カテゴリ:第一章 061 ~ 122 話
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『うーーりゃ!』 カンカンカンカン ビュー、 サッ、 カンカンカンカン 『たぁーー』 ここ 二十八房 では、棒術を取得するいわば道場となっている。 隅の方では棒術の基本の型を教えている。 その隣では、小さなサンドバックのような袋を高さを変えていくつも吊るしてあり、 それに向かって順次打ち込む姿も。 別の隅では、重りに見立てた20~30cm角に切られた石を、水が流れる水路に置き、 それを棒先を使い端から端まで引きずる筋トレらしきことをやっている。 手前の広場では、修行僧が対じしてお互いに打ち込んでは防御してを繰り返していた。 二十八房長 「まだまだぁっ 打ち込みが足りないっ! もっと素早くっ!」 『うーーりゃ!』 カンカンカンカン びゅー 二十八房長 「違うっ、相手がこう避けたら、次の攻めはこうだっ」 『とりゃーー!』 カンカンカンカン ビュン、ビュン カンカンカン バシっ★ 二十八房長 「こうやるんだっ!」 その時、突然奇声を上げてクンナが乱入し、二十八房長めがけて打ち込みに行ったっ! クンナ 「とりゃーーーーっ!」 二十八房長 「うむっ!」 カーーン カンカンカン クンナ 「ハイっ ハイっ ハイっ」 カンカンカンカン 二十八房長 「そりゃっ」 カンカンカンカン カーーーン 二十八房長 「ほぉ~、クンナ、また腕を上げたようだな。」 クンナ 「失礼致しました。お褒めの言葉、ありがとうございます。」 クンナは片膝でしゃがみ、左手で木棒を腰横に納め、右手の平を立ててあいさつする。 二十八房長 「うむ、常々卒房者にはこの房内、わしにいつ打ち込んでも良いと話をしてあるが、 さすがに上級者となると、ちと厳しくなるの~。アハハハハ。」 ポカっ★ 話をしていた房長の頭の上に木棒がコツンと当たった。 こういち 「スキあり~ d(^_-)-☆ 」 二十八房長 「痛てっ ・・・・・ おぉぉ、こういち君っ♪ 来ておったか。。。」 こういち 「房長さん、こんにちは。。。」 二十八房長 「くそぉ~、またしても一本取られたわい。。。 いつもの如く、気配を全く感じさせんのぉ。 丁度いい、修行僧の前で二人の試武を見せてやってくれんかの。」 クンナ 「はい、房長様。」 修行僧は全ての鍛錬を止め、二人の周りを囲むように集まり座って見学する。 入り口の付近から、 利江 「これから何を始めるの?」 ゆうすけ 「試武といって、お互いの拳法で戦うことだね。正式な練習試合。。。といった方が 解り易いかな。」 利江 「練習試合かぁ。。。 ねね、でもこういち君が武器を手にするなんて初めて見たわ・・・・・」 ゆうすけ 「ここの房は棒術を取得する所だから、相手に合わせて・・・だろうね。 素手じゃ相手がやり辛いから。 まぁ見てなって。。。」 クンナとこういちは中央で向き合い、対じしている。 二十八房長 「始めっ!」 掛け声と共に、クンナが棒の一端を右手で握り、棒を長く使って水平方向にこういちを 打ちに行く。 サッ☆ 屈んで回避するこういち。 クンナは、交わしたこういちを通過した直後に棒を引き、中央辺りを左手順手で握り、 棒の勢いを殺さずに、反時計回りで体を回転させ、弧を描く先端の軌道を小さいアール にしてスピードを増させ、右手逆手で棒を握り、後ろ向きのまま引くようにこういちに 打ちに行く。 既に体を起こしてしたこういち、体をスエーしてギリギリで避ける。 クンナは、空振りの先端をそのままに、続けてもう一端を体を正面に向けこういちに 当てにいく。 スエーで避けた一端よりも握りから長いため、再びしゃがんで避けるこういち。 三度空を切った先端をすぐさま逆回転で打ちに行くクンナ。 両端が時間差でこういちを襲う。 サッ☆ サッ☆ これもきっちりと避けるこういち。 『おぉぉっ』 修行僧から驚きの声が上がる。 2つ空振った木棒を今度は中心から少し離れたところを両手順手で握り、 右、左、右、左と交互に素早く斜め下から引き上げるように打撃に行く。 クンナ 「ハイっ ハイっ ハイっ ハイっ」 カンカンカンカン こういちは木棒でそれを当てて回避する。 再び右、左、右、左と交互に、そして今度は上下上下と高さを交えて打ちにいくクンナ。 クンナ 「ハイっ ハイっ ハイっ ハイっ」 カンカンカンカン 一見単調に見えたクンナの攻撃だが、突然握りを変えて時計周りにクルっと回転し、 一端をこういちのみぞおちめがけて真っ直ぐに打ち込んだっ! パシッ☆ 『おぉぉっ』 再び、修行僧から驚きの声が上がる。 二人の動きが一瞬止まる。 こういちは自分に真っ直ぐに向かう木棒の軌道から体を左に避け、 右手の平で、棒の先端を受け止めていた。 クンナ 「くそぉ~、さすがだな・・・・。」 ニヤっとするこういち。 利江 「す、凄いっ! あのクンナって人・・・・・ 棒が生きているように次から次へと打ちに行ってるわ。」 ゆうすけ 「いちをこの房の卒門生だから、腕は少林拳のお墨付きって訳だ。」 こういち 「クンナ、本気で打ちに行っていない[見せ]はあれでいいが、打ちに行く時の踏み込みが ここでもまだ足りない。 しっかりと体重を乗せて腰を入れないと、先端の破壊力、 スピード、共に不足してしまうぞ。」 クンナ 「もうちょいなんだが・・・・」 こういち 「自分のスピードを信じろ。 心に、迷いがあるからあとちょっとが届かないんだよ。」 クンナ 「迷い・・・か。」 こういち 「今度はこちらも避けるだけじゃないぞ。。。」 木棒を持ち、しっかりと構えるこういち。 半身に構えたまま左足を前に伸ばしたまま右足をたたんでしゃがむ。 木棒のやや中央より一端に寄ったところを握り、短い方を腰側、長い方を右腰前方に据える。 左手は手刀を作り、腕を伸ばして立てている。 それを見たクンナ、木棒をバトンのようにクルクルと見事に回して自分のリズムを作る。 形を作って止まり、一呼吸をついてクンナ。 そしてクルクルと木棒を回しながらこういちに向かい出し、 再び棒の一端近くを右手で握り、棒を長く使って今度は縦方向にこういちを打ちに行くっ -つづく- (やっぱりそうきたか・・・) ※ このドラマはフィクションです。登場する内容は、実在する人物、団体等とは一切関係がありません。 また、無断で他への転載、使用等を堅く禁じます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月14日 15時26分09秒
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