テーマ:介護・看護・喪失(5312)
カテゴリ:┌ 詩
花さんは、90歳を超えている。 寝たきりで、お腹の具合も、ままならない。 一日中、眠くて眠くてたまらない。 あぁ、あぁ、と 苦しそうな切ない声を上げるときもある。 小さな声で、ぽそっと話すときもある。 花さんの話す声は、愛らしい。 花さんは、メロンとサイダーが好き。 花さんの担当になった日 看護師さんたちは、いつもに増して温かい。 優しく優しく、声をかける。 おしめのお世話が大変なときも、まるで厭わず。 大部屋で 花さんのベッドの回りは、いつもカーテンがひかれていたから 一度も、お顔を見ないままだった。 けれど、花さんと看護師さんのやり取りが聞こえてきて 何度も涙が込み上げた。 かつて、父の入院中に 私が看護師さんに対して抱きながら、ぎゅっと握りしめた思い。 自分では、なだめ切れずにいた。 花さんと、亡くなった父と、私。 日に日に、境界線が無くなった。 花さん、ありがとうございました。 看護師の皆さま、ありがとうございました。 先に退院しましたが、 花さんのお体の苦しみが、どうぞ和らぎますよう 愛らしいお声がたくさん聞こえますよう 心からお祈りしています。
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Last updated
2017.08.25 19:47:15
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