、枕元のライト 紐をひっぱると、ライトがつく これでいい? うなずく父 紐をひっぱると、ライトが消える これでいい? うなずく父 何度か繰り返した 途中で、父が笑った びっくりした 熱が下がって良かったね また明日の朝、来るね と声をかけ、手を握った 父が握り返してきた びっくりした 病室の出入口のところで手を振った私に 父が右手を上げ、手を振った びっくりした さっき、夜中にふと目が覚めて思った 「ら」「い」「と」 「で」「ん」「き」じゃないんだね 「ら」「い」「と」 ライト light 「光」 朝になったら、行くからね 待っててね お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.06.08 04:21:22
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