ことりのそら

職場でちょっと大切な行事があるので、その準備をしていた。
ぱっと見は大したことないはずの準備に、だけどえらく手間取って、
お外はとっくに夜の闇、みーんな帰っちゃって１人じたばた。ま、いつものことだけど。
（他の人が意地悪なのではなく、手伝ってもらえるような内容じゃなかっただけ）
「今日泊まり勤務？」「……昨日泊まったばっかりです、勘弁してくださいっ！」なんて
カナシイやりとりをしつつ、じたばたばた。

時計を見て、うーん、これは行き倒れまたは家出と間違えられるとまずいなぁと、
母上様に電話を入れた。
まだ遅くなるからと伝えて電話を切って、やーれやれ、さて再開、と思ったとたん、
ばしっと闇が落ちてきた。
えっ、停電、と思った次の瞬間に、ばりばりばりいっ！

その音に負けない悲鳴を上げながら、雷だということを理解した。
まったく、最近の雷ときたら、こうやってフェイント食わせてくれるからたまらない。
昔は遠くから稲光と雷鳴が近づいてきて、やだなーと思ってるうちにひどくなって、
だから落雷の可能性があることだけは認識できるんだけど、
なんだか最近は、ある日突然周囲がぱしっと光って、
ん、誰か部屋の中でフラッシュ撮影でもしたかね、と思った次の瞬間に
ばりばりばりぃっ、なんだもん。あらかじめの覚悟も警戒も、できやしない。

ちなみに私は雷にはめっぽう弱い。
どうがんばったって落ちてこないとわかりきっているような遠くでも、
雷が鳴り始めると悲鳴上げて飛んで帰る。
ちょいと大きな音で鳴ったら、負けない音量で悲鳴上げちゃうもんだから、
周囲の人は雷よりそっちにびっくりする。
当然、外になんか出ない。ずぇったい、出ないったら出ない。

というわけで、夜に停電になったからとて、その中で外に出て車まで走るなんて芸当は
できやしない。
ついでに、準備まだ終わってないんだよー、明日は私休みの日だし、
なんたって教会学校があるから、朝来て準備して、なんて余裕はないんだよー。
そんなわけで、懐中電灯を持ってきてがさごそ。
幸いなことに、パソコンや印刷機を使う段階は終わっていたのだ。

２，３０分したら電気がついた。おお、めでたい。
お泊り勤務の方と、よかったですねーなんて、ほっとした笑みを交し合ったりして。
やっぱり明るいほうが助かるねー、しかし、配電設備に自己治癒力はないだろうから
どなたかが落雷の危険もある中で作業をしてくださったということよねー、
私なんか家の中にいても怖いのに、すごい勇気だなー、
すごいなー、ありがたいことだよなー、でも気をつけてくださいねー、なんて
思っていたら、１０分か２０分くらい経ったとき、またしても、ばしぃっと停電。

しょーがないなぁと、またまた懐中電灯様のお世話になりつつ仕事。
でも今回は冗談抜きで遅い時間になってしまったけれど復旧する気配がない。
印刷機のお世話にならなきゃいけない仕事が残ってしまったので、
かくなる上は諦めて、翌日出てくることにした。
とほほー、教会学校に間に合うかなー、出てきちゃうといろいろ用事があるから
出て来たくなかったのにさーなんてぼやきつつ。

帰り道、なぜか１つだけ信号が止まっていて、おまわりさんたちが交通整理なさってた。
こんな夜中にありがとうございますと頭下げつつ通り過ぎ、
１０キロほど離れた我が家に帰ってみると、ちゃんと明かりがついている。
半月早いキャンドルナイトかね、なんて思ってたんだけど。
一瞬電気が消えたことはあったそうだけれど、停電はしなかったんだって。
でも、雷の音と光はかなーりひどかったらしい。
職場は停電はしたけれど雷はおとなしかったので、
職場にいてよかったー、と胸をなでおろしましたとさ。