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2023.12.24
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カテゴリ:遊歩つれづれ


 穏やかな空気を吸いながら新しき村の村内をぶらぶらと歩いていく。村内の家はそれぞれが程よい距離を保って散在している。村外会員が寝泊まりしただろう家(小屋)も散在している。集会所があり、以前訪問した時にはこの場所に集まって村民が昼食を食べてた。反対側にある閑散として人影もない新しき村美術館に足を踏み入れた。
 館内には武者小路実篤の日本画、書、油絵、素描、原稿などが展示されていた。色紙に素朴な筆致で描いた野菜や花が絵が描かれ、「讃」とよばれる短い言葉が添えられている。淡い色調の絵と一緒に寄り添うような「讃」(言葉)が心を落ち着かせてくれるのだ。

~仲良きことは美しき哉~
~君は君 我は我也 されど仲よき~
~この道より我を生かす道無し この道を歩く~

 心に残る名言の数々と味のある絵に惹かれて長居してしまった。館長(?)の小島真樹さんにお話を伺った。農業などの労働を分担しながら共同生活を送る、そんな新しき村が日本に誕生してから今年で100年が経った。村民は1日6時間、週休1日の労働を目安とし、余暇は「自己を生かす」活動が奨励されていて、三食と住居は無料で、毎月3万5000円の個人費が支給され、階級や貧富の格差はなく、なにものにも縛られない平等の暮らしをしている。
 村の人口は、最盛期で65人を超え、100年もの間存続してきたのだが、今では、村内で暮らすのは3人だけとなってしまい、存亡の危機だという。新しき村の理想の趣意に共鳴した、村外会員からの経済支援で成り立っているのだという。
 少し、侘しい気持ちにもなったが、小島真樹さんはここから、新しき村を再生させるべく努力を続けるそうだ。新しき村の著作本を購入し、無責任ながら、

~こんな場所がいつまでもあってくれたら嬉しいです~
 と感想を述べた。

 てくてくてくてく
 余韻を感じながら柔らかい暖かい秋の陽ざしの下を歩いた。竹林の木漏れ日を浴びながら歩く、心が癒される。木漏れ日の里があるとすればこんな場所ではないだろうかと、ふと思う。

~またこよう、疲れたらまたこよう、~

 諸行無常とはいうがいつまでも残しておいてほしい空間が新しき村にはあった。

~人は何のために生まれたのか?~

 そんな難しいことは考えずに、ただのんびり遊歩していたいのですが、武者小路実篤先生、それでもいいんですよね、

~あるがままにて、満足するもの万歳~武者小路実篤

作:朽木一空

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最終更新日  2023.12.24 20:20:56
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