カテゴリ:第一章 061 ~ 122 話
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太陽の日差しが痛いくらいに肌を刺す。 歩く地面の遠い先では、蜃気楼のようなもやもやが見える。 3人はいつしか森を抜け、開けた荒野にも似た場所を歩いていた。 こういち 「この辺りからは、日陰を拾いながらしっかりと休養し、水分も取りながら進もう。」 ゆうすけ 「熱射病になり兼ねないからな。」 利江 「帽子ひとつでずいぶんと違うのね・・・・。 やっぱり備えはきちんとしないとってことね。 でも、さすがにしんどい・・・・。」 数本の木々が立ち並ぶ場所にくると、3人は日陰に腰を下ろし、しばし休養を取る。 リュックからデカイソフトケースに入った水袋を持ち出し、 二人の水筒に注ぎ足すこういち。 ゆうすけ 「ピッタリに無くなったな。」 利江 「無くなると困るじゃない・・・・・、それにピッタリって?」 ゆうすけ 「もうすぐ最初の目的地に着くからさ。 あとは水筒内の分で大丈夫ってこと。」 利江 「最初の目的地・・・?」 こういち 「そっ、大少林寺さ。」 そのとき3人の視界には、蜃気楼のモヤよりはこちらに近いところを歩く3人の男の姿が。 ゆうすけ 「あれ? あいつさっきのなんてったっけ? そ、チュンホーじゃないか♪」 利江 「本当だ。。。 私達、いつのまにか抜いてきちゃったみたいね。」 ゆうすけ 「寄り道してたんだろうぜ、2人増えてるから。」 こういち 「おぃおぃ、こんなところからもう現れるのかよ・・・・・」 利江 「えっ?」 すると、チュンホー他2名の歩く路上に、3人の黒装束の男が道を塞ぐように現れた。 利江 「と、盗賊?」 こういち 「いや違う。 入山試合だ。」 行く手を遮った3人に気づいたチュンホー他2人、それを見て足を止めた。 チュンホー 「私は大少林寺のものだ。 そして・・・・」 チュンホーと一緒の男1 「総本山を目指す 侯 玉穂(こうぎょくすい)と申す。」 チュンホーと一緒の男2 「同じく 候 玲訓(こうれいくん)と申す。」 チュンホー 「盗賊に類する目的ならば、悪いことは言わない、そこを退くことだ。」 黒装束-1 「ならば目的通りだ。」 黒装束-2 「我ら、黒流拳を習得する者。」 黒装束頭 「総本山、入山試合を所望する。」 チュンホー 「くっ、入山試合か・・・・」 チュンホーと一緒の男1 改め 侯 玉穂(こうぎょくすい) 「入山試合とな。」 チュンホーと一緒の男2 改め 候 玲訓(こうれいくん) 「あい分かった、心して掛かって参れ。」 紐で結わった背中の荷物を脇に置き、手に持っていた1mくらいのアルミ材?のような棒 だけを持ち、侯 玉穂(こうぎょくすい)と、候 玲訓(こうれいくん)は黒装束の3人の 前に立った。 チュンホーは 侯 玉穂(こうぎょくすい)から入山証と呼ばれている[金色の札]を 預かると、二人の前方に立ち、 チュンホー 「ここにあるが [入山証] だ。 立会人チュンホーが預かる。」 黒装束の3人にそれをかざす。 黒装束頭が黙ってうなづいた。 チュンホーは [入山証] を懐に収め、2人の後方に下がる。 利江 「何が始まるの?」 ゆうすけ 「総本山へは [入山証] がないと入れないのさ。 入山試合ってのは、その [入山証] が無い人が入山したいならば、持っている人を 倒して手にするってことになっているらしい。」 利江 「じゃぁ、あれって・・・・・」 こういち 「お互い承知の上でってことさ。 総本山は限られた人だけに入山が許されるんだけど、 それも実力主義ってやつだね。 弱者はたどり着けないしくみになっている。 つえーやつしか行けないところさ。」 利江 「すると、こういち君もあんな札? 持ってるの?」 こういち 「うん、おいらのは一枚しかない赤いやつね ^ ^ 」 黒装束の男達は、脇差の剣を抜いた。 侯 玉穂(こうぎょくすい)と、候 玲訓(こうれいくん)はアルミ材?のような棒を 前にかざした。 すると、 シャキーーン シャキーーン とその一端の柄が音と共に突然伸びた。 侯 玉穂(こうぎょくすい) 「広州明冥道(こうしゅうみんめいどう)候流(こうりゅう)、参る。」 二人は、手に持つ伸びた棒を頭上でくるくると回した後、片手で右下に据えて身構えた。 黒装束3人、剣を振りかざし襲いかかったっ うぉーーりゃーー キーン キーン キンキンキーン 剣を棒で受け、払いと、金属が弾ける音が響き渡る。 利江 「こういち君は赤なのね。」 こういち 「あの金色を持っている人達は大変なんだよ。 名誉なだけにね。」 ゆうすけ 「おれも入山試合の場には初めて遭遇するけど、あのチュンホーって・・・・」 こういち 「あのチュンホーは案内人、兼立会い人ってことだ。 [金の札] を持って入山すると、次回まではその流派が総本山に登録されるんだ。 道場を持っている人は、それが宣伝になる。 で、チュンホーみたいに次回開催のときに大少林寺の人が迎えに行くんだね。 その時に、登録した流派と合致しないと無効になってしまうんだ。 だから、道場荒らしでゲットしても当然盗んでもダメ。 で、お迎えに行った後から奪い合う試合が有効になるんだ。 その結果を見届けるのが立会人の役目って訳け。」 利江 「なんで大少林寺の人が迎えに行くの?」 こういち 「招待している側だからだよ。 というより開催している側か。。。」 利江・ゆうすけ 『ふぅ~ん。。。』 候流(こうりゅう)の二人は棒の中央を握り、両端を自在に使って剣をはたき、 交わし、そして相手の肩、脇に打撃を加える。 時折、端を持って棒を長く使って大きく振り回し、相手を後方へ追いやる。 一端下がった黒装束の3人は、腰に刺したもう一つの剣を持ち、両手で構えた。 そして2人が 侯 玉穂(こうぎょくすい)に、 残りの一人が 候 玲訓(こうれいくん)と対じした。 3人の6刀剣が候流(こうりゅう)の二人に襲い掛かる。 キン キン キンキンキーン 2人を相手にする 侯 玉穂(こうぎょくすい)、今度は防戦一方。 めまぐるしく棒を回転させ、精一杯剣を払っている。 一方の一人を相手にしている 候 玲訓(こうれいくん)、剣を避けながら、 時折相手に打撃を加えている。 キン キン ドス★ ドス★ 黒装束-1 「ぐわっ」 -つづく- (おじちゃんかよ・・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月14日 15時17分03秒
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